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エカチェリーナ *バッドエンド注意
4 荒れた室内で
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一歩中に入って、まず、室内の様子に目を向ける。
中途半端に開けられたカーテンの隙間から外の光がわずかに入り込んでいたから、それで中の様子を知ることができた。
完全に締め切っていたら、真っ暗だったとは思う。
ずっと窓を開けていないのかな。
廊下よりもさらに埃っぽい空気だ。
それから、散乱した本。
床に落ちて割れた花瓶。
インク瓶も転がっており、黒いシミが絨毯に広がっている。
よく見れば窓もヒビだらけだ。
破れたカーテンの隙間からそれが見えた。
とにかく、荒れた室内が目についた。
ここの住人がやらかしてしまった後始末ができずにそのままなのだ。
それらを確認したところで後ろ手に扉を閉めると、遠慮なくさらに中程へと入らせてもらった。
その途端、
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」
耐えかねた様に悲鳴とも咆哮ともつかない声があがった。
と同時に、足元が大きく揺れて、窓ガラスがビリビリと震えている。
閉め切った室内に“声”は反響し、それらに重なるように新たな叫び声が響く。
とうとう窓ガラスは割れて一部が床に落ちていた。
その声の持ち主がいると思われるベッドに近づこうとすると、拒絶するかのように咆哮は増した。
構わず、スタスタと足を進める。
「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい」
その声こそ地鳴りのように響く。
変声期前の、少し高めのこの声の持ち主は魔法使いなんだと思う。
声に魔力が混ざり、だからこんな風に周囲に影響を与えている。
何一つコントロールできない魔力は凶器であり、狂気だ。
私でなかったら、許容を超えた頭痛を引き起こして失神しているところだ。
だからこの部屋の前には、護衛すらいなかったのか。
で、うるさいと言われている事だ。
そうか。
うるさいのか。
また、数歩ベッドに近付くと、人影を確認できた。
シーツを頭からかぶった、私と同じくらいの男の子の姿を。
顔は涙で濡れており、目の周りは黒く見えた。
怯えたような視線が私に向けられている。
痩せ細っていて、明らかに不健康そうだ。
とても王子だとは思えない。
孤児院の子供達の方がよほど元気だ。
このまま放っておくと、精神が壊れていずれ命を落とす事は目に見えていた。
そんな姿を認めると、球体の中に包み込んであげるイメージで、彼の周りの音を完全に遮断してあげた。
その途端に、彼の表情の変化は顕著だった。
ポカンとした顔で私を見つめている。
何か、口が微かに動いたけど、彼の周りの音を遮断しているから、彼からの声も聞こえない。
しばらく、私と王子は見つめ合っていた。
中途半端に開けられたカーテンの隙間から外の光がわずかに入り込んでいたから、それで中の様子を知ることができた。
完全に締め切っていたら、真っ暗だったとは思う。
ずっと窓を開けていないのかな。
廊下よりもさらに埃っぽい空気だ。
それから、散乱した本。
床に落ちて割れた花瓶。
インク瓶も転がっており、黒いシミが絨毯に広がっている。
よく見れば窓もヒビだらけだ。
破れたカーテンの隙間からそれが見えた。
とにかく、荒れた室内が目についた。
ここの住人がやらかしてしまった後始末ができずにそのままなのだ。
それらを確認したところで後ろ手に扉を閉めると、遠慮なくさらに中程へと入らせてもらった。
その途端、
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」
耐えかねた様に悲鳴とも咆哮ともつかない声があがった。
と同時に、足元が大きく揺れて、窓ガラスがビリビリと震えている。
閉め切った室内に“声”は反響し、それらに重なるように新たな叫び声が響く。
とうとう窓ガラスは割れて一部が床に落ちていた。
その声の持ち主がいると思われるベッドに近づこうとすると、拒絶するかのように咆哮は増した。
構わず、スタスタと足を進める。
「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい」
その声こそ地鳴りのように響く。
変声期前の、少し高めのこの声の持ち主は魔法使いなんだと思う。
声に魔力が混ざり、だからこんな風に周囲に影響を与えている。
何一つコントロールできない魔力は凶器であり、狂気だ。
私でなかったら、許容を超えた頭痛を引き起こして失神しているところだ。
だからこの部屋の前には、護衛すらいなかったのか。
で、うるさいと言われている事だ。
そうか。
うるさいのか。
また、数歩ベッドに近付くと、人影を確認できた。
シーツを頭からかぶった、私と同じくらいの男の子の姿を。
顔は涙で濡れており、目の周りは黒く見えた。
怯えたような視線が私に向けられている。
痩せ細っていて、明らかに不健康そうだ。
とても王子だとは思えない。
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このまま放っておくと、精神が壊れていずれ命を落とす事は目に見えていた。
そんな姿を認めると、球体の中に包み込んであげるイメージで、彼の周りの音を完全に遮断してあげた。
その途端に、彼の表情の変化は顕著だった。
ポカンとした顔で私を見つめている。
何か、口が微かに動いたけど、彼の周りの音を遮断しているから、彼からの声も聞こえない。
しばらく、私と王子は見つめ合っていた。
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