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翌日。同じ喫茶店で構想をまとめていたら、露月が来て、約束の本を貸してくれた。知る人ぞ知る英雄や偉人をまとめた短編集で、上下巻の二冊だ。文章も読みやすく、時間つぶしの読み物としてもちょうどいい。
「じゃあ、お借りします」
「どうぞ。気に入ったら他の話も持って来ます」
透子は筆記用具を片付け、露月と喫茶店を出る。
外ではすでに紅霞と雲翔が険悪な空気を放っていた。
雲翔の勧める店に行くことに決まり、彼が先頭を歩き出すが、紅霞の不機嫌な様子は変わらない。すずさんも呆れた様子で透子の肩に戻る。
「…………また喧嘩していたんでしょうか?」
「していたか、しそうになっていたかの、どちらかでしょうね」
透子と露月はひそひそ、前を歩く雲翔と紅霞の背中を見比べる。雲翔はまた紅霞をあおっているようだ。
「毎日、会いに来るくらいですから、本当に仲が悪いわけではなさそうなのに…………」
「そうなんですよ」と露月もしきりにうなずいた。
「とどのつまり、雲翔のあれはかまってほしいだけです。昔からよく言う『好きな子には意地悪をしてしまう』というやつです」
「やっぱりそうですか」
こちらにもそういう表現があるのか、と思いつつ、透子もうなずく。
「察していましたか?」
「なんとなく。雲翔さん、紅霞さんにふりむいてほしくてしかたない、という気持ちがもれています」
むしろだだ漏れだ。
「良くも悪くも、わかりやすいやつですからね、昔から。きれいな言い方をすれば、ずーっと片思いです。…………そんな繊細な単語とは、無縁の無神経さでもありますが」
露月の雲翔評もなかなかだが、それだけ付き合いが長く、距離が近い証拠だろう。
「でも、紅霞さんは雲翔さんのことを、なんとも思っていなさそうですよね? 雲翔さんには申し訳ないですが、けっこう、うっとうしがられているような…………」
「まあ、それも昔からですね」
露月は肩をすくめた。
「雲翔はあのとおり、紅霞にちょっかいを出しては、手ひどく振られているんです。二十四にもなれば、もっと年相応の、粋な口説き方ができてもいいと思うんですが。何度拒絶されてもあの態度だから、紅霞の対応も雑になる一方で」
「…………聞いているだけで想像できて、雲翔さんが少し気の毒に思えてきました」
なにしろ透子は、紅霞が街一番といわれる高貴な美女を拒絶する様を、目の前で見た。《四姫神》ですらああなのだから、もと同級生の雲翔など、どんな扱いをされたか推して知るべしだ。
(でも正直、わからないでもない。雲翔さんって悪い人ではなさそうだけど、デリカシーに欠けるせいで、甘い雰囲気や艶っぽい関係になりにくいというか…………)
少女漫画やBL漫画に定期的に登場する『距離が近すぎてお友達止まりのキャラ』だろう。恋愛に発展するには色香がなさすぎるのだ。
「紅霞は昔から翠柳一筋で、他の男も女も全然相手にしませんでしたから。色々な女性が入れ替わり立ち替わり紅霞を口説きましたけれど、本人は翠柳にしか心を許さなかったので、次々脱落していった感じです。雲翔はその中でも最後まで残っていましたが、それでも紅霞が翠柳と暮らしはじめると、仕事を口実に夕蓮の街を出ましたよ」
「紅霞さんらしい」
透子は笑った。
雲翔が紅霞にちょっかいを出していた学生時代や子供時代。そばには露月はもちろん、翠柳もいたのだろう。
(ちょっと見てみたかった気がする。涼美ちゃんなんて「ネタの宝庫よ!」って、歓喜の涙を流しただろうな…………)
BL好きが高じて、プロデビューまで果たしてしまった友人を思い出しながら、透子が想像をたくましくしていると、露月が不思議そうに遠慮がちに訊ねてくる。
「あの。失礼かもしれませんが、透子さんは気にしないんですか?」
「はい? なにをですか?」
「その…………紅霞が他の男を想っていることとか、雲翔がまとわりついていることとか」
「翠柳さんのことなら、紅霞さんが心から愛する伴侶とうかがっています。雲翔さんは…………お気の毒ですが、あまり脈があるようには…………」
同情をこめて語尾をにごす。
透子にとって紅霞の翠柳への想いは、既定事実というか、紅霞という人間の『仕様』に落ち着いた感がある。気にするとかしないとか、そういう段階を越えているのだ。
逆にいえば、翠柳を想っていない紅霞は紅霞ではない、とすら思える。
それほど愛される翠柳に羨望や憧憬を感じはするが、いちいち動揺してたら精神がもたないだろう。
「それがなにか?」というまなざしで露月を見あげる透子の反応を見て、露月も「そういうものですか…………」と何度もうなずく。
(露月さんは、友人といえど、同性婚とかには反対の考え方なのかな? いや、それより)
透子は五歩ほど先を行く紅霞と雲翔の横顔を見つめる。
相変わらずなにか言い合っているが、雲翔は楽しそうだし、紅霞も怒ってはいても息は合っているのだ。
(私はあと一年半で日本に帰る予定だから、私が帰っても紅霞さんが一人にならないよう、信頼できる誰かが紅霞さんのそばにいてほしい。――――雲翔さんじゃ駄目なのかな…………?)
