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「――――」
口を開きかけるアレクシアを再度、制して、ジークフリートが進み出た。
「選ぶ必要はない。それより先にお前を倒せば、話は終わりだ」
「低能めが。魔王の会話に割り込むとは、つくづく罪を重ねたいらしい」
「交渉決裂だな。美女をめぐっての決闘だ、そういうものだな」
ジークフリートも長剣を抜いた。瞳が期待と興奮にきらきら輝いている。
「ウィンは下がっているな。姫も下がってくれ、決闘は一対一が原則だ」
「ですが」
「危なくなったら、呼ぶ」
笑ったジークフリートだが、アレクシアはなんとなく(呼ばなさそうだ)と思う。
どうしたものか、と悩んだ。
ジークフリートの破格の実力は知っている。しかし相手は魔王。油断は禁物だ。確実に倒すなら、二人がかりのほうがいいに決まっている。
ただ、うまく連携がとれる自信がない。逆に足を引っ張る可能性を否定できない。
なにより、これは本来アレクシアの問題だ。他国の王子であるジークフリートだけを矢面に立たせるのは抵抗がある。まあ、本人のほうから首を突っ込んではきたのだが。
「心配は無用だ」
アレクシアの迷いを見透かしたわけでもなかろうが、魔王が言った。
「対価たる美姫には、対価の役目があろう。魔王の婚礼を邪魔した愚者への処罰と、見せしめもある。そら」
魔王が手をふった。すると彼の背後に赤い炎の壁が生じ、壁が消えると数えきれぬ獣の姿があった。四足で歩くもの、翼を持つもの、角や鱗を持つもの、蛇のように這うもの…………野の獣に似て異なる異形達の大群。すべて『魔族』と呼ばれる生き物達だ。
「…………っ」
「げ」
アレクシアは息を呑んだし、離れて見守っていたウィンフィールドも声をあげる。
「おお、ずいぶん呼び寄せたな。小物でもこの量なら手応えありそうだ」
ジークフリートの声だけが楽しそうだ。
魔王は嘲笑した。
「小物であればよいがな。さあ、我が配下よ。貴様らの王の婚礼を邪魔した不届き者に、貴様らがふさわしいと思う罰をくれてやるがいい!!
飢えも渇きも、存分に満たせ!!」
獣達は王の言葉にいっせいに人間達に襲いかかる。
アレクシアだけは傷つけぬよう命じられたが、彼女はジークフリートのすぐそばに立っていたので、普通の令嬢なら「自分も襲われる!」と確信して半狂乱になっていただろう。
普通の令嬢なら。
アレクシアは聖遺物の剣をふるった。
自分への害意があろうとなかろうと関係ない。手近な獣から致命傷を与えていく。天界の武器で斬られた魔族の獣は次々血を流して倒れていく。
ジークフリートも長剣をふるい、青白い炎が刃から吹き出して、洪水のように獣達を呑み込んで焼いた。
獣達が怯む。アレクシアはその隙に剣に魔力を注いだ。
剣が輝き、武器の形からもとの竪琴へと姿を変える。
ぼろん、と七本の弦を爪弾いた。
弦が一瞬で伸び、夜空の中を白い七本の光の線が伸びて、獣達へとふりそそぐ。弦は奏者の音色に合わせて縦横無尽に流れ、曲がりくねって一気に十匹を越える獣を切り捨てる。でたらめに見えて的確に敵を倒していく光の糸は、動くたびに星のように瞬いて流星雨のようだ。
「使い方が多い聖遺物だな、便利だ。貴女の使いこなしぶりもすばらしい。相当訓練を積んだことがわかる。やはり貴女は努力家だ」
ジークフリートは愛する姫に賛辞を贈る。その一方で両手は間断なく動き、刃と魔術の炎で飛びかかってくる獣達を倒していく。
魔王ルビンロートはゆったり語る。
「聖遺物の使い手であることは欠点ではない。我が妃だ、その程度の能力は備えていた方が見栄えもよいというもの。だが我が配下は五千を越える。人間には無限にも等しい数であろう。服従を誓うなら、いつでも声をかけるがいい。夫の寛容をもって聞いてやろう」
「…………っ」
「五千くらいなら、一晩あれば充分か? あ、でも全員がこの水準とは限らないな。小物でも数が多ければ、手間がかかるか」
なにか言おうとしたアレクシアをさえぎって、ジークフリートが青白い刃を横なぎにふるう。炎が一気に二十体ほどを焼く。
「姫、少しいいか?」
ジークフリートが獣を切り捨てながらアレクシアに訊ねてきた。お互い背後からの攻撃を避けるため、必然的に背中合わせの体勢をとっている。
「獣のほうは姫に任せたい。姫の弦と魔力なら、半刻は大丈夫だろう。ラッヘにも加勢させる。その間に俺が魔王を倒そうと思うが、やはり姫は自分の手で倒したいか?」
ジークフリートの声と表情はあくまで真面目だ。
「姫は、公子との結婚を邪魔した『魔王の脳天に一撃くらわせたい』と言っていたが。魔王とは俺も戦いたい。姫の許しさえあれば、一気に倒すところまでいってしまいたいんだが、やはり、とどめくらいは姫が刺したいか?」
内容とは裏腹に、緊張感のまるでないジークフリートの様子に、アレクシアも焦りや怒りをとおりこして呆れる。が、これがこの王子の平常なのだろう。
アレクシアは結論を出した。
「正直、そこの魔王をこの手で倒したい気持ちは今もございます。しかし事態がこうなった以上、最優先は被害を最小限に抑えることと、確実に敵の頭を叩くこと。殿下のほうが私より明らかにお強い以上、魔王は殿下にお願いいたします。かわりに獣達はお任せください。一体残らず滅してみせます」
「頼もしいな。では方針はまとまった。背中はお願いする」
ジークフリートの言葉にアレクシアは眼前の獣達に集中し、アレクシアの返事にジークフリートは魔王に集中する。眼前の獣達を炎で焼くと、一気に跳んで魔王との距離を詰めた。
「下賤の者が」
魔王は不快に顔をゆがめる。
「泣いて許しを請えば、せめて一息に殺してやる道もあったものを。もはや、その面を我が視界に入れるだけで死罪に値する。煉獄では足りぬ。地獄の底の、そのまた底まで叩き落としてくれよう!!」
さらに配下に命じる。
「貴様ら! 妃の腕や足、出血程度なら、日頃の働きに対する褒美としてくれてやる! ただし命を奪うことだけは、断じて許さぬ!! その輝ける魂をこの世から解き放ったもの、誰であろうと、この赤の魔王の制裁をまぬがれぬと脳裏に刻め!!」
一瞬、獣達は怯むように動きを止める。が、それは本当に一瞬で、すぐにふたたび大波のようにアレクシアに飛びかかってきた。
アレクシアの七本の弦が踊り、獣達の脚が、翼が、胴体が輪切りになっていく。
「おお、おお、混戦だな」
離れたところから呑気に呟くのはウィンフィールド。
彼は足もとに荷物を詰めた袋を置いて事態を見守っていたが、仕留めやすそうだと思われたか、彼のもとへも魔族の獣達が何頭か駆け寄ってくる。
だが獣達が若い餌にありつけることはなかった。
びぃん、と弦の音が響く。
次いで獣の悲鳴が。
傷は小さかった。
しかし、その小さな傷から聖なる力がほとばしり、魔族の獣を内側から侵食していく。
脳天に矢をうけた角の生えた虎は、断末魔の声をあげて地面に倒れた。そのまま絶命する。
「さすが、ベルティーナの聖なる加護。『聖女』の称号は伊達じゃない」
口笛を吹いた時には、ウィンフィールドは二体目を射抜いている。
聖女の加護、すなわち聖女の聖別によって浄化の力を得た矢は名射手の技により、地を走ってくる獣も空を飛んでくる獣も次々貫いて、ウィンフィールドのもとにたどりつける獣は一頭もいない。
彼が背にして、背後からの攻撃を防ぐ壁にしていたラッヘも息を止めた。次の瞬間、夜の荒野を真昼のように照らして金色の巨大な炎を吹き、接近しようとしていた獣達五十頭ほどをまとめて焼き尽す。
竜の名にふさわしい豪快さだった。
「不遜者どもめが。増長する程度には力があるようだが、まだ四千以上が残っておるぞ?」
