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1章 クズ勇者の目標!?
クズ勇者、旅のお供をさせる
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「来いよ、低脳トカゲが!」
ドラゴンの方へと向き直ったリョーマは剣を構えもせずに手をクイクイっとやって煽り始める。
「あ、煽りますねぇ……神竜と言っても過言ではない相手に……」
いつの間にか重装備勇者は木の影に隠れ、リョーマの様子を伺っていた。
「ッて、おい!待てよ!」
リョーマが不敵な笑みを浮かべながらドラゴンに剣を向けると、その笑みを見たドラゴンは背中に生える巨大な羽を使い空へと飛び立つようにして逃げ去ろうとした。
「俺から逃げたってことは宣戦布告ってことだよな?よし、絶対殺そう。いや、殺してくれと懇願する姿を見る方が気分が良さそうだな」
はっ、せいぜい足掻きやがれ。そうじゃねぇと面白くなぇからなぁ!
リョーマは手のひらをドラゴンに向けて、ある魔法を放つ。
「『重力魔法·たたき落とし』!」
勇者リョーマの独自魔法、重力魔法。名前のセンスは死んでいるが、その効力は凄まじいものだ。
絶対に敵を逃さないという殺意と執念さが伝わる魔法になっている。
この魔法は名前の通り、浮いている標的の上空のみを範囲とした重力を何倍にもする単純かつ強力無比のものだ。
「はっ!なに逃げようとしてんだよッ!」
「あ、ありえない……まるでいじめだわ。神話の竜がいじめられてるわ」
狂気的な笑みを浮かべながらリョーマは落ちてきたドラゴンを蹴ったり殴ったりとやりたい放題。
リョーマは剣の存在を完全に忘れ、ひたすらに殴り蹴った。
やべぇ。なんか俺の方が痛いぞ。こいつ、羽付きトカゲの分際で硬すぎだろ。
「はぁ、はぁ……疲れてきたぞ」
そうボソッと発したリョーマの言葉がドラゴンに届くことは無い。なぜなら、ドラゴンは両手で頭を守りながら震えており、そんな言葉を聞き取れるほどの余裕がなかったのだ。
「よし。そろそろ殺すか」
人間の言葉を理解してるのであろうか。その言葉に体を大きくビクつかせた。
「亜魔人みたいに再生しねぇよな?」
『お、お助けぇ!』
「うわっ!なんだテメェ、喋れんのかよ!なんかキモイな」
ドラゴンって想定以上にザコだったし喋れるとか、要らねぇ意味で予想外なことしやがって。
「う、ウソ……。ふぁ、ファブニが人間に命乞いするなんて……」
木の影から顔だけを出してリョーマたちの方を見つめる重装備勇者はドラゴンに対して、哀れみや驚愕といった感情が含まれた目を向けた。
「おい。お前も来いよ。こいつ面白いぞ」
『ま、まだ居るんですか!?』
こいつ、意外と硬いし、良い鬱憤晴らしの道具を手に入れたぜ。
「なぁ。こいつ貰って良いか?良いなよ?」
「………そのドラゴンを?」
「あぁ」
普通のドラゴンならば竜騎士でも扱える範囲だ。
だが、このドラゴンはそんな普通のドラゴンでは無い。このドラゴンは『黒龍ファブニ』と言う名前で、全大陸から恐れられ、ドラゴンを含むほぼ全ての魔物のボス的存在だったのだ。
しかし、こんなに一方的にボコボコにされてしまい、黒竜ファブニのそんな名声は一瞬にして崩れた。
本来ならば……常識の範疇の人間相手ならば、黒竜ファブニに敵対した時点で、一方的な虐殺と成り果てる。
使役なんて考えることすらも烏滸がましい程なのだが……。
それを可能にする人物が居たのだ。
「あなた、本当に何者?」
「おい。それは俺の質問だ。俺が勝ったんだ。教えろよ。それても、お前もこいつみたいになりたいか?」
リョーマはそう言って地べたに倒れる黒龍ファブニを指差した。
「あはは……遠慮したいかな」
引き攣ったような笑みを零した重装備勇者は一つずつ装備を外していく。
「……意外だな」
「それ、どういうこと?」
ただの女としてなら、かなり良い線いってるが……勇者、か。こんな奴に勇者が務まるのか?
