余命1年の君に恋をした

パチ朗斗

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36話 姫野那乃

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~姫野那乃視点~

「はぁあ……」

「もぉ……ずっと溜息なんかついてどうしたの?」

  今は体育でソフトボールの時間。今はわたしの出番では無いから、影でひっそりとみんなの活躍を眺めていた。

  そんなことをしていると、友達の冬華が隣に座って不貞腐れてるような呆れてるみたいな感じで話しかけてきた。

「そぉ?そんなに溜息ついてなかったと思うけど」

  わたしは隣に座る冬華の顔をのぞき込みながらソッとそんな事を言う。

「那乃ってホントに可愛いなぁ!」

「え、えぇえ!?きゅ、急になに!?」

  わたしと向き合ってた冬華が急にわたしを抱きしめながらそんなことを言ってくる。

  本当に急だったからビックリしちゃった。それにちょっと恥ずかしい……けど嬉しいような気もする。

「い、一回落ち着いて、ね?」

  わたしは時間が経つにつれてこの状況が恥ずかしくなってきたので、冬華に言い聞かせるように囁いた。

「えぇ…まだ那乃成分がぁ……」

  ちょっと謎の事を言うも、抱きつくのを止めてくれた。名残惜しそうにシュンとしていたから、もうちょっとだけならと思ってしまう。

  でも、冬華は既にその事について吹っ切れたのか、いつも通りの感じでわたしに話しかけてきた。

「それで?まさか、まだ引きずってるわけじゃないよね、バレーの件」

「…………」

  わたしは図星を突かれて黙りこくることしか出来なかった。

  まさかこんなにも早く言い当てられるとは思ってもみなかったから、咄嗟に声が出なかったのもあるけど……。

「え、うそ?いくらなんでも引きずりすぎじゃない?」

「だって……仕方がないじゃん……今日はバレーだと思って、ウキウキで来たんだもん」

  わたしは体育座りして視線を下げながら独り言のように小さな声で言った。

「はぁ……那乃って本当に一途ね。そんなに蓮翔君のこと好きなの?」

「ッ……!!な、なんの事かなッ!?」

  わたしは勢いよく顔を持ち上げた。自分でもわかるほど顔が熱を持ってる。きっと、今のわたしはリンゴ顔負けの赤さをしてる。

「フフッ。ホントに那乃はわかりやすいね」

「もぉ……ホッておいてよ」

  わかりやすい、なんて言われた反抗心でこんな事を言っちゃった。ついでにそっぽ向いちゃったし。

  こんなんじゃダメだってことはわかってるんだけど。でも、それでもやっぱりムリ。はぁ……わたしも冬華みたいな余裕のある笑みを浮かべられる人生でありたかったよ……。

「ごめんって。さすがにイジリすぎちゃったね。今度蓮翔君と遊べる約束をしてきてあげるから許して?」

「……仕方がないなぁ。許したげる」

  自分でもわかるぐらいチョロい。でも、これは仕方がない。だって、最近の蓮君はなんでかわたしに構ってくれないし……。

  去年はあんなに仲良かったのに、今年に入ってから全く遊べてないの。

「まぁ、ホントに遊べるかは那乃次第だけど」

「えぇ……無責任だよぉ」

~~~~~~~~~~~~~~

  一話一話の更新が遅くて申し訳ございません。初めての小説という事で内容に行き詰まることが多く……。しかし、最終話まではしっかりと書く予定です。

  拙いところは沢山あると思いますが、是非最後まで読んでいただけると、嬉しいです。

  また、作者自身も内容をところどころ忘れており、『冬華』が『姫乃』に対してどんな呼び方だったのかをド忘れしました……。とりあえず、これからは『那乃』に固定します。また、姫乃の一人称を『わたし』にしました。 

  他に不明な点や誤字脱字、質問や感想等ございましたら気軽にコメントお願いします。
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