43 / 92
2章 奇妙な事件
17話 決戦 1
しおりを挟む
「ショー?誰だ?」
「口を開く暇は無い。準備しろ」
「準備?一体なんの──」
京雅たちの居るリビングの床に光り輝く魔法陣が浮かび上がる。その光り輝く巨大な魔法陣の上に更に赤く光る小さな魔法陣がリベルト、リガル、ミリフィア、瑛翔、京雅の足元に浮かび上がる。
「『広範囲転送陣』」
京雅の一言で赤く光る魔法陣の上に居た五人のみがホコリを立てて姿を消した。
~~~~
「………やぁ、待っていたよ」
「……………」
京雅たちの転移した先には赤を基調とした立派な椅子に座る男……高校の校長とその隣に静かに佇む大柄の男が居た。
まだ夜というのにはあまりにも早い時間なのに当たりは真っ暗だ。光源がないのに先が見える世界で、京雅は訝しげに椅子に座る人物に視線をやった。
「君の言いたいことは分かるよ。だがね、コッチとしても予想外だったのだよ」
「お前……なぜここに居る?」
「君にはずっと復讐したいと思っていた。あの日味わった苦痛、屈辱は決して忘れやしないさ」
椅子に座っていた男が自分の顔に手をかざす。そして、かざした手をどかした先には京雅の見知った顔が居た。
「ズザク……」
「やぁ……キョーガ」
ズザク・フィーミレッド。フィーミレッド家の当主にして歴代最強のヴァンパイア。
言葉の綾無く不老不死へと至った唯一のヴァンパイア、ズザク・フィーミレッド。
「君の使い魔は特別に殺しておいた。これで、戦う理由ができたろ?」
怪しく笑うズザクに対して京雅は恐ろしいほど感情のない顔で見つめていた。
京雅の視線の先には大柄の男が持つ、体をズタボロにされたシャウォの姿があった。
「コッチにはある……が、そっちにはねぇよな?」
瞬間。京雅の姿はその場から消えた。次の瞬間、強烈な風がその場を襲う。後ろにいたリベルトたちは咄嗟のことで後ろに吹き飛ばされてしまった。
「おやおや、これはなんの真似だ?」
「お前も少しは失うべきと思ったんだがな」
京雅の振るった拳は軽々とズザクの手のひらで止められていた。
拳を向けられた大柄の男はこの状況が当たり前かのようにその場に佇んでいた。その姿からは恐怖が一切感じられない。
「君がそんなに感情を昂ってくれるなんて……やった甲斐があったよ」
「そう……かよ」
京雅は強引にズザクから距離を取ると、リベルトたちが居る所まで下がった。
「お前らは作戦通りあの大柄の男を倒せ」
「…………不可能だ」
「不可能だと?珍しく弱気じゃねぇか」
リベルトだけではなかった。リガルもミリフィアも怯えているような表情を浮かべながら大柄の男を見ていた。
そんな中、珍しくリガルが口を開いた。
「アイツじゃないんだ。アイツは側近じゃないんだ、首謀者……ボスなんだよ」
「……なるほど。まんまと罠に嵌ったってわけだ」
「口を開く暇は無い。準備しろ」
「準備?一体なんの──」
京雅たちの居るリビングの床に光り輝く魔法陣が浮かび上がる。その光り輝く巨大な魔法陣の上に更に赤く光る小さな魔法陣がリベルト、リガル、ミリフィア、瑛翔、京雅の足元に浮かび上がる。
「『広範囲転送陣』」
京雅の一言で赤く光る魔法陣の上に居た五人のみがホコリを立てて姿を消した。
~~~~
「………やぁ、待っていたよ」
「……………」
京雅たちの転移した先には赤を基調とした立派な椅子に座る男……高校の校長とその隣に静かに佇む大柄の男が居た。
まだ夜というのにはあまりにも早い時間なのに当たりは真っ暗だ。光源がないのに先が見える世界で、京雅は訝しげに椅子に座る人物に視線をやった。
「君の言いたいことは分かるよ。だがね、コッチとしても予想外だったのだよ」
「お前……なぜここに居る?」
「君にはずっと復讐したいと思っていた。あの日味わった苦痛、屈辱は決して忘れやしないさ」
椅子に座っていた男が自分の顔に手をかざす。そして、かざした手をどかした先には京雅の見知った顔が居た。
「ズザク……」
「やぁ……キョーガ」
ズザク・フィーミレッド。フィーミレッド家の当主にして歴代最強のヴァンパイア。
言葉の綾無く不老不死へと至った唯一のヴァンパイア、ズザク・フィーミレッド。
「君の使い魔は特別に殺しておいた。これで、戦う理由ができたろ?」
怪しく笑うズザクに対して京雅は恐ろしいほど感情のない顔で見つめていた。
京雅の視線の先には大柄の男が持つ、体をズタボロにされたシャウォの姿があった。
「コッチにはある……が、そっちにはねぇよな?」
瞬間。京雅の姿はその場から消えた。次の瞬間、強烈な風がその場を襲う。後ろにいたリベルトたちは咄嗟のことで後ろに吹き飛ばされてしまった。
「おやおや、これはなんの真似だ?」
「お前も少しは失うべきと思ったんだがな」
京雅の振るった拳は軽々とズザクの手のひらで止められていた。
拳を向けられた大柄の男はこの状況が当たり前かのようにその場に佇んでいた。その姿からは恐怖が一切感じられない。
「君がそんなに感情を昂ってくれるなんて……やった甲斐があったよ」
「そう……かよ」
京雅は強引にズザクから距離を取ると、リベルトたちが居る所まで下がった。
「お前らは作戦通りあの大柄の男を倒せ」
「…………不可能だ」
「不可能だと?珍しく弱気じゃねぇか」
リベルトだけではなかった。リガルもミリフィアも怯えているような表情を浮かべながら大柄の男を見ていた。
そんな中、珍しくリガルが口を開いた。
「アイツじゃないんだ。アイツは側近じゃないんだ、首謀者……ボスなんだよ」
「……なるほど。まんまと罠に嵌ったってわけだ」
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
転生前のチュートリアルで異世界最強になりました。 準備し過ぎて第二の人生はイージーモードです!
小川悟
ファンタジー
いじめやパワハラなどの理不尽な人生から、現実逃避するように寝る間を惜しんでゲーム三昧に明け暮れた33歳の男がある日死んでしまう。
しかし異世界転生の候補に選ばれたが、チートはくれないと転生の案内女性に言われる。
チートの代わりに異世界転生の為の研修施設で3ヶ月の研修が受けられるという。
研修施設はスキルの取得が比較的簡単に取得できると言われるが、3ヶ月という短期間で何が出来るのか……。
ボーナススキルで鑑定とアイテムボックスを貰い、適性の設定を始めると時間がないと、研修施設に放り込まれてしまう。
新たな人生を生き残るため、3ヶ月必死に研修施設で訓練に明け暮れる。
しかし3ヶ月を過ぎても、1年が過ぎても、10年過ぎても転生されない。
もしかしてゲームやりすぎで死んだ為の無間地獄かもと不安になりながらも、必死に訓練に励んでいた。
実は案内女性の手違いで、転生手続きがされていないとは思いもしなかった。
結局、研修が15年過ぎた頃、不意に転生の案内が来る。
すでにエンシェントドラゴンを倒すほどのチート野郎になっていた男は、異世界を普通に楽しむことに全力を尽くす。
主人公は優柔不断で出て来るキャラは問題児が多いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる