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1章 クズ勇者の目標!?
クズ勇者、諭す
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『女性の方にその仕打ちは見過ごせません。自分も本気でいかせてもらいます』
ファニは黒竜ファブニの姿になった。
「ゴミに男も女もねぇだろ?ゴミはただのゴミだ。誰もゴミに感情なんぞ持たねぇだろ?」
リョーマはファブニの言っている事が理解できないと、肩を竦めた。
『人間はゴミじゃありません。少なくとも、フィールさんは立派なお人です。あなたなんて比じゃないほどに』
「無関心の物に対して人は好き嫌いなんてねぇ。でも、知れば知るほど、好き嫌いが分かれる」
リョーマらしからぬ真剣な目でファブニを見ていた。
「俺は沢山見てきた。人間の愚かな所をな。テメェはどうだ?たったこれだけの人数を見ただけそう判断する理由はなんだ?」
リョーマは心の底から、リョーマ自身ですら気付かぬうちに怒りが沸いてきていた。
「テメェは、みたいところだけを見て、他は見ようともしてない。とんだ勘違い野郎だ。良いか?ゴミはゴミだ」
『………たとえそうだとしても、自分は人間を信じたいです』
「人間の愚かさを知らねぇからだろ?お前は人間を救いたいと思うか?」
街の住民を見殺しにしようとした奴がよく言うぜ。
『出来るなら人間側に付きたいですよ』
ファブニは真っ直ぐな目でリョーマを見た。
「なら、人間は殺すべきだろ?」
『っ………!!』
ふっ、と笑みを浮かべたリョーマ。とても優しい笑顔だった。
「人間は死の救済だろ?」
ファブニはリョーマが何を思ってそう言ったのかハッキリと理解出来た。
だから、ファブニは恐ろしい思わざるいられなかった。
「人間は殺されるために生まれてきたんだ。生まれてきた時から生まれたことに懺悔し続ける運命なんだ」
『違う……そんなの違う!リョーマ様の……いえ、あなたの偏見で人間の価値を決めないで!』
「懺悔し続ける人生は辛い。だから応えてやるんだよ。殺してという願いにな」
リョーマは真横に手を伸ばし、そこから魔剣が姿を現した。ソウゾウの魔剣である。
「救うんだよ。死の救済を持って、人間をな!」
『ふざけるにも限度がありますよ!』
ファブニは真っ向からリョーマに向かってきた。
「テメェは本当に能無しの低脳だよ、ザコドラ」
リョーマは手を前に突き出し、手のひらをファブニに向けた。
ファブニの攻撃がリョーマを襲おうとした時、リョーマは冷静にその手を握り、拳をつくった。
すると、目に見えない、だが誰もが肌で感じることの出来るほど、何かが肌を撫でた。
「物凄い魔力を持っているな。さすがは竜か」
『えっ、なんで……』
ファブニの体から大量の魔力が抜け、周囲に魔力が満ちる。だが、それも一瞬だった。
ファブニの体内から魔力が抜け、竜の姿を維持できなくなったためか、ファブニは人の姿に戻ってしまった。
「人の姿じゃ殴られても痛くねぇな」
リョーマの頬に当たったファニの拳。しかし全く効いていなかった。
『な、なんで竜化が解除されてるの……』
「テメェは本当にバカだな。あれだけ何度も俺の前で変身してたら、覚えられるんだよ。やり方をな」
『えっ……』
ファニは絶句した。なぜなら、竜族のみができる変身。それをただ見ていただけの人間が完璧にやってきたのだから。
「テメェら特有の人化は既に外部からも操作できるようになってんだよ」
ファニはリョーマの恐ろしさを再確認させられた。
戦意が喪失しそうになるファニの視界の片隅に倒れ込んでいるフィールの姿が映った。
『自分はもう退けないんです』
ファニの目に光が戻った。
戦意を取り戻したようだった。
『自分は負けません。あなたを倒します、絶対に!』
ファニは黒竜ファブニの姿になった。
「ゴミに男も女もねぇだろ?ゴミはただのゴミだ。誰もゴミに感情なんぞ持たねぇだろ?」
リョーマはファブニの言っている事が理解できないと、肩を竦めた。
『人間はゴミじゃありません。少なくとも、フィールさんは立派なお人です。あなたなんて比じゃないほどに』
「無関心の物に対して人は好き嫌いなんてねぇ。でも、知れば知るほど、好き嫌いが分かれる」
リョーマらしからぬ真剣な目でファブニを見ていた。
「俺は沢山見てきた。人間の愚かな所をな。テメェはどうだ?たったこれだけの人数を見ただけそう判断する理由はなんだ?」
リョーマは心の底から、リョーマ自身ですら気付かぬうちに怒りが沸いてきていた。
「テメェは、みたいところだけを見て、他は見ようともしてない。とんだ勘違い野郎だ。良いか?ゴミはゴミだ」
『………たとえそうだとしても、自分は人間を信じたいです』
「人間の愚かさを知らねぇからだろ?お前は人間を救いたいと思うか?」
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『出来るなら人間側に付きたいですよ』
ファブニは真っ直ぐな目でリョーマを見た。
「なら、人間は殺すべきだろ?」
『っ………!!』
ふっ、と笑みを浮かべたリョーマ。とても優しい笑顔だった。
「人間は死の救済だろ?」
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だから、ファブニは恐ろしい思わざるいられなかった。
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『違う……そんなの違う!リョーマ様の……いえ、あなたの偏見で人間の価値を決めないで!』
「懺悔し続ける人生は辛い。だから応えてやるんだよ。殺してという願いにな」
リョーマは真横に手を伸ばし、そこから魔剣が姿を現した。ソウゾウの魔剣である。
「救うんだよ。死の救済を持って、人間をな!」
『ふざけるにも限度がありますよ!』
ファブニは真っ向からリョーマに向かってきた。
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リョーマは手を前に突き出し、手のひらをファブニに向けた。
ファブニの攻撃がリョーマを襲おうとした時、リョーマは冷静にその手を握り、拳をつくった。
すると、目に見えない、だが誰もが肌で感じることの出来るほど、何かが肌を撫でた。
「物凄い魔力を持っているな。さすがは竜か」
『えっ、なんで……』
ファブニの体から大量の魔力が抜け、周囲に魔力が満ちる。だが、それも一瞬だった。
ファブニの体内から魔力が抜け、竜の姿を維持できなくなったためか、ファブニは人の姿に戻ってしまった。
「人の姿じゃ殴られても痛くねぇな」
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『な、なんで竜化が解除されてるの……』
「テメェは本当にバカだな。あれだけ何度も俺の前で変身してたら、覚えられるんだよ。やり方をな」
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『自分はもう退けないんです』
ファニの目に光が戻った。
戦意を取り戻したようだった。
『自分は負けません。あなたを倒します、絶対に!』
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