48 / 66
1章 クズ勇者の目標!?
クズ勇者、魔王に挑む 2
しおりを挟む
地に降り注ぐ魔剣は容赦なく魔王たちを襲う。
不思議なことにリョーマの周りには一本の魔剣も落ちては来なかった。
……全く、やってらんねぇな。
魔族たちの頭上には分厚い結界が張られていた。
「まぁ、テメェらは身動き出来ねぇよな。無謀にもその結界から出たら、貧弱なお前らはすぐにお陀仏だもんな」
リョーマは魔王の方に歩いていった。
リョーマの居た場所にマグレで当たらなかったのではなく、元からリョーマには当たらなかったのだ。
亜魔人の時同様、魔剣はリョーマを避けながら降り注ぎ続ける。
「どちらにしろ、無防備を晒してるのはテメェなんだよ、魔王」
『我を敵視する理由は分かる。だが、なぜこうも無差別に攻撃をする?殺したいのなら我だけを殺せ』
「リョーマ。なんでここまでするの?」
「黙れ。ゴミが気安く喋りかけてくんな。反吐が出る」
「!!!」
フィールはその一言を聞いて悟った。
(今までのリョーマじゃない)
フィールの感じ取ったものは半分以上当たりだった。
だが、実際はフィールの知っているリョーマが普通のリョーマではなかった。つまり、本来は今のリョーマが普通のリョーマなのだ。
魔族たちは悔しそうな顔を浮かべながら俯いている。
四天王と言えど、今も尚勢いよく降り注ぐ魔剣をくらえばタダでは済まない。
動きたくても動けない状態だ。
「フィール。テメェは勇者失格だ。私情に流されて勇者のやるべき事をやらねぇなんて」
一瞬、顔に影を作り静かになったと思ったが、フィールはまだ折れていなかった。
「勇者のやるべき事って何?魔王を倒すこと?魔の手から人を救うこと?」
「バカか?俺がそんな事を思って勇者をやってると思うか?」
「平和になるなら、魔族と争わないで済むならそれが一番じゃないの?」
「はぁ……もう良いから黙れよ。俺は平和なんて望んでねぇ。俺はただ……救いをもたらすだけだ」
ついにリョーマは魔王の目の前まで来た。
「この結界は魔王のだよな?その体じゃ魔法の二重展開も直接攻撃も無理だろう。楽に無抵抗なままに死んでくれるよな?」
リョーマは心の中で焦っていた。人間離れの魔力を保持するリョーマも、四天王や幹部を足止めするためには相当強力な魔剣を生成する必要がある。
その上、多くの魔剣を長時間生成しなくてはならなく、魔力が枯渇しかけていた。
あと持って二分程度。コイツを殺すための魔剣を生成するとなると、一分と持たないかもしれない。
コイツは腐っても魔王だ。かなりの魔力を込めないとな。
リョーマはソウゾウの魔剣を生成し、魔王の無防備な胸元に向けた。
だが、リョーマ剣が魔王に刺さるギリギリで魔王のバランスが崩れ横に倒れようとしていた。
『あぐっ………!』
魔王の体を支えていた魔族の一人が魔王の前に立ち、腹を刺されていた。
魔王を殺すために相当の魔力を込められたその魔剣の攻撃力は相当なもので、身を挺して魔王を守った魔族は意識を一瞬にして失った。
コイツは四天王ではないか。ここまで弱いはずはない。
にしても、下等生物の分際で俺を邪魔するなんてな。もうそろそろ時間が無くなる。
『…………我を殺せ』
『ま、魔王様!それはなりません!リギル様にハンドまで命を……ここまで犠牲を出してやっと手に入れられる平和をみすみす逃すのですか!』
『我が居なくとも大丈夫だ。今は多くの命が助かる道に進むのみ』
『それが………魔王様の死なのですか?』
『そうだ』
「おい、魔王。テメェは一つ勘違いをしてるぞ」
リョーマは魔剣を前に突き出しながら、そう言った。
『勘違い?それはどういう……』
「俺がいつテメェだけを殺すと言った?」
『っ……!!』
魔王はその言葉を聞き、驚きと怒りが湧いてきた。
『そなた……貴様はここで死なねばならぬ』
魔王は腕をふらつかせながら前に突き出した。
「はっ。やっとやる気になったか」
あと持って三十秒程度か。その間に決着を付けなければ、他の魔族が一気に掛かってくる。
さすがに四天王と幹部を同時に相手にするのは分が悪い。
魔力が枯渇したあとの混戦。それだけは絶対に阻止しねぇとな。
不思議なことにリョーマの周りには一本の魔剣も落ちては来なかった。
……全く、やってらんねぇな。
魔族たちの頭上には分厚い結界が張られていた。
「まぁ、テメェらは身動き出来ねぇよな。無謀にもその結界から出たら、貧弱なお前らはすぐにお陀仏だもんな」
リョーマは魔王の方に歩いていった。
リョーマの居た場所にマグレで当たらなかったのではなく、元からリョーマには当たらなかったのだ。
亜魔人の時同様、魔剣はリョーマを避けながら降り注ぎ続ける。
「どちらにしろ、無防備を晒してるのはテメェなんだよ、魔王」
『我を敵視する理由は分かる。だが、なぜこうも無差別に攻撃をする?殺したいのなら我だけを殺せ』
「リョーマ。なんでここまでするの?」
「黙れ。ゴミが気安く喋りかけてくんな。反吐が出る」
「!!!」
フィールはその一言を聞いて悟った。
(今までのリョーマじゃない)
フィールの感じ取ったものは半分以上当たりだった。
だが、実際はフィールの知っているリョーマが普通のリョーマではなかった。つまり、本来は今のリョーマが普通のリョーマなのだ。
魔族たちは悔しそうな顔を浮かべながら俯いている。
四天王と言えど、今も尚勢いよく降り注ぐ魔剣をくらえばタダでは済まない。
動きたくても動けない状態だ。
「フィール。テメェは勇者失格だ。私情に流されて勇者のやるべき事をやらねぇなんて」
一瞬、顔に影を作り静かになったと思ったが、フィールはまだ折れていなかった。
「勇者のやるべき事って何?魔王を倒すこと?魔の手から人を救うこと?」
「バカか?俺がそんな事を思って勇者をやってると思うか?」