紅霞は嫌がりそうだが、雲翔は心から支えてくれそうな気がする。
無神経だの雑だの言われても、紅霞が別の男性と結婚して自分が引っ越したあとも、こうして再会すれば楽しげに話しているあたり、まだ雲翔の気持ちはつづいているように見える。
であれば、かなり一途な人柄ではないだろうか。
(紅霞さんの結婚後は、失恋したんだから別の人に心変わりすることも、遊ぶこともできただろうに、そういう様子もなさそうだし。雲翔さん、実はかなり健気で誠実な人じゃないのかな? 浮気とかしなさそう…………)
「おーい、ここだ」
目的の店を見つけた雲翔が透子と露月をふりかえり、紅霞と雲翔をじーっと観察していた透子は我に返って、慌てて想像を打ち消した。
外での夕食を終え、透子は紅霞と二人、宿に戻ってくる。
寝間着に一枚はおった格好で寝台に座り、足を火鉢に近づけながら、窓からさし込む赤い夕陽を頼りに、露月から借りた本を読んでいた。
なかなか面白い。こちらの歴史ではマイナーらしい偉人達が、平易な文章で活き活きと描写されている。
ついついのめり込んでいると「はあ、まったく」と紅霞が戻ってきた。
「おかえりなさい、紅霞さん」
「悪い、遅くなった」
紅霞は部屋の真ん中に置かれた衝立の向こうに隠れ、すぐに布がこすれ合う音が聞こえてくる。外出用の上着を脱いで、寝る支度をはじめているのだろう。
「悪かったな、一人にして」
「大丈夫です、本がありましたから」
少し齟齬が生じた。
紅霞は『透子は守護の力がない《無印》なのに、長く一人にして悪かった。不安だったか?』という意味で謝ったのだが、透子は『一人で退屈させて悪かった』と気遣われたと解釈したのだ。そのため「本を読んで暇つぶしできたので、大丈夫です」と答えたのだが。
「…………露月と仲いいな。打ち解けたみたいだな」
ややむすっとした口調でこぼす。
このへんの、いったん気を許した相手には独占欲が強くなる傾向は、生前の翠柳にも何度も指摘された、紅霞の悪癖かもしれない。
「雲翔さんとは違う意味で、楽しい方ですよ。博識で、歴史や地理の知識とかお芝居や小説についても詳しいので、話を聞いていると小説の参考になりそうな情報がたくさん聞けます」
透子は頁をめくりながら紅霞に答える。暮れゆく夕陽がじれったい。
「昔っから、露月は頭が良かったからな。家は金持ちで成績もいいから、女にもモテたし」
「こちらにも、そういうのがあるんですね。そうですね、見た目も清潔感あって知性的な雰囲気ですし、女の子は放っておかないですよね」
透子は目で文章を追いながら、片手で栞をさがす。さすがにこれ以上は視界が限界だ。
栞をはさんで本を閉じると、ほぼ同時に衝立の向こうでぽうっと灯りがともり、紅霞が二つの寝台の間に置かれた小さな卓の上に、火のともったろうそくを置いた。宿の灯りは別料金なので、暗くなる前に食事を終えて、日が沈んでからは寝台に入る日々がつづいている。
「…………透子も、露月みたいな男が好みなのか?」
唇を尖らせ、拗ねた子供のような顔が衝立のむこうから出てきた。
透子は数秒置いて本の世界から現実へと頭が切り替わり、やっと紅霞の言葉を理解する。
「紅霞さん…………露月さんに妬いているんですか?」
(え、なんで?)というのが本音だった。
「紅霞さんは、昔から翠柳さんがいたんでしょう? 翠柳さんが露月さんに心変わりしたならともかく、女の子が露月さんを好きになるのは、紅霞さんにはなんの問題もないじゃないですか」
むしろ紅霞は筋金入りの女嫌いである。
「そうだが、そうじゃなくて…………」
「それに、モテるなら紅霞さんもそうでしょう? 子供の頃からおきれいだった、と雲翔さんから聞きましたよ。しょっちゅう告白されたり、贈り物や恋文をもらって、男の子達が悔しがっていたって」
