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51話 悪い話
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「どうだったよ?俺はかなりの出来だったぜ」
今日はテスト最終日。俺は初日から抱えていた違和感を今もなお感じていた。一日だけならマグレで済む。だが、この四日間そのマグレが続いた。
考えすぎかもしれない。だが、十二教科全てで分からない問題が一つもなかった、あまつさえ指が止まることすらなかった、なんて有り得ない。偶々得意分野だけが出る、そんな事があるのか?
「おーい?」
一切勉強をしていない教科もあった。どういうことなんだ?今回は勉強をいつも以上に頑張ったと自負している。が、ここまで来るとかえって不気味だ。
「なぁ?おい?どしたぁ?」
原因はやはり、アレか?でも、病院に行っても異常無しだった。あれ以来頭痛も記憶が飛んだような現象も起きていないから良いが、何かの前触れかもと思ってしまう。
「大丈夫か?」
「うおぉッ!?」
「おぉ!?びっくりしたな」
「こっちのセリフだわ。いったい何時からそこに立ってたんだよ?」
心臓が止まるかと思ったぞ!?急に肩叩かれたこっちの気持ち、どうせ分からねぇんだろ?!めっちゃ心臓に悪いからな!?
「心臓が止まるかと思ったぞ?」
「そん時は俺に任せろ。俺、心臓マッサージやってみたいんだよ」
「そんな不純な理由でマッサージ受けたくねぇよ」
「なぁ、蓮翔」
俺は海斗から発せられた声に堪らず顔を上げて海斗の顔を見た。
海斗がこんな真面目な声色で俺の名前を呼ぶなんて久々で、驚きと条件反射から勝手に視線は動いていた。
「今日、二人で帰らないか?」
「ん?まぁ、それは良いが……なんで?」
「大事な話があんだよ」
「そう、か。わかった」
「亮と陽斗には俺から言っておく」
「じゃあ、俺は昇降口で待ってるわ」
海斗はそれだけ言って教室から出て行った。たぶん、二人のところへ行ったんだろう。
俺も昇降口に行くか。
~~~~
「よっ」
「思ったより早かったな」
「そうか?まぁ、行こうぜ」
「あぁ」
大事な話、か。見当は特についていないな。強いて言えば海斗と俺の脳が入れ替わってる、とかかな?いや、さすがにこれは現実味は無さすぎだな。
「んで、話って?」
「良い話が一つ、悪い話が三つだ」
「最悪の比率だな。てか、悪い話三つは多いな」
悪い話と言っても必ず俺から見て悪い話、という訳じゃないだろ。多少の関連はあるだろうけど……。
「悪い話から聞きたいな」
「蓮翔に選択肢はやらないぞ?」
「いや、そういうのって普通俺に選択する権利あるよな?」
「俺、聞いてねぇから無効だ」
「なんだよ、それ」
この調子ならそこまで悪い話ってわけでも無さそうだな。
もしかしたら、これが狙いだったのか?もしそうなら、とんだ策士だな。
「まぁ、悪い話からするとな……一つ目は、亮が明日冬華に告るってヤツだな」
「はっ!?まじ?!」
「シッ!これは亮から聞いたからマジだ。ただ、言いふらすなよ?」
「そりゃもちろん……でも、それのどこが悪い話なんだ?」
友達に彼女ができるんだから良い話だよな?海斗は友達の幸福は自分の事のように喜ぶヤツ、だった。
「考えてもみろ、俺らのグループからリア充を出しちまったんだ」
「いや、なんで仲間内から犯罪者が出たみたいな雰囲気出すんだよ。普通に喜ぼうぜ?」
「はぁ……そうか、そういやお前もあっち側だもんな」
「もしかして、寂しいのか?」
「……そりゃ、まぁな。アイツなら冬華を悲しませることもないだろうし」
「それ、誰視点よ」
成功するって決まった訳じゃないが、何となく成功するって気はする。
俺の方が何様だって感じだな。
「んで、二つ目な。福田がお前のことを相当に嫌ってるらしいんだわ」
「………なるほど」
「驚かないのか?」
「思い当たる節があるからな」
やっぱり話し合いの時に向けられたあの視線は気のせいじゃなかったみたいだな。
でも、嫌われる理由はサッパリだな。関わった経験なんて業務以外では皆無に等しいのに。
「どうやら、福田は姫乃の事が好きらしくってな。簡単に言えば嫉妬だな」
「嫉妬、ねぇ……それにしては違和感があるんだが」
「それな。さすがに嫉妬でお前をイジメようなんて考えるのはおかしいよな」
「え?俺虐められかけてんの?」
え……マジ?そんな重罪を犯した気はしないんだが?てか、嫉妬でそこまでやるかな?やるんだろうな、きっと。
えぇ、てかあんなに爽やかな笑顔の下にそんな憎悪があるとか、もはや二重人格だろ。
「そそ。それが三つ目だな。多分、嫉妬以外にもあるだろうが……お前、瑠魅ちゃんとも仲良いだろ?」
「ん?まぁ、良いと思うけど」
「それも気に食わないんじゃねぇか?俺も蓮翔と接点が少なかったら多分、ボコる」
「お前は一々過激すぎだろ」
嫉妬で虐められるのはさすがに嫌だぞ。もっと真っ当な理由ならまだしもな。まぁ、どちらにしても嫌だけど。
「でも………嫉妬が理由なら解決出来るかもしれないな」
「マジで?」
「あ、いや……今のは忘れてくれ。こんな事思いつく自分に嫌悪するぐらいだ」
「お前……少年院に行く、とか考えんなよ?」
「暴力でどうこうってわけじゃないからな?」
あの事が脳裏にパッと出てくるあたり、俺は相当なクズだな。最悪にも程がある。自分のために他者を陥れるなんてな。こんな人間にはなるまいと思ってたんだが。
まさか、姫乃を邪魔者として見ちまってる自分が居るなんて……俺はとんだクズだな。
今日はテスト最終日。俺は初日から抱えていた違和感を今もなお感じていた。一日だけならマグレで済む。だが、この四日間そのマグレが続いた。
考えすぎかもしれない。だが、十二教科全てで分からない問題が一つもなかった、あまつさえ指が止まることすらなかった、なんて有り得ない。偶々得意分野だけが出る、そんな事があるのか?
「おーい?」
一切勉強をしていない教科もあった。どういうことなんだ?今回は勉強をいつも以上に頑張ったと自負している。が、ここまで来るとかえって不気味だ。
「なぁ?おい?どしたぁ?」
原因はやはり、アレか?でも、病院に行っても異常無しだった。あれ以来頭痛も記憶が飛んだような現象も起きていないから良いが、何かの前触れかもと思ってしまう。
「大丈夫か?」
「うおぉッ!?」
「おぉ!?びっくりしたな」
「こっちのセリフだわ。いったい何時からそこに立ってたんだよ?」
心臓が止まるかと思ったぞ!?急に肩叩かれたこっちの気持ち、どうせ分からねぇんだろ?!めっちゃ心臓に悪いからな!?
「心臓が止まるかと思ったぞ?」
「そん時は俺に任せろ。俺、心臓マッサージやってみたいんだよ」
「そんな不純な理由でマッサージ受けたくねぇよ」
「なぁ、蓮翔」
俺は海斗から発せられた声に堪らず顔を上げて海斗の顔を見た。
海斗がこんな真面目な声色で俺の名前を呼ぶなんて久々で、驚きと条件反射から勝手に視線は動いていた。
「今日、二人で帰らないか?」
「ん?まぁ、それは良いが……なんで?」
「大事な話があんだよ」
「そう、か。わかった」
「亮と陽斗には俺から言っておく」
「じゃあ、俺は昇降口で待ってるわ」
海斗はそれだけ言って教室から出て行った。たぶん、二人のところへ行ったんだろう。
俺も昇降口に行くか。
~~~~
「よっ」
「思ったより早かったな」
「そうか?まぁ、行こうぜ」
「あぁ」
大事な話、か。見当は特についていないな。強いて言えば海斗と俺の脳が入れ替わってる、とかかな?いや、さすがにこれは現実味は無さすぎだな。
「んで、話って?」
「良い話が一つ、悪い話が三つだ」
「最悪の比率だな。てか、悪い話三つは多いな」
悪い話と言っても必ず俺から見て悪い話、という訳じゃないだろ。多少の関連はあるだろうけど……。
「悪い話から聞きたいな」
「蓮翔に選択肢はやらないぞ?」
「いや、そういうのって普通俺に選択する権利あるよな?」
「俺、聞いてねぇから無効だ」
「なんだよ、それ」
この調子ならそこまで悪い話ってわけでも無さそうだな。
もしかしたら、これが狙いだったのか?もしそうなら、とんだ策士だな。
「まぁ、悪い話からするとな……一つ目は、亮が明日冬華に告るってヤツだな」
「はっ!?まじ?!」
「シッ!これは亮から聞いたからマジだ。ただ、言いふらすなよ?」
「そりゃもちろん……でも、それのどこが悪い話なんだ?」
友達に彼女ができるんだから良い話だよな?海斗は友達の幸福は自分の事のように喜ぶヤツ、だった。
「考えてもみろ、俺らのグループからリア充を出しちまったんだ」
「いや、なんで仲間内から犯罪者が出たみたいな雰囲気出すんだよ。普通に喜ぼうぜ?」
「はぁ……そうか、そういやお前もあっち側だもんな」
「もしかして、寂しいのか?」
「……そりゃ、まぁな。アイツなら冬華を悲しませることもないだろうし」
「それ、誰視点よ」
成功するって決まった訳じゃないが、何となく成功するって気はする。
俺の方が何様だって感じだな。
「んで、二つ目な。福田がお前のことを相当に嫌ってるらしいんだわ」
「………なるほど」
「驚かないのか?」
「思い当たる節があるからな」
やっぱり話し合いの時に向けられたあの視線は気のせいじゃなかったみたいだな。
でも、嫌われる理由はサッパリだな。関わった経験なんて業務以外では皆無に等しいのに。
「どうやら、福田は姫乃の事が好きらしくってな。簡単に言えば嫉妬だな」
「嫉妬、ねぇ……それにしては違和感があるんだが」
「それな。さすがに嫉妬でお前をイジメようなんて考えるのはおかしいよな」
「え?俺虐められかけてんの?」
え……マジ?そんな重罪を犯した気はしないんだが?てか、嫉妬でそこまでやるかな?やるんだろうな、きっと。
えぇ、てかあんなに爽やかな笑顔の下にそんな憎悪があるとか、もはや二重人格だろ。
「そそ。それが三つ目だな。多分、嫉妬以外にもあるだろうが……お前、瑠魅ちゃんとも仲良いだろ?」
「ん?まぁ、良いと思うけど」
「それも気に食わないんじゃねぇか?俺も蓮翔と接点が少なかったら多分、ボコる」
「お前は一々過激すぎだろ」
嫉妬で虐められるのはさすがに嫌だぞ。もっと真っ当な理由ならまだしもな。まぁ、どちらにしても嫌だけど。
「でも………嫉妬が理由なら解決出来るかもしれないな」
「マジで?」
「あ、いや……今のは忘れてくれ。こんな事思いつく自分に嫌悪するぐらいだ」
「お前……少年院に行く、とか考えんなよ?」
「暴力でどうこうってわけじゃないからな?」
あの事が脳裏にパッと出てくるあたり、俺は相当なクズだな。最悪にも程がある。自分のために他者を陥れるなんてな。こんな人間にはなるまいと思ってたんだが。
まさか、姫乃を邪魔者として見ちまってる自分が居るなんて……俺はとんだクズだな。
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