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1章 クズ勇者の目標!?
クズ勇者、堕ちる
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「コロス……絶対にコロス。あいつも、あいつもあいつも!」
俺は、俺は勇者だぞ!誰もが憧れ拝められるべき存在なのだぞ!なのに、なぜ俺だけがこんな目に遭わなければならねぇんだ!
『昔はそんなんじゃなかっただろ』だと?
「何知った様な口を……!」
誰でも良い…。この怒りを誰でも良いからぶつけてぇ。
じゃなきゃ収まる気がしねぇ。
「カイン………」
リョーマの視線の先には二週間前に追放したカインの姿があった。
「はっ、丁度いい」
もとはと言えばあいつのせいだ。あいつさえ居なければ俺は何もかも上手くいくはずだったんだ。
あいつさえ消えれば、万事解決する!
カインの背後からリョーマは殴りかかった。しかし、殴りかかった拳は空を切る事になる。
「なっ?!」
その勢いで地面に派手に転んだ。
「ん?」
「よぉ……久しぶりだな、カイン」
瞬時に立ち上がりカインを見据えたリョーマ。
「!!!!な、なんでお前が!」
不穏な空気が二人を取り囲む。カインは恐れを、リョーマは怒りを抱え、対面していた。
しかし、その雰囲気は一瞬にして取り除かれることになった。
「カイーン」
「……シル?もう買い物は済んだの?」
「うん。待っててくれてありがと」
凛とした顔立ちと大人びた雰囲気からは想像もできないような仕草。
長耳に金髪。誰がどう見てもエルフであった。
「カイン。なんだ、そいつ」
「お前には関係ないだろ。行こ、シル」
「え?良いの?あの人、カインに用事があるみたいだけど?」
「いいんだ」
「ひでぇな。元パーティーメンバーだろ?」
嘲笑うかのような、見下すような笑みをカインに向けながら、手をカインの方へ伸ばした。
しかし、その手は意外な人物によって阻まれた。
「あなたが、例のパーティーメンバーですか?」
「そう言ってんだろ。手、離せよ」
「………離してあげて、シル。そいつは……相手にする価値もないよ」
「………」
「分かった」
あいつ今、俺になんて言いやがった?
「無能風情が、いきがるなよ!」
どいつもこいつも俺をバカにしやがって!俺は、俺は勇者だぞ!
「がはっ!」
な、何が起きた?俺、あんなエルフにやられたってのか?
腹に一撃貰ったリョーマはその場で気絶した。
「な、何もそこまでしなくても……」
「カインの事をバカにしたんだもん。これでも安い方だよ」
「は、はは……そっか」
この一件で更に勇者リョーマへのイメージは悪くなった。
「取り敢えず、医院ぐらいには連れて行ってあげよう。元とはいえ、仲間だったからね」
「あんなこと言われたのに?」
「そうだね。でも、あの程度慣れっこだよ」
こうして、勇者は女の子に一撃ノックアウトされたと街中の笑いものになったのであった。
俺は、俺は勇者だぞ!誰もが憧れ拝められるべき存在なのだぞ!なのに、なぜ俺だけがこんな目に遭わなければならねぇんだ!
『昔はそんなんじゃなかっただろ』だと?
「何知った様な口を……!」
誰でも良い…。この怒りを誰でも良いからぶつけてぇ。
じゃなきゃ収まる気がしねぇ。
「カイン………」
リョーマの視線の先には二週間前に追放したカインの姿があった。
「はっ、丁度いい」
もとはと言えばあいつのせいだ。あいつさえ居なければ俺は何もかも上手くいくはずだったんだ。
あいつさえ消えれば、万事解決する!
カインの背後からリョーマは殴りかかった。しかし、殴りかかった拳は空を切る事になる。
「なっ?!」
その勢いで地面に派手に転んだ。
「ん?」
「よぉ……久しぶりだな、カイン」
瞬時に立ち上がりカインを見据えたリョーマ。
「!!!!な、なんでお前が!」
不穏な空気が二人を取り囲む。カインは恐れを、リョーマは怒りを抱え、対面していた。
しかし、その雰囲気は一瞬にして取り除かれることになった。
「カイーン」
「……シル?もう買い物は済んだの?」
「うん。待っててくれてありがと」
凛とした顔立ちと大人びた雰囲気からは想像もできないような仕草。
長耳に金髪。誰がどう見てもエルフであった。
「カイン。なんだ、そいつ」
「お前には関係ないだろ。行こ、シル」
「え?良いの?あの人、カインに用事があるみたいだけど?」
「いいんだ」
「ひでぇな。元パーティーメンバーだろ?」
嘲笑うかのような、見下すような笑みをカインに向けながら、手をカインの方へ伸ばした。
しかし、その手は意外な人物によって阻まれた。
「あなたが、例のパーティーメンバーですか?」
「そう言ってんだろ。手、離せよ」
「………離してあげて、シル。そいつは……相手にする価値もないよ」
「………」
「分かった」
あいつ今、俺になんて言いやがった?
「無能風情が、いきがるなよ!」
どいつもこいつも俺をバカにしやがって!俺は、俺は勇者だぞ!
「がはっ!」
な、何が起きた?俺、あんなエルフにやられたってのか?
腹に一撃貰ったリョーマはその場で気絶した。
「な、何もそこまでしなくても……」
「カインの事をバカにしたんだもん。これでも安い方だよ」
「は、はは……そっか」
この一件で更に勇者リョーマへのイメージは悪くなった。
「取り敢えず、医院ぐらいには連れて行ってあげよう。元とはいえ、仲間だったからね」
「あんなこと言われたのに?」
「そうだね。でも、あの程度慣れっこだよ」
こうして、勇者は女の子に一撃ノックアウトされたと街中の笑いものになったのであった。
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