いや、無理だな。コイツ弱いし。こんなザコいドラゴンに怯えるわ、亜魔人は一体が限界とかほざくはで……。
実際はこの重装備勇者もかなりの実力者だ。だが、もっとおかしいのはリョーマの常識と強さなのである。
「勇者は一度に一人までだ。つまり、お前は勇者じゃない」
「えぇ……」
「おい。ザコドラ。お前もそう思うよな?」
『は、はいぃいい!そう思います!心から!』
「ほらよ?」
不敵な笑み笑みを浮かべて黒龍ファブニを見つめる。その表情に怯えたファブニは首を激しく縦にふって、同意を表した。
………あれ?でも、俺……駄女神に勇者の資格を剥奪されたような……?
いや。誰がなんと言おうとも俺は勇者だ。たとえ、世界の人間が、神が俺を勇者と認めなくとも。
「ふぅん。まぁ良いよ。それよりも、これからどうするの?」
「はぁ?どうするってなんだよ?」
「あなたの目的はドラゴンの討伐っぽいし……他に目的でもあるのかなぁて」
「聞いてどうすんだ?」
「いやぁ……急ぎの用もないなら一緒に魔王討伐行こうよ」
こいつ、勇者だよな?人任せにしようとするその魂胆、見え見えだっつの。
けど、やることも無いしな。俺の強さをこいつに見せつけて、こいつの無力さを感じさせるのも楽しそうだな。
「はっ!面白そうだな、良いだろう。連れて行ってやるよ」
「あぁ……はぁい」
そして、リョーマ、重装備勇者、黒竜ファブニの旅は始まろうとしていた。
『えっ?待ってください。まさかとは思うんですが……自分は連れていきませんよね?』
「はぁ……なんだよ。死にてぇなら早く言えよ」
『いえ!いえいえいえ!そんなことはありません!是非ともお供させて頂きましょう!』
笑顔であるはずのリョーマ。しかし、その圧は全てを屈服させる圧倒的雰囲気があった。
「さて、魔王リファマニ討伐と行こうか」
「『えっ?リファマニ?』」
ドラゴンの方へと向き直ったリョーマは剣を構えもせずに手をクイクイっとやって煽り始める。
「あ、煽りますねぇ……神竜と言っても過言ではない相手に……」
いつの間にか重装備勇者は木の影に隠れ、リョーマの様子を伺っていた。
「ッて、おい!待てよ!」
リョーマが不敵な笑みを浮かべながらドラゴンに剣を向けると、その笑みを見たドラゴンは背中に生える巨大な羽を使い空へと飛び立つようにして逃げ去ろうとした。
「俺から逃げたってことは宣戦布告ってことだよな?よし、絶対殺そう。いや、殺してくれと懇願する姿を見る方が気分が良さそうだな」
はっ、せいぜい足掻きやがれ。そうじゃねぇと面白くなぇからなぁ!
