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1章 超能力者の存在
20話 救出
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「蒋、立てるか?」
「ぼ、僕は……それよりもあの人たちは?」
手足を縛っていたロープを解いて京雅は蒋へ手を差し伸べる。
蒋は京雅の手を取り疑問をぶつける。京雅は少し考えるような仕草をしてから口を開いた。
「俺が殺したよ。結構危なかったけど何とか無事だった」
「えっ、スゴすぎる!さすが京雅だよ!」
何の疑う様子を見せることなく蒋は京雅を称賛する。
京雅はその称賛を素直に受け取れず顔に影を作る。
「それよりも、黎は大丈夫かな?」
「あ………」
瑛翔の事で頭がいっぱいだったが、黎の様子もおかしかった。もしかしたら黎も超能力者に目を付けられる可能性がある、と思った京雅は蒋の手を取って駆け出した。
「え、ちょ、ちょっと!どこに向かうの?」
「黎の家!黎のことも心配だ」
「そうだね。少し前から様子がおかしかったよね」
京雅は蒋が付いてこれるスピードで走っていた。早く黎の家に着きたいが、蒋の事も心配で置いて行くという選択ができず、もどかしさを感じていた。
「………キョーガ。僕は大丈夫だよ」
「えっ?急にどうした?」
京雅は走るのを止めて蒋の方に振り向いた。
「僕の事気遣って走ってくれてるでしょ?僕は一人で学校に向かうからキョーガは黎の家に向かって」
その言葉に京雅は絶句した。蒋は今までもその容姿故に色々な面倒事に巻き込まれていた。だとしても、今回の出来事はその範疇を大きく超えてるのはまず間違いない。
一歩間違えていたら死んでいたかもしれない。そうでなくとも相当怖い思いをしたであろうに、蒋は真っ直ぐと京雅を見てそう言ったのだ。
「俺は蒋のことも心配で──」
「僕も黎のことが心配なんだ。僕はもう大丈夫さ。だって、京雅がまた助けてくれたろ?」
ニヒッといたずらっ子ぽく笑うと蒋はトンっと京雅の背中を押した。
「行ってあげて。僕はもう救われたから。あとは黎だけだよ」
「………ありがとな、蒋」
「なに、この程度どうってことは無いさ!」
そう言ってはにかむと蒋は京雅に手を振って学校の方へと走っていく。
その姿を見て決心したのか、京雅の顔付きも変わる。
「何も無いことを祈る……」
幸いにも蒋の家から黎の家まではそんなに遠くない。京雅がある程度の速さで走っていれば既に着いているような距離だ。
~~~~
「京、雅……」
「黎!」
黎の家の前まで来た京雅は一切迷う事なくドアを開ける。そこにはパジャマ姿で、目にはクマを作って、不健康そうなナリをした黎の姿があった。
「何があったんだよ!」
「………実はさ……」
黎は下を向きながらポツポツと言葉を紡いでいった。
黎の言った事を要約すると、ある日突然自分のスマホに脅しのような迷惑メールが届くようになって、その事が怖くて夜も眠れずに居て、ついに今日休んでしまったということだった。
「なるほど……辛かったよな」
「いや、俺のメンタルが強けりゃこんな風になってなかっただろうなって分かってんだよ」
黎は乾いた笑みをして居た。その笑みは自嘲してるように見えて京雅はそんな黎に苛立ちのようなものを感じた。
「そんなの……関係ねぇよ。黎が辛かったんだからツレぇんだよ。俺が必ずソイツを殺すから──」
「いや、大丈夫だよ。ありがとな京雅。元気出たよ」
無理をしてるようには見えるが、先程よりは幾分もマシになって笑みでそう答えた。
「てか、なんでこの時間にここに居るんだ?今日、学校……だよな?」
「………まぁ、これから行くさ。黎は……まぁ今日は休めよ?じゃあな」
「あぁ、またな」
京雅は黎の家を出て学校のある方へ視線を向けた。
その方角を見つめた京雅は一瞬顔を顰めた。そして、微かに殺気を放ち出す。
「………居るな、超能力者が」
「ぼ、僕は……それよりもあの人たちは?」
手足を縛っていたロープを解いて京雅は蒋へ手を差し伸べる。
蒋は京雅の手を取り疑問をぶつける。京雅は少し考えるような仕草をしてから口を開いた。
「俺が殺したよ。結構危なかったけど何とか無事だった」
「えっ、スゴすぎる!さすが京雅だよ!」
何の疑う様子を見せることなく蒋は京雅を称賛する。
京雅はその称賛を素直に受け取れず顔に影を作る。
「それよりも、黎は大丈夫かな?」
「あ………」
瑛翔の事で頭がいっぱいだったが、黎の様子もおかしかった。もしかしたら黎も超能力者に目を付けられる可能性がある、と思った京雅は蒋の手を取って駆け出した。
「え、ちょ、ちょっと!どこに向かうの?」
「黎の家!黎のことも心配だ」
「そうだね。少し前から様子がおかしかったよね」
京雅は蒋が付いてこれるスピードで走っていた。早く黎の家に着きたいが、蒋の事も心配で置いて行くという選択ができず、もどかしさを感じていた。
「………キョーガ。僕は大丈夫だよ」
「えっ?急にどうした?」
京雅は走るのを止めて蒋の方に振り向いた。
「僕の事気遣って走ってくれてるでしょ?僕は一人で学校に向かうからキョーガは黎の家に向かって」
その言葉に京雅は絶句した。蒋は今までもその容姿故に色々な面倒事に巻き込まれていた。だとしても、今回の出来事はその範疇を大きく超えてるのはまず間違いない。
一歩間違えていたら死んでいたかもしれない。そうでなくとも相当怖い思いをしたであろうに、蒋は真っ直ぐと京雅を見てそう言ったのだ。
「俺は蒋のことも心配で──」
「僕も黎のことが心配なんだ。僕はもう大丈夫さ。だって、京雅がまた助けてくれたろ?」
ニヒッといたずらっ子ぽく笑うと蒋はトンっと京雅の背中を押した。
「行ってあげて。僕はもう救われたから。あとは黎だけだよ」
「………ありがとな、蒋」
「なに、この程度どうってことは無いさ!」
そう言ってはにかむと蒋は京雅に手を振って学校の方へと走っていく。
その姿を見て決心したのか、京雅の顔付きも変わる。
「何も無いことを祈る……」
幸いにも蒋の家から黎の家まではそんなに遠くない。京雅がある程度の速さで走っていれば既に着いているような距離だ。
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「京、雅……」
「黎!」
黎の家の前まで来た京雅は一切迷う事なくドアを開ける。そこにはパジャマ姿で、目にはクマを作って、不健康そうなナリをした黎の姿があった。
「何があったんだよ!」
「………実はさ……」
黎は下を向きながらポツポツと言葉を紡いでいった。
黎の言った事を要約すると、ある日突然自分のスマホに脅しのような迷惑メールが届くようになって、その事が怖くて夜も眠れずに居て、ついに今日休んでしまったということだった。
「なるほど……辛かったよな」
「いや、俺のメンタルが強けりゃこんな風になってなかっただろうなって分かってんだよ」
黎は乾いた笑みをして居た。その笑みは自嘲してるように見えて京雅はそんな黎に苛立ちのようなものを感じた。
「そんなの……関係ねぇよ。黎が辛かったんだからツレぇんだよ。俺が必ずソイツを殺すから──」
「いや、大丈夫だよ。ありがとな京雅。元気出たよ」
無理をしてるようには見えるが、先程よりは幾分もマシになって笑みでそう答えた。
「てか、なんでこの時間にここに居るんだ?今日、学校……だよな?」
「………まぁ、これから行くさ。黎は……まぁ今日は休めよ?じゃあな」
「あぁ、またな」
京雅は黎の家を出て学校のある方へ視線を向けた。
その方角を見つめた京雅は一瞬顔を顰めた。そして、微かに殺気を放ち出す。
「………居るな、超能力者が」
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