19 / 20
19 後悔と辿る先
しおりを挟む
ティメオ様は、王族として忙しくされている。
マヤがいなくなったことで、全てが解決したわけではなかったから。
マヤは王都を火の海に沈めるつもりだった。
それは未然に防がれた。
私が王都に到着した直後に出した指示にも、ちゃんと意味があったそうだ。
いつの間にか王都中の防火水槽の水が可燃性の物に変えられており、一部では水路へ漏れ出た状態で火薬保管庫に繋がっていたそうだ。
匂いの原因はそこからだった。
私がおびき出されるはずだった場所には、数名の不審な男達がいたそうで、その者達はすぐに捕縛された。
取り調べを受けているから、すぐに誰の指示が判明するはず。
あの時、わからないことばかりだった状況の中で、咄嗟にランドンさんはマヤを監視していたと言ったけど、それは虚偽にならずにすんだ。
ランドンさんの情報提供により、マヤの積極的な協力者が割り出され、中には民の不安を煽り、決起を煽動した集団がいたことも確認されている。
その者たちは全員、国家を混乱に貶めた罪により公開処刑となっている。
ランドンさんが取り調べで怖い目に遭わなかったか心配はしたが、私が何か聞ける立場ではなく、心配しなくていいと仰ったティメオ様の言葉を信じて過ごした。
水をかけると燃える金属という存在は、最重要事項として調査されていた。
マヤが接触した商人も、全て調べられている。
結局、外国から持ち込まれた金属は本当に偶然の産物であり、同じものをもう一度作ることは現段階では不可能だそうだ。
対策を早急に講じなければならない懸念というのはとりあえず保留となり、代わりとして、この時を境にして、未知の物質の研究が進むようになった。
アルテュールが迎えた結末は自業自得であって、私には未練など何も無いし、あまり同情もできない。
ティメオ様もそれでいいと仰ってくれていた。
ただ、ティメオ様は私とは違い、複雑な思いでいたようだった。
ティメオ様には、後悔している事があったのだ。
前王が急逝した時に、自分が身を引いて陰ながらアルテュールを支えた方が最善だとその時は思っていたそうだけど、もしかしたら、自分が王となってアルテュールの初恋を守ってあげた方が良かったのかもしれないと。
たとえ相手が偽物のマヤだとしても。
密猟者の娘だったとしても。
そして、余計な欲を抱くことを阻止できたのではと。
牢獄で過ごしているアルテュールに会いに行ったティメオ様は、彼に罵られる事を甘んじて受け入れていた。
ティメオ様は、時間の許す限りアルテュールの元を訪れ、鉄格子越しに対面し続けていた。
最初こそ感情的になっていたアルテュールだったけど、ティメオ様が根気強く声をかけ続けた結果、冷静に話し合える状況にはなっていた。
その過程で、私に対していかにアルテュールが非道であったかも説いてくださっていた。
「アルテュール。君が今まで生きてきた中で、ヴァレンティーナさんの事を少しでも考え、気遣いを向けた事があったか?」
「どうして俺があんな女のことを。あの女は俺を見捨てた、薄情な女だ」
「ヴァレンティーナさんは、11年もの間、自分の人生を犠牲にして国と君に尽くしてきた。君のために尽くしてきた。自分の時間を楽しむ事もせずに。厳しい王妃教育をこなし、敬虔な信者として慎ましく清らかに生きて。君はその間に何をしていた?自分の為だけに、自分の欲を満たす為だけにマヤと過ごしていたのではないか?ヴァレンティーナさんを蔑ろにし続けて」
ティメオ様は諭し続けた。
マヤの事も説明し、アルテュールはようやく私の言葉を理解していた。
マヤと自分が永久に結ばれる事はないのだと。
自分が出会ったマヤは、もうすでにこの世にはいないのだと。
「君がヴァレンティーナさんを大切にしていれば、また違った未来になっていたかもしれないんだ。何故、こんな結果になってしまったのか、よく考えてほしい」
アルテュールはその考えに行き着くと、愕然とした顔でティメオ様の顔を見つめ、自分がいかに甘え、守られていたか思い知ったと言っていたそうだ。
最後はヴァレンティーナに謝りたいと、顔を覆って泣き崩れていたと。
彼がいくら望んだとしても、彼の悔やむ気持ちを軽くするためだけに私が会う事はなく、アルテュールが落ち着きを取り戻して話ができるようになった時点で、地下牢から空が見える居住場所へと移ってはいたが、彼は生涯、表舞台に姿を見せる事はなかった。
「ティメオ様、休憩にいたしませんか?」
城内の通路の先を見つめ、お一人でいたティメオ様に声をかけた。
背中が寂しげに見えたからだ。
一人で何もかもを抱え込んでいないか心配になった。
ティメオ様は答える代わりに微笑むと、すぐ近くにあった応接間に、私を連れて行った。
「アルテュール様の事は、どうか御自分を責めないでください」
「大丈夫です。時が解決してくれるものです。それよりも、私は貴女の方が心配です」
ティメオ様は変わらず、私に対して気遣いや思いやりを向けてくださる。
あの日、婚約者がいる身でありながら他の男性を庇い、大勢の家臣の前でティメオ様を辱めたにもかかわらず、何一つ私を責めることはされなかった。
貴女は何も悪いことはしていないから謝罪も必要ないと仰って、だからなおのこと申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「ヴァレンティーナさんにお伝えしたいことがあります。アルテュールの謝罪の言葉も聞かれ、今がその時だと思いました」
「なんでしょうか」
ティメオ様の改まった様子から、ピンと背筋を伸ばして真っ直ぐに立った。
「私は、貴女とは結婚できません。婚約は解消しましょう」
「何故だ、ローハン公。娘の何が不満なんだ!!」
バンと扉を開けてその言葉をあげたのは、お父様だった。
振り向くと、お母様と二人でそこにいた。
「御両親は、私がお呼びしたのですよ。ヴァレンティーナさんに不満があるのではありません。彼女のことを、私が幸せにして差し上げることができないからです。私は、本来の彼女の姿が損なわれていくのを見て見ぬふりができません」
私に真っ直ぐに向き直ると、諭すようにその続きを言った。
「貴女には、大切に想う相手とよく話し合うことを勧めます。今まで貴女は御自分の心を押し込んで、手放すこと、諦めることを当たり前に受け入れていたことと思います。お父上はしばらく多忙になります。貴女の邪魔をすることはありません」
「閣下!いや、陛下!」
そこで、底冷えがするような声で口を挟んだのはお母様だった。
「ねぇ、あなた?これ以上この子の幸せを邪魔するつもりなら、この子を連れて実家に帰らせてもらうわ。この子は今は兄の子供ですから」
「いや、待ってくれ、それは、私を置いていくつもりか?」
「娘の幸せを願えない夫はいりませんから」
「幸せを考えていないわけじゃない。むしろ私はよかれと思って。異教の平民相手など無理があるだろう!?」
「彼はこの子のために改宗しました。私のお祖父様が御許しになった旨を、今ここで伝えておきます。それに、敬虔な信者であり、元野生児のこの子が全力を出せば、超えられない壁はありません」
両親が言い合う横で、私とティメオ様は向き合っていた。
全てを包み込むような青い瞳が、私を見守るように向けられていた。
「私は……神の前で誓った言葉を、これ以上覆すことは……新たに王妃となられる方にも多くの負担が……それに……ティメオ様に何も恩返しができていません……」
「貴女の献身と誠意を、我々の神はご存知です。どうか、後悔のないように。あなたの幸せを願っていますよ」
この方こそ幸せにならなければならないのに。
またここでも、私の幸せを願って、背中をそっと押してくださったのはティメオ様だった。
月日は流れ、遠く離れた王都では、たった今戴冠の儀が行われている。
ティメオ様は国王に。
母の祖父であり、リカル大公でもある大神官様から祝福を受けたティメオ様は、誰もが認める姿をされていたそうだ。
