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2章 奇妙な事件
9話 誤解 2
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「キサマのせいで……キサマだけは絶対に許さん!」
「………落ち着け。感情に任せて勝てる相手じゃない」
「だが!」
京雅に明らかな敵意を向けてくる金髪の男。それを隣に立っている落ち着いた雰囲気の青髪の男が鎮めていた。
「お前ら……ヴァンパイアにしては弱すぎないか?」
「「ッ……!?」」
京雅のその一言で二人の目付きが鋭いものへと変わる。
京雅はそんな二人の様子を見て、嘲笑うかのような表情を浮かべると、三人の居る方へ一歩近付く。
「裏切り者風情がっ!」
「おい、だから待てって」
京雅に捕まっていた人物を庇うようにして前に出てくると、殺気立っている金髪の男は戦闘態勢に入る。
「お前は王女を連れて逃げろ」
「何言ってんだ!お前一人でどうこうなる相手じゃ……!」
「逃げ切れるわけねぇだろ!俺が囮になるからお前は王女を逃がせッ!」
少し考える仕草を見せたあと青髪の男は目に殺意を灯しながらも京雅に背を向け、一言言った。
「死ぬなよ?」
「こんなところで死ぬかよ。さぁ、行け」
その言葉を皮切りにその男は勢いよく京雅に向かい攻撃を仕掛ける。
「まずは一人だな」
京雅はその場から動かずにそうボヤくと、片手を向かってくる男の方へと向けた。
「生け捕りなんて何時ぶりだろうな」
京雅の手のひらから魔力で出来た鞭のようなものが無数に出てくる。
結果として赤髪の男は為す術なく京雅の魔法に囚われてしまった。
「………なんだこれ!?こんな奥の手を隠していたのか!?」
拘束された男は道の端に転がされて身動きが取れない状況だ。
「まさか、王女を殺す程見境が無くなったわけじゃ……ないだろうな」
ミリフィアと呼ばれた人物を庇うように立ちはだかる青色の髪をしたその男は、力強く京雅を睨む。
京雅を睨むその瞳に恐怖など微塵もなく、ただひたすらに強い憎悪や殺意のみが宿っていた。
「折角できた時間……お前はなぜ逃げなかった」
「俺の逃げるスピードよりも早くにこんな状況になっちまったもんでな」
「そうか……まぁ、関係ないけどな」
そう告げ、京雅は一瞬にして二人の視界から消えた……否、一瞬にして青髪の男の懐に潜り込んでいた。
その男は、京雅のそのあまりにも早い動きに反応出来ずに、呆然とした。
その男が京雅を視界に入れることが出来たのは、腹部に強い衝撃が伝わって、体がくの字に曲がり、後方に吹っ飛ぶ前の一瞬だけだった。
「カハッ!!」
男は反対側の家の塀にぶつかる……ことはなく、路地裏を出る手前で目に見えない何かにぶつかった。
「どうした?夜じゃないと本領発揮できないのか?」
「……あぁクソッ。よくわかったよ。やはり、今の俺ではこの状態でキサマに一発も当てられないようだ」
「リベルト!それだけはダメッ」
リベルトに守られるようにして立っていた王女、ミリフィアは後方で血を流しながらも立とうとするリベルトのその一言に反応し、何とかある能力を使うことを止めさせようとしたが、既にリベルトはある能力を使ってしまっていた。
「ミリフィア様……お下がりください」
「…………時間稼ぎ、お願いします。退路を確保します」
「……まさか、日本でヴァンパイアを見ることになるとは」
全身の肌が青紫色になり、口元にはさっきまで見えていなかった犬歯が姿を見せていた。顔は面影はあるものの、先程よりも更に整った顔付きになり、身長も高くなる。
そして服装も黒を基調としたタキシードに変わった。
「来いよ。相手してやる」
片手を前に突き出して、コッチに来るように煽ると、リベルトも片腕を前に突き出すと指を鳴らした。
