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1章 クズ勇者の目標!?
クズ勇者、魔王と対峙する
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「ビランさん、ちょっと提案があるのですが、良いでしょうか?」
『提案とな?それを私が受け入れるとでも?どうも未熟者と言うのは首を突っ込みたがる習性があるようですね』
先程、呆気にとられて動くことの出来なかったフィールの様子を見て、かなり戦闘慣れしていないとビランは判断していた。
「アハハハ、そりゃ言えてるぜ。魔王に用事があるってのに、首を突っ込むテメェみてぇだな」
『りょ、リョーマ様?!なんであなたは毎度のように相手を煽るんですか?!前も四天王の一人を煽ってましたし!』
『む?そうか、あなた方でしたか、四天王リギル様を倒したのは』
不敵な笑を浮かべ、杖を空に向けた。
『どうやら本気で戦った方が良さそうですね』
空に巨大な青い魔法陣が浮かび上がる。
そして、魔法を発動するためにビランが詠唱を始めた。
詠唱は十秒を超えてもなお終わりが無さそうだった。
魔法陣が浮かんだ直後は防御の体勢を取っていたリョーマ。
しかし、一向に発動するようが見えず、体勢を整えて防御を止めたリョーマ。
なおも目を瞑りながら必死に詠唱をするビラン。その様子を見ていたリョーマは恐怖すら感じていた。
あいつ、隙しかねぇ……。なんであんな無防備な状態で詠唱なんかできるんだよ。
思い切ってリョーマはソウゾウの魔剣を出し、力強く地面に踏み込んでビランとの距離をつめる。
十何メートルもあった距離も一瞬でわずか数十センチまで近づいていた。
「無礼を承知で……命、頂くぜ?」
リョーマは脳内で様々な可能性を考えていた。どう反撃をしてくるか、その反撃に対してどう対処するか。
リョーマは全力で剣を振り下ろした。魔法を放つ準備もして万全の状態だ。
だが、リョーマの想像を遥かに超える行動をビランはとった。
『なぬっ!?』
「っ……!?」
そう、回避しない、だ。まともに一太刀を浴びたビランは痛みから顔を歪めながら、驚きのあまり声が漏れていた。
しかし、驚きなのはリョーマも同じだった。
こいつ、なんで回避しなかったんだ?!
リョーマはビランの様子を見て罠だと考えていた。敵を前にしてこれ程隙を晒すならば、それ以外に考えられなかったのだ。
だが、リョーマはこの反応を見て、罠ではなかったのではないか、と思った。
リョーマは振り下ろした剣の動きをすぐさま止めて上に向かって二度目の攻撃に繋げた。
『グハッ……!!』
切り上げて胴と腕を分断する。そしてさらに切り込む。
全身から血を流し吐血する。
『詠唱中に切り、かかるとは……無礼、な人、ですね。ゴフッ……』
口を手で抑え、咳き込むビラン。その手のひらには血が付いていた。
リョーマはこれを好機と見て、トドメを刺すために距離を詰めようと動こうとした時、何者かによって肩を掴まれた。
「何すんだ、テメェ」
「もっと強いのが来るよ」
フィールは顔を横に振りながらそう呟いた。
「何言って……」
フィールに問いただそうと口を開いた時、ドアの開く音がし、前に振り向いた。
『うちの側近が世話になったな』
リョーマたちの視線の先に現れたのは、身長二メートルはゆうに超える魔族だった。
あいつ、なんつう魔力の量してんだ。
ゆっくりとリョーマたちに近づいてきたと思うと、微笑を見せた。
そして、笑ったままその長身魔族は口を開いく。
『どうも。現魔王をやらせてもらってる、リザドラだ』
『提案とな?それを私が受け入れるとでも?どうも未熟者と言うのは首を突っ込みたがる習性があるようですね』
先程、呆気にとられて動くことの出来なかったフィールの様子を見て、かなり戦闘慣れしていないとビランは判断していた。
「アハハハ、そりゃ言えてるぜ。魔王に用事があるってのに、首を突っ込むテメェみてぇだな」
『りょ、リョーマ様?!なんであなたは毎度のように相手を煽るんですか?!前も四天王の一人を煽ってましたし!』
『む?そうか、あなた方でしたか、四天王リギル様を倒したのは』
不敵な笑を浮かべ、杖を空に向けた。
『どうやら本気で戦った方が良さそうですね』
空に巨大な青い魔法陣が浮かび上がる。
そして、魔法を発動するためにビランが詠唱を始めた。
詠唱は十秒を超えてもなお終わりが無さそうだった。
魔法陣が浮かんだ直後は防御の体勢を取っていたリョーマ。
しかし、一向に発動するようが見えず、体勢を整えて防御を止めたリョーマ。
なおも目を瞑りながら必死に詠唱をするビラン。その様子を見ていたリョーマは恐怖すら感じていた。
あいつ、隙しかねぇ……。なんであんな無防備な状態で詠唱なんかできるんだよ。
思い切ってリョーマはソウゾウの魔剣を出し、力強く地面に踏み込んでビランとの距離をつめる。
十何メートルもあった距離も一瞬でわずか数十センチまで近づいていた。
「無礼を承知で……命、頂くぜ?」
リョーマは脳内で様々な可能性を考えていた。どう反撃をしてくるか、その反撃に対してどう対処するか。
リョーマは全力で剣を振り下ろした。魔法を放つ準備もして万全の状態だ。
だが、リョーマの想像を遥かに超える行動をビランはとった。
『なぬっ!?』
「っ……!?」
そう、回避しない、だ。まともに一太刀を浴びたビランは痛みから顔を歪めながら、驚きのあまり声が漏れていた。
しかし、驚きなのはリョーマも同じだった。
こいつ、なんで回避しなかったんだ?!
リョーマはビランの様子を見て罠だと考えていた。敵を前にしてこれ程隙を晒すならば、それ以外に考えられなかったのだ。
だが、リョーマはこの反応を見て、罠ではなかったのではないか、と思った。
リョーマは振り下ろした剣の動きをすぐさま止めて上に向かって二度目の攻撃に繋げた。
『グハッ……!!』
切り上げて胴と腕を分断する。そしてさらに切り込む。
全身から血を流し吐血する。
『詠唱中に切り、かかるとは……無礼、な人、ですね。ゴフッ……』
口を手で抑え、咳き込むビラン。その手のひらには血が付いていた。
リョーマはこれを好機と見て、トドメを刺すために距離を詰めようと動こうとした時、何者かによって肩を掴まれた。
「何すんだ、テメェ」
「もっと強いのが来るよ」
フィールは顔を横に振りながらそう呟いた。
「何言って……」
フィールに問いただそうと口を開いた時、ドアの開く音がし、前に振り向いた。
『うちの側近が世話になったな』
リョーマたちの視線の先に現れたのは、身長二メートルはゆうに超える魔族だった。
あいつ、なんつう魔力の量してんだ。
ゆっくりとリョーマたちに近づいてきたと思うと、微笑を見せた。
そして、笑ったままその長身魔族は口を開いく。
『どうも。現魔王をやらせてもらってる、リザドラだ』
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