ホタルとケイのオレンジ

ナツ

文字の大きさ
上 下
3 / 3

3.ケイの気持ち

しおりを挟む
   4限目が終わり、お昼ご飯の時間だ。

  クラスの大半の生徒は、食堂へ行き、学食のおばちゃんが作るやっすい学食を食べに行く。残りの半分は教室で、持参した弁当やらコンビニ飯やらを食べる。

  僕はお母さんが、お姉ちゃんのついでだからといって、弁当を作ってくれる。そして野口はコンビニ飯、恵は弁当を持ってくる。

  いつも野口と一緒にご飯を食べる。と、その野口を見ると、横でヨダレを垂らしながらグースカ寝てる。

  (で、なんでこいつはモテるんだよ。いや、良い奴なのは知ってるけど、こんな寝てるやつ。)

   「見て、ユラ様寝てる。かわいい♡」

   顔も名前も覚えてないクラスの女子が囁いてるのが聞こえた。

  ストンッ
 
   僕の手刀が野口の頭に落ちる。

 「ふごっ!?!」

 「ねぇ、金フン(ユラ様の金魚のフン)がユラ様に手刀を加えたの、やばくない?!」
「これだから、金フンは金フンなのよ」

   聞こえているぞ、モブ女1、2。コソコソ話って言うのは案外聞こえるものだから、気をつけた方がいい。わざと聞こえるように行っているのか。朝、恵が金フン呼ばわりをバラしたせいで、もう隠さなくていいんだっていう考えがモブ女1、2の中に生まれたみたいだ。

 「なんだよ、人が気持ちよく寝てたのにー」

「野口、起きろ。お昼ご飯」

「メシ!!」

  野口は、目をキラキラさせ、カバンから今朝買ってきたご飯が入っているビニール袋を取り出す。それと同時に僕もカバンから弁当が入った冷凍バッグを取り出した。

 「ジャジャーン!今日は納豆巻きとカレーパンとフルーツサンドでーす!」

 「よくその組み合わせで食べれるよね、腹がおかしくなりそう。」

 「螢、ユラくんご一緒していい?」

  恵が白の保冷バックに入った弁当を持って、
 僕と野口の机の間に立つ。

 「うん」「いいよー、恵ちゃんと一緒にご飯食べれるなんて幸せだよー」

 「ありがと。ユラくん、そーゆーのは別の女子にいってね」

 「はーい」

  僕と野口と恵はお昼ご飯を食べてる間、教師の愚痴とか、あとさっきのモブ女1、2への文句とか、文化祭何やりたいかとか。モブ女1、2への文句を言い出したら、2人に爆笑された。

  食べ終わると、恵は自分の席の方に行き、何かのプリントを持ってきた。

 「螢、はいどーぞ。」

 「なにこれ?」

 「5限目のプリント見せろって朝言ってたじゃん」

 「そーだった、ありがとう。」

 「ジュースね」

「恵、今日部活は?」

「ないけど、」

「じゃー帰り道で買うから待ってて」

「てことは、一緒に帰るってこと?」

「そーだけど、嫌だったらいいよ。」

「嫌じゃない。だから待ってる」

「分かった」

  恵の顔が話してる途中からだんだん赤くなっていった。1人だけ立ってるからだろうか。

 「ほんとふたり仲良いよなー」

  野口が頬杖つきながら、羨ましそうにいう。

 「普通だよ」

 「じゃ、私席に戻るから」

  恵はそそくさと自分の席に帰っていった。

「恵のやつ、急にどーしたんだろ」

「お前それ本気で言ってんのかよ、、、
いいかげん気づいてあげなよ」

 「え?」

  あ、プリント間違い箇所発見。あんな一瞬しか見てないのに、よく気づいたな。

  5限目はそつなくすぎ、みなさんお待ちかねの時間が始まる。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

淋れた魔法

花泳
青春
「おれのことも見てほしくて…」 「きみっていつも中途半端だね」 いつも本ばかり読んでる先輩にどうしても相手をしてほしくて嘘を吐いてみたら散々な目にあった話。

真夏の温泉物語

矢木羽研
青春
山奥の温泉にのんびり浸かっていた俺の前に現れた謎の少女は何者……?ちょっとエッチ(R15)で切ない、真夏の白昼夢。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

思春期ではすまない変化

こしょ
青春
TS女体化現代青春です。恋愛要素はありません。 自分の身体が一気に別人、モデルかというような美女になってしまった中学生男子が、どうやれば元のような中学男子的生活を送り自分を守ることができるのだろうかっていう話です。 落ちがあっさりすぎるとかお褒めの言葉とかあったら教えて下さい嬉しいのですっごく 初めて挑戦してみます。pixivやカクヨムなどにも投稿しています。

短編集「空色のマフラー」

ふるは ゆう
青春
親友の手編みのマフラーは、彼に渡せないことを私は知っていた「空色のマフラー」他、ショートストーリー集です。

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

黄昏は悲しき堕天使達のシュプール

Mr.M
青春
『ほろ苦い青春と淡い初恋の思い出は・・  黄昏色に染まる校庭で沈みゆく太陽と共に  儚くも露と消えていく』 ある朝、 目を覚ますとそこは二十年前の世界だった。 小学校六年生に戻った俺を取り巻く 懐かしい顔ぶれ。 優しい先生。 いじめっ子のグループ。 クラスで一番美しい少女。 そして。 密かに想い続けていた初恋の少女。 この世界は嘘と欺瞞に満ちている。 愛を語るには幼過ぎる少女達と 愛を語るには汚れ過ぎた大人。 少女は天使の様な微笑みで嘘を吐き、 大人は平然と他人を騙す。 ある時、 俺は隣のクラスの一人の少女の名前を思い出した。 そしてそれは大きな謎と後悔を俺に残した。 夕日に少女の涙が落ちる時、 俺は彼女達の笑顔と 失われた真実を 取り戻すことができるのだろうか。

おてんばプロレスの女神たち

ちひろ
青春
 温泉で有名なおてんば市を拠点に、女子プロレスごっこ団体・おてんばプロレスを旗揚げした木下涼子。同じ大学の船橋浅子らとともに、明るく楽しく可憐なリングをめざすも、そこには予期せぬライバルたちの出現が――。女子大生パワーをいかんなく発揮しながら、可能性という名の花道を駆けぬける青春派プロレスノベル。

処理中です...