「あの野郎」
紅霞の渋い声に笑みをもらしつつ、透子は想像の翼を大きく広げていく。
(紅霞さん…………見た目はすごい美形だけど、中身はけっこうチンピ…………やんちゃだからなぁ。女の子達も最初はきゃあきゃあ言ってても、中身を知って離れた子は一定数いそう。「思ってたのと違う」って。レディーファーストとかとは無縁な感じがあるし。むしろ《四姫神》さんへの対応を見ても、女性相手でも容赦ない感じ…………)
相手の年齢性別に関わりなく、いったん嫌えば遠慮なく拒絶する。それは《四姫神》の件でも明らかだ。
(目に見える気がする…………たとえば小学生時代『かわいい』『きれい』って、かるい気持ちで寄ってきた女の子達を、怒った紅霞さんが『近寄んなブス!』って本気で嫌がって、女の子達が『褒めただけなのに、ひどい』『悪気ないのに最低』って、傷ついたり悔しがったりして、泣きながら離れていく光景。…………そういう扱いをうけたあとに露月さんみたいな紳士的な人に優しく慰められたら、女の子としては『この人のほうが大切にしてくれそう』『この人のほうが好きかも』って思ってしまうだろうし。露月さん、落ち着いていて気遣いもできる人だし、昔からあんな感じなら『優しいお兄さん的存在』として人気あっただろうなぁ。紅霞さんのようにわかりやすく騒がれるんじゃなく、実は陰で女子の人気を集めているタイプ)
で、雲翔は相変わらず女子には忌避される悪ガキだったろう。
ほほ笑ましい想像をめぐらせて透子がにこにこしていると、なにを勘違いしたか、衝立の向こうから紅霞が出てきて訊いてきた。
「ひょっとして…………透子、露月が好きなのか?」
「は?」
思わず聞き返してしまった。返さざるをえない。
(この…………鈍感男!!)
一瞬、腹の奥が本気で煮えたぎった。
(私はあなたが好きなんですよ!! でも紅霞さんは翠柳さんを忘れないし、女性は駄目な人だし、私自身もあと一年半で日本に帰る身だから、距離感に気をつけているんじゃないですか!! そういう内心を、はっきり告白したことはないけれど、紅霞さんも察してくれていたんじゃなかったんですか!? どうして、そういう発想になるんです!!)
「いや…………あのですね」
透子は怒りをこらえて言葉をさがす。
が、紅霞がじっと真剣に、どこかすがるようなまなざしでこちらを見つめくるのを目の当たりにすると、怒りは冷めた。
「紅霞さん」
透子は冷静に、そして本心からの言葉を紡ぐ。
「私は、あと一年半弱で故郷に帰る身です。その状況で、こちらの方と親密な関係になろうとは思いません」
「…………本気か?」
「本気です」
「露月でも? あいつ、いいやつだぞ?」
「露月さんだろうと他の男性だろうと、同じです。露月さんが良い方なら、なおさら無責任な真似をして傷つけたくありません。まして紅霞さんのお友達です。私のこと、恩人の友人を弄ぶような人間と思っているんですか?」
「いや、そういうわけじゃ」
「露月さんは人柄もいいし博識で、話していて楽しい方ですけれど、友人以上の気持ちはありません。それに露月さんは、たぶん良い家の跡取りですよね? ますます、いい加減なことはできませんよ」
「それもそうだな」
透子の真面目な口調と表情に、紅霞も納得したようだ。一気に表情がやわらぐ。
「たしかにそうだ。透子は真面目で、ちょっと堅苦しいくらいだもんな。いい加減なことはしないか」
(堅苦しい…………)
透子の頭にぷっすり、言の葉の矢が刺さった。
そういう風に思っていたのか、と一瞬、落ち込むが。
(いやでも、私のほうが体は二十歳でも中身は三十歳で、紅霞さんより六つも年上だし! それでなくとも紅霞さんはやんちゃというか、大人気なくて、子供っぽいところがあるから! 私のほうが堅苦しいくらいが、バランスがとれるというか!!)
「そうだよな。悪かった、変なことを訊いたな。忘れてくれ」
「ははっ」と、なんだか一人だけすっきりした様子で笑う紅霞が憎らしくて、透子もつい言ってしまう。
「私はいいですから。紅霞さんは、どうなんです?」
「俺?」
「翠柳さんがいるのは、理解しているつもりですが。…………その、雲翔さんとかは、どうなんです?」
ちょっと語尾の勢いがゆるんだ。やっぱり本人に直接、訊ねるのは勇気がいる内容だ。
これで紅霞から前向きな反応があったりしたら…………。
しかし透子の予想は大きく外れた。
「…………」
紅霞は一瞬にして無言になった。
こころなしか、美麗な顔がチベットスナギツネに似た気がする。「すん…………っ」という効果音が背後に描かれていそうだ。
「…………そこまで嫌わなくとも」
「世界が滅びる前日になっても、無理だな!!」
きっぱりばっさり、紅霞は宣言した。
透子は雲翔が気の毒になる。
「でも雲翔さん、いい方だと思いますよ? ちょっと騒がしくて、繊細さや気配りには欠けますけれど、明るくて元気で、裏表のない人柄じゃないですか。長く付き合うなら、ああいう嘘や影のない人のほうが、疲れないと思いますよ?」
ミステリアスな人間は一時の恋のお相手としては刺激的で魅力があるが、一生の付き合いとなると距離を感じたり、予想や期待と異なる一面を見てしまったりして、気持ちが冷めてしまう場合がままある。
(そもそも付き合ったところで、相手のすべてが把握できるわけではないし。だったら雲翔さんのように嘘のない、嘘をついてもすぐにばれるタイプのほうが、長い目で見れば長続きすると思うんだけど…………違うかな?)
結婚まで進んでいながら、式当日に他の女と逃げられた身としては、そう考えてしまう。
が、紅霞の意見は別だった。
「友達ならいいが、恋人とか、翠柳の代わりってんなら、絶対無理だ。翠柳の代わりは誰もいない」
さらに紅霞は言い募る。
「だいいち雲翔は子供っぽすぎる。久しぶりに会ったが、相変わらず十代の子供みたいで。翠柳は年下だが、小さい頃からしっかりしていた。雲翔とは正反対だ」
(それはですね…………たぶん翠柳さんは、昔から子供っぽくて危なっかしい年上二人を見て育ったから「年下でも自分がしっかりしないと」って、大人びたんですよ…………何歳になっても小学生男児、という点では、紅霞さんも雲翔さんと大差ないですよ…………たぶん翠柳さんも、露月さんとだけ接していれば、年相応の子供らしい面が伸びたと思いますよ…………?)
透子は強く思ったが、口には絶対出さない。
告げたのは別のことだ。
「私も、翠柳さんの代わりを見つけてほしい、というわけではないんです。ただ、私が帰っても、紅霞さんが長く、それこそ一生信頼できて支え合えるような、そんな人を見つけてほしいと思っているだけです」
「つまり、俺とやつをまとめたがっているんだろ」
「紅霞さんが望まないなら、勧めません。強要したいわけではありません、紅霞さんの気持ちが最優先です」
これも透子の本心だった。
強制したところで、愛情も信頼も生まれるものではない。
「紅霞さんが一人にならなければいいな、と思っているだけです。私は多少のお金は残して行けると思いますが…………《四姫神》さんの件で、紅霞さんは当分…………ひょっとしたら一生、夕蓮の街には戻れないでしょう?
生まれ育った場所を離れるのは、心細いと思いますし。どこで新しく生活するにしても、仲良く暮らして、いざという時には頼れる相手が見つかるといいな、と思っているだけです」
すると紅霞は不思議な表情をした。
すねたような切ないような、きりきりした胸の痛みをこらえるような、すがるような、いくつもの感情が入り混じった顔つき。ふい、と透子から視線をそらす。
「…………透子は、俺が心配なのか?」
「当然です。恩人ですし」
透子はちょっと戸惑いながら、断言した。
紅霞の雰囲気が変わった気がするが、どう変わったのかが、わからない。
寝間着に一枚羽織った姿の紅霞が、寝台に座る透子の前に来る。
「…………だったら、透子じゃ駄目なのか」
「え」
「透子が一緒にいてくれるんじゃ、駄目なのか」
「紅霞さん…………?」
怖ろしく整って艶めいた顔が、透子の目の前にくる。
「じゃあ、お借りします」
「どうぞ。気に入ったら他の話も持って来ます」
透子は筆記用具を片付け、露月と喫茶店を出る。
外ではすでに紅霞と雲翔が険悪な空気を放っていた。
雲翔の勧める店に行くことに決まり、彼が先頭を歩き出すが、紅霞の不機嫌な様子は変わらない。すずさんも呆れた様子で透子の肩に戻る。
「…………また喧嘩していたんでしょうか?」
「していたか、しそうになっていたかの、どちらかでしょうね」
透子と露月はひそひそ、前を歩く雲翔と紅霞の背中を見比べる。雲翔はまた紅霞をあおっているようだ。
「毎日、会いに来るくらいですから、本当に仲が悪いわけではなさそうなのに…………」
「そうなんですよ」と露月もしきりにうなずいた。
「とどのつまり、雲翔のあれはかまってほしいだけです。昔からよく言う『好きな子には意地悪をしてしまう』というやつです」
「やっぱりそうですか」
こちらにもそういう表現があるのか、と思いつつ、透子もうなずく。
「察していましたか?」
「なんとなく。雲翔さん、紅霞さんにふりむいてほしくてしかたない、という気持ちがもれています」
むしろだだ漏れだ。
「良くも悪くも、わかりやすいやつですからね、昔から。きれいな言い方をすれば、ずーっと片思いです。…………そんな繊細な単語とは、無縁の無神経さでもありますが」
露月の雲翔評もなかなかだが、それだけ付き合いが長く、距離が近い証拠だろう。
「でも、紅霞さんは雲翔さんのことを、なんとも思っていなさそうですよね? 雲翔さんには申し訳ないですが、けっこう、うっとうしがられているような…………」
「まあ、それも昔からですね」
露月は肩をすくめた。
「雲翔はあのとおり、紅霞にちょっかいを出しては、手ひどく振られているんです。二十四にもなれば、もっと年相応の、粋な口説き方ができてもいいと思うんですが。何度拒絶されてもあの態度だから、紅霞の対応も雑になる一方で」
「…………聞いているだけで想像できて、雲翔さんが少し気の毒に思えてきました」
なにしろ透子は、紅霞が街一番といわれる高貴な美女を拒絶する様を、目の前で見た。《四姫神》ですらああなのだから、もと同級生の雲翔など、どんな扱いをされたか推して知るべしだ。
(でも正直、わからないでもない。雲翔さんって悪い人ではなさそうだけど、デリカシーに欠けるせいで、甘い雰囲気や艶っぽい関係になりにくいというか…………)
少女漫画やBL漫画に定期的に登場する『距離が近すぎてお友達止まりのキャラ』だろう。恋愛に発展するには色香がなさすぎるのだ。
「紅霞は昔から翠柳一筋で、他の男も女も全然相手にしませんでしたから。色々な女性が入れ替わり立ち替わり紅霞を口説きましたけれど、本人は翠柳にしか心を許さなかったので、次々脱落していった感じです。雲翔はその中でも最後まで残っていましたが、それでも紅霞が翠柳と暮らしはじめると、仕事を口実に夕蓮の街を出ましたよ」
「紅霞さんらしい」
透子は笑った。
雲翔が紅霞にちょっかいを出していた学生時代や子供時代。そばには露月はもちろん、翠柳もいたのだろう。
(ちょっと見てみたかった気がする。涼美ちゃんなんて「ネタの宝庫よ!」って、歓喜の涙を流しただろうな…………)
BL好きが高じて、プロデビューまで果たしてしまった友人を思い出しながら、透子が想像をたくましくしていると、露月が不思議そうに遠慮がちに訊ねてくる。
「あの。失礼かもしれませんが、透子さんは気にしないんですか?」
「はい? なにをですか?」
「その…………紅霞が他の男を想っていることとか、雲翔がまとわりついていることとか」
「翠柳さんのことなら、紅霞さんが心から愛する伴侶とうかがっています。雲翔さんは…………お気の毒ですが、あまり脈があるようには…………」
同情をこめて語尾をにごす。
透子にとって紅霞の翠柳への想いは、既定事実というか、紅霞という人間の『仕様』に落ち着いた感がある。気にするとかしないとか、そういう段階を越えているのだ。
逆にいえば、翠柳を想っていない紅霞は紅霞ではない、とすら思える。
それほど愛される翠柳に羨望や憧憬を感じはするが、いちいち動揺してたら精神がもたないだろう。
「それがなにか?」というまなざしで露月を見あげる透子の反応を見て、露月も「そういうものですか…………」と何度もうなずく。
(露月さんは、友人といえど、同性婚とかには反対の考え方なのかな? いや、それより)
透子は五歩ほど先を行く紅霞と雲翔の横顔を見つめる。
相変わらずなにか言い合っているが、雲翔は楽しそうだし、紅霞も怒ってはいても息は合っているのだ。
(私はあと一年半で日本に帰る予定だから、私が帰っても紅霞さんが一人にならないよう、信頼できる誰かが紅霞さんのそばにいてほしい。――――雲翔さんじゃ駄目なのかな…………?)
紅霞は嫌がりそうだが、雲翔は心から支えてくれそうな気がする。
無神経だの雑だの言われても、紅霞が別の男性と結婚して自分が引っ越したあとも、こうして再会すれば楽しげに話しているあたり、まだ雲翔の気持ちはつづいているように見える。
であれば、かなり一途な人柄ではないだろうか。
(紅霞さんの結婚後は、失恋したんだから別の人に心変わりすることも、遊ぶこともできただろうに、そういう様子もなさそうだし。雲翔さん、実はかなり健気で誠実な人じゃないのかな? 浮気とかしなさそう…………)
「おーい、ここだ」
目的の店を見つけた雲翔が透子と露月をふりかえり、紅霞と雲翔をじーっと観察していた透子は我に返って、慌てて想像を打ち消した。
外での夕食を終え、透子は紅霞と二人、宿に戻ってくる。
寝間着に一枚はおった格好で寝台に座り、足を火鉢に近づけながら、窓からさし込む赤い夕陽を頼りに、露月から借りた本を読んでいた。
なかなか面白い。こちらの歴史ではマイナーらしい偉人達が、平易な文章で活き活きと描写されている。
ついついのめり込んでいると「はあ、まったく」と紅霞が戻ってきた。
「おかえりなさい、紅霞さん」
「悪い、遅くなった」
紅霞は部屋の真ん中に置かれた衝立の向こうに隠れ、すぐに布がこすれ合う音が聞こえてくる。外出用の上着を脱いで、寝る支度をはじめているのだろう。
「悪かったな、一人にして」
「大丈夫です、本がありましたから」
少し齟齬が生じた。
紅霞は『透子は守護の力がない《無印》なのに、長く一人にして悪かった。不安だったか?』という意味で謝ったのだが、透子は『一人で退屈させて悪かった』と気遣われたと解釈したのだ。そのため「本を読んで暇つぶしできたので、大丈夫です」と答えたのだが。
「…………露月と仲いいな。打ち解けたみたいだな」
ややむすっとした口調でこぼす。
このへんの、いったん気を許した相手には独占欲が強くなる傾向は、生前の翠柳にも何度も指摘された、紅霞の悪癖かもしれない。
「雲翔さんとは違う意味で、楽しい方ですよ。博識で、歴史や地理の知識とかお芝居や小説についても詳しいので、話を聞いていると小説の参考になりそうな情報がたくさん聞けます」
透子は頁をめくりながら紅霞に答える。暮れゆく夕陽がじれったい。
「昔っから、露月は頭が良かったからな。家は金持ちで成績もいいから、女にもモテたし」
「こちらにも、そういうのがあるんですね。そうですね、見た目も清潔感あって知性的な雰囲気ですし、女の子は放っておかないですよね」
透子は目で文章を追いながら、片手で栞をさがす。さすがにこれ以上は視界が限界だ。
栞をはさんで本を閉じると、ほぼ同時に衝立の向こうでぽうっと灯りがともり、紅霞が二つの寝台の間に置かれた小さな卓の上に、火のともったろうそくを置いた。宿の灯りは別料金なので、暗くなる前に食事を終えて、日が沈んでからは寝台に入る日々がつづいている。
「…………透子も、露月みたいな男が好みなのか?」
唇を尖らせ、拗ねた子供のような顔が衝立のむこうから出てきた。
透子は数秒置いて本の世界から現実へと頭が切り替わり、やっと紅霞の言葉を理解する。
「紅霞さん…………露月さんに妬いているんですか?」
(え、なんで?)というのが本音だった。
「紅霞さんは、昔から翠柳さんがいたんでしょう? 翠柳さんが露月さんに心変わりしたならともかく、女の子が露月さんを好きになるのは、紅霞さんにはなんの問題もないじゃないですか」
むしろ紅霞は筋金入りの女嫌いである。
「そうだが、そうじゃなくて…………」
「それに、モテるなら紅霞さんもそうでしょう? 子供の頃からおきれいだった、と雲翔さんから聞きましたよ。しょっちゅう告白されたり、贈り物や恋文をもらって、男の子達が悔しがっていたって」
「あの野郎」
紅霞の渋い声に笑みをもらしつつ、透子は想像の翼を大きく広げていく。
(紅霞さん…………見た目はすごい美形だけど、中身はけっこうチンピ…………やんちゃだからなぁ。女の子達も最初はきゃあきゃあ言ってても、中身を知って離れた子は一定数いそう。「思ってたのと違う」って。レディーファーストとかとは無縁な感じがあるし。むしろ《四姫神》さんへの対応を見ても、女性相手でも容赦ない感じ…………)
相手の年齢性別に関わりなく、いったん嫌えば遠慮なく拒絶する。それは《四姫神》の件でも明らかだ。
(目に見える気がする…………たとえば小学生時代『かわいい』『きれい』って、かるい気持ちで寄ってきた女の子達を、怒った紅霞さんが『近寄んなブス!』って本気で嫌がって、女の子達が『褒めただけなのに、ひどい』『悪気ないのに最低』って、傷ついたり悔しがったりして、泣きながら離れていく光景。…………そういう扱いをうけたあとに露月さんみたいな紳士的な人に優しく慰められたら、女の子としては『この人のほうが大切にしてくれそう』『この人のほうが好きかも』って思ってしまうだろうし。露月さん、落ち着いていて気遣いもできる人だし、昔からあんな感じなら『優しいお兄さん的存在』として人気あっただろうなぁ。紅霞さんのようにわかりやすく騒がれるんじゃなく、実は陰で女子の人気を集めているタイプ)
で、雲翔は相変わらず女子には忌避される悪ガキだったろう。
ほほ笑ましい想像をめぐらせて透子がにこにこしていると、なにを勘違いしたか、衝立の向こうから紅霞が出てきて訊いてきた。
「ひょっとして…………透子、露月が好きなのか?」
「は?」
思わず聞き返してしまった。返さざるをえない。
(この…………鈍感男!!)
一瞬、腹の奥が本気で煮えたぎった。
(私はあなたが好きなんですよ!! でも紅霞さんは翠柳さんを忘れないし、女性は駄目な人だし、私自身もあと一年半で日本に帰る身だから、距離感に気をつけているんじゃないですか!! そういう内心を、はっきり告白したことはないけれど、紅霞さんも察してくれていたんじゃなかったんですか!? どうして、そういう発想になるんです!!)
「いや…………あのですね」
透子は怒りをこらえて言葉をさがす。
が、紅霞がじっと真剣に、どこかすがるようなまなざしでこちらを見つめくるのを目の当たりにすると、怒りは冷めた。
「紅霞さん」
透子は冷静に、そして本心からの言葉を紡ぐ。
「私は、あと一年半弱で故郷に帰る身です。その状況で、こちらの方と親密な関係になろうとは思いません」
「…………本気か?」
「本気です」
「露月でも? あいつ、いいやつだぞ?」
「露月さんだろうと他の男性だろうと、同じです。露月さんが良い方なら、なおさら無責任な真似をして傷つけたくありません。まして紅霞さんのお友達です。私のこと、恩人の友人を弄ぶような人間と思っているんですか?」
「いや、そういうわけじゃ」
「露月さんは人柄もいいし博識で、話していて楽しい方ですけれど、友人以上の気持ちはありません。それに露月さんは、たぶん良い家の跡取りですよね? ますます、いい加減なことはできませんよ」
「それもそうだな」
透子の真面目な口調と表情に、紅霞も納得したようだ。一気に表情がやわらぐ。
「たしかにそうだ。透子は真面目で、ちょっと堅苦しいくらいだもんな。いい加減なことはしないか」
(堅苦しい…………)
透子の頭にぷっすり、言の葉の矢が刺さった。
そういう風に思っていたのか、と一瞬、落ち込むが。
(いやでも、私のほうが体は二十歳でも中身は三十歳で、紅霞さんより六つも年上だし! それでなくとも紅霞さんはやんちゃというか、大人気なくて、子供っぽいところがあるから! 私のほうが堅苦しいくらいが、バランスがとれるというか!!)
「そうだよな。悪かった、変なことを訊いたな。忘れてくれ」
「ははっ」と、なんだか一人だけすっきりした様子で笑う紅霞が憎らしくて、透子もつい言ってしまう。
「私はいいですから。紅霞さんは、どうなんです?」
「俺?」
「翠柳さんがいるのは、理解しているつもりですが。…………その、雲翔さんとかは、どうなんです?」
ちょっと語尾の勢いがゆるんだ。やっぱり本人に直接、訊ねるのは勇気がいる内容だ。
これで紅霞から前向きな反応があったりしたら…………。
しかし透子の予想は大きく外れた。
「…………」
紅霞は一瞬にして無言になった。
こころなしか、美麗な顔がチベットスナギツネに似た気がする。「すん…………っ」という効果音が背後に描かれていそうだ。
「…………そこまで嫌わなくとも」
「世界が滅びる前日になっても、無理だな!!」
きっぱりばっさり、紅霞は宣言した。
透子は雲翔が気の毒になる。
「でも雲翔さん、いい方だと思いますよ? ちょっと騒がしくて、繊細さや気配りには欠けますけれど、明るくて元気で、裏表のない人柄じゃないですか。長く付き合うなら、ああいう嘘や影のない人のほうが、疲れないと思いますよ?」
ミステリアスな人間は一時の恋のお相手としては刺激的で魅力があるが、一生の付き合いとなると距離を感じたり、予想や期待と異なる一面を見てしまったりして、気持ちが冷めてしまう場合がままある。
(そもそも付き合ったところで、相手のすべてが把握できるわけではないし。だったら雲翔さんのように嘘のない、嘘をついてもすぐにばれるタイプのほうが、長い目で見れば長続きすると思うんだけど…………違うかな?)
結婚まで進んでいながら、式当日に他の女と逃げられた身としては、そう考えてしまう。
が、紅霞の意見は別だった。
「友達ならいいが、恋人とか、翠柳の代わりってんなら、絶対無理だ。翠柳の代わりは誰もいない」
さらに紅霞は言い募る。
「だいいち雲翔は子供っぽすぎる。久しぶりに会ったが、相変わらず十代の子供みたいで。翠柳は年下だが、小さい頃からしっかりしていた。雲翔とは正反対だ」
(それはですね…………たぶん翠柳さんは、昔から子供っぽくて危なっかしい年上二人を見て育ったから「年下でも自分がしっかりしないと」って、大人びたんですよ…………何歳になっても小学生男児、という点では、紅霞さんも雲翔さんと大差ないですよ…………たぶん翠柳さんも、露月さんとだけ接していれば、年相応の子供らしい面が伸びたと思いますよ…………?)
透子は強く思ったが、口には絶対出さない。
告げたのは別のことだ。
「私も、翠柳さんの代わりを見つけてほしい、というわけではないんです。ただ、私が帰っても、紅霞さんが長く、それこそ一生信頼できて支え合えるような、そんな人を見つけてほしいと思っているだけです」
「つまり、俺とやつをまとめたがっているんだろ」
「紅霞さんが望まないなら、勧めません。強要したいわけではありません、紅霞さんの気持ちが最優先です」
これも透子の本心だった。
強制したところで、愛情も信頼も生まれるものではない。
「紅霞さんが一人にならなければいいな、と思っているだけです。私は多少のお金は残して行けると思いますが…………《四姫神》さんの件で、紅霞さんは当分…………ひょっとしたら一生、夕蓮の街には戻れないでしょう?
生まれ育った場所を離れるのは、心細いと思いますし。どこで新しく生活するにしても、仲良く暮らして、いざという時には頼れる相手が見つかるといいな、と思っているだけです」
すると紅霞は不思議な表情をした。
すねたような切ないような、きりきりした胸の痛みをこらえるような、すがるような、いくつもの感情が入り混じった顔つき。ふい、と透子から視線をそらす。
「…………透子は、俺が心配なのか?」
「当然です。恩人ですし」
透子はちょっと戸惑いながら、断言した。
紅霞の雰囲気が変わった気がするが、どう変わったのかが、わからない。
寝間着に一枚羽織った姿の紅霞が、寝台に座る透子の前に来る。
「…………だったら、透子じゃ駄目なのか」
「え」
「透子が一緒にいてくれるんじゃ、駄目なのか」
「紅霞さん…………?」
怖ろしく整って艶めいた顔が、透子の目の前にくる。
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