14 / 52
ユーリア *胸糞注意
14 出立。帝国へ
しおりを挟む
帝国へ出立する日、屋敷の前ではちょっとした騒ぎになっていた。
まだ夜の残る空を、大きな竜が翼を広げて飛んでいたので、誰もが上を見上げていた。
聖書の中の存在ではなく、本当に実際に存在していたのだと、驚いたのが一つ。
それを、第二王子殿下が自在に操っていたからさらに驚いた。
竜を従わせるほどの力を持つ、レナート王子殿下。
やはり、正統な流れはレナート王子の方なのかと、ヴェロニカさんの懸念が少しだけわかった気がした。
誰もが警戒して、わずかな怯えを見せる中、一体の竜は地面に降り立った。
「おはようございます。僕とは初めましてですね。ライネ嬢」
竜から降りてニコリと笑った第二王子殿下は、兄王子とはまた違った笑顔を向けてくる。
でも、ミハイル様とよく似た、整った顔立ちをされていた。
「僕が責任をもって貴女を帝国の皇子殿下の元まで安全に送り届けますので、どうかご安心を」
会うまでは警戒していたけど、どうやらレナート王子ご自身はあの話を気にしていない様子だ。
人柄が垣間見えて、警戒を解くのは早かった。
レナート王子の隣で、箒を持って立つもう一人の女の子に視線を向けた。
「彼女はエカチェリーナさん。国が誇る魔法使いで、学院の先輩でもあります」
ペコリと頭を下げてきた女の子は、綺麗なストレートの赤髪で、深い緑色の瞳は落ち着いた印象を受けたけど、王子殿下とあまり歳が変わらないように見えた。
すごく、綺麗な子だった。
キリッとした空気を纏って、それでいて、どこか可愛らしいところもある。
平民だと聞いたのに、何だか佇まいが私以上に上品な雰囲気だった。
さすがヴェロニカさんの知り合いの魔法使いさんだ。
その綺麗な魔法使いさんにジッと見つめられて、ドキドキした。
こんな美人さんなら一度会ったら忘れないはずだから、初対面なのは確かだけど、絶世の美少女と呼べる子に見つめられたら胸が苦しくなる。
「可愛らしい魔法使いさん。よろしくね」
黙っていたら息苦しいままだから、話しかけて気持ちを楽にしようと思った。
「はい。最善を尽くします」
彼女が、ヴェロニカさんが勧める国随一の魔法使いだ。
「ごめんなさい。貴女に怖い思いをさせるわね。女の子なのだから、自分を大切にしてね。国の命令で仕方なくなのでしょうけど、貴女の代わりはいないのだから」
国の命令があれば、どんなに怖くても断れなかったはずだ。
自分よりも年下の女の子に守ってもらわなければならないとは。
情けない。
「エカチェリーナさんが怖いものは、素焼きにされたピーマンとニンジンです」
「王子……うるさい…………」
レナート王子の言葉から彼女への信頼が垣間見えて、随分と仲の良い様子に、クスクスと笑いがもれた。
なんだか肩の力が抜ける。
どうやら、緊張していたのは私の方みたいだ。
私は通う事ができなかったから、学院の先輩後輩である二人が少しだけ羨ましいけど、帝国では皇子殿下の計らいで、大学に短期間だけ通える。
準備期間がわずか一日しかなかったのに、お兄様は大急ぎでキャルム様と連絡をとってくれて、帝国での保護者としてキャルム様が名乗り出てくださった。
あんな別れ方をしたのに、結局、迷惑をかけることになってしまって……
「ユーリア。暖かくして過ごすのよ」
気持ちが沈みかけていると、随分と痩せたお母様が、私をぎゅっと抱きしめてくれた。
「お母様こそ、お身体にはお気をつけください」
私が帝国に行ってしまえば、お母様に何かあってもすぐには帰ってこられない。
一生懸命に、お母様のこの温もりを記憶に残していた。
そろそろ行きましょうかと声をかけられて、お母様から離れると、茶色い鱗を持つ竜の背中を見つめて喉をごくりと鳴らした。
竜の背中に乗るなど、そんな体験をする令嬢は私くらいではないだろうか。
二人乗り用の特別な鞍が設置されており、おそるおそる、レナート王子の後ろに座ると、その後は想像もできなかった光景を目にすることになった。
私は、しばらく言葉を失っていた。
はるかに高い場所から、地上を見下ろすことになるとは。
竜が飛び立つと、お父様達がみるみる小さくなって、領地の建物も小さくなって、やがてすぐに無の森の上空を飛んでいた。
足を踏み入れれば二度とは戻っては来れない無の森も、はるか空から見下ろせば怖いものではないらしい。
「大丈夫ですか?」
少しだけ振り返った王子殿下が、気遣うように声をかけてくれた。
「はい。私、とても感動しています。生きてて良かった。本当に、生きてて良かった。どうして私ばかりって思っていた時もあったけど、生きていればこそですね……今、とても生あることに感謝をしています。人に迷惑をかけてばかりで、誰かに迷惑をかけてまで生きたくはないと思っていたけど、今、本当に生きてて良かったと思えてる」
