異世界英雄の学園生活~英雄に休息なんてありません~

パチ朗斗

文字の大きさ
8 / 113
1章 超能力者の存在

7話 友達?

しおりを挟む
「えっ……」

  瑛翔えいとは瞳孔を揺らし、あからさまに動揺する。

  その姿を見た京雅きょうがは、無機質な視線を向けて瑛翔に対する興味を失ったのか、自分の机の方へ移動し始める。

「え、ちょ、ちょっと待ってよ。本当に僕たち以外に居るのと思うの?」

「………あぁ」

  京雅は歩みを止めることなく、瑛翔に背を向けながらスボンに付いてるポケットに両手を入れ返事をした。

「忠告だけはしてやる」

  そこで切ると、京雅は首だけを動かして瑛翔を横目で見つめた。

「そのままじゃお前………確実に死ぬことになるぜ」

「えっ……」

  再び動揺する瑛翔を置き去りに京雅は自分の机まで移動し、横に掛けていたバッグを背負うと、ドアの方へ歩き始める。

  理解が追い付いてないのか、瑛翔はまだその場で固まっていた。

「死にたくねぇなら、能力を使わねぇか、殺されねぇくらいに強くなれ」

  瑛翔の横の位置まで来ると、京雅は真っ直ぐと前を見たままそう告げた。

  京雅自身もこの世界で初めてあった超能力者だ。その上、会話もちゃんとした仲だ。

  無抵抗のまま他の人間超能力者に殺されるのを黙って見れる程、浅くのない関係性までなってしまっていた。

「気を付けろよ」

「…………待ってよ」

  絞り出したようなか細い声で、京雅を呼び止めた。

  本来なら無視をして通り過ぎるところなのだが、その親に縋る子供のような瑛翔の姿に、京雅はこの場を去ることを躊躇していた。

「僕に……僕に教えてくれないかい」

  京雅に、死ぬことになると言われてからずっと下げていた顔を上げ、京雅の顔を力強く見つめる。

  闘志のような覚悟のようなものを孕んだその目に京雅は内心驚いていた。

「教える?何を?」

  京雅は既に答えに辿り着いていた。だが、敢えてトボけてそう聞き返す。

  瑛翔は視線だけで人を殺せそうなほど鋭い目を京雅に向け宣言する。

人を殺す身を守る方法を、だよ」
  
「話が飛躍しすぎだ。だが、その意志だけは認める」

  そういうと、京雅は指を鳴らした。

「………っ!!」

  そして、その次の瞬間には既に瑛翔の後ろに居たのだ。

  その出来事に瑛翔は付いていけなかった。

「見えたか?」

「いや……全く見えなかったよ」

「そういう事だ。意志だけじゃどうしようもない。まずはその能力を自分なりに活かせ。ただ早く走るだけの能力じゃねぇはずだ」

  京雅はそう言って再びドアに向かう。

  その姿を瑛翔はただ傍観していた。

  あまりにも高すぎる壁にどうしようもなかったのだ。

  ドアに手を掛けた時、何かを思い出したのか、瑛翔の方に顔を向けた。

  そして、今までの発言をしてきた人物とは思えないほど明るく、同性でも魅入ってしまうほどのキレイな笑みで瑛翔に言った。

「超能力者だからって警戒して悪かったな。色々偉そうにしたり暴力を働いたりさ。瑛翔さえ良ければ、俺と友達になってくれよ」

「え、え?は?え、あの、えと……?」

  あまりの変わりように瑛翔の思考がおかしくなってしまった。

  呂律が回らず、壊れた機械のように拙い言葉や同じ言葉を何度も重ねていく。

「明日からよろしくな。じゃあ、またな!」

  そう言って今度こそ教室を出ていった。

  教室に一人取り残された瑛翔はおかしくなった思考回路の中で明確に一つだけ浮かぶものがあった。

  ───京雅って、二重人格なのか?

  そんな思いが頭の中で何度もループしながら、その場でずっと立ち尽くしていた。

  瑛翔が正常に戻ったのは、今から十分後。教室に来た先生に声を掛けられての事だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

モフモフテイマーの、知識チート冒険記 高難易度依頼だって、知識とモフモフモンスターでクリアします!

あけちともあき
ファンタジー
無能テイマーとしてSランクパーティをクビになったオース。 モフモフテイマーという、モフモフモンスター専門のテイマーであった彼は、すぐに最強モンスター『マーナガルム』をテイムするが……。 実はオースこそが、Sランクパーティを支える最強メンバーだったのだ。 あらゆるモンスターへの深い知識。 様々なクラスを持つことによる、並外れた器用さ。 自由になったオースは、知識の力で最高の冒険者へと成り上がっていく。 降って湧いた凶悪な依頼の数々。 オースはこれを次々に解決する。 誰もがオースを最高の冒険者だと認めるようになっていく。 さらに、新たなモフモフモンスターが現れて、仲間も増えて……。 やがて、世界を巻き込む陰謀にオースは関わっていくのだ。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

処理中です...