リョーマは手のひらをドラゴンに向けて、ある魔法を放つ。
「『重力魔法·たたき落とし』!」
勇者リョーマの独自魔法、重力魔法。名前のセンスは死んでいるが、その効力は凄まじいものだ。
絶対に敵を逃さないという殺意と執念さが伝わる魔法になっている。
この魔法は名前の通り、浮いている標的の上空のみを範囲とした重力を何倍にもする単純かつ強力無比のものだ。
「はっ!なに逃げようとしてんだよッ!」
「あ、ありえない……まるでいじめだわ。神話の竜がいじめられてるわ」
狂気的な笑みを浮かべながらリョーマは落ちてきたドラゴンを蹴ったり殴ったりとやりたい放題。
リョーマは剣の存在を完全に忘れ、ひたすらに殴り蹴った。
やべぇ。なんか俺の方が痛いぞ。こいつ、羽付きトカゲの分際で硬すぎだろ。
「はぁ、はぁ……疲れてきたぞ」
そうボソッと発したリョーマの言葉がドラゴンに届くことは無い。なぜなら、ドラゴンは両手で頭を守りながら震えており、そんな言葉を聞き取れるほどの余裕がなかったのだ。
「よし。そろそろ殺すか」
人間の言葉を理解してるのであろうか。その言葉に体を大きくビクつかせた。
「亜魔人みたいに再生しねぇよな?」
『お、お助けぇ!』
「うわっ!なんだテメェ、喋れんのかよ!なんかキモイな」
ドラゴンって想定以上にザコだったし喋れるとか、要らねぇ意味で予想外なことしやがって。
「う、ウソ……。ふぁ、ファブニが人間に命乞いするなんて……」
木の影から顔だけを出してリョーマたちの方を見つめる重装備勇者はドラゴンに対して、哀れみや驚愕といった感情が含まれた目を向けた。
「おい。お前も来いよ。こいつ面白いぞ」
『ま、まだ居るんですか!?』
こいつ、意外と硬いし、良い鬱憤晴らしの道具を手に入れたぜ。
「なぁ。こいつ貰って良いか?良いなよ?」
「………そのドラゴンを?」
「あぁ」
普通のドラゴンならば竜騎士でも扱える範囲だ。
だが、このドラゴンはそんな普通のドラゴンでは無い。このドラゴンは『黒龍ファブニ』と言う名前で、全大陸から恐れられ、ドラゴンを含むほぼ全ての魔物のボス的存在だったのだ。
しかし、こんなに一方的にボコボコにされてしまい、黒竜ファブニのそんな名声は一瞬にして崩れた。
本来ならば……常識の範疇の人間相手ならば、黒竜ファブニに敵対した時点で、一方的な虐殺と成り果てる。
使役なんて考えることすらも烏滸がましい程なのだが……。
それを可能にする人物が居たのだ。
「あなた、本当に何者?」
「おい。それは俺の質問だ。俺が勝ったんだ。教えろよ。それても、お前もこいつみたいになりたいか?」
リョーマはそう言って地べたに倒れる黒龍ファブニを指差した。
「あはは……遠慮したいかな」
引き攣ったような笑みを零した重装備勇者は一つずつ装備を外していく。
「……意外だな」
「それ、どういうこと?」
ただの女としてなら、かなり良い線いってるが……勇者、か。こんな奴に勇者が務まるのか?
いや、無理だな。コイツ弱いし。こんなザコいドラゴンに怯えるわ、亜魔人は一体が限界とかほざくはで……。
実際はこの重装備勇者もかなりの実力者だ。だが、もっとおかしいのはリョーマの常識と強さなのである。
「勇者は一度に一人までだ。つまり、お前は勇者じゃない」
「えぇ……」
「おい。ザコドラ。お前もそう思うよな?」
『は、はいぃいい!そう思います!心から!』
「ほらよ?」
不敵な笑み笑みを浮かべて黒龍ファブニを見つめる。その表情に怯えたファブニは首を激しく縦にふって、同意を表した。
………あれ?でも、俺……駄女神に勇者の資格を剥奪されたような……?
いや。誰がなんと言おうとも俺は勇者だ。たとえ、世界の人間が、神が俺を勇者と認めなくとも。
「ふぅん。まぁ良いよ。それよりも、これからどうするの?」
「はぁ?どうするってなんだよ?」
「あなたの目的はドラゴンの討伐っぽいし……他に目的でもあるのかなぁて」
「聞いてどうすんだ?」
「いやぁ……急ぎの用もないなら一緒に魔王討伐行こうよ」
こいつ、勇者だよな?人任せにしようとするその魂胆、見え見えだっつの。
けど、やることも無いしな。俺の強さをこいつに見せつけて、こいつの無力さを感じさせるのも楽しそうだな。
「はっ!面白そうだな、良いだろう。連れて行ってやるよ」
「あぁ……はぁい」
そして、リョーマ、重装備勇者、黒竜ファブニの旅は始まろうとしていた。
『えっ?待ってください。まさかとは思うんですが……自分は連れていきませんよね?』
「はぁ……なんだよ。死にてぇなら早く言えよ」
『いえ!いえいえいえ!そんなことはありません!是非ともお供させて頂きましょう!』
笑顔であるはずのリョーマ。しかし、その圧は全てを屈服させる圧倒的雰囲気があった。
「さて、魔王リファマニ討伐と行こうか」
「『えっ?リファマニ?』」
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