余命1年の君に恋をした

パチ朗斗

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39話 勉強会開始

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「今日はよろしくね、蓮君、瑠魅ちゃん」

「まぁ、俺は基本的に教えることは無いだろうけどな」

  良かった。計画しておいてアレだが、なぜ瑠魅と姫乃だけなのか、なんて問われたアカツキには逃げ道が無くなるからな。今の感じならそれについて聞かれることは無さそうだ。

「よし。じゃあ、玄関で立ち話もなんだし上がってくれ」

  手筈通りに瑠魅と姫乃にはに家に来てもらった。やはり、最初から家に居るのと一緒に来るのとではかなり印象を変える事ができるだろうからな。

  やっぱり、不安要素は出来るだけ取り除きたいからな。

「にしても、瑠魅ちゃんとわたしだけって、かなり異色の組み合わせだよね」

「「……………」」

  リビングのドアに手をかけてリビングのドア開けてる最中に投下されたその爆弾言葉に俺も瑠魅も固まるしか無かった。

  まさか、こんな突拍子もなく言われるとは予想だにしてなかった。

「瑠魅って頭良いからな。それに、他の友達は忙しいからな」

  たぶん、忙しいだろう。知らんけどな。

「そうなんだね。まぁ、わたしとして嬉しいけどね」

  やはり、姫乃はみんなでワイワイやるよりも静かにやる方が好きなのかもな。

  いつも基本的に二人でやろうって言ってくるしな。

「じゃあ、サクッとやろうぜ」

「そうだね」

  さて、あとは穏便にこの勉強会を終わらせるだけだ。

  なんかこれだとイヤイヤ感があるな。俺としては喜ばしい状況のはずだ。可愛い系の姫乃と美人系の瑠魅。この状況は男子の憧れ、のはずなんだ。

「まず、何からやる?」

「なら、頭の良い瑠魅ちゃんの得意科目から教えもらお」

「ん……私は数学と理科が得意」

「「………マジ?」」

  ガッツリ理系だ。文系の俺とは対極か。姫乃に関しては、得意科目が五教科以外だし。

  バランスが良いのか悪いのか。

「うん。ただ、英語は苦手かも」

「「…………マジ?」」

  さっきから妙に姫乃と被る。でも、まさか上位圏内の瑠魅でも英語の点数が伸びないのか。まぁ、英語はしゃーない。俺ら日本人だしな。

「前回は何点だったの?」

「えっと……五十点だったよ」

  こ、これは悪夢かなにかなのか?五十点だと?有り得ないだろ。俺、英語でそんな点数見たことねぇ。

「な、なぁ。それは本気で言ってるのか?」

「うん。もう少し取れた気はするけど」

  俺らはテーブルに勉強道具を広げたまま少しの間無言になる。

「充分高ぇよ、瑠魅さんよ」

  有り得ねぇよな。あんな何言ってるか分からない問題を出されて五十点が低いだと?俺は高一の時から六十点以下。前回は海斗たちと勉強できなかったから、赤点いかなくて良かったと思ってるのに?

「そうだよ、瑠魅ちゃん。その点数なら自信もって良いと思うよ」

「そう、かな?」

「おう。とりあえず全員得意科目が違うからそれぞれの得意科目を順番にやっていこう。理系の瑠魅、実技の姫乃、文系の俺の順番でどうだ?実技科目も期末にはあるからな。まぁ、実技科目の結果は姫乃の独壇場になるだろうけど」

「姫乃ちゃんってそんなに実技科目が得意なの?」

「うん。まぁね。任せてもらって良いよ!」

  さて、衝撃的なものもあったが、ようやく勉強に手をつけられそうだ。

  今回の点数の結果次第で夏休みの課外の日数が増えるかどうかが掛かってる。今年は瑠魅もいるし、楽しみが沢山あるからなんとしてでも夏休みを勝ち取らねば!
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