かなりの高齢となる大神官様が、ティメオ様の戴冠のためにホルト王国へ足を運んだことは、私に無関係とは言えず、いろんな方に感謝して、恥じぬように生きていかなければならないと、強く思っていた。
マヤがいなくなったことで、全てが解決したわけではなかったから。
マヤは王都を火の海に沈めるつもりだった。
それは未然に防がれた。
私が王都に到着した直後に出した指示にも、ちゃんと意味があったそうだ。
いつの間にか王都中の防火水槽の水が可燃性の物に変えられており、一部では水路へ漏れ出た状態で火薬保管庫に繋がっていたそうだ。
匂いの原因はそこからだった。
私がおびき出されるはずだった場所には、数名の不審な男達がいたそうで、その者達はすぐに捕縛された。
取り調べを受けているから、すぐに誰の指示が判明するはず。
あの時、わからないことばかりだった状況の中で、咄嗟にランドンさんはマヤを監視していたと言ったけど、それは虚偽にならずにすんだ。
ランドンさんの情報提供により、マヤの積極的な協力者が割り出され、中には民の不安を煽り、決起を煽動した集団がいたことも確認されている。
その者たちは全員、国家を混乱に貶めた罪により公開処刑となっている。
ランドンさんが取り調べで怖い目に遭わなかったか心配はしたが、私が何か聞ける立場ではなく、心配しなくていいと仰ったティメオ様の言葉を信じて過ごした。
水をかけると燃える金属という存在は、最重要事項として調査されていた。
マヤが接触した商人も、全て調べられている。
結局、外国から持ち込まれた金属は本当に偶然の産物であり、同じものをもう一度作ることは現段階では不可能だそうだ。
対策を早急に講じなければならない懸念というのはとりあえず保留となり、代わりとして、この時を境にして、未知の物質の研究が進むようになった。
アルテュールが迎えた結末は自業自得であって、私には未練など何も無いし、あまり同情もできない。
ティメオ様もそれでいいと仰ってくれていた。
ただ、ティメオ様は私とは違い、複雑な思いでいたようだった。
ティメオ様には、後悔している事があったのだ。
前王が急逝した時に、自分が身を引いて陰ながらアルテュールを支えた方が最善だとその時は思っていたそうだけど、もしかしたら、自分が王となってアルテュールの初恋を守ってあげた方が良かったのかもしれないと。
たとえ相手が偽物のマヤだとしても。
密猟者の娘だったとしても。
そして、余計な欲を抱くことを阻止できたのではと。
牢獄で過ごしているアルテュールに会いに行ったティメオ様は、彼に罵られる事を甘んじて受け入れていた。
ティメオ様は、時間の許す限りアルテュールの元を訪れ、鉄格子越しに対面し続けていた。
最初こそ感情的になっていたアルテュールだったけど、ティメオ様が根気強く声をかけ続けた結果、冷静に話し合える状況にはなっていた。
その過程で、私に対していかにアルテュールが非道であったかも説いてくださっていた。
「アルテュール。君が今まで生きてきた中で、ヴァレンティーナさんの事を少しでも考え、気遣いを向けた事があったか?」
「どうして俺があんな女のことを。あの女は俺を見捨てた、薄情な女だ」
「ヴァレンティーナさんは、11年もの間、自分の人生を犠牲にして国と君に尽くしてきた。君のために尽くしてきた。自分の時間を楽しむ事もせずに。厳しい王妃教育をこなし、敬虔な信者として慎ましく清らかに生きて。君はその間に何をしていた?自分の為だけに、自分の欲を満たす為だけにマヤと過ごしていたのではないか?ヴァレンティーナさんを蔑ろにし続けて」
ティメオ様は諭し続けた。
マヤの事も説明し、アルテュールはようやく私の言葉を理解していた。
マヤと自分が永久に結ばれる事はないのだと。
自分が出会ったマヤは、もうすでにこの世にはいないのだと。
「君がヴァレンティーナさんを大切にしていれば、また違った未来になっていたかもしれないんだ。何故、こんな結果になってしまったのか、よく考えてほしい」
アルテュールはその考えに行き着くと、愕然とした顔でティメオ様の顔を見つめ、自分がいかに甘え、守られていたか思い知ったと言っていたそうだ。
最後はヴァレンティーナに謝りたいと、顔を覆って泣き崩れていたと。
彼がいくら望んだとしても、彼の悔やむ気持ちを軽くするためだけに私が会う事はなく、アルテュールが落ち着きを取り戻して話ができるようになった時点で、地下牢から空が見える居住場所へと移ってはいたが、彼は生涯、表舞台に姿を見せる事はなかった。
「ティメオ様、休憩にいたしませんか?」
城内の通路の先を見つめ、お一人でいたティメオ様に声をかけた。
背中が寂しげに見えたからだ。
一人で何もかもを抱え込んでいないか心配になった。
ティメオ様は答える代わりに微笑むと、すぐ近くにあった応接間に、私を連れて行った。
「アルテュール様の事は、どうか御自分を責めないでください」
「大丈夫です。時が解決してくれるものです。それよりも、私は貴女の方が心配です」
ティメオ様は変わらず、私に対して気遣いや思いやりを向けてくださる。
あの日、婚約者がいる身でありながら他の男性を庇い、大勢の家臣の前でティメオ様を辱めたにもかかわらず、何一つ私を責めることはされなかった。
貴女は何も悪いことはしていないから謝罪も必要ないと仰って、だからなおのこと申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「ヴァレンティーナさんにお伝えしたいことがあります。アルテュールの謝罪の言葉も聞かれ、今がその時だと思いました」
「なんでしょうか」
ティメオ様の改まった様子から、ピンと背筋を伸ばして真っ直ぐに立った。
「私は、貴女とは結婚できません。婚約は解消しましょう」
「何故だ、ローハン公。娘の何が不満なんだ!!」
バンと扉を開けてその言葉をあげたのは、お父様だった。
振り向くと、お母様と二人でそこにいた。
「御両親は、私がお呼びしたのですよ。ヴァレンティーナさんに不満があるのではありません。彼女のことを、私が幸せにして差し上げることができないからです。私は、本来の彼女の姿が損なわれていくのを見て見ぬふりができません」
私に真っ直ぐに向き直ると、諭すようにその続きを言った。
「貴女には、大切に想う相手とよく話し合うことを勧めます。今まで貴女は御自分の心を押し込んで、手放すこと、諦めることを当たり前に受け入れていたことと思います。お父上はしばらく多忙になります。貴女の邪魔をすることはありません」
「閣下!いや、陛下!」
そこで、底冷えがするような声で口を挟んだのはお母様だった。
「ねぇ、あなた?これ以上この子の幸せを邪魔するつもりなら、この子を連れて実家に帰らせてもらうわ。この子は今は兄の子供ですから」
「いや、待ってくれ、それは、私を置いていくつもりか?」
「娘の幸せを願えない夫はいりませんから」
「幸せを考えていないわけじゃない。むしろ私はよかれと思って。異教の平民相手など無理があるだろう!?」
「彼はこの子のために改宗しました。私のお祖父様が御許しになった旨を、今ここで伝えておきます。それに、敬虔な信者であり、元野生児のこの子が全力を出せば、超えられない壁はありません」
両親が言い合う横で、私とティメオ様は向き合っていた。
全てを包み込むような青い瞳が、私を見守るように向けられていた。
「私は……神の前で誓った言葉を、これ以上覆すことは……新たに王妃となられる方にも多くの負担が……それに……ティメオ様に何も恩返しができていません……」
「貴女の献身と誠意を、我々の神はご存知です。どうか、後悔のないように。あなたの幸せを願っていますよ」
この方こそ幸せにならなければならないのに。
またここでも、私の幸せを願って、背中をそっと押してくださったのはティメオ様だった。
月日は流れ、遠く離れた王都では、たった今戴冠の儀が行われている。
