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16話 到着
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何をする気にもなれなかった。ゲームもそのままにして俺は自室に向かった。
俺はベッドに吸い込まれるように倒れ込む。
自分が死ぬという実感なんてない。死んだことなんて記憶にないし、経験もない。
でも、心の底からなんとも言えぬ恐怖が湧く。何かが引っ掛かってるかのように、落ち着かない。
「今日、行こう」
まだ午前中だ。午後から行けば良い。もしかしたら、瑠魅の聞き間違いかもしれない。ただのドッキリの可能性だってある。
「…………」
どんなにそう思っても心は晴れない。そりゃそうだ。結局、これが全て冗談でも嘘でもなかったなら俺は死ぬんだ。
どれだけ言い訳をしても落ち着くはずがない。
俺はベッドの上を転がり天井に向き直した。
「はぁ……何もやる気になれねぇ……」
さっきまでお腹すいてたはずなのに、今は食欲が全く無い。
いつ死ぬのかすらも言われてない。てか、なんで俺が死ぬなんて断定できるんだよ。
「やっぱり、嘘、なのかな……?」
いや、今は忘れよう。どうせ考えたところでどうも出来ない。
少しずつ冷静になってきたんだし、今はこの状態を保てるようにしよう。
俺はゆっくりと立ち上がり、玄関の方へと向かう。
「いつ行っても結果は変わらないだろう。一瞬でも早く精神を安定させるには、やっぱり今行くしかない」
午後までなんて待ってられるか。
ザァザァと外から聞こえる。さっきよりも強い気さえする。雨の中行くのは億劫だが、そんなの気にする余裕も気力もない。
「サクッと終わらせる」
もし、これで本当に俺が死ぬなら、残念だがそれを受け入れるしかないよな。現実味はないけど、それが事実だからな。
「って、なるかボケ!」
なんで俺が死ななきゃいけねぇんだよ。てか、瑠魅と出逢っただけで死ぬとか、どういう原理だよ。それも俺だけとか理不尽のそれじゃねぇかよ。
「早く話を付けねぇとな」
俺は傘を片手に外に出た。外に出てから気が付いたが、俺の服装、寝巻きじゃんか。
え、この姿で瑠魅と話してたん?恥っず……!
「………まずは着替えるか、うん、そうしようか」
息巻いて出てきたのは良いけど、これじゃ締まらないよな。
俺は家に戻ると手軽な服装に着替えて再び玄関を出た。
心做しか雨がまた強まってる気がする。
まさに俺の心情そのものだな。まぁ、けど、まだ絶望する時間じゃない。本当かどうかハッキリしてから絶望するなり希望を見いだすなりすれば良いんだよ。
瑠魅の家の位置は教えてもらったが、まぁまぁの距離がある。家から学校まででも遠いのに、瑠魅の家はさらに遠いんだ。
最悪だな。なんでこうも面倒なんだ?いや、もう考えるのはやめよう。
さっきから思考がループしてて自分自体も面倒になってきた。こんな考え込むタイプじゃないし、吹っ切るためにも、ここは走ろう。
「傘差しながらは走りにくいんだけどな」
俺は駆け足程度のスピードで走り出した。雨が強く視界が悪いし、足元も悪いからどちらにしろこれ以上は速く走れない。
何度か休憩を挟みながら俺は瑠魅の家を目指した。雨に打たれ続けて体も冷えてきたから早く行かなければ……。
「あれ、蓮?びしょ濡れでどうした?」
「………海斗、か」
ビニール袋を持っていてるし買い物帰りなのは確かだろう。俺は心身共に余裕がある状態じゃないから、またな、とだけ言ってその場を後にした。
出来るだけ早く瑠魅の家に着くために、さっきよりもスピードを出して走った。
海斗と出会いさらに十数分ほど走り、瑠魅の家が遠目に見えてきた。
「やっとここまで来た」
服が濡れて気持ちが悪い。肌に張り付いて動きにくい。
俺はそんな事を考えながら走っていると、いつの間にか瑠魅の家の前まで来ていた。
すると急に現実に戻ったかのように心拍数が上がり、低血圧になったように視界がグワングワンする。
俺はインターホンを鳴らした。すると、男の声がした。それは前にも聞いた事のある声だった。
「神太、さん?」
ドアから顔を出したのは、瑠魅の父親である神太さんだった。彼を前にして、さらに鼓動が早くなる。
「家に失礼しても良いですか?」
「あぁ、もちろん」
神太さんはまるで俺が来るのが分かっていたかのような振る舞いをしてきた。
俺は少しの疑問を胸に、神太さんに続きて家に入った。
俺はベッドに吸い込まれるように倒れ込む。
自分が死ぬという実感なんてない。死んだことなんて記憶にないし、経験もない。
でも、心の底からなんとも言えぬ恐怖が湧く。何かが引っ掛かってるかのように、落ち着かない。
「今日、行こう」
まだ午前中だ。午後から行けば良い。もしかしたら、瑠魅の聞き間違いかもしれない。ただのドッキリの可能性だってある。
「…………」
どんなにそう思っても心は晴れない。そりゃそうだ。結局、これが全て冗談でも嘘でもなかったなら俺は死ぬんだ。
どれだけ言い訳をしても落ち着くはずがない。
俺はベッドの上を転がり天井に向き直した。
「はぁ……何もやる気になれねぇ……」
さっきまでお腹すいてたはずなのに、今は食欲が全く無い。
いつ死ぬのかすらも言われてない。てか、なんで俺が死ぬなんて断定できるんだよ。
「やっぱり、嘘、なのかな……?」
いや、今は忘れよう。どうせ考えたところでどうも出来ない。
少しずつ冷静になってきたんだし、今はこの状態を保てるようにしよう。
俺はゆっくりと立ち上がり、玄関の方へと向かう。
「いつ行っても結果は変わらないだろう。一瞬でも早く精神を安定させるには、やっぱり今行くしかない」
午後までなんて待ってられるか。
ザァザァと外から聞こえる。さっきよりも強い気さえする。雨の中行くのは億劫だが、そんなの気にする余裕も気力もない。
「サクッと終わらせる」
もし、これで本当に俺が死ぬなら、残念だがそれを受け入れるしかないよな。現実味はないけど、それが事実だからな。
「って、なるかボケ!」
なんで俺が死ななきゃいけねぇんだよ。てか、瑠魅と出逢っただけで死ぬとか、どういう原理だよ。それも俺だけとか理不尽のそれじゃねぇかよ。
「早く話を付けねぇとな」
俺は傘を片手に外に出た。外に出てから気が付いたが、俺の服装、寝巻きじゃんか。
え、この姿で瑠魅と話してたん?恥っず……!
「………まずは着替えるか、うん、そうしようか」
息巻いて出てきたのは良いけど、これじゃ締まらないよな。
俺は家に戻ると手軽な服装に着替えて再び玄関を出た。
心做しか雨がまた強まってる気がする。
まさに俺の心情そのものだな。まぁ、けど、まだ絶望する時間じゃない。本当かどうかハッキリしてから絶望するなり希望を見いだすなりすれば良いんだよ。
瑠魅の家の位置は教えてもらったが、まぁまぁの距離がある。家から学校まででも遠いのに、瑠魅の家はさらに遠いんだ。
最悪だな。なんでこうも面倒なんだ?いや、もう考えるのはやめよう。
さっきから思考がループしてて自分自体も面倒になってきた。こんな考え込むタイプじゃないし、吹っ切るためにも、ここは走ろう。
「傘差しながらは走りにくいんだけどな」
俺は駆け足程度のスピードで走り出した。雨が強く視界が悪いし、足元も悪いからどちらにしろこれ以上は速く走れない。
何度か休憩を挟みながら俺は瑠魅の家を目指した。雨に打たれ続けて体も冷えてきたから早く行かなければ……。
「あれ、蓮?びしょ濡れでどうした?」
「………海斗、か」
ビニール袋を持っていてるし買い物帰りなのは確かだろう。俺は心身共に余裕がある状態じゃないから、またな、とだけ言ってその場を後にした。
出来るだけ早く瑠魅の家に着くために、さっきよりもスピードを出して走った。
海斗と出会いさらに十数分ほど走り、瑠魅の家が遠目に見えてきた。
「やっとここまで来た」
服が濡れて気持ちが悪い。肌に張り付いて動きにくい。
俺はそんな事を考えながら走っていると、いつの間にか瑠魅の家の前まで来ていた。
すると急に現実に戻ったかのように心拍数が上がり、低血圧になったように視界がグワングワンする。
俺はインターホンを鳴らした。すると、男の声がした。それは前にも聞いた事のある声だった。
「神太、さん?」
ドアから顔を出したのは、瑠魅の父親である神太さんだった。彼を前にして、さらに鼓動が早くなる。
「家に失礼しても良いですか?」
「あぁ、もちろん」
神太さんはまるで俺が来るのが分かっていたかのような振る舞いをしてきた。
俺は少しの疑問を胸に、神太さんに続きて家に入った。
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