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1 ある彗星について
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★~☆~★~☆~★~☆~★~☆
XX17年3月にガルバナム王国天文学研究所のバジル・ジュニパーベリー博士によって発見されたバジル彗星(C/XX17 E2(basil))は、X63年3月に観測された記録のあるC/X63 E1、及びXX08年に観測されたC/XX08 Q1と同一の彗星であることが同氏の研究により明らかになった。
これらが同一彗星と分かった事により、バジル彗星は周期的に地球に接近する周期彗星であることが判明した。
近くバジル彗星には天文学会より周期彗星の符号が与えられる。
彗星X63 E1の観測記録はガルバナム王立博物館所蔵『タラドブ帝国史』に残されており、そこには
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
TE15年冬終わり頃、明け方東の天に大彗星現る
彗星は北へと移り、やがて西に行き姿を消す
出現日数30日余り
その姿は白く、現れる方角によって紫と青の尾が長く伸びる
時に強い光を放ち〝天の怒り〟と民を恐れさせた
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
との記載があり、X63年3月に突如彗星が現れた様子、それを凶兆とみなした時の帝王タラドブ・バオが敵国への遠征の出発日を大幅に遅らせるよう部下に指示した経緯などが記されている。
この史料から、当時X63 E1彗星は不吉なものとされ帝王や民衆に恐れられていたことが窺えるが、XX17年3月にバジル彗星が発見された際は
『願い事が叶う彗星』
との出所不明の噂が民衆の間で広がり、幸運の彗星として歓迎を受けた。
バジル彗星の尾の部分が青と紫の縞模様に見えたため、『縞尾彗星』の愛称で呼ぶものも多くいた。
バジル・ジュニパーベリー博士の実験研究によると、バジル彗星は犬類や馬、羊、牛などの動物には視覚的認識が不可能であるという検証結果が出ており、その理由としてバジル彗星の放つ光が非常に特殊なものである為だと同氏は言及している。
つまりバジル彗星は我々猫類だけにしか見えない彗星である可能性が高く、その特殊な光に関しては王国天文学研究所と王国科学研究所の共同研究が進められている。
★~☆~★~☆~★~☆~★~☆
※リンデン地方カルダモン家所蔵史料『ガルバナム王国における彗星の歴史』より
XX17年3月にガルバナム王国天文学研究所のバジル・ジュニパーベリー博士によって発見されたバジル彗星(C/XX17 E2(basil))は、X63年3月に観測された記録のあるC/X63 E1、及びXX08年に観測されたC/XX08 Q1と同一の彗星であることが同氏の研究により明らかになった。
これらが同一彗星と分かった事により、バジル彗星は周期的に地球に接近する周期彗星であることが判明した。
近くバジル彗星には天文学会より周期彗星の符号が与えられる。
彗星X63 E1の観測記録はガルバナム王立博物館所蔵『タラドブ帝国史』に残されており、そこには
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TE15年冬終わり頃、明け方東の天に大彗星現る
彗星は北へと移り、やがて西に行き姿を消す
出現日数30日余り
その姿は白く、現れる方角によって紫と青の尾が長く伸びる
時に強い光を放ち〝天の怒り〟と民を恐れさせた
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との記載があり、X63年3月に突如彗星が現れた様子、それを凶兆とみなした時の帝王タラドブ・バオが敵国への遠征の出発日を大幅に遅らせるよう部下に指示した経緯などが記されている。
この史料から、当時X63 E1彗星は不吉なものとされ帝王や民衆に恐れられていたことが窺えるが、XX17年3月にバジル彗星が発見された際は
『願い事が叶う彗星』
との出所不明の噂が民衆の間で広がり、幸運の彗星として歓迎を受けた。
バジル彗星の尾の部分が青と紫の縞模様に見えたため、『縞尾彗星』の愛称で呼ぶものも多くいた。
バジル・ジュニパーベリー博士の実験研究によると、バジル彗星は犬類や馬、羊、牛などの動物には視覚的認識が不可能であるという検証結果が出ており、その理由としてバジル彗星の放つ光が非常に特殊なものである為だと同氏は言及している。
つまりバジル彗星は我々猫類だけにしか見えない彗星である可能性が高く、その特殊な光に関しては王国天文学研究所と王国科学研究所の共同研究が進められている。
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※リンデン地方カルダモン家所蔵史料『ガルバナム王国における彗星の歴史』より
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