異世界英雄の学園生活~英雄に休息なんてありません~

パチ朗斗

文字の大きさ
上 下
55 / 94
3章 それぞれの特訓

2話 新たな友人?

しおりを挟む
「二人と同じクラスだと良いなぁ」

「そうだな。一緒の方が何かとやり易いだろうしな」

「全く……京雅きょうがはもう少し素直になりなよ。二人と一緒のクラスになりたいんでしょ?」

「…………そうかもしれないな」

  リベルトたちは転校生なので職員室に寄るということで、京雅、瑛翔えいとしょうの三人は先に教室に来ていた。

  二人の素性には関しては、京雅が適当に捏造し、二人は京雅のイトコと言うことになっている。

「僕ちょっとトイレ行ってくるね」

「うん、行ってらっしゃい」

  そう言ってニコニコと笑みを浮かべて蒋を見送る瑛翔だが、蒋が教室から出ると、瑛翔の顔に影が掛かった。

  その表情には後悔や後ろめたさと言った感情が渦巻いていた。

「蒋にも……言わないとだよね」

「………いつかな」

  リベルトたちの紹介の時も含めて、京雅たちは自分たちが超能力を操れることを一切蒋には言っていなかった。

  その事を言ってしまえば、本格的に蒋を巻き込むことになる。そのため、京雅は今も、そしてこれからもこの事実を言う気は微塵もない。

「可哀想だよ、蒋だけ何も知らないなんて」

「ただの一般人がこの争いに巻き込まれる事の方がよっぽど可哀想だろ。俺は蒋にこれ以上辛い思いはしてほしくないんだよ」

「…………何があったの、蒋に。君の蒋に対する過保護は異常だよ」

「………言うさ、いつか」

「そう。じゃあ気長に待たせてもらうよ」

  瑛翔はフッと優しい笑みを浮かべ、そのまま自分の机と向かっていく。

  今日は久々の登校だが、授業はいつも通り。なんなら、遅れてる分いつもよりもハイスペースで授業が行われる予定だ。

「ねぇ、ちょっと良いかな?」

  瑛翔が去ったすぐ後に、まるで機会を伺ってやって来たがごとく、後ろから声を掛けてきた人物が居た。

「………なんだ?」

  登校日数はほとんど無かったが、それを差し引いても京雅はクラスの人と会話をほとんどしてこなかった。  

  京雅が話しかけなかったのもあるが、一番の理由は京雅から発せられる話し掛けるなオーラだ。京雅のその近寄り難い雰囲気ゆえに誰もが話し掛けずらかったのだ。

  京雅が振り返った先に立っていたのは、茶髪で優しそうな顔をし、穏やかな口調や声色からも人の良さが伝わる人物だ。

「俺の名前は……分かるかな?」

「いや、すまないが知らないな」

「そっか。まぁ、色々あったしね。俺の名前は霧島きりしま、霧島 しゅん。よろしくね」

「俺は京雅だ、よろしくな。それで用事はなんだ?」

「いや、これと言った用事はないんだけどね。ただ少し話がしたいなって」

  ニコニコと笑み浮かべる隼の顔から一瞬視線を外し、京雅は隼の背後を見る。京雅の視線の先には京雅たちの方を見ている三人の男子生徒が居た。彼らは蒋とも良くつるんでいるメンバーだ。

「なぁ、あいつらが凄いコッチを見てくるんだが。アッチに行った方が良いんじゃないか?」

「ん?そうかも……じゃあ今はこのぐらいにね。またね」

「あぁ」

  京雅は隼に気付かれないように小さくため息をついた。

  そのあとすぐに蒋が教室に戻ってきて、隼の居るグループに混ざり、楽しそうに話していた。

  その様子を見ていた京雅は再びため息をついて前に向き直した。

「この生活も残りわずか……俺も普通の生活に馴染まないとだな」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 ***************************** ***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。*** ***************************** マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

異世界アルバイター夏野の受難 〜チートスキルも金もない少年は異世界で生き抜くためフリーターとなる〜

加賀美うつせ
ファンタジー
タンスの角に小指をぶつけたショックで死んでしまった主人公『片桐夏野』。 彼は女神の計らいにより異世界転移し、そこでの生活を強制される。お金がなければ生きていけない、そんな文無しの彼が見つけた生きる手段はアルバイト。 異世界にて彼はフリーターとなる。 ⭐︎登場人物紹介⭐︎ 片桐夏野……主人公、異世界に来てしまった不運体質の少年。チートスキルなし、文無し、甲斐性無し。バ先でも不運にまみれ長続きしない。 丹波凛……ヒロイン、人格破綻者。夏野と同じく異世界転移者であるが、こちらは女神に願ってスキルを手にしている。最強のパチモントレーナーを目指しているが、よくパチモンに夜逃げされている。 マスター……聖人、筋骨隆々のナイスガイ。居場所のない夏野を拾い、喫茶店の空き部屋に住まわせている。本名、カレルレン・アロッゾ・ナイトハルト。 レイさん……夏野が暮らす部屋にいた幽霊。現在はクマのぬいぐるみに憑依している。夏野の相棒的存在、そして強い。天敵は猟友会。 女神……夏野と凛を異世界に連れ込んだ張本人。自称、超絶天才最強美少女。悪意のない性格で、両親から溺愛されている。

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

処理中です...