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3章 それぞれの特訓
6話 呼び出し 1
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「──と、解釈できます。故にこの文は──」
現在の授業は国語。今回の授業も例外無く京雅は頭を抱えて悩んでいた。
「漢文なんてやる意味あるのだろうか。社会に出れば一生使わないと断言出来るぞ」
あれから京雅たちは普通の高校生らしい生活を送っていた。だが、京雅は未だに授業に追い付けず、毎度のように愚痴を零しながらひたすらに板書を書き写す機械のようになっていた。
リベルトとミリフィアも初めは苦戦していたが、瑛翔の協力で問題なく授業に着いて行けるようになっている。
京雅は昔から勉強が得意という訳ではなく、勉強への忌避感からか、リベルトたちよりも学力の伸びが悪かった。
「レ点?一・二点?なんでそんなもので文の読み方が変わるんだ……そんな面倒なことするなら初めから普通に書いてくれよ」
「では、この二つの文の現代語訳を次の授業までの宿題にしたいと思います。では、ホームルーム長さん、挨拶お願いします」
そして京雅は今回も今回とて授業の内容を理解出来ぬままだった。
ホームルーム長の挨拶が終わり、京雅は体をグゥと伸ばす。まだ二時間目だが京雅は既に死にそうな顔付きになっていた。
「さて、次の授業は……英語か。漢文に適応はされてなかったが、英語には翻訳魔法が適応されているから、案外簡単なんだよな」
英語の教科書を取り出しながらそう独り言を漏らす。
「翻訳魔法?そんなものまであるんだね」
「ズルとは言わせないぞ?」
後ろからやって来たのは瑛翔だ。瑛翔はにこやかな笑みを浮かべているが少し疲れているようにも見える。
「愛衣ちゃんも静也も蒋もすごいよね。僕はあのテンションについていけないからさ」
「人間、得意不得意があるだろ?俺だってあそこには入れそうにない」
そんな話をしていると、隼が京雅の方に視線を向けた。
そして京雅と目が合うと隼は一瞬だけ人懐っこい笑みを漏らしてすぐさま京雅から視線を外した。
「どうかした?」
「いや、なんでもない。それよりも今日の特訓、何をするかは決めたのか?」
「うぅん。昨日と同じでも良いかなって」
「そっか。なら今日もそれで良いか」
「ねぇ、特訓って何の話?」
「隼くんっ!?いつの間に来てたの?」
いつの間にか京雅の背後に立っていた隼。隼は先程同様人懐っこい笑みを浮かべていた。
「盗み聞きか?」
「そのつもりはなかったんだけどね。実は京雅君にお願いがあるんだ」
「お願い?内容によるな」
「放課後、少し時間貰って良いかな?京雅君に話したいことがあるんだよね」
「なるほど、その程度であれば全然構わないぞ」
「そっか、ありがと。じゃ、また放課後」
「あぁ」
話を切り上げ、京雅が体を前に向けると、目の前で瑛翔が訝しげな視線を隼に向けていた。
「どうした?」
「いや、なんだか異様な雰囲気だなって」
「昔の瑛翔と似たようなもんだろ」
「えっ?僕あんな感じだった?」
そのあとも二人は他愛もない話で残りの休み時間を過ごした。その間も時折隼の視線は感じたものの先程のように話し掛けては来なかった。
現在の授業は国語。今回の授業も例外無く京雅は頭を抱えて悩んでいた。
「漢文なんてやる意味あるのだろうか。社会に出れば一生使わないと断言出来るぞ」
あれから京雅たちは普通の高校生らしい生活を送っていた。だが、京雅は未だに授業に追い付けず、毎度のように愚痴を零しながらひたすらに板書を書き写す機械のようになっていた。
リベルトとミリフィアも初めは苦戦していたが、瑛翔の協力で問題なく授業に着いて行けるようになっている。
京雅は昔から勉強が得意という訳ではなく、勉強への忌避感からか、リベルトたちよりも学力の伸びが悪かった。
「レ点?一・二点?なんでそんなもので文の読み方が変わるんだ……そんな面倒なことするなら初めから普通に書いてくれよ」
「では、この二つの文の現代語訳を次の授業までの宿題にしたいと思います。では、ホームルーム長さん、挨拶お願いします」
そして京雅は今回も今回とて授業の内容を理解出来ぬままだった。
ホームルーム長の挨拶が終わり、京雅は体をグゥと伸ばす。まだ二時間目だが京雅は既に死にそうな顔付きになっていた。
「さて、次の授業は……英語か。漢文に適応はされてなかったが、英語には翻訳魔法が適応されているから、案外簡単なんだよな」
英語の教科書を取り出しながらそう独り言を漏らす。
「翻訳魔法?そんなものまであるんだね」
「ズルとは言わせないぞ?」
後ろからやって来たのは瑛翔だ。瑛翔はにこやかな笑みを浮かべているが少し疲れているようにも見える。
「愛衣ちゃんも静也も蒋もすごいよね。僕はあのテンションについていけないからさ」
「人間、得意不得意があるだろ?俺だってあそこには入れそうにない」
そんな話をしていると、隼が京雅の方に視線を向けた。
そして京雅と目が合うと隼は一瞬だけ人懐っこい笑みを漏らしてすぐさま京雅から視線を外した。
「どうかした?」
「いや、なんでもない。それよりも今日の特訓、何をするかは決めたのか?」
「うぅん。昨日と同じでも良いかなって」
「そっか。なら今日もそれで良いか」
「ねぇ、特訓って何の話?」
「隼くんっ!?いつの間に来てたの?」
いつの間にか京雅の背後に立っていた隼。隼は先程同様人懐っこい笑みを浮かべていた。
「盗み聞きか?」
「そのつもりはなかったんだけどね。実は京雅君にお願いがあるんだ」
「お願い?内容によるな」
「放課後、少し時間貰って良いかな?京雅君に話したいことがあるんだよね」
「なるほど、その程度であれば全然構わないぞ」
「そっか、ありがと。じゃ、また放課後」
「あぁ」
話を切り上げ、京雅が体を前に向けると、目の前で瑛翔が訝しげな視線を隼に向けていた。
「どうした?」
「いや、なんだか異様な雰囲気だなって」
「昔の瑛翔と似たようなもんだろ」
「えっ?僕あんな感じだった?」
そのあとも二人は他愛もない話で残りの休み時間を過ごした。その間も時折隼の視線は感じたものの先程のように話し掛けては来なかった。
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