雨模様

新田海斗

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女性視点 雨模様
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私は今恋をしている。相手は同い年の人。
特別イケメンではないが、好きな事に夢中になれる彼が好きだ。

今日、私は彼に告白しようと思う。
放課後、私は彼を呼び止めた。そして、告白する。
私としては、もっと夜景が綺麗なところでロマンチックな告白がしたかったが、
彼がいい顔をしないだろうと思い、
やめておいた。

「ずっとあなたのことが気になっていました。私と付き合ってください」

「うん。いいよ」

答えはYES、即答だった。
私は恋が叶ってとても嬉しかった。
即答だから相手も自分に興味があったのかと思っていた。

あれから半年、進展は無し。
一度だけ2人でデートをしたけれど、
友達と出かけるときの方がまだ楽しかった。
恋愛小説みたいな恋が出来ない事は初めから分かっていた。
彼は友達と遊んでいたりゲームばかりしていた。
相変わらず好きな事に熱中している。
どうにかして彼に気に入って貰えるようにならないと。

次の日、友達に恋人の事を相談してみた。
友達は、

「私は、完璧な人になんて惹かれないかなぁ」

と言われてしまった。
少し悔しい。

家に帰る。
前から「家に来てね」と言っているが、
今日も来なさそうだ。
赤いバラの花が窓際に飾ってある。
彼がくれた物だ。
いつ彼が来てもいいように少し洒落た服を着ている。
天気は雨。私の心も雨模様。
愛を伝えたいだなんて考えていても
気持ちは沈んでいくばかりだ。
明日は二人で一緒に過ごしたいと思っても、ドアは開かない。
愛がなんだとか言うわけじゃないけどただ、
とても切ない。
君が好きなゲームや食べ物があっても食いついてくれないだろう。
情けないなぁ。ずるい事ばかりを考えてしまう。

次の日。
今日もまた雨だ。
今日は前のように着飾っていない。
私は私らしく生きていこうと思った。
彼がそうしているように。
私は明日いい女になる分けじゃないからさ
焦らずにいてよ。
今日は彼に会えるだろうか…

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
男性視点 罪悪感
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僕は今日クラスメイトに告白された。
青春に縁がないとおもっていた。
彼女との関係は知り合い以上友人未満。
どちらかと言えば頭ばいい方。
少し好意を抱いていた。
それが恋かどうかは、分からないが。
本当は、友達から少しずつ距離を詰めていくのだろうが、その時は告白された喜びで即答してしまった。

恋人になったのはいいがどうすればいいかわからない。
デートに誘ってみることにした。
やはり、うまく行かなかった。
気まずい。
その後、僕は、赤いバラの花を一輪あげた。
一輪の赤いバラは「あなたしかいない」という花言葉がある。
彼女は理解したかは謎だが喜んでいた。

それからもどうすればいいかわからなくなり、好きなことをして落ち着きを取り戻そうと思った。

告白されてから半年。
未だに混乱している。
あのとき以来会っていない。
学校でも気まずくて避けている。
彼女から何度も「家に来てね」と連絡があった。
半年近く放っておいて尚、僕に連絡をくれるとは。
でも、僕のせいで彼女が傷ついているかもしれない。
彼女はどう思っているだろう。
彼女と別れるべきだろうか。
今度、もう一度遊びに誘おうと思う。
そこで、僕のことをどう思っているか確かめるつもりだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
女性視点 悩み
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「明日、一緒に出かけないか?」

彼からデートに誘われた。
待ち合わせは、前から誘っていた私の家。
少し嬉しい。
色々なところを行くらしい。

「少しはオシャレでもしようかなぁ」

そうつぶやいて、クローゼットの中を探る。
どの服を着ていこうか。
明日が楽しみだ。

彼が来た。
彼が普段着ないような服を着ていて驚いた。
彼も少し驚いたようだ。

「行こう」

「うん」

彼が先導して歩いていく。
電車に乗る。
私も彼も車の免許は取っていない。
それに彼は私が車の免許を持っていても、
運転はさせなかっただろう。
彼は、普段温厚でどこか抜けている様な性格だが、気を使うことは上手だ。
そんな考え事をしていると、目的地に着いた。
何か願い事でもあるらしく、神社に来た。

「なんで神社に来たの?」

「これだけは叶えたい願いがあるから」

そこまでして叶えたい願いは何だろうか。
私は、彼が幸せになれますようにと願った。
彼は何を願ったのだろう。
そこまで聞いてしまうと悪い気がしたのでやめておいた。

再び電車に乗る。
彼は何か考え事をしている顔だ。
何を考えているのだろう。

目的地に着いた。
前から気になっていたショッピングモールだ。
彼は、私の好みを知っていたのだろうか。

「ここでよかった?」

「うん」

「好きなところに行きなよ。僕はついて行くからさ」

私は好きな店で好きなものを買ったり食べたりしていた。
すべて彼の奢りだ。
私は遠慮したがいつの間にか彼が払っていた。
前ほど気まずくは無いが、少し距離が空く。
こうしていけば、少しづつ距離を縮めることができるだろうか。
今は、友達程度の距離感。
もう少しだけでいいから距離を縮めたいなぁ。

帰り道。
雨や水溜りに反射した街並みが綺麗に写っている。

家に着く。
彼は最後にこう言った。

「ごめん。僕たちは、別れた方がいいかな」

「…え?」

「迷惑かけたらいけないと思って」

「別に迷惑なんかじゃ無いよ!」

「気を使わなくていいよ。ごめん…」

帰ってしまった。
前より状況は悪そうだ。
これからどうしよう…

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男性視点 逃
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彼女は楽しみにしていたようだ。
着飾っている。
今回は、初めに神社に行って、
彼女が気になっていたらしいショッピングモールに行く事にする。
友達を通じて彼女の好みを知っておいて良かった。

神社に着いた。
彼女に何で神社に来たのか聞かれた。

「これだけは叶えたい願いがあるから」

そう答えた。
僕は彼女に迷惑をかけてばかりだ。
だから彼女が幸せになれるように願った。

ショッピングモールに付く。
彼女の好きにさせることにする。
全て僕のおごりだ。
出費が凄い。
バイトを沢山掛け持ちしておいてよかった。
彼女に迷惑をかけたお詫びだ。
彼女は楽しんでくれた。

彼女の家に着いた。
結局今まで彼女がどう思っているか聞く暇が無かった。
聞かなくても分かる気がする。
彼女に僕のせいで迷惑がかかっている事が嫌になった。

「ごめん。僕たちは、別れた方がいいかな」

「…え?」

「迷惑かけたらいけないと思って」

「別に迷惑なんかじゃ無いよ!」

「気を使わなくていいよ。ごめん…」

僕は雨の中走って帰った。
彼女は何か言いたげだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
女性視点 幸せ
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彼は次の日から学校に来なくなった。
彼は幸い留年し無さそうだ。
出席日数は足りているようだった。
彼のことが心配だ。
このまま一生会えなくなるのか。
私の方が彼に気を使わせていたかも知れない。
自分らしく生きていた事が間違いだったのだろうか。
でも、彼は彼自身を責めていた様に聞こえた。
連絡をしても反応は無し。
彼の友達も会っていないようだ。
また今度、彼を遊びに誘おうと思う。
そう考えていると、彼から連絡が来た。

「明日の夜、話したい事がある。家の前に行ってもいい?」

私は

「いいよ」

と返した。

次の日の夜。
彼が家の前に来た。

「君が僕の事をどう思っているか聞きたい」

「私は、そばに居るだけで幸せだなんて思ったことなんて無いけど、勘違いしないで。嫌いなわけじゃ無いよ」

「…本当に…?」

「うん。一緒に遊びに行くと楽しいと思えるのは確かだよ。だから、別れないで」

「…分かった」

彼は表情は変えなかったが、涙を流していた。

あれから一か月が過ぎた。
前よりは距離が縮まったが、まだぎこちない。
いまいちな恋愛。
でも、これでも良いと思えた。
長い間降っていた雨がようやく晴れた。

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男性視点 小説のような恋
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僕はあれ以降学校に行っていない。
外に出るのは、バイトと、コンビニに行く時だけだ。
僕はネット世界に逃げている。
僕はこの世界が好きだ。
みんなが平等に始める事が出来る。
詐欺などの危険もあるが、気をつければ問題は無い。
好きなことをやり続ける生き方にすると昼夜逆転した。
落ち着く。
僕は今、小説を書いている。
非現実的すぎず、現実的過ぎない恋愛小説だ。
出来ることなら彼女とこんな恋愛がしたかった。
でも僕は目の前の問題から逃げてばかりだ。
どうにかして前のような関係に戻るか、
縁を切るかしないと。
彼女の意見を聞きたい。
明日、彼女に会うことにする。

次の日の夜。
僕は彼女の家の前に行った。

「君が僕の事をどう思っているか聞きたい」

「私は、そばに居るだけで幸せだなんて思ったことなんて無いけど、勘違いしないで。嫌いなわけじゃ無いよ」

「…本当に…?」

「うん。一緒に遊びに行くと楽しいと思えるのは確かだよ。だから、別れないで」

「…分かった」

良かった。
彼女はこんな僕でも良いと言ってくれた。
とても嬉しい。

あれから一か月。
前より距離が縮まったが、ぎこちない関係だ。
彼女はそれでも幸せそうだ。
彼女が幸せで良かった。
僕も幸せだ。
小説に近い様な遠い様な恋。
これもいいと思った。

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