赤髪の魔王はジークフリートの鋭い一閃をかわして「そら」と手を振る。すると、さらに多くの異形の獣達が現れた。命令はすでに伝わっているようで、迷わずアレクシアとジークフリートに、ウィンフィールドや竜に襲いかかる。津波のごとき光景だ。
アレクシアは弦をかき鳴らす手にいっそう力と魔力を込める。
そこへ。
「うにゃーん」
愛らしい声が響く。
「ねこさん!」
アレクシアが愛猫の名を呼ぶ。
夜空の一部が青白く光り、丸く開いた穴から小さな影がころん、と飛び出してきた。
「うにゃっ」
「おかえりなさい、ねこさん」
出てきたのは一見、子供。大きな灰色の頭と短い手足の、ねこさんとほぼ同じ大きさの二頭身半ほどの子供だ。人間の服を着ているが、にこにこした顔は愛猫の面影があり、小さな手に自分の身長よりずっと長い木の杖をにぎっている。杖の先には、淡い光を放つランタンが掲げられていた。
子供はアレクシアの肩に乗り「お待たせ」と言わんばかりに「うにゃん」と鳴く。そして「うにゃっ!」と、持っていた杖をふった。
するともう一回り大きな穴が夜空に開き、銀灰色の髪と金属の鎧を星の光に反射させて、大きな人影が飛び出してきた。人影は着地も待たずに、たずさえていた長い棒状の物を振る。
途端、強風が生じて周囲の獣達を吹き飛ばし、一部は風の刃に斬られて、その四肢や翼や頭部を四散させた。
「父上!!」
アレクシアが声をあげる。それ一つで、どれほどの信頼を寄せているか察せられる声音だ。
アレクシアの父、アイスヴェルク伯爵ヴァーリック・フォン・プファンクーヘン将軍だった。
「ありがとう、ねこさん。父上を呼んで来てくれましたね」
「うにゃんっ」
飼い主に頭をなでられ、杖をにぎったねこさんは嬉しそうに一鳴きする。
その様子を見た魔王が忌々しげに吐き捨てた。
「妖精…………! 力を失い、地を這いずる古の神々の残滓めが…………!!」
ねこさんは『ランタン持ち』という能力を有する、妖精猫だ。この世と異界をつなぐ『道』を行き来する能力を持ち、早馬で十日かかる道程も、ねこさんが『道』をつなげれば数秒でたどり着く。
幼い頃から誘拐などの危険な目に遭ってきたアレクシアは、ねこさんのこの能力で何度も窮地を救われていた。
ジークフリートに利用価値を見出したとはいえ、異国であるフリューリングフルスにやすやすと連れて来られたのも、ねこさんのこの能力を用いれば好きな時に即、実家に戻ることができると、わかっていたからである。
「アレク!!」
父が娘を呼んだ。非常事態を瞬時に悟り、簡潔に状況の説明を求める。
「状況報告!!」
「敵襲来! 推定五千! ジークフリート殿下が魔王と交戦中!! 有象無象の排除の協力を願います!!」
アイスヴェルク伯爵の話し方は、武勇で鳴らす将軍のものだった。
そしてその娘も、ほぼ軍人の話し方だった。
「おお、姫の父君か。是非、あとでゆっくりお話し願いたい」
ジークフリートが割り込んできた獣を切り払いながら、プファンクーヘン将軍に呼びかける。
「フリューリングフルス第四王子ジークフリート殿下、か?」
さすがに不審を含んだまなざしで、銀髪の将軍が黒髪の青年を見やる。
ねこさんに託された愛娘からの手紙で「隣国の第四王子が助力に加わった」と知らされてはいるが、実際に目の当たりにすると「何故、どういう経緯で」という疑念はぬぐえない。
異国の王子はごく気楽に、手をふりそうなくらい愛想よく説明してきた。
「ごあいさつしたいが、今はこのとおり立て込んでいるので、あとであらためて。割愛するが、俺は貴公のご息女に恋した。今、口説いている最中だが、父君にもお許しいただけたら心強い」
その説明で将軍はだいたいの事情を理解した。
どうしてうちの娘はこう、厄介そうな男ばかり引き寄せるのだろう。魔王に目をつけられただけでも災難なのに、一介の貴族の身で他国の王族に見初められるなど、もめ事の種にしかなりそうにない!
将軍の眉間のしわが無言でそう語っている。
が、今は嘆いている場合ではない。目の前の魔王との戦いに集中すべきだ。
こうなった以上、中途半端な結果は逆に深刻な結果を招く。ここで魔王を逃せば、人間達にしてやられた魔王は激怒して、さらなる災厄をシュネーゼとアレクシアにもたらすはずだ。
公国のため娘のため、将軍としても父親としても、ここで始末をつけるのが不可欠だった。
銀髪の将軍は飛びかかってきた四枚の翼の鷲にむかって、にぎっていた槍を突き出す。青緑色の槍の穂先は鷲の喉を貫き、さらに鷲の背後にいた三つ目の鷹を吹き飛ばした。
ハイリヒトゥームの大神殿が管理する聖遺物『風の翼』だ。
普段は大神殿が厳重に保管しているが、アレクシアが友人の聖女ベルティーナに手紙を送り、プファンクーヘン将軍への貸し出しを許可してもらったのである。
将軍の槍には風が巻きつき、ふるうたびに竜巻のような風が生じて、魔族の獣達を吹き飛ばし、風の刃で切り刻んだ。
父と背中合わせで、娘も七本の弦を流星雨のようにひらめかせていく。
「ちょっとした大量虐殺だな。人間のほうが災厄っぽく見えるのは、珍しくないか?」
離れた位置で呑気に語るのは、聖別された矢を射ていくウィンフィールド。彼の弓術も神技に達しており、背後で定期的に炎を吹く竜の加勢もあって、彼らのもとまでたどり着く魔族は一頭もいない。
ウィンフィールドの表現はまさしくそのとおりで、三種の聖遺物と聖別された弓とその使い手達、そして一体の幻獣による攻勢はむしろ魔族の獣達のほうこそ翻弄し、半刻と経たずに千を越す獣が倒れて荒野に屍をさらしていた。
軍隊ならば勝利を確信して「今こそ全力でかかれ!!」と総攻撃に転じている場面だ。
さすがの魔王も舌打ちをこらえられない。
「魂一つに、ここまで手間どるとは。古の遺産も、数が集まれば少しは厄介ということか」
魔王は特に竪琴の形をした聖遺物を見た。正確には、その楽器を奏でる持ち主を。
「よかろう。王にふさわしい実力があれば、配下など自然と無限に湧いてくる。失った獣の数がそのまま、そなたの価値というわけだ。千の獣、万の獣と引き換えにして惜しくない輝きを、その魂が備えていると信じたぞ、我が妃よ」
白銀の頭の上に猫を乗せた美姫に、魔王は語りかける。
妖精猫はすでに人間の姿を解き、耳と鼻と脚と太いかぎ尻尾が灰色の猫の姿に戻っている。
間の抜けた格好ではあるが、弦を操るアレクシアの姿は普段の彼女をよく知る者から見てもいっそう毅然と凛々しく、彼女自身が月か星空であるかのように輝いて、魔族の目にもまぶしいほどだった。
この眩しさを目にするだけで、その魂の力強さを感じるだけで、わずらわしい現実のいっさいを霞ませ、懐かしささえ感じるほどの狂おしい陶酔に誘う。
「そうだ…………あれは我のもの。魔王として覚醒して百二十余年。これほど心奪われたものはない。間違いなく、我のために生まれてきたもの…………!!」
狂気と邪悪をはらんで魔王の秀麗な顔が歓喜に歪む。
「――――ゆえに」
至高の魂を隠すように、長い黒髪をゆらす、不遜で不愉快な人間の姿が魔王の視界に入った。
ジークフリートはタイミングも体勢も完璧に整えて、魔族の王へまっすぐ跳ぶ。青白い長剣が完璧な姿勢でかまえられ、切っ先が古風な衣装に包まれた心臓を狙った。
「貴様は排除されねばならぬ」
魔王は手を振った。埃を払うように無造作に。一度だけ。
魔王の手から宝石のように硬く凝縮された赤い魔力の塊が飛び出し、正面からジークフリートを襲う。
なにもしなければジークフリートは硬い一撃に頭蓋骨を割られ、十秒とかからず全身を焼き尽くされていただろう。ジークフリートもそれを察して体勢を変え、刃で魔力の塊を払う。
剣はジークフリートの魔力が宿る聖遺物であり、持ち主の狙いどおり、魔力の塊を弾くか切るかしているはずだった。本来なら。
重い金属音がエーデの荒野に響く。
数秒、どの人間も手をとめて、その音の発生源をさがした。
「お?」
ジークフリートが目を丸くする。
青白い剣の形をした聖遺物『星の炎』。人間が魔族に対抗しうる数少ない手段。
その貴重な道具の刃が、真っ二つに折れている。刃先が地面に転がった。
口を開きかけるアレクシアを再度、制して、ジークフリートが進み出た。
「選ぶ必要はない。それより先にお前を倒せば、話は終わりだ」
「低能めが。魔王の会話に割り込むとは、つくづく罪を重ねたいらしい」
「交渉決裂だな。美女をめぐっての決闘だ、そういうものだな」
ジークフリートも長剣を抜いた。瞳が期待と興奮にきらきら輝いている。
「ウィンは下がっているな。姫も下がってくれ、決闘は一対一が原則だ」
「ですが」
「危なくなったら、呼ぶ」
笑ったジークフリートだが、アレクシアはなんとなく(呼ばなさそうだ)と思う。
どうしたものか、と悩んだ。
ジークフリートの破格の実力は知っている。しかし相手は魔王。油断は禁物だ。確実に倒すなら、二人がかりのほうがいいに決まっている。
ただ、うまく連携がとれる自信がない。逆に足を引っ張る可能性を否定できない。
なにより、これは本来アレクシアの問題だ。他国の王子であるジークフリートだけを矢面に立たせるのは抵抗がある。まあ、本人のほうから首を突っ込んではきたのだが。
「心配は無用だ」
アレクシアの迷いを見透かしたわけでもなかろうが、魔王が言った。
「対価たる美姫には、対価の役目があろう。魔王の婚礼を邪魔した愚者への処罰と、見せしめもある。そら」
魔王が手をふった。すると彼の背後に赤い炎の壁が生じ、壁が消えると数えきれぬ獣の姿があった。四足で歩くもの、翼を持つもの、角や鱗を持つもの、蛇のように這うもの…………野の獣に似て異なる異形達の大群。すべて『魔族』と呼ばれる生き物達だ。
「…………っ」
「げ」
アレクシアは息を呑んだし、離れて見守っていたウィンフィールドも声をあげる。
「おお、ずいぶん呼び寄せたな。小物でもこの量なら手応えありそうだ」
ジークフリートの声だけが楽しそうだ。
魔王は嘲笑した。
「小物であればよいがな。さあ、我が配下よ。貴様らの王の婚礼を邪魔した不届き者に、貴様らがふさわしいと思う罰をくれてやるがいい!!
飢えも渇きも、存分に満たせ!!」
獣達は王の言葉にいっせいに人間達に襲いかかる。
アレクシアだけは傷つけぬよう命じられたが、彼女はジークフリートのすぐそばに立っていたので、普通の令嬢なら「自分も襲われる!」と確信して半狂乱になっていただろう。
普通の令嬢なら。
アレクシアは聖遺物の剣をふるった。
自分への害意があろうとなかろうと関係ない。手近な獣から致命傷を与えていく。天界の武器で斬られた魔族の獣は次々血を流して倒れていく。
ジークフリートも長剣をふるい、青白い炎が刃から吹き出して、洪水のように獣達を呑み込んで焼いた。
獣達が怯む。アレクシアはその隙に剣に魔力を注いだ。
剣が輝き、武器の形からもとの竪琴へと姿を変える。
ぼろん、と七本の弦を爪弾いた。
弦が一瞬で伸び、夜空の中を白い七本の光の線が伸びて、獣達へとふりそそぐ。弦は奏者の音色に合わせて縦横無尽に流れ、曲がりくねって一気に十匹を越える獣を切り捨てる。でたらめに見えて的確に敵を倒していく光の糸は、動くたびに星のように瞬いて流星雨のようだ。
「使い方が多い聖遺物だな、便利だ。貴女の使いこなしぶりもすばらしい。相当訓練を積んだことがわかる。やはり貴女は努力家だ」
ジークフリートは愛する姫に賛辞を贈る。その一方で両手は間断なく動き、刃と魔術の炎で飛びかかってくる獣達を倒していく。
魔王ルビンロートはゆったり語る。
「聖遺物の使い手であることは欠点ではない。我が妃だ、その程度の能力は備えていた方が見栄えもよいというもの。だが我が配下は五千を越える。人間には無限にも等しい数であろう。服従を誓うなら、いつでも声をかけるがいい。夫の寛容をもって聞いてやろう」
「…………っ」
「五千くらいなら、一晩あれば充分か? あ、でも全員がこの水準とは限らないな。小物でも数が多ければ、手間がかかるか」
なにか言おうとしたアレクシアをさえぎって、ジークフリートが青白い刃を横なぎにふるう。炎が一気に二十体ほどを焼く。
「姫、少しいいか?」
ジークフリートが獣を切り捨てながらアレクシアに訊ねてきた。お互い背後からの攻撃を避けるため、必然的に背中合わせの体勢をとっている。
「獣のほうは姫に任せたい。姫の弦と魔力なら、半刻は大丈夫だろう。ラッヘにも加勢させる。その間に俺が魔王を倒そうと思うが、やはり姫は自分の手で倒したいか?」
ジークフリートの声と表情はあくまで真面目だ。
「姫は、公子との結婚を邪魔した『魔王の脳天に一撃くらわせたい』と言っていたが。魔王とは俺も戦いたい。姫の許しさえあれば、一気に倒すところまでいってしまいたいんだが、やはり、とどめくらいは姫が刺したいか?」
内容とは裏腹に、緊張感のまるでないジークフリートの様子に、アレクシアも焦りや怒りをとおりこして呆れる。が、これがこの王子の平常なのだろう。
アレクシアは結論を出した。
「正直、そこの魔王をこの手で倒したい気持ちは今もございます。しかし事態がこうなった以上、最優先は被害を最小限に抑えることと、確実に敵の頭を叩くこと。殿下のほうが私より明らかにお強い以上、魔王は殿下にお願いいたします。かわりに獣達はお任せください。一体残らず滅してみせます」
「頼もしいな。では方針はまとまった。背中はお願いする」
ジークフリートの言葉にアレクシアは眼前の獣達に集中し、アレクシアの返事にジークフリートは魔王に集中する。眼前の獣達を炎で焼くと、一気に跳んで魔王との距離を詰めた。
「下賤の者が」
魔王は不快に顔をゆがめる。
「泣いて許しを請えば、せめて一息に殺してやる道もあったものを。もはや、その面を我が視界に入れるだけで死罪に値する。煉獄では足りぬ。地獄の底の、そのまた底まで叩き落としてくれよう!!」
さらに配下に命じる。
「貴様ら! 妃の腕や足、出血程度なら、日頃の働きに対する褒美としてくれてやる! ただし命を奪うことだけは、断じて許さぬ!! その輝ける魂をこの世から解き放ったもの、誰であろうと、この赤の魔王の制裁をまぬがれぬと脳裏に刻め!!」
一瞬、獣達は怯むように動きを止める。が、それは本当に一瞬で、すぐにふたたび大波のようにアレクシアに飛びかかってきた。
アレクシアの七本の弦が踊り、獣達の脚が、翼が、胴体が輪切りになっていく。
「おお、おお、混戦だな」
離れたところから呑気に呟くのはウィンフィールド。
彼は足もとに荷物を詰めた袋を置いて事態を見守っていたが、仕留めやすそうだと思われたか、彼のもとへも魔族の獣達が何頭か駆け寄ってくる。
だが獣達が若い餌にありつけることはなかった。
びぃん、と弦の音が響く。
次いで獣の悲鳴が。
傷は小さかった。
しかし、その小さな傷から聖なる力がほとばしり、魔族の獣を内側から侵食していく。
脳天に矢をうけた角の生えた虎は、断末魔の声をあげて地面に倒れた。そのまま絶命する。
「さすが、ベルティーナの聖なる加護。『聖女』の称号は伊達じゃない」
口笛を吹いた時には、ウィンフィールドは二体目を射抜いている。
聖女の加護、すなわち聖女の聖別によって浄化の力を得た矢は名射手の技により、地を走ってくる獣も空を飛んでくる獣も次々貫いて、ウィンフィールドのもとにたどりつける獣は一頭もいない。
彼が背にして、背後からの攻撃を防ぐ壁にしていたラッヘも息を止めた。次の瞬間、夜の荒野を真昼のように照らして金色の巨大な炎を吹き、接近しようとしていた獣達五十頭ほどをまとめて焼き尽す。
竜の名にふさわしい豪快さだった。
「不遜者どもめが。増長する程度には力があるようだが、まだ四千以上が残っておるぞ?」
赤髪の魔王はジークフリートの鋭い一閃をかわして「そら」と手を振る。すると、さらに多くの異形の獣達が現れた。命令はすでに伝わっているようで、迷わずアレクシアとジークフリートに、ウィンフィールドや竜に襲いかかる。津波のごとき光景だ。
アレクシアは弦をかき鳴らす手にいっそう力と魔力を込める。
そこへ。
「うにゃーん」
愛らしい声が響く。
「ねこさん!」
アレクシアが愛猫の名を呼ぶ。
夜空の一部が青白く光り、丸く開いた穴から小さな影がころん、と飛び出してきた。
「うにゃっ」
「おかえりなさい、ねこさん」
出てきたのは一見、子供。大きな灰色の頭と短い手足の、ねこさんとほぼ同じ大きさの二頭身半ほどの子供だ。人間の服を着ているが、にこにこした顔は愛猫の面影があり、小さな手に自分の身長よりずっと長い木の杖をにぎっている。杖の先には、淡い光を放つランタンが掲げられていた。
子供はアレクシアの肩に乗り「お待たせ」と言わんばかりに「うにゃん」と鳴く。そして「うにゃっ!」と、持っていた杖をふった。
するともう一回り大きな穴が夜空に開き、銀灰色の髪と金属の鎧を星の光に反射させて、大きな人影が飛び出してきた。人影は着地も待たずに、たずさえていた長い棒状の物を振る。
途端、強風が生じて周囲の獣達を吹き飛ばし、一部は風の刃に斬られて、その四肢や翼や頭部を四散させた。
「父上!!」
アレクシアが声をあげる。それ一つで、どれほどの信頼を寄せているか察せられる声音だ。
