11 / 66
1章 クズ勇者の目標!?
クズ勇者、クソドロップ品に吸い込まれる
しおりを挟む
魔物騒動から一週間ほど経つが、冒険者の間では今だにローブマンの話題で持ち切りだった。
それは、カインも例外ではなかった。
カインはガントと一緒にギルドにある酒場で二人きりで話をしていた。その話の内容とはもちろんローブマンの話だ。
「あぁ……あの時名前を聞いておけば良かったぜ」
「僕はあの人好きになれません」
カインは木で形作られたコップに入っている水に映る自分を眺めながら、口を閉ざした。
あんなことを言われて好印象を抱ける訳無い。
でも、冷静に考えれば、痛いところを突かれたと思う。
僕は自分しか見えてなかった。周りのことなんて気にする余裕がなかった。
あれでは本当に大事な時に大切な人を守ることは出来ない。
「やっぱり、酒はうめぇな。久々に飲むぜ!」
カインの思考を破ったのはガントのその豪快に放たれた言葉だった。
そこでカインは今はこんな事を考えてる暇はないと思い、視線をガントの方へと上げた。
「そういえば、怪我はもう良いのですか?」
「あぁ。エリクサーがドロップしていたからな」
最高回復ポーション、エリクサー。 亜魔人討伐のドロップ品としては妥当だった。
本来ならば、魔物の討伐をした者やパーティーがドロップ品の半分を
そして、あの一件以来ローブマンがギルドに顔を出すことはなかった。では、ローブマンは今何をしてるかというと……。
~~~~
「クソが!亜魔人のドロップ品だから期待したが、なんだこの駄本はよ!」
魔導書かと思ったが表紙から見てガキが好きそうな英雄譚じゃねぇかよ!
売ろうとしても買い取ってくれねぇしよ。俺の話が広がっちまってギルドには行けねぇし。
「最悪だ……こんなのゴミドロじゃねぇかよ!」
結局亜魔人からのドロップ品はこの程度か。
「もっと強ぇ奴じゃねぇとダメだな」
ドラゴンでも狩るか?そうだな。ドラゴンなら俺も楽しめそうだ。
金にも困らなくなるだろうしな。
魔王はどうせ何時でも殺せるし、今はゆっくりと過ごすか。
「ドラゴンってどこ居るんだろうな」
俺も昔は英雄譚を読んでたな。英雄になりたいって言って、スゲェ修行して………今思えば滑稽だな。
我ながら笑えてくるぜ。
「どうせ何も出来ねぇなら、一回ぐらい読んでみるか」
先程投げ捨てた本を手に取り椅子に腰掛けた。
この本、読んだことある気がするな。まぁ、英雄譚なんてどれも似てるからな。
俺も魔王ぶっ飛ばせば英雄になれるか?
「はっ!英雄なんざに興味ねぇよ」
~~~~
一時間ほど経った。リョーマは集中して英雄譚を読んでいた。
子供に戻ったかのように様々な表情、心情の移り変わり。
純粋に英雄になりたいと思っていたあの頃のように……。
「あっ。ドラゴン」
あのザコの亜魔人に手こずってたぐらいだし、ドラゴン戦も辛そうだな。
英雄になるって言ったて、まだカスだな。俺の方が断然強ぇな。
「本だと臨場感がねぇな。目の前で戦ってたら、もっと面白そうなのに……」
その一言が何かの引き金となった。
「なっ!?なんだこの光は!?」
リョーマの視界を、部屋全体を包み込むかのように強大な光が本から放たれて来た。
その出来事も一瞬。段々と光が弱まり、リョーマの視力が戻りつつあった。
そして、リョーマの眼が捉えたのはドラゴンと重装備を付けた一人の人間が対峙している場面だった。
「なっ!?どうなっていやがる……ここはどこなんだよ!」
「えっ?なんでこんな所に人が?」
「はぁ?知る訳ねぇ……おい!危ねぇぞ!」
「えっ?」
ドラゴンの強烈な尻尾攻撃が重装備に命中した。
「ははっ!こりゃいい!ドラゴンと戦えるんだろ!」
あいつがどうなろうが関係ない。とりあえず、あいつが使っていた剣を使わせてもらうか。
「………まだ生きてんのかよ」
重装備とは言え直撃だ。簡単に立ち上がれるものじゃない。
武器を拝借しようと近づいてみたものの重装備はピンピンしていた。
「なぁ、武器貸せよ」
「危ないよ?あの竜は神話にも登場した、黒竜ファブニなんだよ?」
「知らねぇよ。ようは殺せば良いんだろ?」
「そんな簡単じゃないんだけどな」
まさか、こんな形でドラゴンと戦うことになるとはな。まぁ良い。楽しませてくれよ、ドラゴン!
それは、カインも例外ではなかった。
カインはガントと一緒にギルドにある酒場で二人きりで話をしていた。その話の内容とはもちろんローブマンの話だ。
「あぁ……あの時名前を聞いておけば良かったぜ」
「僕はあの人好きになれません」
カインは木で形作られたコップに入っている水に映る自分を眺めながら、口を閉ざした。
あんなことを言われて好印象を抱ける訳無い。
でも、冷静に考えれば、痛いところを突かれたと思う。
僕は自分しか見えてなかった。周りのことなんて気にする余裕がなかった。
あれでは本当に大事な時に大切な人を守ることは出来ない。
「やっぱり、酒はうめぇな。久々に飲むぜ!」
カインの思考を破ったのはガントのその豪快に放たれた言葉だった。
そこでカインは今はこんな事を考えてる暇はないと思い、視線をガントの方へと上げた。
「そういえば、怪我はもう良いのですか?」
「あぁ。エリクサーがドロップしていたからな」
最高回復ポーション、エリクサー。 亜魔人討伐のドロップ品としては妥当だった。
本来ならば、魔物の討伐をした者やパーティーがドロップ品の半分を
そして、あの一件以来ローブマンがギルドに顔を出すことはなかった。では、ローブマンは今何をしてるかというと……。
~~~~
「クソが!亜魔人のドロップ品だから期待したが、なんだこの駄本はよ!」
魔導書かと思ったが表紙から見てガキが好きそうな英雄譚じゃねぇかよ!
売ろうとしても買い取ってくれねぇしよ。俺の話が広がっちまってギルドには行けねぇし。
「最悪だ……こんなのゴミドロじゃねぇかよ!」
結局亜魔人からのドロップ品はこの程度か。
「もっと強ぇ奴じゃねぇとダメだな」
ドラゴンでも狩るか?そうだな。ドラゴンなら俺も楽しめそうだ。
金にも困らなくなるだろうしな。
魔王はどうせ何時でも殺せるし、今はゆっくりと過ごすか。
「ドラゴンってどこ居るんだろうな」
俺も昔は英雄譚を読んでたな。英雄になりたいって言って、スゲェ修行して………今思えば滑稽だな。
我ながら笑えてくるぜ。
「どうせ何も出来ねぇなら、一回ぐらい読んでみるか」
先程投げ捨てた本を手に取り椅子に腰掛けた。
この本、読んだことある気がするな。まぁ、英雄譚なんてどれも似てるからな。
俺も魔王ぶっ飛ばせば英雄になれるか?
