22 / 66
1章 クズ勇者の目標!?
クズ勇者、四天王と戦う 1
しおりを挟む
「うらぁああ!!!」
『!!!!!』
リギルが振り返った時には既に目と鼻の先にリョーマがいた。
「落ちろぉ!」
そして、リョーマはリギルの横を通ると同時に無理矢理体を捻り、聖剣の持ち方を逆手に持ち替えたのだ。
逆手で持った聖剣で魔族の背中目掛け勢いよく振り、魔族の羽へと突き刺した。
『あがっ!』
リョーマの体が落下していく。聖剣が刺さった羽はそれに応じて、破れていく。
「テメェも羽無しじゃ生きられねぇだろうな!」
『これは、かなりやばいね。でも、魔法が使えるからさ』
リョーマは落ちながら、リギルに向けて薄ら笑みを浮かべていた。
『なっ!魔法が使えない!?』
やっぱ、この剣は最高だな。魔族特攻の剣。なかなか良い品物だ。
「聖剣にはなぁ、魔族にしか効かないが、魔力阻害ができる剣なんだよ」
『くっ……小癪な』
「四天王だかなんだか知らねぇが、道連れだな」
死の救済を人間のクズ共に出来ないのが残念だが、あんなクズ共の顔をもう見なくて済むと考えれば、それはそれで良い。
リョーマは瞼を閉じて、重力に身を任せた。
『残念だね。確かに相当痛手を負うけれど、四天王はこの程度じゃ死なないよ』
「…………虚勢ってわけじゃねぇみてぇだな」
はぁ……本当にやってらんねぇよ。あの腑抜け勇者じゃこいつは殺せない。それにファニは弱すぎる。つまり、その街は確実に壊滅る
なんのために俺は頑張ったんだかな。この世界の人間は貧弱で脆い。なのに口だけは達者。見てるだけでムカつく。腸が煮えくり返りそうだ。そんなゴミ共のために……情けねぇな。
「人間……滅んでくれねぇかな」
かなりの時間、落ちた気がする。そろそろ地面だな。
万全の状態でも、落下死はどうしようもない。
本当にこれでまでだ。
下は地面。もう少しズレていたら要塞にぶつかっていた。
地面まで残りわずかのところで、魔族に掛かっていた魔力阻害が消えた。
『じゃあな、(魔式魔術·無重力空間)』
魔式魔術は魔族の……それも上位の魔族のみが使える魔法。その魔法が強大な力を秘めている。
そして、この魔法はリギルを中心として半径五メートルほどの球体で周囲を囲う。
その空間は重力を完全に遮断した空間。
その球体に入ったまま地面へ向かう。そのままリギルはなんの犠牲もなく、地面に足を着けた。
『残念だっ………!!!』
余裕の笑みを浮かべ、リョーマが居るであろう後ろへ視線をやると、リョーマともう一人居た。その人物は羽を生やしており、リョーマを抱えて宙に浮いている。
「何の真似だ?」
両肩を掴まれて地面に落ちずに済んだ。
そして、リョーマは力無くその人物に聞いた。すると、その人物は明るく答えた。
『リョーマ様を守りたいからです』
人間の姿のまま、背中に小さめのドラゴンの翼を生やした人物……黒竜ファブニだった。
「要らねぇよ、そんなの」
『良かったです。本当に』
『あぁあ。身も心も醜怪な上に、役立たずとは、君も救いようがないドラゴンだね』
その言葉でファニの纏う雰囲気が変わった。
だが、それも一瞬。その次の瞬間には先程まで浮かべられていた笑みはなく、ただ涙が零れていた。それでもファニは無理矢理に作った笑顔でリョーマを見る。
『リョーマ様。自分は……』
「とりあえず降ろせ。身動きが取れん」
『あっ……すみません』
急いでリョーマを降ろしたファニは、暗い表情だった。
はぁ……。俺はそういうの分からねぇんだよな。
こいつがブサイクなのかキレイなのかすら分からねぇ。
だから、そんな目で見んな。でも、さっき助けてもらったしな。
………何思ってんだ?俺は死のうが別に良かった。こいつが勝手に助けたんだ。
俺が変に恩義を感じる必要は無い。
なんなら、俺を助けたことに誇りを持つべきだ。
「正直俺はテメェが醜怪かどうかすら知らねぇ。けどな……テメェの存在自体はただのゴミだ」
『…………』
リョーマから視線を外し、下を向いたファニ。
「だがよ。ゴミ未満の存在が、ゴミを貶すことには感心しねぇな。身の程を知らねぇみてぇだから、教えてやるよ」
片手で持った聖剣の先をリギルに向け、挑発的な目で睨み付けた。
『はぁ……まぁ、どうせすぐ終わるし付き合ってあげるよ、この茶番にね』
羽が使えないからと魔族は別に弱くならない。
ただ、羽が使えないだけだ。
こんなことになるなら、心臓を刺していた方が良いよな。
確実性の問題で止めたが、後悔してきたな。
「さぁ、闘り合おうか、羽無しゴミ虫さんよ」