興奮していて、喋る口が止まらなかった。
王子殿下も、魔法使いさんも、私の言葉を遮ることなく、聞いてくれていた。
空から見下ろす景色は、自分の中の価値観を変えてしまうほどの感動があった。
でも、新たに知ることは、楽しいことばかりではなかった。
しばらく無言で飛んでいた魔法使いさんが、険しい表情で下を見るように促してくると、黒いものが地面を埋め尽くしているのが木々の間に見えた。
その正体は無数の魔物らしい。
恐怖を覚えながらも目をよく凝らして、それぞれがどんな形をしているのか観察しようとすると、突然、目の前に炎が広がって、咄嗟に腕で顔を覆っていた。
レナート王子の反応から、魔法使いさんが魔法を使ったのがわかった。
そして、ギァッギァッと、人でないものの悲鳴が聞こえて思わず耳を塞いだ。
「ライネ嬢、大丈夫です。エカチェリーナさんが魔法で、こちらに飛んできた魔物を倒してくれました」
気付かないうちに襲われそうになっていたのかと、ゾッとした。
「少しとばしますので、しっかり掴まっていてくださいね」
魔法使いさんが先導するように先に行くと、王子殿下も後に続いた。
風がバシバシと頬にあたって、後ろに流れて行く。
目の前の手すりをしっかりと握りしめて、落とされないように気をつけていた。
空の旅は、ほんの二時間ほどで終わりを告げた。
迂回すれば一ヶ月かかる距離なのに、信じられない速さだった。
無事に帝国内に入ると、キャルム様の迎えが到着していた。
竜から降りた私の元に、足早にキャルム様が近付いてきた。
およそ二年ぶりの再会となるけど、お変わりはないように見える。
「お久しぶりです、ライネ嬢。到着を心待ちにしていました。貴女が無事で何よりです。レナート王子殿下には感謝の言葉しかありません。体調はどうでしょうか?ここからは僕が馬車でお送りしますから、どうぞ中で寛いでください」
「ありがとうございます。皇子殿下」
魔法使いさんやレナート王子にも感謝の言葉を伝えると、キャルム様のエスコートで馬車の中へと案内された。
帝国製の馬車はとても座り心地が良くて、足場が無かった竜の背中を思えば、その安定感に安心する。
すぐに動き出した場所の中で、何故かキャルム様と二人になっていた。
「正直、レナート王子が貴女を送ってきたことには驚きました」
無かったことにされた、私とレナート王子との婚約話のことを心配されているのだ。
「私もです。ヴェロニカさんと、王太子殿下が薦めてくださって。とても、親切にしてくださいました」
「僕は、貴女とレナート王子が一緒に行動するのは不安がありましたが、でも、あの様子を見るに杞憂だったようですね」
キャルム様の視線を追って外を見ると、レナート王子と魔法使いさんが二人で並走して馬を走らせていた。
「兄弟そろって平民の女性に惹かれているようですね」
それは、ほんの少しだけ棘を含んだものだった。
「彼女は、レナート王子の治療に関わったそうで」
「なるほど。それでは恩を感じるのは当たり前で、自然と仲は深まりますね。魔女によって、何かよくない魔法をかけられていなければよいのですが。平民の女性にのめり込んだ王族の末路は、歴史の中でも悲惨なことが多い」
「申し訳ありませんが、それ以上はもう……」
私は、レナート王子が判別できなくなるほど彼女にのめり込んでいるようには見えなくて、二人を可愛らしいと好ましく思っていたから、キャルム様の言葉は嫌だった。
キャルム様は困ったように私を見て笑いかけてきた。
「貴女を不快にさせました。謝ります。邪推しすぎたかもしれません。ただ、僕は、ルニース王国の行く末が心配で……ライネ嬢が入学する大学のことを口頭で簡単に説明しますね」
気まずいと感じたのか、キャルム様は途中で話を変えてくださったからホッとしたのだけど……
窓の外の彼女が視界に映って、自分だけが馬車の中で居心地良く過ごしている状況が居た堪れなくなった。
「空を飛んで、魔法を使って、今は馬で移動して、女の子には辛いのではないでしょうか。申し訳ないことをさせてしまいました」
「ライネ嬢はお優しいですね」
「そんな、自分よりも年下のことを心配するのは当たり前のことです」
「国の為に尽くすのはその地に住む者の当然の義務です。彼女もその恩恵は受けているのでしょうから、理解した上でのことですよ。ご安心ください。彼女のもてなしはきちんと行いますから。もちろん、第二王子殿下も」
「はい。ありがとうございます」
キャルム様は仰ってくれた通りに、途中の宿泊場所を経由して、帝都に到着するまで、魔法使いさんとレナート王子に対して特別な配慮をなさってくれていた。
まだ夜の残る空を、大きな竜が翼を広げて飛んでいたので、誰もが上を見上げていた。
聖書の中の存在ではなく、本当に実際に存在していたのだと、驚いたのが一つ。
それを、第二王子殿下が自在に操っていたからさらに驚いた。
竜を従わせるほどの力を持つ、レナート王子殿下。
やはり、正統な流れはレナート王子の方なのかと、ヴェロニカさんの懸念が少しだけわかった気がした。
誰もが警戒して、わずかな怯えを見せる中、一体の竜は地面に降り立った。
「おはようございます。僕とは初めましてですね。ライネ嬢」
竜から降りてニコリと笑った第二王子殿下は、兄王子とはまた違った笑顔を向けてくる。
でも、ミハイル様とよく似た、整った顔立ちをされていた。
「僕が責任をもって貴女を帝国の皇子殿下の元まで安全に送り届けますので、どうかご安心を」
会うまでは警戒していたけど、どうやらレナート王子ご自身はあの話を気にしていない様子だ。
人柄が垣間見えて、警戒を解くのは早かった。
レナート王子の隣で、箒を持って立つもう一人の女の子に視線を向けた。
「彼女はエカチェリーナさん。国が誇る魔法使いで、学院の先輩でもあります」
ペコリと頭を下げてきた女の子は、綺麗なストレートの赤髪で、深い緑色の瞳は落ち着いた印象を受けたけど、王子殿下とあまり歳が変わらないように見えた。
すごく、綺麗な子だった。
キリッとした空気を纏って、それでいて、どこか可愛らしいところもある。
平民だと聞いたのに、何だか佇まいが私以上に上品な雰囲気だった。
さすがヴェロニカさんの知り合いの魔法使いさんだ。
その綺麗な魔法使いさんにジッと見つめられて、ドキドキした。
こんな美人さんなら一度会ったら忘れないはずだから、初対面なのは確かだけど、絶世の美少女と呼べる子に見つめられたら胸が苦しくなる。
「可愛らしい魔法使いさん。よろしくね」
黙っていたら息苦しいままだから、話しかけて気持ちを楽にしようと思った。
「はい。最善を尽くします」
彼女が、ヴェロニカさんが勧める国随一の魔法使いだ。
「ごめんなさい。貴女に怖い思いをさせるわね。女の子なのだから、自分を大切にしてね。国の命令で仕方なくなのでしょうけど、貴女の代わりはいないのだから」
国の命令があれば、どんなに怖くても断れなかったはずだ。
自分よりも年下の女の子に守ってもらわなければならないとは。
情けない。
「エカチェリーナさんが怖いものは、素焼きにされたピーマンとニンジンです」
「王子……うるさい…………」
レナート王子の言葉から彼女への信頼が垣間見えて、随分と仲の良い様子に、クスクスと笑いがもれた。
なんだか肩の力が抜ける。
どうやら、緊張していたのは私の方みたいだ。
私は通う事ができなかったから、学院の先輩後輩である二人が少しだけ羨ましいけど、帝国では皇子殿下の計らいで、大学に短期間だけ通える。
準備期間がわずか一日しかなかったのに、お兄様は大急ぎでキャルム様と連絡をとってくれて、帝国での保護者としてキャルム様が名乗り出てくださった。
あんな別れ方をしたのに、結局、迷惑をかけることになってしまって……
「ユーリア。暖かくして過ごすのよ」
気持ちが沈みかけていると、随分と痩せたお母様が、私をぎゅっと抱きしめてくれた。
「お母様こそ、お身体にはお気をつけください」
私が帝国に行ってしまえば、お母様に何かあってもすぐには帰ってこられない。
一生懸命に、お母様のこの温もりを記憶に残していた。
そろそろ行きましょうかと声をかけられて、お母様から離れると、茶色い鱗を持つ竜の背中を見つめて喉をごくりと鳴らした。
竜の背中に乗るなど、そんな体験をする令嬢は私くらいではないだろうか。
二人乗り用の特別な鞍が設置されており、おそるおそる、レナート王子の後ろに座ると、その後は想像もできなかった光景を目にすることになった。
私は、しばらく言葉を失っていた。
はるかに高い場所から、地上を見下ろすことになるとは。
竜が飛び立つと、お父様達がみるみる小さくなって、領地の建物も小さくなって、やがてすぐに無の森の上空を飛んでいた。
足を踏み入れれば二度とは戻っては来れない無の森も、はるか空から見下ろせば怖いものではないらしい。
「大丈夫ですか?」
少しだけ振り返った王子殿下が、気遣うように声をかけてくれた。
「はい。私、とても感動しています。生きてて良かった。本当に、生きてて良かった。どうして私ばかりって思っていた時もあったけど、生きていればこそですね……今、とても生あることに感謝をしています。人に迷惑をかけてばかりで、誰かに迷惑をかけてまで生きたくはないと思っていたけど、今、本当に生きてて良かったと思えてる」
興奮していて、喋る口が止まらなかった。
王子殿下も、魔法使いさんも、私の言葉を遮ることなく、聞いてくれていた。
空から見下ろす景色は、自分の中の価値観を変えてしまうほどの感動があった。
でも、新たに知ることは、楽しいことばかりではなかった。
しばらく無言で飛んでいた魔法使いさんが、険しい表情で下を見るように促してくると、黒いものが地面を埋め尽くしているのが木々の間に見えた。
その正体は無数の魔物らしい。
恐怖を覚えながらも目をよく凝らして、それぞれがどんな形をしているのか観察しようとすると、突然、目の前に炎が広がって、咄嗟に腕で顔を覆っていた。
レナート王子の反応から、魔法使いさんが魔法を使ったのがわかった。
そして、ギァッギァッと、人でないものの悲鳴が聞こえて思わず耳を塞いだ。
「ライネ嬢、大丈夫です。エカチェリーナさんが魔法で、こちらに飛んできた魔物を倒してくれました」
気付かないうちに襲われそうになっていたのかと、ゾッとした。
「少しとばしますので、しっかり掴まっていてくださいね」
魔法使いさんが先導するように先に行くと、王子殿下も後に続いた。
風がバシバシと頬にあたって、後ろに流れて行く。
目の前の手すりをしっかりと握りしめて、落とされないように気をつけていた。
空の旅は、ほんの二時間ほどで終わりを告げた。
迂回すれば一ヶ月かかる距離なのに、信じられない速さだった。
無事に帝国内に入ると、キャルム様の迎えが到着していた。
竜から降りた私の元に、足早にキャルム様が近付いてきた。
およそ二年ぶりの再会となるけど、お変わりはないように見える。
「お久しぶりです、ライネ嬢。到着を心待ちにしていました。貴女が無事で何よりです。レナート王子殿下には感謝の言葉しかありません。体調はどうでしょうか?ここからは僕が馬車でお送りしますから、どうぞ中で寛いでください」
「ありがとうございます。皇子殿下」
魔法使いさんやレナート王子にも感謝の言葉を伝えると、キャルム様のエスコートで馬車の中へと案内された。
帝国製の馬車はとても座り心地が良くて、足場が無かった竜の背中を思えば、その安定感に安心する。
すぐに動き出した場所の中で、何故かキャルム様と二人になっていた。
「正直、レナート王子が貴女を送ってきたことには驚きました」
無かったことにされた、私とレナート王子との婚約話のことを心配されているのだ。
「私もです。ヴェロニカさんと、王太子殿下が薦めてくださって。とても、親切にしてくださいました」
「僕は、貴女とレナート王子が一緒に行動するのは不安がありましたが、でも、あの様子を見るに杞憂だったようですね」
キャルム様の視線を追って外を見ると、レナート王子と魔法使いさんが二人で並走して馬を走らせていた。
「兄弟そろって平民の女性に惹かれているようですね」
それは、ほんの少しだけ棘を含んだものだった。
「彼女は、レナート王子の治療に関わったそうで」
「なるほど。それでは恩を感じるのは当たり前で、自然と仲は深まりますね。魔女によって、何かよくない魔法をかけられていなければよいのですが。平民の女性にのめり込んだ王族の末路は、歴史の中でも悲惨なことが多い」
「申し訳ありませんが、それ以上はもう……」
私は、レナート王子が判別できなくなるほど彼女にのめり込んでいるようには見えなくて、二人を可愛らしいと好ましく思っていたから、キャルム様の言葉は嫌だった。
キャルム様は困ったように私を見て笑いかけてきた。
「貴女を不快にさせました。謝ります。邪推しすぎたかもしれません。ただ、僕は、ルニース王国の行く末が心配で……ライネ嬢が入学する大学のことを口頭で簡単に説明しますね」
気まずいと感じたのか、キャルム様は途中で話を変えてくださったからホッとしたのだけど……
窓の外の彼女が視界に映って、自分だけが馬車の中で居心地良く過ごしている状況が居た堪れなくなった。
「空を飛んで、魔法を使って、今は馬で移動して、女の子には辛いのではないでしょうか。申し訳ないことをさせてしまいました」
「ライネ嬢はお優しいですね」
「そんな、自分よりも年下のことを心配するのは当たり前のことです」
「国の為に尽くすのはその地に住む者の当然の義務です。彼女もその恩恵は受けているのでしょうから、理解した上でのことですよ。ご安心ください。彼女のもてなしはきちんと行いますから。もちろん、第二王子殿下も」
「はい。ありがとうございます」
キャルム様は仰ってくれた通りに、途中の宿泊場所を経由して、帝都に到着するまで、魔法使いさんとレナート王子に対して特別な配慮をなさってくれていた。
1
お気に入りに追加
134
あなたにおすすめの小説
【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。
藍生蕗
恋愛
かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。
そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……
偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。
※ 設定は甘めです
※ 他のサイトにも投稿しています
婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。
聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!?
元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。
【完結】わたしは大事な人の側に行きます〜この国が不幸になりますように〜
彩華(あやはな)
恋愛
一つの密約を交わし聖女になったわたし。
わたしは婚約者である王太子殿下に婚約破棄された。
王太子はわたしの大事な人をー。
わたしは、大事な人の側にいきます。
そして、この国不幸になる事を祈ります。
*わたし、王太子殿下、ある方の視点になっています。敢えて表記しておりません。
*ダークな内容になっておりますので、ご注意ください。
ハピエンではありません。ですが、救済はいれました。
女神に頼まれましたけど
実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。
その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。
「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」
ドンガラガッシャーン!
「ひぃぃっ!?」
情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。
※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった……
※ざまぁ要素は後日談にする予定……
偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて
奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】
※ヒロインがアンハッピーエンドです。
痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。
爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。
執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。
だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。
ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。
広場を埋め尽くす、人。
ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。
この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。
そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。
わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。
国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。
今日は、二人の婚姻の日だったはず。
婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。
王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。
『ごめんなさい』
歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。
無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。
欲深い聖女のなれの果ては
あねもね
恋愛
ヴィオレーヌ・ランバルト公爵令嬢は婚約者の第二王子のアルバートと愛し合っていた。
その彼が王位第一継承者の座を得るために、探し出された聖女を伴って魔王討伐に出ると言う。
しかし王宮で準備期間中に聖女と惹かれ合い、恋仲になった様子を目撃してしまう。
これまで傍観していたヴィオレーヌは動くことを決意する。
※2022年3月31日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる