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44話 心の声 1
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~瑠魅視点~
なんで私はあんなことを言っちゃったんだろう……。
ずっと言わないつもりだったのに……。那乃ちゃんを見ていたらなんだか胸がざわついて、気付いたら言っていた、言ってしまっていた。
那乃ちゃんの事を考えるならあのタイミングで言うべきではなかったのに……。
「どこ、那乃ちゃん……」
~~~~
~姫乃視点~
「……………」
どうして……どうして……?
わたしには分からない。なんであんな事を聞かされたのかなんて。蓮君の反応を見たら分かる。アレは嘘なんかじゃなかった。
でも、こんな事……考えれば分かるよね。なんで転校してすぐに蓮君と仲良くなってたかなんて……そんなの、何かしたらの繋がりがとしか考えられないもん。
どこかで分かってたはずなのに、そのことを認めたくなくて……。
「あれ……?またなの……」
心が締め付けられるような感覚と同時に目から涙が零れて来た。
ここに来るまでにも沢山流して、もう枯れたと思ってたのに……わたしはまだこの事実を認めたくないみたい。
「あはは……なんかこれ、ダサいなぁ……」
気づくとわたしは涙を流しながら笑っていた。
わたしの奥手さがこんな状況を作り出したのに、それを瑠魅ちゃんのせいみたいに考えていた自分がとってもダサいと思った。あの場で逃げるという選択しか出来なかった自分の浅はかさがとってもダサいと思った。
「もういっそ……忘れさせてよ」
わたしにはもう何も残ってない。ここでうずくまってただひたすらに涙を流すことしか出来ない。
こんな状況でもわたしは蓮君が来るのを待ってる。来ないって分かってても、いつもの場所に来て、蓮君に見つけて欲しいって思ってる。
昔の蓮君はいつもわたしの傍にして私のことを考えていてくれた。隣にいて欲しい時はいつもそっと寄り添ってくれていた。
いつの間にかそれが当たり前で、これからもずっとそんな関係が続くと思ってた。
でも、結局蓮君は変わっちゃった。あの日を境に蓮君はわたしの傍から去って行った。居て欲しい時もそうでない時もわたしの隣はずっと空いていた。
この空席は他の誰も埋めてくれなくて……その事実を知って始めてわたしは蓮君のことが好きだと知った。
でも、蓮君にどんな風に接して良いのか分からなくて、結局ずっと友達として接してきた。もし、一言……たった一言でこの関係が終わるかもしれないと思うと、どうしてもあと一歩踏み出せなかった。
だから、この結果はそんな弱いわたしに対しての罰なんだと思う。
だからもう……蓮君は友達で……ただの幼なじみで……恋人にはなれない存在で……諦めないといけない人で……諦めないとわたしが辛くなって……わたしはもう耐えられない、この心の辛さに。
「……だから……分かってよ。もう諦めてよ……!」
頭ではそう分かってる。諦めなきゃって……でも、心がそれを否定している。
どんな言い訳を連ねても、それを頭で理解しようとしても、それを拒むように心が痛くなる。締め付けられて、苦しくて、やっぱり認めたくないって……受け入れたくないって強く思っちゃう。
「那乃ちゃん!」
「っ………瑠魅、ちゃん」
不意に声の聞こえた方に視線を向けると、神社の鳥居には自転車を跨っている瑠魅ちゃんの姿があった。
なんで私はあんなことを言っちゃったんだろう……。
ずっと言わないつもりだったのに……。那乃ちゃんを見ていたらなんだか胸がざわついて、気付いたら言っていた、言ってしまっていた。
那乃ちゃんの事を考えるならあのタイミングで言うべきではなかったのに……。
「どこ、那乃ちゃん……」
~~~~
~姫乃視点~
「……………」
どうして……どうして……?
わたしには分からない。なんであんな事を聞かされたのかなんて。蓮君の反応を見たら分かる。アレは嘘なんかじゃなかった。
でも、こんな事……考えれば分かるよね。なんで転校してすぐに蓮君と仲良くなってたかなんて……そんなの、何かしたらの繋がりがとしか考えられないもん。
どこかで分かってたはずなのに、そのことを認めたくなくて……。
「あれ……?またなの……」
心が締め付けられるような感覚と同時に目から涙が零れて来た。
ここに来るまでにも沢山流して、もう枯れたと思ってたのに……わたしはまだこの事実を認めたくないみたい。
「あはは……なんかこれ、ダサいなぁ……」
気づくとわたしは涙を流しながら笑っていた。
わたしの奥手さがこんな状況を作り出したのに、それを瑠魅ちゃんのせいみたいに考えていた自分がとってもダサいと思った。あの場で逃げるという選択しか出来なかった自分の浅はかさがとってもダサいと思った。
「もういっそ……忘れさせてよ」
わたしにはもう何も残ってない。ここでうずくまってただひたすらに涙を流すことしか出来ない。
こんな状況でもわたしは蓮君が来るのを待ってる。来ないって分かってても、いつもの場所に来て、蓮君に見つけて欲しいって思ってる。
昔の蓮君はいつもわたしの傍にして私のことを考えていてくれた。隣にいて欲しい時はいつもそっと寄り添ってくれていた。
いつの間にかそれが当たり前で、これからもずっとそんな関係が続くと思ってた。
でも、結局蓮君は変わっちゃった。あの日を境に蓮君はわたしの傍から去って行った。居て欲しい時もそうでない時もわたしの隣はずっと空いていた。
この空席は他の誰も埋めてくれなくて……その事実を知って始めてわたしは蓮君のことが好きだと知った。
でも、蓮君にどんな風に接して良いのか分からなくて、結局ずっと友達として接してきた。もし、一言……たった一言でこの関係が終わるかもしれないと思うと、どうしてもあと一歩踏み出せなかった。
だから、この結果はそんな弱いわたしに対しての罰なんだと思う。
だからもう……蓮君は友達で……ただの幼なじみで……恋人にはなれない存在で……諦めないといけない人で……諦めないとわたしが辛くなって……わたしはもう耐えられない、この心の辛さに。
「……だから……分かってよ。もう諦めてよ……!」
頭ではそう分かってる。諦めなきゃって……でも、心がそれを否定している。
どんな言い訳を連ねても、それを頭で理解しようとしても、それを拒むように心が痛くなる。締め付けられて、苦しくて、やっぱり認めたくないって……受け入れたくないって強く思っちゃう。
「那乃ちゃん!」
「っ………瑠魅、ちゃん」
不意に声の聞こえた方に視線を向けると、神社の鳥居には自転車を跨っている瑠魅ちゃんの姿があった。
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