『!!!!!』
リギルが振り返った時には既に目と鼻の先にリョーマがいた。
「落ちろぉ!」
そして、リョーマはリギルの横を通ると同時に無理矢理体を捻り、聖剣の持ち方を逆手に持ち替えたのだ。
逆手で持った聖剣で魔族の背中目掛け勢いよく振り、魔族の羽へと突き刺した。
『あがっ!』
リョーマの体が落下していく。聖剣が刺さった羽はそれに応じて、破れていく。
「テメェも羽無しじゃ生きられねぇだろうな!」
『これは、かなりやばいね。でも、魔法が使えるからさ』
リョーマは落ちながら、リギルに向けて薄ら笑みを浮かべていた。
『なっ!魔法が使えない!?』
やっぱ、この剣は最高だな。魔族特攻の剣。なかなか良い品物だ。
「聖剣にはなぁ、魔族にしか効かないが、魔力阻害ができる剣なんだよ」
『くっ……小癪な』
「四天王だかなんだか知らねぇが、道連れだな」
死の救済を人間のクズ共に出来ないのが残念だが、あんなクズ共の顔をもう見なくて済むと考えれば、それはそれで良い。
リョーマは瞼を閉じて、重力に身を任せた。
『残念だね。確かに相当痛手を負うけれど、四天王はこの程度じゃ死なないよ』
「…………虚勢ってわけじゃねぇみてぇだな」
はぁ……本当にやってらんねぇよ。あの腑抜け勇者じゃこいつは殺せない。それにファニは弱すぎる。つまり、その街は確実に壊滅る
なんのために俺は頑張ったんだかな。この世界の人間は貧弱で脆い。なのに口だけは達者。見てるだけでムカつく。腸が煮えくり返りそうだ。そんなゴミ共のために……情けねぇな。
「人間……滅んでくれねぇかな」
かなりの時間、落ちた気がする。そろそろ地面だな。
万全の状態でも、落下死はどうしようもない。
本当にこれでまでだ。
下は地面。もう少しズレていたら要塞にぶつかっていた。
地面まで残りわずかのところで、魔族に掛かっていた魔力阻害が消えた。
『じゃあな、(魔式魔術·無重力空間)』
魔式魔術は魔族の……それも上位の魔族のみが使える魔法。その魔法が強大な力を秘めている。
そして、この魔法はリギルを中心として半径五メートルほどの球体で周囲を囲う。
その空間は重力を完全に遮断した空間。
その球体に入ったまま地面へ向かう。そのままリギルはなんの犠牲もなく、地面に足を着けた。
『残念だっ………!!!』
余裕の笑みを浮かべ、リョーマが居るであろう後ろへ視線をやると、リョーマともう一人居た。その人物は羽を生やしており、リョーマを抱えて宙に浮いている。
「何の真似だ?」
両肩を掴まれて地面に落ちずに済んだ。
そして、リョーマは力無くその人物に聞いた。すると、その人物は明るく答えた。
『リョーマ様を守りたいからです』
人間の姿のまま、背中に小さめのドラゴンの翼を生やした人物……黒竜ファブニだった。
「要らねぇよ、そんなの」
『良かったです。本当に』
『あぁあ。身も心も醜怪な上に、役立たずとは、君も救いようがないドラゴンだね』
その言葉でファニの纏う雰囲気が変わった。
だが、それも一瞬。その次の瞬間には先程まで浮かべられていた笑みはなく、ただ涙が零れていた。それでもファニは無理矢理に作った笑顔でリョーマを見る。
『リョーマ様。自分は……』
「とりあえず降ろせ。身動きが取れん」
『あっ……すみません』
急いでリョーマを降ろしたファニは、暗い表情だった。
はぁ……。俺はそういうの分からねぇんだよな。
こいつがブサイクなのかキレイなのかすら分からねぇ。
だから、そんな目で見んな。でも、さっき助けてもらったしな。
………何思ってんだ?俺は死のうが別に良かった。こいつが勝手に助けたんだ。
俺が変に恩義を感じる必要は無い。
なんなら、俺を助けたことに誇りを持つべきだ。
「正直俺はテメェが醜怪かどうかすら知らねぇ。けどな……テメェの存在自体はただのゴミだ」
『…………』
リョーマから視線を外し、下を向いたファニ。
「だがよ。ゴミ未満の存在が、ゴミを貶すことには感心しねぇな。身の程を知らねぇみてぇだから、教えてやるよ」
片手で持った聖剣の先をリギルに向け、挑発的な目で睨み付けた。
『はぁ……まぁ、どうせすぐ終わるし付き合ってあげるよ、この茶番にね』
羽が使えないからと魔族は別に弱くならない。
ただ、羽が使えないだけだ。
こんなことになるなら、心臓を刺していた方が良いよな。
確実性の問題で止めたが、後悔してきたな。
「さぁ、闘り合おうか、羽無しゴミ虫さんよ」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる