80 / 91
78話 結論
しおりを挟む
「あぁ……マジで暑いな」
時間が経つのは早いもので、夏休みが開けて既に二週間が経った。九月に入ったし、少しは気温も落ち着くかと思ったが、そんな事はないみたいで、八月の時よりはマシになったなって言う程度。
「蓮くん、おはよっ!」
「あぁ、おはよう、那乃」
あの日以来、何故か那乃との距離が近くなったように感じる。最近は二人で帰ることも増えたし、学校で一緒に居る時間も増えた。
相対的に瑠魅との距離が物理的にも精神的にも遠のいた気がしてならない。
家では会話はするが前ほど話さなくなった気がする。那乃との絡みも減っているように思うし、意図的に避けられているように感じる。
勇気が出なくて本人には聞けていないけど、たぶん思った答えは返っては来ないだろう。
「蓮くん、放課後にあそこ行こうよ、あそこっ!」
「あそこってどこだよ」
「えぇとね、ほら、駅前のさ!」
「あぁ。夏休みの時にできたカフェのこと?」
「うん。前は行けなかったし、今日行かない?」
「俺は良いけど……他の人と行った方が楽しいんじゃないか?」
「そうかな?でも、わたしは蓮くんと行きたいな」
どうしてこうなったんだろうか。あの時、俺の寿命が残りわずかだと言うことを話してしまったからだろうか、それとも、那乃を拒絶出来ずにズルズルと来てしまったからだろうか……。
「すまん、今日はちょっと用事があるんだ。明日でも良いか?」
「そうなんだね。じゃあまた明日誘うね」
「あぁ。そうしてくれるとありがたい」
那乃の去っていく背中を眺めながらも、俺は視界の端に映る瑠魅に意識を向けていた。
もし、那乃の事が好きかと聞かれれば、俺は迷うことなくイエスと答えられるだろう。
じゃあ、瑠魅はどうだろうか?たぶん、こっちもイエスと即答する。
でも、二人に向ける俺の感情はどうも何かが違う。那乃に向ける感情は海斗たちに向けるものと近い。一緒にいて楽しいし、変に気を使う必要もないから気も楽だ。
でも、瑠魅に向ける感情はかなり違うと思う。瑠魅と一緒に居ると特別楽しいと思うことは少ない。でも、他の人と一緒に居る時には得られない安心感のようなものを感じて落ち着く。
瑠魅は俺よりも色んな事が出来る。それでもなんでか守ってあげないとって思う。
俺は今まで恋なんてした事ないから分からないけど、たぶん海斗たちと似たような感情を向けるという事は、俺にとって那乃は良き友人……つまり、俺の好きは友情なのでは無いかと思う。
反対に他の誰とも違う感情を向ける瑠魅は俺にとって特別な存在……つまり、この感情こそが恋なんじゃないかと思う。
だとしたら、やはりこんな関係をズルズルと引っ張るなんて事はしたくない。
今日、瑠魅と話そう。そして那乃との距離感も前までのように適度なものにする。
そして、下準備をした上で俺は瑠魅に思いの丈を打ち明ける。残り短い人生で、やれることはやっておきたい。
「……大丈夫。俺ならやれる」
~~~~~~~~~~~~~~
なんだか、思っていたよりもシリアス気味でした……。もっと恋愛!って雰囲気で話を進めたいんですけどね……。
実はかなり急で申し訳ないのですが、近々(と言っても更新頻度的にまだ先の話ですが)最終話になるかなと思います。
自分としてはもっとスッキリさせたいと思う所もあるのですが、これ以上引っ張り続けても自分の思い描く作品は出来ないと思い、このような決断をしました。
突然の報告となり申し訳ございません。
拙い部分多々あると思いますが、良ければぜひ、最後まで読んでいただけると幸いです!これからも作品共々よろしくお願いいたします!
時間が経つのは早いもので、夏休みが開けて既に二週間が経った。九月に入ったし、少しは気温も落ち着くかと思ったが、そんな事はないみたいで、八月の時よりはマシになったなって言う程度。
「蓮くん、おはよっ!」
「あぁ、おはよう、那乃」
あの日以来、何故か那乃との距離が近くなったように感じる。最近は二人で帰ることも増えたし、学校で一緒に居る時間も増えた。
相対的に瑠魅との距離が物理的にも精神的にも遠のいた気がしてならない。
家では会話はするが前ほど話さなくなった気がする。那乃との絡みも減っているように思うし、意図的に避けられているように感じる。
勇気が出なくて本人には聞けていないけど、たぶん思った答えは返っては来ないだろう。
「蓮くん、放課後にあそこ行こうよ、あそこっ!」
「あそこってどこだよ」
「えぇとね、ほら、駅前のさ!」
「あぁ。夏休みの時にできたカフェのこと?」
「うん。前は行けなかったし、今日行かない?」
「俺は良いけど……他の人と行った方が楽しいんじゃないか?」
「そうかな?でも、わたしは蓮くんと行きたいな」
どうしてこうなったんだろうか。あの時、俺の寿命が残りわずかだと言うことを話してしまったからだろうか、それとも、那乃を拒絶出来ずにズルズルと来てしまったからだろうか……。
「すまん、今日はちょっと用事があるんだ。明日でも良いか?」
「そうなんだね。じゃあまた明日誘うね」
「あぁ。そうしてくれるとありがたい」
那乃の去っていく背中を眺めながらも、俺は視界の端に映る瑠魅に意識を向けていた。
もし、那乃の事が好きかと聞かれれば、俺は迷うことなくイエスと答えられるだろう。
じゃあ、瑠魅はどうだろうか?たぶん、こっちもイエスと即答する。
でも、二人に向ける俺の感情はどうも何かが違う。那乃に向ける感情は海斗たちに向けるものと近い。一緒にいて楽しいし、変に気を使う必要もないから気も楽だ。
でも、瑠魅に向ける感情はかなり違うと思う。瑠魅と一緒に居ると特別楽しいと思うことは少ない。でも、他の人と一緒に居る時には得られない安心感のようなものを感じて落ち着く。
瑠魅は俺よりも色んな事が出来る。それでもなんでか守ってあげないとって思う。
俺は今まで恋なんてした事ないから分からないけど、たぶん海斗たちと似たような感情を向けるという事は、俺にとって那乃は良き友人……つまり、俺の好きは友情なのでは無いかと思う。
反対に他の誰とも違う感情を向ける瑠魅は俺にとって特別な存在……つまり、この感情こそが恋なんじゃないかと思う。
だとしたら、やはりこんな関係をズルズルと引っ張るなんて事はしたくない。
今日、瑠魅と話そう。そして那乃との距離感も前までのように適度なものにする。
そして、下準備をした上で俺は瑠魅に思いの丈を打ち明ける。残り短い人生で、やれることはやっておきたい。
「……大丈夫。俺ならやれる」
~~~~~~~~~~~~~~
なんだか、思っていたよりもシリアス気味でした……。もっと恋愛!って雰囲気で話を進めたいんですけどね……。
実はかなり急で申し訳ないのですが、近々(と言っても更新頻度的にまだ先の話ですが)最終話になるかなと思います。
自分としてはもっとスッキリさせたいと思う所もあるのですが、これ以上引っ張り続けても自分の思い描く作品は出来ないと思い、このような決断をしました。
突然の報告となり申し訳ございません。
拙い部分多々あると思いますが、良ければぜひ、最後まで読んでいただけると幸いです!これからも作品共々よろしくお願いいたします!
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~
深冬 芽以
恋愛
交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。
2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。
愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。
「その時計、気に入ってるのね」
「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」
『お揃いで』ね?
夫は知らない。
私が知っていることを。
結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?
私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?
今も私を好きですか?
後悔していませんか?
私は今もあなたが好きです。
だから、ずっと、後悔しているの……。
妻になり、強くなった。
母になり、逞しくなった。
だけど、傷つかないわけじゃない。
拝啓、愛しの侯爵様~行き遅れ令嬢ですが、運命の人は案外近くにいたようです~
藤原ライラ
ファンタジー
心を奪われた手紙の先には、運命の人が待っていた――
子爵令嬢のキャロラインは、両親を早くに亡くし、年の離れた弟の面倒を見ているうちにすっかり婚期を逃しつつあった。夜会でも誰からも相手にされない彼女は、新しい出会いを求めて文通を始めることに。届いた美しい字で洗練された内容の手紙に、相手はきっとうんと年上の素敵なおじ様のはずだとキャロラインは予想する。
彼とのやり取りにときめく毎日だがそれに難癖をつける者がいた。幼馴染で侯爵家の嫡男、クリストファーである。
「理想の相手なんかに巡り合えるわけないだろう。現実を見た方がいい」
四つ年下の彼はいつも辛辣で彼女には冷たい。
そんな時キャロラインは、夜会で想像した文通相手とそっくりな人物に出会ってしまう……。
文通相手の正体は一体誰なのか。そしてキャロラインの恋の行方は!?
じれじれ両片思いです。
※他サイトでも掲載しています。
イラスト:ひろ様(https://xfolio.jp/portfolio/hiro_foxtail)

もう長くは生きられないので好きに行動したら、大好きな公爵令息に溺愛されました
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユリアは、8歳の時に両親を亡くして以降、叔父に引き取られたものの、厄介者として虐げられて生きてきた。さらにこの世界では命を削る魔法と言われている、治癒魔法も長年強要され続けてきた。
そのせいで体はボロボロ、髪も真っ白になり、老婆の様な見た目になってしまったユリア。家の外にも出してもらえず、メイド以下の生活を強いられてきた。まさに、この世の地獄を味わっているユリアだが、“どんな時でも笑顔を忘れないで”という亡き母の言葉を胸に、どんなに辛くても笑顔を絶やすことはない。
そんな辛い生活の中、15歳になったユリアは貴族学院に入学する日を心待ちにしていた。なぜなら、昔自分を助けてくれた公爵令息、ブラックに会えるからだ。
「どうせもう私は長くは生きられない。それなら、ブラック様との思い出を作りたい」
そんな思いで、意気揚々と貴族学院の入学式に向かったユリア。そこで久しぶりに、ブラックとの再会を果たした。相変わらず自分に優しくしてくれるブラックに、ユリアはどんどん惹かれていく。
かつての友人達とも再開し、楽しい学院生活をスタートさせたかのように見えたのだが…
※虐げられてきたユリアが、幸せを掴むまでのお話しです。
ザ・王道シンデレラストーリーが書きたくて書いてみました。
よろしくお願いしますm(__)m
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる