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62話 進展 2
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「あ、もしもし、那乃か?」
『蓮くん?どうしたの?』
「亮の件で頼みたいことがあるんだけど」
『……あぁ、なるほどね。分かったよ。どこに集まる?』
この感じ、那乃は今のだけでわかったのだろうか?
まぁ、那乃ならちゃんと確認してくるだろうし、最終的にこっちから言えば食い違いも無くなるからだろうから、今は話を進めるか。
「三つ隣の町の駅前のとこで良いか?」
『良いよ。というか、もしかして映画見てたの?』
「うん。時間があれば那乃もなにか見る?」
『わたしはどうせ暇になるだろうし、映画でも見てよっかな。蓮くんも付き合ってね』
「まぁ、そのぐらいならな」
どうやら、那乃は全てお見通しみたいだ。昔から言葉にしなくても那乃は理解してくれることが多かった。
「うん。じゃあまた」
『うん。あ、あと瑠魅ちゃんも連れて行って良い?』
「お、良いな。出来るなら連れてきてくれる?」
とりあえず、この感じなら遊び自体はできそうだ。あとは亮と冬華次第。
「どうだった?」
スマホをポケットに突っ込むと、後ろから亮が不安そうな顔をしながら俺の顔を覗いてきた。
まったく、いつもは明るいのに、こういう場面では弱いんだがら。
「大丈夫だってよ。集合場所は駅だから早速向かおう」
「うん、ありがとね。じゃ、行こう!」
少し緊張してはいるけど、亮はもう大丈夫そうだな。あとはあの海斗と陽斗の二人だけ。
と言ってもコレはあくまで俺からのお願いだ。
俺は二人の方へ歩いていき、ニヒリと笑って見せた。
「さすが蓮だな。あんな簡単に遊びの約束をしちまうなんてな」
「そうでも無いよ。ところで陽斗は那乃のこと好きだよな?」
「うぇっ!?きゅ、急になんだよ?」
あぁ……そうか、そうだな。たしかに陽斗からすれば急な話ってなるか。
俺の中ではもう決めてた事だし、ずっと前から考えてたことだったからな。だけど、この反応なら、俺の心配は杞憂で済みそうだ。
「てか、ずっと気になってたけどよ、蓮っていつから那乃って呼ぶようになったんだ?前まで姫乃だったじゃん」
「あれ……?そういえば、たしかにそうだな」
那乃の反応もいつもと変わらなかったし、何よりも自然に出てたから違和感なんてなかった。
おっと、このままだと陽斗の思うつぼだな。陽斗も焦ってるんだろうな、話題の逸らし方が少し雑になってる。
「で、好きなんだろ?」
「うぐ……さすがに逸らせないか」
「本当のことを言えば、俺も相応の対応をしようと思ってるよ」
やっぱり、物語ってのはハッピーエンドが一番良いからな。亮も冬華も、陽斗も那乃も、それぞれ幸せになって欲しい。
海斗は……たぶん好きな人いないだろうし、居ても那乃か瑠魅。幸せには程遠いし、自力でどうにかしてもらおう。
俺の物語なんて、どうせ来年の春には完結するんだ。その時点でみんなハッピーならそれで満足。それ以上のものを望むのは傲慢だろうな。
「ま、まぁ……でも、諦めはついてるさ」
「諦め?陽斗がか?海斗ならまだしも」
「おい、なんでここで俺なんだよ」
「だってさ、姫乃って明らかに蓮のこと好きじゃん?あんなん見てたら諦めもつくってもんだ」
そんなに露骨だったか?陽斗は女子との交流もかなりあるし、友情と愛情の境目はちゃんとついてるはず。
いや、だからこそ那乃が俺に向けるものが恋愛的なものだとわかったのか?
俺が鈍感だった可能性も無くはないが……俺自身ではそう感じないしな。
「まぁ、実際その通りだろうな。蓮と姫乃は友達って感じの距離感じゃない」
「で、それだけを知りたかったわけじゃないだろ?」
陽斗ならてっきり避けるかと思ったが、自ら話を戻すとは。どうやら、陽斗も俺の相応の対応ってのが気になるみたいだ。
「姫乃と二人で映画でも見てこいよ。俺は適当に理由つけて──」
「何がしたいんだ?」
「お、おい。陽斗、なに急にドスきかせた声出すんだよ」
今のは地雷だったか?いや、そんなはずは無いだろ。陽斗にとってもこれは良い機会……。
「いや、陽斗。俺は別にお前と那乃を付き合わせようとしてるワケじゃない」
まぁ、五割はその気だけど。まぁ、半分は本当に付き合わせるのが目的じゃない。
陽斗には俺たちが居なくなったあとの精神ケアを任せたいだけだ。陽斗はその面においても信頼してるし、弱みに付け込んでどうこうする人間じゃない。
「あわよくば二人が付き合えば良いと思ってる。でも、それが叶わなかったとしても、二人が親友みたいになって欲しい……ただそれだけだ」
「…………」
「………そこに俺はいないの?」
「………海斗もな」
まだ納得いってなさそう顔をしてるけど、今はまだそれで良い。心の整理は陽斗自身がするものだ。
「シンミリさせちゃったな。ほら、行こうぜ」
『蓮くん?どうしたの?』
「亮の件で頼みたいことがあるんだけど」
『……あぁ、なるほどね。分かったよ。どこに集まる?』
この感じ、那乃は今のだけでわかったのだろうか?
まぁ、那乃ならちゃんと確認してくるだろうし、最終的にこっちから言えば食い違いも無くなるからだろうから、今は話を進めるか。
「三つ隣の町の駅前のとこで良いか?」
『良いよ。というか、もしかして映画見てたの?』
「うん。時間があれば那乃もなにか見る?」
『わたしはどうせ暇になるだろうし、映画でも見てよっかな。蓮くんも付き合ってね』
「まぁ、そのぐらいならな」
どうやら、那乃は全てお見通しみたいだ。昔から言葉にしなくても那乃は理解してくれることが多かった。
「うん。じゃあまた」
『うん。あ、あと瑠魅ちゃんも連れて行って良い?』
「お、良いな。出来るなら連れてきてくれる?」
とりあえず、この感じなら遊び自体はできそうだ。あとは亮と冬華次第。
「どうだった?」
スマホをポケットに突っ込むと、後ろから亮が不安そうな顔をしながら俺の顔を覗いてきた。
まったく、いつもは明るいのに、こういう場面では弱いんだがら。
「大丈夫だってよ。集合場所は駅だから早速向かおう」
「うん、ありがとね。じゃ、行こう!」
少し緊張してはいるけど、亮はもう大丈夫そうだな。あとはあの海斗と陽斗の二人だけ。
と言ってもコレはあくまで俺からのお願いだ。
俺は二人の方へ歩いていき、ニヒリと笑って見せた。
「さすが蓮だな。あんな簡単に遊びの約束をしちまうなんてな」
「そうでも無いよ。ところで陽斗は那乃のこと好きだよな?」
「うぇっ!?きゅ、急になんだよ?」
あぁ……そうか、そうだな。たしかに陽斗からすれば急な話ってなるか。
俺の中ではもう決めてた事だし、ずっと前から考えてたことだったからな。だけど、この反応なら、俺の心配は杞憂で済みそうだ。
「てか、ずっと気になってたけどよ、蓮っていつから那乃って呼ぶようになったんだ?前まで姫乃だったじゃん」
「あれ……?そういえば、たしかにそうだな」
那乃の反応もいつもと変わらなかったし、何よりも自然に出てたから違和感なんてなかった。
おっと、このままだと陽斗の思うつぼだな。陽斗も焦ってるんだろうな、話題の逸らし方が少し雑になってる。
「で、好きなんだろ?」
「うぐ……さすがに逸らせないか」
「本当のことを言えば、俺も相応の対応をしようと思ってるよ」
やっぱり、物語ってのはハッピーエンドが一番良いからな。亮も冬華も、陽斗も那乃も、それぞれ幸せになって欲しい。
海斗は……たぶん好きな人いないだろうし、居ても那乃か瑠魅。幸せには程遠いし、自力でどうにかしてもらおう。
俺の物語なんて、どうせ来年の春には完結するんだ。その時点でみんなハッピーならそれで満足。それ以上のものを望むのは傲慢だろうな。
「ま、まぁ……でも、諦めはついてるさ」
「諦め?陽斗がか?海斗ならまだしも」
「おい、なんでここで俺なんだよ」
「だってさ、姫乃って明らかに蓮のこと好きじゃん?あんなん見てたら諦めもつくってもんだ」
そんなに露骨だったか?陽斗は女子との交流もかなりあるし、友情と愛情の境目はちゃんとついてるはず。
いや、だからこそ那乃が俺に向けるものが恋愛的なものだとわかったのか?
俺が鈍感だった可能性も無くはないが……俺自身ではそう感じないしな。
「まぁ、実際その通りだろうな。蓮と姫乃は友達って感じの距離感じゃない」
「で、それだけを知りたかったわけじゃないだろ?」
陽斗ならてっきり避けるかと思ったが、自ら話を戻すとは。どうやら、陽斗も俺の相応の対応ってのが気になるみたいだ。
「姫乃と二人で映画でも見てこいよ。俺は適当に理由つけて──」
「何がしたいんだ?」
「お、おい。陽斗、なに急にドスきかせた声出すんだよ」
今のは地雷だったか?いや、そんなはずは無いだろ。陽斗にとってもこれは良い機会……。
「いや、陽斗。俺は別にお前と那乃を付き合わせようとしてるワケじゃない」
まぁ、五割はその気だけど。まぁ、半分は本当に付き合わせるのが目的じゃない。
陽斗には俺たちが居なくなったあとの精神ケアを任せたいだけだ。陽斗はその面においても信頼してるし、弱みに付け込んでどうこうする人間じゃない。
「あわよくば二人が付き合えば良いと思ってる。でも、それが叶わなかったとしても、二人が親友みたいになって欲しい……ただそれだけだ」
「…………」
「………そこに俺はいないの?」
「………海斗もな」
まだ納得いってなさそう顔をしてるけど、今はまだそれで良い。心の整理は陽斗自身がするものだ。
「シンミリさせちゃったな。ほら、行こうぜ」
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