余命1年の君に恋をした

パチ朗斗

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78話 結論

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「あぁ……マジで暑いな」

  時間が経つのは早いもので、夏休みが開けて既に二週間が経った。九月に入ったし、少しは気温も落ち着くかと思ったが、そんな事はないみたいで、八月の時よりはマシになったなって言う程度。

「蓮くん、おはよっ!」

「あぁ、おはよう、那乃」

  あの日以来、何故か那乃との距離が近くなったように感じる。最近は二人で帰ることも増えたし、学校で一緒に居る時間も増えた。

  相対的に瑠魅との距離が物理的にも精神的にも遠のいた気がしてならない。

  家では会話はするが前ほど話さなくなった気がする。那乃との絡みも減っているように思うし、意図的に避けられているように感じる。

  勇気が出なくて本人には聞けていないけど、たぶん思った答えは返っては来ないだろう。

「蓮くん、放課後にあそこ行こうよ、あそこっ!」

「あそこってどこだよ」

「えぇとね、ほら、駅前のさ!」

「あぁ。夏休みの時にできたカフェのこと?」

「うん。前は行けなかったし、今日行かない?」

「俺は良いけど……他の人と行った方が楽しいんじゃないか?」

「そうかな?でも、わたしは蓮くんと行きたいな」

  どうしてこうなったんだろうか。あの時、俺の寿命が残りわずかだと言うことを話してしまったからだろうか、それとも、那乃を拒絶出来ずにズルズルと来てしまったからだろうか……。

「すまん、今日はちょっと用事があるんだ。明日でも良いか?」

「そうなんだね。じゃあまた明日誘うね」

「あぁ。そうしてくれるとありがたい」

  那乃の去っていく背中を眺めながらも、俺は視界の端に映る瑠魅に意識を向けていた。

  もし、那乃の事が好きかと聞かれれば、俺は迷うことなくイエスと答えられるだろう。

  じゃあ、瑠魅はどうだろうか?たぶん、こっちもイエスと即答する。

  でも、二人に向ける俺の感情はどうも何かが違う。那乃に向ける感情は海斗たちに向けるものと近い。一緒にいて楽しいし、変に気を使う必要もないから気も楽だ。

  でも、瑠魅に向ける感情はかなり違うと思う。瑠魅と一緒に居ると特別楽しいと思うことは少ない。でも、他の人と一緒に居る時には得られない安心感のようなものを感じて落ち着く。

  瑠魅は俺よりも色んな事が出来る。それでもなんでか守ってあげないとって思う。

  俺は今まで恋なんてした事ないから分からないけど、たぶん海斗たちと似たような感情を向けるという事は、俺にとって那乃は良き友人……つまり、俺の好きは友情なのでは無いかと思う。

  反対に他の誰とも違う感情を向ける瑠魅は俺にとって特別な存在……つまり、この感情こそが恋なんじゃないかと思う。
 
  だとしたら、やはりこんな関係をズルズルと引っ張るなんて事はしたくない。

  今日、瑠魅と話そう。そして那乃との距離感も前までのように適度なものにする。

  そして、下準備をした上で俺は瑠魅に思いの丈を打ち明ける。残り短い人生で、やれることはやっておきたい。

「……大丈夫。俺ならやれる」

~~~~~~~~~~~~~~

  なんだか、思っていたよりもシリアス気味でした……。もっと恋愛!って雰囲気で話を進めたいんですけどね……。

  実はかなり急で申し訳ないのですが、近々(と言っても更新頻度的にまだ先の話ですが)最終話になるかなと思います。

  自分としてはもっとスッキリさせたいと思う所もあるのですが、これ以上引っ張り続けても自分の思い描く作品は出来ないと思い、このような決断をしました。

  突然の報告となり申し訳ございません。

  拙い部分多々あると思いますが、良ければぜひ、最後まで読んでいただけると幸いです!これからも作品共々よろしくお願いいたします!
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