「はっ!英雄なんざに興味ねぇよ」
~~~~
一時間ほど経った。リョーマは集中して英雄譚を読んでいた。
子供に戻ったかのように様々な表情、心情の移り変わり。
純粋に英雄になりたいと思っていたあの頃のように……。
「あっ。ドラゴン」
あのザコの亜魔人に手こずってたぐらいだし、ドラゴン戦も辛そうだな。
英雄になるって言ったて、まだカスだな。俺の方が断然強ぇな。
「本だと臨場感がねぇな。目の前で戦ってたら、もっと面白そうなのに……」
その一言が何かの引き金となった。
「なっ!?なんだこの光は!?」
リョーマの視界を、部屋全体を包み込むかのように強大な光が本から放たれて来た。
その出来事も一瞬。段々と光が弱まり、リョーマの視力が戻りつつあった。
そして、リョーマの眼が捉えたのはドラゴンと重装備を付けた一人の人間が対峙している場面だった。
「なっ!?どうなっていやがる……ここはどこなんだよ!」
「えっ?なんでこんな所に人が?」
「はぁ?知る訳ねぇ……おい!危ねぇぞ!」
「えっ?」
ドラゴンの強烈な尻尾攻撃が重装備に命中した。
「ははっ!こりゃいい!ドラゴンと戦えるんだろ!」
あいつがどうなろうが関係ない。とりあえず、あいつが使っていた剣を使わせてもらうか。
「………まだ生きてんのかよ」
重装備とは言え直撃だ。簡単に立ち上がれるものじゃない。
武器を拝借しようと近づいてみたものの重装備はピンピンしていた。
「なぁ、武器貸せよ」
「危ないよ?あの竜は神話にも登場した、黒竜ファブニなんだよ?」
「知らねぇよ。ようは殺せば良いんだろ?」
「そんな簡単じゃないんだけどな」
まさか、こんな形でドラゴンと戦うことになるとはな。まぁ良い。楽しませてくれよ、ドラゴン!
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
母の中で私の価値はゼロのまま、家の恥にしかならないと養子に出され、それを鵜呑みにした父に縁を切られたおかげで幸せになれました
珠宮さくら
恋愛
伯爵家に生まれたケイトリン・オールドリッチ。跡継ぎの兄と母に似ている妹。その2人が何をしても母は怒ることをしなかった。
なのに母に似ていないという理由で、ケイトリンは理不尽な目にあい続けていた。そんな日々に嫌気がさしたケイトリンは、兄妹を超えるために頑張るようになっていくのだが……。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?
Gai
ファンタジー
鉄柱が頭にぶつかって死んでしまった少年は神様からもう異世界へ転生させて貰う。
貴族の四男として生まれ変わった少年、ライルは属性魔法の適性が全くなかった。
貴族として生まれた子にとっては珍しいケースであり、ラガスは周りから憐みの目で見られる事が多かった。
ただ、ライルには属性魔法なんて比べものにならない魔法を持っていた。
「はぁーー・・・・・・属性魔法を持っている、それってそんなに凄い事なのか?」
基本気だるげなライルは基本目立ちたくはないが、売られた値段は良い値で買う男。
さてさて、プライドをへし折られる犠牲者はどれだけ出るのか・・・・・・
タイトルに書いてあるパートナーは序盤にはあまり出てきません。
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
転生王子はダラけたい
朝比奈 和
ファンタジー
大学生の俺、一ノ瀬陽翔(いちのせ はると)が転生したのは、小さな王国グレスハートの末っ子王子、フィル・グレスハートだった。
束縛だらけだった前世、今世では好きなペットをモフモフしながら、ダラけて自由に生きるんだ!
と思ったのだが……召喚獣に精霊に鉱石に魔獣に、この世界のことを知れば知るほどトラブル発生で悪目立ち!
ぐーたら生活したいのに、全然出来ないんだけどっ!
ダラけたいのにダラけられない、フィルの物語は始まったばかり!
※2016年11月。第1巻
2017年 4月。第2巻
2017年 9月。第3巻
2017年12月。第4巻
2018年 3月。第5巻
2018年 8月。第6巻
2018年12月。第7巻
2019年 5月。第8巻
2019年10月。第9巻
2020年 6月。第10巻
2020年12月。第11巻 出版しました。
PNもエリン改め、朝比奈 和(あさひな なごむ)となります。
投稿継続中です。よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる