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1章 超能力者の存在
5話 優先順位
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「アイツ……マジでなんなんだ?」
今は始業式の真っ只中だ。京雅は、パイプ椅子に座りながら誰にも聞こえないように呟いた。
「まぁ、始業式もこの場凌ぎぐらいしかならないよな」
ステージ上で校長が気持ち良さそうに長ったらしい話をしている中、京雅はさっきあったことを振り返っていた。
~~~~
京雅が魔法を使った事を後悔しているさなか、このクラスの担任らしき初老の男が教室に入ってきた。
「初めまして、このクラスを担当する鶴壁です。自己紹介は後でするので、まずは廊下に並んでください」
教卓まで来てそれだけを言い残し再び教室から出て行った。
教室に居た生徒たちはゾロゾロと廊下へと出て行く。
京雅もゆっくりと腰を上げて立ち上がり、廊下に向かう。
その途中で超能力者とすれ違った。
外人イケメンは、すれ違いざまに一言京雅に言う。
「放課後、教室で一人で待ってて」
「…………」
京雅は横目で外人イケメンを睨み付ける。
だが、そんな事は気にも止めないのか、笑顔で京雅の横を通り過ぎて行った。
「はぁ………なんなんだよ」
~~~~
思考が現在に戻り、今度は考え込む仕草をしながら視線を下に向ける。
「これ……放課後残らないとダメなやつか?」
絶対に面倒事になる。京雅はその事を確信していた。本来なら迷わずにトンズラするだろうが、京雅が迷っているのには理由があった。
「アイツの正体が分かるかもしれないよな……」
京雅と似た、人智を超えた不可解な力を持つ人物。
放課後あの外人イケメンと対面すれば確実に相手の能力の探り合いも起こる。……それは否。なぜなら、京雅は既に相手の能力を把握していた。
「予想としては、超スピード。いわゆる超能力者が有力だな」
結論から言えば、京雅の予想はほぼ当たっていた。
外人イケメンの超能力は超スピード。最大速度は時速約九百キロ。これは亜音速程度の速さになる。
さすがの京雅もこのスピードで走ることは不可能だ。
だが、京雅からすれば相手の能力などどうでも良かった。
京雅は確信を持っていたからだ。今の自分の力でも充分に外人イケメンとやり合える自信を。
相手の能力を知るよりも更に優先すべきものが京雅の中にはあった。
「アイツは俺の敵なのか……」
今の状態でも充分に戦えるし、勝てる自信はあった。だが、相手の厳密な能力を把握出来ない今、迂闊に戦って逃げられるのだけは避けたかった。
相手の戦力すら把握出来ていないのに、逃げられでもすれば、普通の学校生活を送るどころの話ではなくなるのだ。
「他にも気になることはあるが……この申し出、受けるが吉だな。最悪、俺も力を使えば良いし」
恐ろしいことに、京雅が外人イケメンに勝てると言う想定は自分の能力を計算外にしてのものだった。
己の体術だけで超能力者を相手に勝てると言う自信が京雅にはあったのだ。
「………いつまであの校長は話をしてんだよ」
そこから校長の話は五分ほど続き、みんなクタクタだった。当の校長はスッキリしたような顔で居た。
校長の話が終わったあとは案外スムーズに事が進み、あっという間に閉会の言葉まできていた。
「では、新入生は一組から教室に戻ってください」
そうアナウンスされ、新入生たちは体育館から出て行く。
京雅も前の人に続き進んでいいった。
クラスに移動する間も外人イケメンと対峙した時にどういう行動をするかのシミュレーションをずっと脳内でしていた。
今は始業式の真っ只中だ。京雅は、パイプ椅子に座りながら誰にも聞こえないように呟いた。
「まぁ、始業式もこの場凌ぎぐらいしかならないよな」
ステージ上で校長が気持ち良さそうに長ったらしい話をしている中、京雅はさっきあったことを振り返っていた。
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京雅が魔法を使った事を後悔しているさなか、このクラスの担任らしき初老の男が教室に入ってきた。
「初めまして、このクラスを担当する鶴壁です。自己紹介は後でするので、まずは廊下に並んでください」
教卓まで来てそれだけを言い残し再び教室から出て行った。
教室に居た生徒たちはゾロゾロと廊下へと出て行く。
京雅もゆっくりと腰を上げて立ち上がり、廊下に向かう。
その途中で超能力者とすれ違った。
外人イケメンは、すれ違いざまに一言京雅に言う。
「放課後、教室で一人で待ってて」
「…………」
京雅は横目で外人イケメンを睨み付ける。
だが、そんな事は気にも止めないのか、笑顔で京雅の横を通り過ぎて行った。
「はぁ………なんなんだよ」
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思考が現在に戻り、今度は考え込む仕草をしながら視線を下に向ける。
「これ……放課後残らないとダメなやつか?」
絶対に面倒事になる。京雅はその事を確信していた。本来なら迷わずにトンズラするだろうが、京雅が迷っているのには理由があった。
「アイツの正体が分かるかもしれないよな……」
京雅と似た、人智を超えた不可解な力を持つ人物。
放課後あの外人イケメンと対面すれば確実に相手の能力の探り合いも起こる。……それは否。なぜなら、京雅は既に相手の能力を把握していた。
「予想としては、超スピード。いわゆる超能力者が有力だな」
結論から言えば、京雅の予想はほぼ当たっていた。
外人イケメンの超能力は超スピード。最大速度は時速約九百キロ。これは亜音速程度の速さになる。
さすがの京雅もこのスピードで走ることは不可能だ。
だが、京雅からすれば相手の能力などどうでも良かった。
京雅は確信を持っていたからだ。今の自分の力でも充分に外人イケメンとやり合える自信を。
相手の能力を知るよりも更に優先すべきものが京雅の中にはあった。
「アイツは俺の敵なのか……」
今の状態でも充分に戦えるし、勝てる自信はあった。だが、相手の厳密な能力を把握出来ない今、迂闊に戦って逃げられるのだけは避けたかった。
相手の戦力すら把握出来ていないのに、逃げられでもすれば、普通の学校生活を送るどころの話ではなくなるのだ。
「他にも気になることはあるが……この申し出、受けるが吉だな。最悪、俺も力を使えば良いし」
恐ろしいことに、京雅が外人イケメンに勝てると言う想定は自分の能力を計算外にしてのものだった。
己の体術だけで超能力者を相手に勝てると言う自信が京雅にはあったのだ。
「………いつまであの校長は話をしてんだよ」
そこから校長の話は五分ほど続き、みんなクタクタだった。当の校長はスッキリしたような顔で居た。
校長の話が終わったあとは案外スムーズに事が進み、あっという間に閉会の言葉まできていた。
「では、新入生は一組から教室に戻ってください」
そうアナウンスされ、新入生たちは体育館から出て行く。
京雅も前の人に続き進んでいいった。
クラスに移動する間も外人イケメンと対峙した時にどういう行動をするかのシミュレーションをずっと脳内でしていた。
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