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85話 4日目 2
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「蓮翔、この服どうかな?」
「良いんじゃないか?似合ってるよ」
まさか俺が女子のファッションショーを見ることが出来るなんてな。アニメで見ている分には色々と言えるが、実際に直面すると精神的に厳しいものがあるな。
まぁ、色んな服を着た瑠魅を見れるってだけでもプラスしかないけど。
「これなんてどうかな?」
「良いと思うよ。さっきよりも瑠魅にマッチした色合いだし」
美人が着るとほんとに何でも似合うな。服に興味のない俺でも分かるくらいにはオシャレだ。
こういう買い物なら何時間でも付き合えそうだ。まぁ、女性用の服コーナーだから瑠魅が着替えている時は気まずく感じるけど。
「じゃあ、これはどうかな?」
「おぉ、よく似合ってるよ」
「そう?ありがとう」
さっき色々と見させてもらったけど、これが一番似合ってる。瑠魅はやっぱり落ち着いた色合いの服が似合うな。
「じゃあ、次はどこ行こっか?」
「………買わないのか?」
カゴに入れた服を丁寧に戻す瑠魅。俺としては一着ぐらいは買うと思っていたから疑問しかない。
「…………うん。買っても直ぐに要らなくなるでしょ?」
「っ…………」
そう言って微笑む瑠魅はとても寂しそうだった。その瞳が孕んだ哀愁に俺は胸が締め付けられた。
「今でも沢山洋服はあるし、無駄遣いはしたくないんだ」
「………良いじゃないか。これは無駄遣いじゃないんだからさ」
「……えっ?」
何か言おうとして、無意識に口が動いていた。頭では何が言いたいのかさっぱり理解出来ていない。それでも俺の心が必死に口を動かす。
「このお金はさ、瑠魅が楽しく過ごせるようにって………遺したんだろ?使わない方が悪いよ」
「……………」
こんな空気にするなんて……なんで今神太さんの話をしたんだよ。せっかくのデートなのに。俺が買うっていえば良かっただけなのに……!
「……ありがと。私、この服買ってくるね」
「………えっ?」
「ちょっと待ってて」
そう言って瑠魅は最後に来ていた服を手にレジへと向かって行った。
どんな心境の変化かは分からないけど、瑠魅の表情は明るかった。少なくとも、あの言葉は間違っていなかった、そう思う。
「ふぅ………まぁ良かった、のかな」
~~~~
「これ、可愛いね」
「……そう、だな。まぁ、モチーフはウサギだろうし……な」
なんだろうか……この何とも言えないウサギのぬいぐるみは。これがいわゆるブサカワってやつなのか?俺には分からない世界だ。
まぁ、瑠魅の楽しそうな横顔は可愛いし、こんなにはしゃぐ瑠魅は珍しいし、間接的に可愛いと言うことにしておこう。
「っと、そろそろ時間だな。駅に向かわないと」
「もう?そっか……」
そう言って寂しそうな顔を浮かべた。きっと楽しんでもらえたのだろう。
「瑠魅、あのキーホルダー、お揃いで買わない?」
「えっ?」
「良いかな?もちろん俺が買うからさ」
瑠魅の寂しそうな顔を見て、俺は反射的に目に映ったキーホルダーを指差していた。時間はあまりないけど、ある程度の余裕はある。
「うん、もちろんだよ。ありがとう、蓮翔」
「じゃあ、俺買ってくるよ」
初めはあまり好きじゃなかったが、今はお前のことが大好きだぞ。ありがとうな、ブサカワウサギ!
俺はそう思いながらかそのブサカワウサギがプリントアウトされたキーホルダーを手にレジへと向かった。
「良いんじゃないか?似合ってるよ」
まさか俺が女子のファッションショーを見ることが出来るなんてな。アニメで見ている分には色々と言えるが、実際に直面すると精神的に厳しいものがあるな。
まぁ、色んな服を着た瑠魅を見れるってだけでもプラスしかないけど。
「これなんてどうかな?」
「良いと思うよ。さっきよりも瑠魅にマッチした色合いだし」
美人が着るとほんとに何でも似合うな。服に興味のない俺でも分かるくらいにはオシャレだ。
こういう買い物なら何時間でも付き合えそうだ。まぁ、女性用の服コーナーだから瑠魅が着替えている時は気まずく感じるけど。
「じゃあ、これはどうかな?」
「おぉ、よく似合ってるよ」
「そう?ありがとう」
さっき色々と見させてもらったけど、これが一番似合ってる。瑠魅はやっぱり落ち着いた色合いの服が似合うな。
「じゃあ、次はどこ行こっか?」
「………買わないのか?」
カゴに入れた服を丁寧に戻す瑠魅。俺としては一着ぐらいは買うと思っていたから疑問しかない。
「…………うん。買っても直ぐに要らなくなるでしょ?」
「っ…………」
そう言って微笑む瑠魅はとても寂しそうだった。その瞳が孕んだ哀愁に俺は胸が締め付けられた。
「今でも沢山洋服はあるし、無駄遣いはしたくないんだ」
「………良いじゃないか。これは無駄遣いじゃないんだからさ」
「……えっ?」
何か言おうとして、無意識に口が動いていた。頭では何が言いたいのかさっぱり理解出来ていない。それでも俺の心が必死に口を動かす。
「このお金はさ、瑠魅が楽しく過ごせるようにって………遺したんだろ?使わない方が悪いよ」
「……………」
こんな空気にするなんて……なんで今神太さんの話をしたんだよ。せっかくのデートなのに。俺が買うっていえば良かっただけなのに……!
「……ありがと。私、この服買ってくるね」
「………えっ?」
「ちょっと待ってて」
そう言って瑠魅は最後に来ていた服を手にレジへと向かって行った。
どんな心境の変化かは分からないけど、瑠魅の表情は明るかった。少なくとも、あの言葉は間違っていなかった、そう思う。
「ふぅ………まぁ良かった、のかな」
~~~~
「これ、可愛いね」
「……そう、だな。まぁ、モチーフはウサギだろうし……な」
なんだろうか……この何とも言えないウサギのぬいぐるみは。これがいわゆるブサカワってやつなのか?俺には分からない世界だ。
まぁ、瑠魅の楽しそうな横顔は可愛いし、こんなにはしゃぐ瑠魅は珍しいし、間接的に可愛いと言うことにしておこう。
「っと、そろそろ時間だな。駅に向かわないと」
「もう?そっか……」
そう言って寂しそうな顔を浮かべた。きっと楽しんでもらえたのだろう。
「瑠魅、あのキーホルダー、お揃いで買わない?」
「えっ?」
「良いかな?もちろん俺が買うからさ」
瑠魅の寂しそうな顔を見て、俺は反射的に目に映ったキーホルダーを指差していた。時間はあまりないけど、ある程度の余裕はある。
「うん、もちろんだよ。ありがとう、蓮翔」
「じゃあ、俺買ってくるよ」
初めはあまり好きじゃなかったが、今はお前のことが大好きだぞ。ありがとうな、ブサカワウサギ!
俺はそう思いながらかそのブサカワウサギがプリントアウトされたキーホルダーを手にレジへと向かった。
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