その音を合図に、京雅の周りに赤色の雫のようなものが無数に現れて、京雅を包囲する。
「…………これは?」
「『跳躍する血弾』」
「………落ち着け。感情に任せて勝てる相手じゃない」
「だが!」
京雅に明らかな敵意を向けてくる金髪の男。それを隣に立っている落ち着いた雰囲気の青髪の男が鎮めていた。
「お前ら……ヴァンパイアにしては弱すぎないか?」
「「ッ……!?」」
京雅のその一言で二人の目付きが鋭いものへと変わる。
京雅はそんな二人の様子を見て、嘲笑うかのような表情を浮かべると、三人の居る方へ一歩近付く。
「裏切り者風情がっ!」
「おい、だから待てって」
京雅に捕まっていた人物を庇うようにして前に出てくると、殺気立っている金髪の男は戦闘態勢に入る。
「お前は王女を連れて逃げろ」
「何言ってんだ!お前一人でどうこうなる相手じゃ……!」
「逃げ切れるわけねぇだろ!俺が囮になるからお前は王女を逃がせッ!」
少し考える仕草を見せたあと青髪の男は目に殺意を灯しながらも京雅に背を向け、一言言った。
「死ぬなよ?」
「こんなところで死ぬかよ。さぁ、行け」
その言葉を皮切りにその男は勢いよく京雅に向かい攻撃を仕掛ける。
「まずは一人だな」
京雅はその場から動かずにそうボヤくと、片手を向かってくる男の方へと向けた。
「生け捕りなんて何時ぶりだろうな」
京雅の手のひらから魔力で出来た鞭のようなものが無数に出てくる。
結果として赤髪の男は為す術なく京雅の魔法に囚われてしまった。
「………なんだこれ!?こんな奥の手を隠していたのか!?」
拘束された男は道の端に転がされて身動きが取れない状況だ。
「まさか、王女を殺す程見境が無くなったわけじゃ……ないだろうな」
ミリフィアと呼ばれた人物を庇うように立ちはだかる青色の髪をしたその男は、力強く京雅を睨む。
京雅を睨むその瞳に恐怖など微塵もなく、ただひたすらに強い憎悪や殺意のみが宿っていた。
「折角できた時間……お前はなぜ逃げなかった」
「俺の逃げるスピードよりも早くにこんな状況になっちまったもんでな」
「そうか……まぁ、関係ないけどな」
そう告げ、京雅は一瞬にして二人の視界から消えた……否、一瞬にして青髪の男の懐に潜り込んでいた。
その男は、京雅のそのあまりにも早い動きに反応出来ずに、呆然とした。
その男が京雅を視界に入れることが出来たのは、腹部に強い衝撃が伝わって、体がくの字に曲がり、後方に吹っ飛ぶ前の一瞬だけだった。
「カハッ!!」
男は反対側の家の塀にぶつかる……ことはなく、路地裏を出る手前で目に見えない何かにぶつかった。
「どうした?夜じゃないと本領発揮できないのか?」
「……あぁクソッ。よくわかったよ。やはり、今の俺ではこの状態でキサマに一発も当てられないようだ」
「リベルト!それだけはダメッ」
リベルトに守られるようにして立っていた王女、ミリフィアは後方で血を流しながらも立とうとするリベルトのその一言に反応し、何とかある能力を使うことを止めさせようとしたが、既にリベルトはある能力を使ってしまっていた。
「ミリフィア様……お下がりください」
「…………時間稼ぎ、お願いします。退路を確保します」
「……まさか、日本でヴァンパイアを見ることになるとは」
全身の肌が青紫色になり、口元にはさっきまで見えていなかった犬歯が姿を見せていた。顔は面影はあるものの、先程よりも更に整った顔付きになり、身長も高くなる。
そして服装も黒を基調としたタキシードに変わった。
「来いよ。相手してやる」
片手を前に突き出して、コッチに来るように煽ると、リベルトも片腕を前に突き出すと指を鳴らした。
その音を合図に、京雅の周りに赤色の雫のようなものが無数に現れて、京雅を包囲する。
「…………これは?」
「『跳躍する血弾』」
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