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1章 クズ勇者の目標!?
クズ勇者、事実を話す 1
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「リョーマ。私のことをお姉ちゃんと言っても良いんだよ?」
「ざっけんな!俺の身長のが高ぇぞ!」
『あぁ……肉が逃げてく。まってぇ……』
魔王の領地でこれ程呑気に過ごしているのは間違いなくリョーマたちだけである。
「それにしても、ぎるどかーどなんて私聞いたことないんだけど」
じゃれ合っていた二人だが、唐突にフィールが落ち着いた口調で話しかけてきた。
「はぁ?冒険者ギルドに行きゃ誰でも貰えるぞ?」
まぁ、試験があるがそれ別に言わなくて良いか。
「本当に分からないんだよねぇ。そもそも冒険者ギルドなんてないよ、私の知る限り」
「…………」
急に考え込むリョーマ。これほどまでに真剣に考え込むリョーマを珍しそうに見つめるフィール。
いったい、いつ冒険者ギルドは設立されたんだ?こいつの時代になくて、俺の時代にはあるだと?
つまり、この百年ちょっとで出来たのか?
「ホントに知らないんだよな?」
「私を疑ってるの?」
「俺がテメェを信用してる事を前提に話すな。潰すぞ?」
はぁ……。俺の心の持ちようが変わったところでコイツがムカつくのは変わらねぇか。
「魔族の階級とかは知ってるか?」
「魔族?うん。まぁ、私も伊達に勇者してないからね」
「勿体ぶらねぇでさっさと言いやがれ」
「年上を敬う気持ちはないの?」
「一個しか変わらねぇだろ?てか、俺の方が身長高ぇし」
何度言えば分かるんだ。パッと見たら絶対に俺の方が年上だろ。
「魔族の階級か……確か幹部、四天王、側近、魔王でしょ?」
「……はっ?」
思考が追いつかないリョーマ。思っていた答えとかなり掛け離れていたようだ。
間抜けズラを晒したリョーマは我に返り、フィールを見た。
「ん?」
首をコテンとして、何か?と言わんとするその顔にリョーマは心底呆れていた。
はぁ……とため息をつき、やれやれといった感じでフィールを見やる。
「魔族だぞ?Fランクとかあるだろ?」
「だって魔族でしょ?」
「あぁ、魔族だ。ゴブリンとか」
「えっ?」
「はっ?」
二人の認識の間にはかなりのズレがあるようだった。
お互いが、こいつ何言ってんだ?状態に陥ってる。
「一旦整理しない?」
「要らねぇよ。お前が勝手に変な解釈してるだけだろ」
「それはない思うよ?だって、ゴブリンって魔族じゃなくて魔物でしょ?」
「魔物?」
魔物ってあれだよな?ダンジョンに居る魔族に似たやつ。
違いって言ったら魔族は魔王が生み出すけど、魔物はダンジョンコアから生み出されることぐらいだろ。
………もしかして、本当に何もかも変わってるのか?この百年ちょっとで?
変わりすぎじゃないか?これはいくらなんでも……。
「リョーマ?おーい、大丈夫?」
「っ……!俺に顔を近付けんな!」
考え込むリョーマの顔を覗こうと顔を近付けたフィール。
フィールもフィールで想像以上にリョーマの顔との距離が近かった。
「わっ?!ご、ごめんねッ!?」
話すべきか?別に話さなかったからと支障が生じる訳でもないが……。
ゴミに俺の情報を伝えるなんてスゲェアホらしいな。
「リョーマ。あたなは何者なの?」
「全生命の頂点に君臨する人間だ」
「あっ。そう言うの良いんで……」
「ゴミが舐めた口聞くな。テメェのキレ……キラキラして目障りな銀髪を引き抜くぞ」
「それはちょっと勘弁して欲しいね」
バカでアホで間抜けでゴミで鈍くてドン臭くてクソザコな最弱勇者なのに、勘だけは妙に鋭いな。
リョーマは何を思ったのか、ニヤリとしてフィールを見た。
「テメェが俺に一太刀でも俺に浴びせられれば教えてやるよ」
「ホントに?」
「俺はゴミカスな人間じゃねぇからな。二言はねぇ」
「言ったね。じゃ、早速やろ」
「はっ!どうやら相当死にてぇみてぇだな」
フィールは聖剣を、リョーマはソウゾウの魔剣を手に握り各々構えた。
「ざっけんな!俺の身長のが高ぇぞ!」
『あぁ……肉が逃げてく。まってぇ……』
魔王の領地でこれ程呑気に過ごしているのは間違いなくリョーマたちだけである。
「それにしても、ぎるどかーどなんて私聞いたことないんだけど」
じゃれ合っていた二人だが、唐突にフィールが落ち着いた口調で話しかけてきた。
「はぁ?冒険者ギルドに行きゃ誰でも貰えるぞ?」
まぁ、試験があるがそれ別に言わなくて良いか。
「本当に分からないんだよねぇ。そもそも冒険者ギルドなんてないよ、私の知る限り」
「…………」
急に考え込むリョーマ。これほどまでに真剣に考え込むリョーマを珍しそうに見つめるフィール。
いったい、いつ冒険者ギルドは設立されたんだ?こいつの時代になくて、俺の時代にはあるだと?
つまり、この百年ちょっとで出来たのか?
「ホントに知らないんだよな?」
「私を疑ってるの?」
「俺がテメェを信用してる事を前提に話すな。潰すぞ?」
はぁ……。俺の心の持ちようが変わったところでコイツがムカつくのは変わらねぇか。
「魔族の階級とかは知ってるか?」
「魔族?うん。まぁ、私も伊達に勇者してないからね」
「勿体ぶらねぇでさっさと言いやがれ」
「年上を敬う気持ちはないの?」
「一個しか変わらねぇだろ?てか、俺の方が身長高ぇし」
何度言えば分かるんだ。パッと見たら絶対に俺の方が年上だろ。
「魔族の階級か……確か幹部、四天王、側近、魔王でしょ?」
「……はっ?」
思考が追いつかないリョーマ。思っていた答えとかなり掛け離れていたようだ。
間抜けズラを晒したリョーマは我に返り、フィールを見た。
「ん?」
首をコテンとして、何か?と言わんとするその顔にリョーマは心底呆れていた。
はぁ……とため息をつき、やれやれといった感じでフィールを見やる。
「魔族だぞ?Fランクとかあるだろ?」
「だって魔族でしょ?」
「あぁ、魔族だ。ゴブリンとか」
「えっ?」
「はっ?」
二人の認識の間にはかなりのズレがあるようだった。
お互いが、こいつ何言ってんだ?状態に陥ってる。
「一旦整理しない?」
「要らねぇよ。お前が勝手に変な解釈してるだけだろ」
「それはない思うよ?だって、ゴブリンって魔族じゃなくて魔物でしょ?」
「魔物?」
魔物ってあれだよな?ダンジョンに居る魔族に似たやつ。
違いって言ったら魔族は魔王が生み出すけど、魔物はダンジョンコアから生み出されることぐらいだろ。
………もしかして、本当に何もかも変わってるのか?この百年ちょっとで?
変わりすぎじゃないか?これはいくらなんでも……。
「リョーマ?おーい、大丈夫?」
「っ……!俺に顔を近付けんな!」
考え込むリョーマの顔を覗こうと顔を近付けたフィール。
フィールもフィールで想像以上にリョーマの顔との距離が近かった。
「わっ?!ご、ごめんねッ!?」
話すべきか?別に話さなかったからと支障が生じる訳でもないが……。
ゴミに俺の情報を伝えるなんてスゲェアホらしいな。
「リョーマ。あたなは何者なの?」
「全生命の頂点に君臨する人間だ」
「あっ。そう言うの良いんで……」
「ゴミが舐めた口聞くな。テメェのキレ……キラキラして目障りな銀髪を引き抜くぞ」
「それはちょっと勘弁して欲しいね」
バカでアホで間抜けでゴミで鈍くてドン臭くてクソザコな最弱勇者なのに、勘だけは妙に鋭いな。
リョーマは何を思ったのか、ニヤリとしてフィールを見た。
「テメェが俺に一太刀でも俺に浴びせられれば教えてやるよ」
「ホントに?」
「俺はゴミカスな人間じゃねぇからな。二言はねぇ」
「言ったね。じゃ、早速やろ」
「はっ!どうやら相当死にてぇみてぇだな」
フィールは聖剣を、リョーマはソウゾウの魔剣を手に握り各々構えた。
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