ティメオ様は国王に。
母の祖父であり、リカル大公でもある大神官様から祝福を受けたティメオ様は、誰もが認める姿をされていたそうだ。
かなりの高齢となる大神官様が、ティメオ様の戴冠のためにホルト王国へ足を運んだことは、私に無関係とは言えず、いろんな方に感謝して、恥じぬように生きていかなければならないと、強く思っていた。
66
お気に入りに追加
101
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】私を裏切った最愛の婚約者の幸せを願って身を引く事にしました。
Rohdea
恋愛
和平の為に、長年争いを繰り返していた国の王子と愛のない政略結婚する事になった王女シャロン。
休戦中とはいえ、かつて敵国同士だった王子と王女。
てっきり酷い扱いを受けるとばかり思っていたのに婚約者となった王子、エミリオは予想とは違いシャロンを温かく迎えてくれた。
互いを大切に想いどんどん仲を深めていく二人。
仲睦まじい二人の様子に誰もがこのまま、平和が訪れると信じていた。
しかし、そんなシャロンに待っていたのは祖国の裏切りと、愛する婚約者、エミリオの裏切りだった───
※初投稿作『私を裏切った前世の婚約者と再会しました。』
の、主人公達の前世の物語となります。
こちらの話の中で語られていた二人の前世を掘り下げた話となります。
❋注意❋ 二人の迎える結末に変更はありません。ご了承ください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
私が妻です!
ミカン♬
恋愛
幼い頃のトラウマで男性が怖いエルシーは夫のヴァルと結婚して2年、まだ本当の夫婦には成っていない。
王都で一人暮らす夫から連絡が途絶えて2か月、エルシーは弟のような護衛レノを連れて夫の家に向かうと、愛人と赤子と暮らしていた。失意のエルシーを狙う従兄妹のオリバーに王都でも襲われる。その時に助けてくれた侯爵夫人にお世話になってエルシーは生まれ変わろうと決心する。
侯爵家に離婚届けにサインを求めて夫がやってきた。
そこに王宮騎士団の副団長エイダンが追いかけてきて、夫の様子がおかしくなるのだった。
世界観など全てフワっと設定です。サクっと終わります。
5/23 完結に状況の説明を書き足しました。申し訳ありません。
★★★なろう様では最後に閑話をいれています。
脱字報告、応援して下さった皆様本当に有難うございました。
他のサイトにも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
跡継ぎが産めなければ私は用なし!? でしたらあなたの前から消えて差し上げます。どうぞ愛妾とお幸せに。
Kouei
恋愛
私リサーリア・ウォルトマンは、父の命令でグリフォンド伯爵令息であるモートンの妻になった。
政略結婚だったけれど、お互いに思い合い、幸せに暮らしていた。
しかし結婚して1年経っても子宝に恵まれなかった事で、義父母に愛妾を薦められた夫。
「承知致しました」
夫は二つ返事で承諾した。
私を裏切らないと言ったのに、こんな簡単に受け入れるなんて…!
貴方がそのつもりなら、私は喜んで消えて差し上げますわ。
私は切岸に立って、夕日を見ながら夫に別れを告げた―――…
※この作品は、他サイトにも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
あらまあ夫人の優しい復讐
藍田ひびき
恋愛
温厚で心優しい女性と評判のカタリナ・ハイムゼート男爵令嬢。彼女はいつもにこやかに微笑み、口癖は「あらまあ」である。
そんなカタリナは結婚したその夜に、夫マリウスから「君を愛する事は無い。俺にはアメリアという愛する女性がいるんだ」と告げられる。
一方的に結ばされた契約結婚は二年間。いつも通り「あらまあ」と口にしながらも、カタリナには思惑があるようで――?
