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27話 困惑
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「「…………」」
どのくらい経ったかなんて分からない。あの発言からずっと俺たちの間には無言が続く。
あの時のあの発言は咄嗟に出た言葉だった。あの後何を話すべきかなんて考えてもなかった。
状況は好転などせず、ずっと気まずい雰囲気だ。
だが、さっきのあの発言に対して後悔はない。あれは確かに俺の本心だったから。
俺は瑠魅に出してもらったお茶をすすり、口の中を潤した。
緊張して口の中が乾燥してまともに話せそうにない。
でも、お茶を飲んだはずなのに潤った気がしない。
だからまたお茶を飲む。ずっとこれの繰り返しだ。
そんな事を繰り返していれば、やがてこの空気を打破しないで済んでいた唯一の口実であったお茶も無くなった。
「……お茶、持ってくるね」
「あ、あぁ……ありがと」
今、あと一言……何か一言でも発せられれば会話が成立していた。
でも、俺にそんな勇気はなかった。喉まで来た言葉を俺はそのまま吐き出せずに飲み込んでしまう。
「蓮翔。来てくれてありがとね。ホントに嬉しかったよ」
「そっか。なら良かった」
キッチンで市販のお茶を注ぎながら、俺に気遣うように話しかけてきてくれた。
でも、結局そこで会話は止まってしまう。
段々罪悪感が湧いてきた。俺が来なければ瑠魅にこんなに気を遣わせることもなかったじゃないかって。
瑠魅のために来たのに、逆に瑠魅を困らせてしまっている。こんな自分が情けない。
「はい、どうぞ」
「あぁ、ありがと」
俺の前にお茶を出して、またさっきの位置に座る。
俺はゆっくりと息を吸う。これ以上は自分が耐えられない。
沢山吸った息を今度はゆっくりと吐いていく。
こうして大きな深呼吸を終えた俺は、お茶を一口飲んで口を開く。
「ごめんな、瑠魅。迷惑掛けちゃって」
やっと、やっと自分の意思で、自分の思った言葉を瑠魅に伝えられた。
「最初はビックリしたよ。電話越しの声とかなり違かったからね」
少しずつではあるが、いつもの調子に戻っていると自分でも分かる。
思った事をちゃんと言葉として瑠魅に伝えられている。
「だからさ……だからさ……」
言いたい事は沢山ある。だからなのか、言葉が纏まらない。どうすれば文章にできるのか、どうすればこの胸の内にある俺の感情を何も零すこと無く伝えられるのか。
色んなものがグチャグチャになった。だから、俺は一番伝えたいことだけを簡潔に言うことにした。
「いっぱい言いたいことはあるけどさ………瑠魅、無理しないでほしいなぁって。俺が言えることじゃないけどさ」
なんだか上から目線な物言いで、自分で言ってて偉そうだなって感じた。
「心配してくれてありがと、蓮翔。確かにちょっと無理してるけど……大丈夫だよ」
「………そっか。もし辛くなったらいつでも相談して欲しい」
「うん。その時はお願いするね」
俺にこれ以上のことは出来ない。あとは、ただ瑠魅を信じるだけだ。
俺は立ち上がり、瑠魅に「色々とありがと。またね」とだけ言って瑠魅の家を出た。
瑠魅は玄関まで来て俺の姿が消えるまでずっと手を振っててくれた。
色々とあったけど、こんな晴れやかな気持ちで帰れて良かった。
………ただ、何か足りない。何かが俺の頭から抜け落ちてるような……忘れちゃいけない大事な何かを忘れてる気がする。
帰路に着いた俺の心には漠然とした不安が残っていた。
何か大切なものが記憶から消えてるようで怖かった。
~~~~~~~~~~~~
全く恋愛してない……。この小説、恋愛系の小説なのに恋愛要素が……。作者自身はずっとこんな気持ちで書いてきました。
初めてとはいえこれは酷い……。
まぁ、そんなことは今回置いておいて、実は新しい小説を書きました。今回はファンタジー系です。
作者はどちらかと言えばファンタジーの方が好きなので、書きたくなりました。
更新頻度はどちらか一方は必ず一週間に一話更新を最低限の目標にしてます(現時点でも怪しいですが……)。
気が向いたらで良いので是非読んでみてください。
誤字脱字、質問や感想等ありましたら気軽にコメントお願いします。
どのくらい経ったかなんて分からない。あの発言からずっと俺たちの間には無言が続く。
あの時のあの発言は咄嗟に出た言葉だった。あの後何を話すべきかなんて考えてもなかった。
状況は好転などせず、ずっと気まずい雰囲気だ。
だが、さっきのあの発言に対して後悔はない。あれは確かに俺の本心だったから。
俺は瑠魅に出してもらったお茶をすすり、口の中を潤した。
緊張して口の中が乾燥してまともに話せそうにない。
でも、お茶を飲んだはずなのに潤った気がしない。
だからまたお茶を飲む。ずっとこれの繰り返しだ。
そんな事を繰り返していれば、やがてこの空気を打破しないで済んでいた唯一の口実であったお茶も無くなった。
「……お茶、持ってくるね」
「あ、あぁ……ありがと」
今、あと一言……何か一言でも発せられれば会話が成立していた。
でも、俺にそんな勇気はなかった。喉まで来た言葉を俺はそのまま吐き出せずに飲み込んでしまう。
「蓮翔。来てくれてありがとね。ホントに嬉しかったよ」
「そっか。なら良かった」
キッチンで市販のお茶を注ぎながら、俺に気遣うように話しかけてきてくれた。
でも、結局そこで会話は止まってしまう。
段々罪悪感が湧いてきた。俺が来なければ瑠魅にこんなに気を遣わせることもなかったじゃないかって。
瑠魅のために来たのに、逆に瑠魅を困らせてしまっている。こんな自分が情けない。
「はい、どうぞ」
「あぁ、ありがと」
俺の前にお茶を出して、またさっきの位置に座る。
俺はゆっくりと息を吸う。これ以上は自分が耐えられない。
沢山吸った息を今度はゆっくりと吐いていく。
こうして大きな深呼吸を終えた俺は、お茶を一口飲んで口を開く。
「ごめんな、瑠魅。迷惑掛けちゃって」
やっと、やっと自分の意思で、自分の思った言葉を瑠魅に伝えられた。
「最初はビックリしたよ。電話越しの声とかなり違かったからね」
少しずつではあるが、いつもの調子に戻っていると自分でも分かる。
思った事をちゃんと言葉として瑠魅に伝えられている。
「だからさ……だからさ……」
言いたい事は沢山ある。だからなのか、言葉が纏まらない。どうすれば文章にできるのか、どうすればこの胸の内にある俺の感情を何も零すこと無く伝えられるのか。
色んなものがグチャグチャになった。だから、俺は一番伝えたいことだけを簡潔に言うことにした。
「いっぱい言いたいことはあるけどさ………瑠魅、無理しないでほしいなぁって。俺が言えることじゃないけどさ」
なんだか上から目線な物言いで、自分で言ってて偉そうだなって感じた。
「心配してくれてありがと、蓮翔。確かにちょっと無理してるけど……大丈夫だよ」
「………そっか。もし辛くなったらいつでも相談して欲しい」
「うん。その時はお願いするね」
俺にこれ以上のことは出来ない。あとは、ただ瑠魅を信じるだけだ。
俺は立ち上がり、瑠魅に「色々とありがと。またね」とだけ言って瑠魅の家を出た。
瑠魅は玄関まで来て俺の姿が消えるまでずっと手を振っててくれた。
色々とあったけど、こんな晴れやかな気持ちで帰れて良かった。
………ただ、何か足りない。何かが俺の頭から抜け落ちてるような……忘れちゃいけない大事な何かを忘れてる気がする。
帰路に着いた俺の心には漠然とした不安が残っていた。
何か大切なものが記憶から消えてるようで怖かった。
~~~~~~~~~~~~
全く恋愛してない……。この小説、恋愛系の小説なのに恋愛要素が……。作者自身はずっとこんな気持ちで書いてきました。
初めてとはいえこれは酷い……。
まぁ、そんなことは今回置いておいて、実は新しい小説を書きました。今回はファンタジー系です。
作者はどちらかと言えばファンタジーの方が好きなので、書きたくなりました。
更新頻度はどちらか一方は必ず一週間に一話更新を最低限の目標にしてます(現時点でも怪しいですが……)。
気が向いたらで良いので是非読んでみてください。
誤字脱字、質問や感想等ありましたら気軽にコメントお願いします。
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