「平和になるなら、魔族と争わないで済むならそれが一番じゃないの?」
「はぁ……もう良いから黙れよ。俺は平和なんて望んでねぇ。俺はただ……救いをもたらすだけだ」
ついにリョーマは魔王の目の前まで来た。
「この結界は魔王のだよな?その体じゃ魔法の二重展開も直接攻撃も無理だろう。楽に無抵抗なままに死んでくれるよな?」
リョーマは心の中で焦っていた。人間離れの魔力を保持するリョーマも、四天王や幹部を足止めするためには相当強力な魔剣を生成する必要がある。
その上、多くの魔剣を長時間生成しなくてはならなく、魔力が枯渇しかけていた。
あと持って二分程度。コイツを殺すための魔剣を生成するとなると、一分と持たないかもしれない。
コイツは腐っても魔王だ。かなりの魔力を込めないとな。
リョーマはソウゾウの魔剣を生成し、魔王の無防備な胸元に向けた。
だが、リョーマ剣が魔王に刺さるギリギリで魔王のバランスが崩れ横に倒れようとしていた。
『あぐっ………!』
魔王の体を支えていた魔族の一人が魔王の前に立ち、腹を刺されていた。
魔王を殺すために相当の魔力を込められたその魔剣の攻撃力は相当なもので、身を挺して魔王を守った魔族は意識を一瞬にして失った。
コイツは四天王ではないか。ここまで弱いはずはない。
にしても、下等生物の分際で俺を邪魔するなんてな。もうそろそろ時間が無くなる。
『…………我を殺せ』
『ま、魔王様!それはなりません!リギル様にハンドまで命を……ここまで犠牲を出してやっと手に入れられる平和をみすみす逃すのですか!』
『我が居なくとも大丈夫だ。今は多くの命が助かる道に進むのみ』
『それが………魔王様の死なのですか?』
『そうだ』
「おい、魔王。テメェは一つ勘違いをしてるぞ」
リョーマは魔剣を前に突き出しながら、そう言った。
『勘違い?それはどういう……』
「俺がいつテメェだけを殺すと言った?」
『っ……!!』
魔王はその言葉を聞き、驚きと怒りが湧いてきた。
『そなた……貴様はここで死なねばならぬ』
魔王は腕をふらつかせながら前に突き出した。
「はっ。やっとやる気になったか」
あと持って三十秒程度か。その間に決着を付けなければ、他の魔族が一気に掛かってくる。
さすがに四天王と幹部を同時に相手にするのは分が悪い。
魔力が枯渇したあとの混戦。それだけは絶対に阻止しねぇとな。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜
自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで150万PV達成!
理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」
これが翔の望んだ力だった。
スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!?
ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。
World of Fantasia
神代 コウ
ファンタジー
ゲームでファンタジーをするのではなく、人がファンタジーできる世界、それがWorld of Fantasia(ワールド オブ ファンタジア)通称WoF。
世界のアクティブユーザー数が3000万人を超える人気VR MMO RPG。
圧倒的な自由度と多彩なクラス、そして成長し続けるNPC達のAI技術。
そこにはまるでファンタジーの世界で、新たな人生を送っているかのような感覚にすらなる魅力がある。
現実の世界で迷い・躓き・無駄な時間を過ごしてきた慎(しん)はゲーム中、あるバグに遭遇し気絶してしまう。彼はゲームの世界と現実の世界を行き来できるようになっていた。
2つの世界を行き来できる人物を狙う者。現実の世界に現れるゲームのモンスター。
世界的人気作WoFに起きている問題を探る、ユーザー達のファンタジア、ここに開演。
聖女のはじめてのおつかい~ちょっとくらいなら国が滅んだりしないよね?~
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女メリルは7つ。加護の権化である聖女は、ほんとうは国を離れてはいけない。
「メリル、あんたももう7つなんだから、お使いのひとつやふたつ、できるようにならなきゃね」
と、聖女の力をあまり信じていない母親により、ひとりでお使いに出されることになってしまった。
夫の書斎から渡されなかった恋文を見つけた話
束原ミヤコ
恋愛
フリージアはある日、夫であるエルバ公爵クライヴの書斎の机から、渡されなかった恋文を見つけた。
クライヴには想い人がいるという噂があった。
それは、隣国に嫁いだ姫サフィアである。
晩餐会で親し気に話す二人の様子を見たフリージアは、妻でいることが耐えられなくなり離縁してもらうことを決めるが――。
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
【完結】裏切り者
高羽志雨
ミステリー
妻のお腹には待望の赤ん坊がいる。
不倫相手の莉奈(りな)との別れ話がこじれた伊月(いつき)。
追い込まれた男が取った行動。そして、その結末は。
*1700字程度のショートショートです。
ご期待に沿えず、誠に申し訳ございません
野村にれ
恋愛
人としての限界に達していたヨルレアンは、
婚約者であるエルドール第二王子殿下に理不尽とも思える注意を受け、
話の流れから婚約を解消という話にまでなった。
ヨルレアンは自分の立場のために頑張っていたが、
絶対に婚約を解消しようと拳を上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる