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1章 クズ勇者の目標!?
クズ勇者、魔王城に向かう
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「どうしたの、深刻そうな顔をして?」
「………何でもねぇよ」
クッソ。なんでこいつの顔を直視出来ないんだ。
リョーマは今まで人を人として認識していなかった。常に人の顔にモヤがかかっているような状態だったのだ。
しかし、先程の事が原因でリョーマの二人に対する認識が変わった。それで、今まで掛かっていたモヤが消えたのだ。
「大丈夫?まだ具合が悪いんじゃ……」
「っ……!俺に近寄んなっ!」
咄嗟に距離を取ったリョーマ。だが、リョーマはその行動により、今まで感じたことの無い感情ち襲われた。
何やってんだよ、俺……。こいつは俺を心配してくれたのに……。
俺は今何て考えた?まさか、今の行動を咎めるのか?ありえないだろ。なんなら、この程度ですましている俺自身を賞賛すべきなのに……。
俺がコイツらに何かを思うはずがねぇんだ。
リョーマが感じた感情は、後悔。今までのリョーマならこんな事を絶対に感じなかったであろう。
何がリョーマにここまでの変化を与えたのかは分からないが、リョーマが変わっていく。それだけは確かだった。
「えぇ?もしかして照れちゃったの?」
「テメェごときに照れるなんて有り得ねぇ。出直せよ」
こいつ、こんな顔してたのか。初めて見る気がしてならない。
ずっと近くに居たはずだ。ゴミだとしても、俺の救済の対象だ。ちゃんと向き合ってやらねぇとな。
「こうやって見ると、なかなか可愛いな、お前」
リョーマは何を思ったのか、唐突にフィールを褒めた。本人ですら気付かぬ無意識のうちにだ。
あれ……俺今なんて言った?まさか、今俺はこいつを褒めたのか?
ありえない。そんな事、あってはならない。ゴミは所詮ゴミだ。どこまでいってもゴミだろ?ゴミにカッコイイもかっこ悪いもキレイも可愛いもねぇだろ。
こんなゴミに情が湧くはずがない。これはたまたまだ。思ってたよりは、可愛かった。それだけの事。
リョーマは自分に言い訳をし続けた。そんな事をしなければ自分を保てなくなると、無意識に感じていたからだ。
一方、フィールはと言うと……。
「えっ……えぇ……きゅ、急にどうしたの?まさかどっかに頭ぶつけちゃったんじゃ……」
顔を赤くして照れているものの、リョーマはそんな事を言うはずがないという固定概念から、照れよりも心配が勝ってしまっていた。
『う、うぅ………』
すると、フィールの背後から唸り声がする。
この声の主はファニだった。
『あれ?お二人とも見つめ合ってどうしたのです?ていうか、さっきまでの戦闘は?何かありました?』
頬を赤く染め見つめあっていれば大抵の人は何となく状況を感じた取れる。
だが、ファニはあまりにも鈍感すぎた。この状況を見てもなお、何が何だか理解できない様子だった。
だが、実際は勘違いをするような事があった訳では無いため、鈍感だろうと関係はないだろう。
「ずっと寝てたきゃ勝手に寝てろ。なんなら、さっさとどっかに行け」
「リョーマは魔王城に行くんでしょ?私たちも同行して良い?」
『えっ?自分もですか?』
ポカンとしてた顔を見せたファニは本当に行くとは思っていなかったようだ。
それも仕方がない。フィールはお節介にも強いとは言えないからだ。
今の状態で行けば、十中八九死ぬのが目に見えている。
「足手まといになるだけだ。お前らはザコすぎる。街で休んでろ、このクソカスどもが」
「よし、じゃあ出発!」
「えっ?殺してください?しゃあねぇな」
『や、やめましょうよ、リョーマ様ぁ!』
こうして賑やか?に、三人は魔王城へと向かって歩き出した。
「………何でもねぇよ」
クッソ。なんでこいつの顔を直視出来ないんだ。
リョーマは今まで人を人として認識していなかった。常に人の顔にモヤがかかっているような状態だったのだ。
しかし、先程の事が原因でリョーマの二人に対する認識が変わった。それで、今まで掛かっていたモヤが消えたのだ。
「大丈夫?まだ具合が悪いんじゃ……」
「っ……!俺に近寄んなっ!」
咄嗟に距離を取ったリョーマ。だが、リョーマはその行動により、今まで感じたことの無い感情ち襲われた。
何やってんだよ、俺……。こいつは俺を心配してくれたのに……。
俺は今何て考えた?まさか、今の行動を咎めるのか?ありえないだろ。なんなら、この程度ですましている俺自身を賞賛すべきなのに……。
俺がコイツらに何かを思うはずがねぇんだ。
リョーマが感じた感情は、後悔。今までのリョーマならこんな事を絶対に感じなかったであろう。
何がリョーマにここまでの変化を与えたのかは分からないが、リョーマが変わっていく。それだけは確かだった。
「えぇ?もしかして照れちゃったの?」
「テメェごときに照れるなんて有り得ねぇ。出直せよ」
こいつ、こんな顔してたのか。初めて見る気がしてならない。
ずっと近くに居たはずだ。ゴミだとしても、俺の救済の対象だ。ちゃんと向き合ってやらねぇとな。
「こうやって見ると、なかなか可愛いな、お前」
リョーマは何を思ったのか、唐突にフィールを褒めた。本人ですら気付かぬ無意識のうちにだ。
あれ……俺今なんて言った?まさか、今俺はこいつを褒めたのか?
ありえない。そんな事、あってはならない。ゴミは所詮ゴミだ。どこまでいってもゴミだろ?ゴミにカッコイイもかっこ悪いもキレイも可愛いもねぇだろ。
こんなゴミに情が湧くはずがない。これはたまたまだ。思ってたよりは、可愛かった。それだけの事。
リョーマは自分に言い訳をし続けた。そんな事をしなければ自分を保てなくなると、無意識に感じていたからだ。
一方、フィールはと言うと……。
「えっ……えぇ……きゅ、急にどうしたの?まさかどっかに頭ぶつけちゃったんじゃ……」
顔を赤くして照れているものの、リョーマはそんな事を言うはずがないという固定概念から、照れよりも心配が勝ってしまっていた。
『う、うぅ………』
すると、フィールの背後から唸り声がする。
この声の主はファニだった。
『あれ?お二人とも見つめ合ってどうしたのです?ていうか、さっきまでの戦闘は?何かありました?』
頬を赤く染め見つめあっていれば大抵の人は何となく状況を感じた取れる。
だが、ファニはあまりにも鈍感すぎた。この状況を見てもなお、何が何だか理解できない様子だった。
だが、実際は勘違いをするような事があった訳では無いため、鈍感だろうと関係はないだろう。
「ずっと寝てたきゃ勝手に寝てろ。なんなら、さっさとどっかに行け」
「リョーマは魔王城に行くんでしょ?私たちも同行して良い?」
『えっ?自分もですか?』
ポカンとしてた顔を見せたファニは本当に行くとは思っていなかったようだ。
それも仕方がない。フィールはお節介にも強いとは言えないからだ。
今の状態で行けば、十中八九死ぬのが目に見えている。
「足手まといになるだけだ。お前らはザコすぎる。街で休んでろ、このクソカスどもが」
「よし、じゃあ出発!」
「えっ?殺してください?しゃあねぇな」
『や、やめましょうよ、リョーマ様ぁ!』
こうして賑やか?に、三人は魔王城へと向かって歩き出した。
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