※ なろうにも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結済】自由に生きたいあなたの愛を期待するのはもうやめました
鳴宮野々花@軍神騎士団長1月15日発売
恋愛
伯爵令嬢クラウディア・マクラウドは長年の婚約者であるダミアン・ウィルコックス伯爵令息のことを大切に想っていた。結婚したら彼と二人で愛のある家庭を築きたいと夢見ていた。
ところが新婚初夜、ダミアンは言った。
「俺たちはまるっきり愛のない政略結婚をしたわけだ。まぁ仕方ない。あとは割り切って互いに自由に生きようじゃないか。」
そう言って愛人らとともに自由に過ごしはじめたダミアン。激しくショックを受けるクラウディアだったが、それでもひたむきにダミアンに尽くし、少しずつでも自分に振り向いて欲しいと願っていた。
しかしそんなクラウディアの思いをことごとく裏切り、鼻で笑うダミアン。
心が折れそうなクラウディアはそんな時、王国騎士団の騎士となった友人アーネスト・グレアム侯爵令息と再会する。
初恋の相手であるクラウディアの不幸せそうな様子を見て、どうにかダミアンから奪ってでも自分の手で幸せにしたいと考えるアーネスト。
そんなアーネストと次第に親密になり自分から心が離れていくクラウディアの様子を見て、急に焦り始めたダミアンは─────
(※※夫が酷い男なので序盤の数話は暗い話ですが、アーネストが出てきてからはわりとラブコメ風です。)(※※この物語の世界は作者独自の設定です。)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
愛されなかった公爵令嬢のやり直し
ましゅぺちーの
恋愛
オルレリアン王国の公爵令嬢セシリアは、誰からも愛されていなかった。
母は幼い頃に亡くなり、父である公爵には無視され、王宮の使用人達には憐れみの眼差しを向けられる。
婚約者であった王太子と結婚するが夫となった王太子には冷遇されていた。
そんなある日、セシリアは王太子が寵愛する愛妾を害したと疑われてしまう。
どうせ処刑されるならと、セシリアは王宮のバルコニーから身を投げる。
死ぬ寸前のセシリアは思う。
「一度でいいから誰かに愛されたかった。」と。
目が覚めた時、セシリアは12歳の頃に時間が巻き戻っていた。
セシリアは決意する。
「自分の幸せは自分でつかみ取る!」
幸せになるために奔走するセシリア。
だがそれと同時に父である公爵の、婚約者である王太子の、王太子の愛妾であった男爵令嬢の、驚くべき真実が次々と明らかになっていく。
小説家になろう様にも投稿しています。
タイトル変更しました!大幅改稿のため、一部非公開にしております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
理想の女性を見つけた時には、運命の人を愛人にして白い結婚を宣言していました
ぺきぺき
恋愛
王家の次男として生まれたヨーゼフには幼い頃から決められていた婚約者がいた。兄の補佐として育てられ、兄の息子が立太子した後には臣籍降下し大公になるよていだった。
このヨーゼフ、優秀な頭脳を持ち、立派な大公となることが期待されていたが、幼い頃に見た絵本のお姫様を理想の女性として探し続けているという残念なところがあった。
そしてついに貴族学園で絵本のお姫様とそっくりな令嬢に出会う。
ーーーー
若気の至りでやらかしたことに苦しめられる主人公が最後になんとか幸せになる話。
作者別作品『二人のエリーと遅れてあらわれるヒーローたち』のスピンオフになっていますが、単体でも読めます。
完結まで執筆済み。毎日四話更新で4/24に完結予定。
第一章 無計画な婚約破棄
第二章 無計画な白い結婚
第三章 無計画な告白
第四章 無計画なプロポーズ
第五章 無計画な真実の愛
エピローグ
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
白い結婚をめぐる二年の攻防
藍田ひびき
恋愛
「白い結婚で離縁されたなど、貴族夫人にとってはこの上ない恥だろう。だから俺のいう事を聞け」
「分かりました。二年間閨事がなければ離縁ということですね」
「え、いやその」
父が遺した伯爵位を継いだシルヴィア。叔父の勧めで結婚した夫エグモントは彼女を貶めるばかりか、爵位を寄越さなければ閨事を拒否すると言う。
だがそれはシルヴィアにとってむしろ願っても無いことだった。
妻を思い通りにしようとする夫と、それを拒否する妻の攻防戦が幕を開ける。
※ なろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる