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20話 覚悟
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『あはははは!真に受けないでくれよ。たしかに君は価値のないゴミだけど、殺す価値すらもないからね。あはは』
「…………」
ねぇ、泣いて良い?なんで初対面でこんなにボロくそ言われんといけないの?
「気にすることは無いよ。あの方はああいう方だから」
「は、はぁ……」
流石にそれは無理があるけど……。
『まぁ、このままじゃ面白くない。ちょっとしたゲームをしよう』
「ゲーム、だと?」
『そそ。大丈夫さ。簡単なものだからね』
なんだか、嫌な予感しかしないんだけど。
こういうのって大抵当たるんだよな。
『それは、ズバリ……五分間以内に僕が望むものを提示してみてくれよ。そしたら、君の寿命を奪うのは諦めるよ。その代わり、もし僕の望むものを提示できなければ……分かるよね?』
「「っ………」」
表面上はニコニコしているが、明らかな敵意を感じる。
『さぁ、三人で話してくれ』
パチン、と聞こえた。それと同時に俺ら三人だけになった。さっきからそうだったのに、なぜかそう明確に感じた。
「………」
「………」
「………」
瑠魅も話自体は聞いていただろう。
「気にしないで、瑠魅。俺が勝手にやった事だし」
「………で、でも。私と会ったから蓮翔は……」
「………今はその事は置いておこうよ。時間が無いからね」
自分で言っておいてアレだけど、話題のセレクトを完全に間違えたな。
気にするなってことだけを言いたかったけど、逆効果のようだ。
「……そうね」
でも、あの上位神は一体何を望んでいるんだ?そもそもなんで俺の寿命を?
「やはり、私の神力を譲るしかないか」
「神力?」
また厨二病をくすぐる単語だ。こんな危機的状況でもやはり反応してしまう。
「千年桜……もっと詳しく言えば、千年桜の意思や精神を人間の体に移す。その上、一から人間を創るなんて普通は無理だ」
「それと神力?は一体どういう関係で?」
「神力はちょっとずつ溜まっていく。神力は本当に万能でね。言葉通りなんでも出来る。これを譲渡すれば……」
「あの……そもそもなんで俺の寿命を欲してるんですか?今の話を聞いてると、俺の寿命要らなくないですか?」
これ、俺の寿命を奪われる必要なくないか?相手も忘れていたのか?
「人間の寿命五年で、神力を倍近くも増やせる。僕の神力は君の十五年程度。君から寿命を奪った方が良いんだよね」
「…………」
「まぁ、十五年分でも充分元は取れる。交渉次第だね」
「じゃ、じゃあ……」
「待って!」
ここでずっと暗い顔をしていた瑠魅が声を上げる。
「お父さん。死ぬつもりなの?」
「え?」
「………」
どういうことだ?
俺は訳が分からず、神太さんの方を見た。視線を下げて目を合わせようとしなかった。
「ま、まさか……本当なんですか?神太さんが死ぬって言うのは……」
「………すまない。でもこれしか方法がないんだよ」
観念したように顔を上げた。変に優しいその顔に、俺は怒りすら覚えた。
「俺が勝手にやったことです。神太さんが死ぬくらいなら俺の寿命ぐらい差し出しますよ」
「いや。それはダメだ。私たちのワガママに付き合わせたのにーー」
「何言ってるんですか。俺は感謝してるんですよ。ちょっとだけでしたけど、こんな可愛い子と一緒に居られたんです。感謝はせども恨んだりはしませんよ」
これは本心だ。俺の理想像そのままの子が俺の前に居る。それも俺に好意を持っているなんてな。
「それに、俺はただ寿命を取られるだけです。死にませんから」
腹をくくれ。覚悟を決めろ。大丈夫だ。人間はいつか死ぬ。それがほかの人よりもちょっと早いだけ。
俺よりももっと早く死ぬ人だっている。そう考えれば……気持ちも楽になるよな。
「じゃあ、サクッと終わらせようぜ」
「…………」
ねぇ、泣いて良い?なんで初対面でこんなにボロくそ言われんといけないの?
「気にすることは無いよ。あの方はああいう方だから」
「は、はぁ……」
流石にそれは無理があるけど……。
『まぁ、このままじゃ面白くない。ちょっとしたゲームをしよう』
「ゲーム、だと?」
『そそ。大丈夫さ。簡単なものだからね』
なんだか、嫌な予感しかしないんだけど。
こういうのって大抵当たるんだよな。
『それは、ズバリ……五分間以内に僕が望むものを提示してみてくれよ。そしたら、君の寿命を奪うのは諦めるよ。その代わり、もし僕の望むものを提示できなければ……分かるよね?』
「「っ………」」
表面上はニコニコしているが、明らかな敵意を感じる。
『さぁ、三人で話してくれ』
パチン、と聞こえた。それと同時に俺ら三人だけになった。さっきからそうだったのに、なぜかそう明確に感じた。
「………」
「………」
「………」
瑠魅も話自体は聞いていただろう。
「気にしないで、瑠魅。俺が勝手にやった事だし」
「………で、でも。私と会ったから蓮翔は……」
「………今はその事は置いておこうよ。時間が無いからね」
自分で言っておいてアレだけど、話題のセレクトを完全に間違えたな。
気にするなってことだけを言いたかったけど、逆効果のようだ。
「……そうね」
でも、あの上位神は一体何を望んでいるんだ?そもそもなんで俺の寿命を?
「やはり、私の神力を譲るしかないか」
「神力?」
また厨二病をくすぐる単語だ。こんな危機的状況でもやはり反応してしまう。
「千年桜……もっと詳しく言えば、千年桜の意思や精神を人間の体に移す。その上、一から人間を創るなんて普通は無理だ」
「それと神力?は一体どういう関係で?」
「神力はちょっとずつ溜まっていく。神力は本当に万能でね。言葉通りなんでも出来る。これを譲渡すれば……」
「あの……そもそもなんで俺の寿命を欲してるんですか?今の話を聞いてると、俺の寿命要らなくないですか?」
これ、俺の寿命を奪われる必要なくないか?相手も忘れていたのか?
「人間の寿命五年で、神力を倍近くも増やせる。僕の神力は君の十五年程度。君から寿命を奪った方が良いんだよね」
「…………」
「まぁ、十五年分でも充分元は取れる。交渉次第だね」
「じゃ、じゃあ……」
「待って!」
ここでずっと暗い顔をしていた瑠魅が声を上げる。
「お父さん。死ぬつもりなの?」
「え?」
「………」
どういうことだ?
俺は訳が分からず、神太さんの方を見た。視線を下げて目を合わせようとしなかった。
「ま、まさか……本当なんですか?神太さんが死ぬって言うのは……」
「………すまない。でもこれしか方法がないんだよ」
観念したように顔を上げた。変に優しいその顔に、俺は怒りすら覚えた。
「俺が勝手にやったことです。神太さんが死ぬくらいなら俺の寿命ぐらい差し出しますよ」
「いや。それはダメだ。私たちのワガママに付き合わせたのにーー」
「何言ってるんですか。俺は感謝してるんですよ。ちょっとだけでしたけど、こんな可愛い子と一緒に居られたんです。感謝はせども恨んだりはしませんよ」
これは本心だ。俺の理想像そのままの子が俺の前に居る。それも俺に好意を持っているなんてな。
「それに、俺はただ寿命を取られるだけです。死にませんから」
腹をくくれ。覚悟を決めろ。大丈夫だ。人間はいつか死ぬ。それがほかの人よりもちょっと早いだけ。
俺よりももっと早く死ぬ人だっている。そう考えれば……気持ちも楽になるよな。
「じゃあ、サクッと終わらせようぜ」
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