アレクシアの父、アイスヴェルク伯爵ヴァーリック・フォン・プファンクーヘン将軍だった。
「ありがとう、ねこさん。父上を呼んで来てくれましたね」
「うにゃんっ」
飼い主に頭をなでられ、杖をにぎったねこさんは嬉しそうに一鳴きする。
その様子を見た魔王が忌々しげに吐き捨てた。
「妖精…………! 力を失い、地を這いずる古の神々の残滓めが…………!!」
ねこさんは『ランタン持ち』という能力を有する、妖精猫だ。この世と異界をつなぐ『道』を行き来する能力を持ち、早馬で十日かかる道程も、ねこさんが『道』をつなげれば数秒でたどり着く。
幼い頃から誘拐などの危険な目に遭ってきたアレクシアは、ねこさんのこの能力で何度も窮地を救われていた。
ジークフリートに利用価値を見出したとはいえ、異国であるフリューリングフルスにやすやすと連れて来られたのも、ねこさんのこの能力を用いれば好きな時に即、実家に戻ることができると、わかっていたからである。
「アレク!!」
父が娘を呼んだ。非常事態を瞬時に悟り、簡潔に状況の説明を求める。
「状況報告!!」
「敵襲来! 推定五千! ジークフリート殿下が魔王と交戦中!! 有象無象の排除の協力を願います!!」
アイスヴェルク伯爵の話し方は、武勇で鳴らす将軍のものだった。
そしてその娘も、ほぼ軍人の話し方だった。
「おお、姫の父君か。是非、あとでゆっくりお話し願いたい」
ジークフリートが割り込んできた獣を切り払いながら、プファンクーヘン将軍に呼びかける。
「フリューリングフルス第四王子ジークフリート殿下、か?」
さすがに不審を含んだまなざしで、銀髪の将軍が黒髪の青年を見やる。
ねこさんに託された愛娘からの手紙で「隣国の第四王子が助力に加わった」と知らされてはいるが、実際に目の当たりにすると「何故、どういう経緯で」という疑念はぬぐえない。
異国の王子はごく気楽に、手をふりそうなくらい愛想よく説明してきた。
「ごあいさつしたいが、今はこのとおり立て込んでいるので、あとであらためて。割愛するが、俺は貴公のご息女に恋した。今、口説いている最中だが、父君にもお許しいただけたら心強い」
その説明で将軍はだいたいの事情を理解した。
どうしてうちの娘はこう、厄介そうな男ばかり引き寄せるのだろう。魔王に目をつけられただけでも災難なのに、一介の貴族の身で他国の王族に見初められるなど、もめ事の種にしかなりそうにない!
将軍の眉間のしわが無言でそう語っている。
が、今は嘆いている場合ではない。目の前の魔王との戦いに集中すべきだ。
こうなった以上、中途半端な結果は逆に深刻な結果を招く。ここで魔王を逃せば、人間達にしてやられた魔王は激怒して、さらなる災厄をシュネーゼとアレクシアにもたらすはずだ。
公国のため娘のため、将軍としても父親としても、ここで始末をつけるのが不可欠だった。
銀髪の将軍は飛びかかってきた四枚の翼の鷲にむかって、にぎっていた槍を突き出す。青緑色の槍の穂先は鷲の喉を貫き、さらに鷲の背後にいた三つ目の鷹を吹き飛ばした。
ハイリヒトゥームの大神殿が管理する聖遺物『風の翼』だ。
普段は大神殿が厳重に保管しているが、アレクシアが友人の聖女ベルティーナに手紙を送り、プファンクーヘン将軍への貸し出しを許可してもらったのである。
将軍の槍には風が巻きつき、ふるうたびに竜巻のような風が生じて、魔族の獣達を吹き飛ばし、風の刃で切り刻んだ。
父と背中合わせで、娘も七本の弦を流星雨のようにひらめかせていく。
「ちょっとした大量虐殺だな。人間のほうが災厄っぽく見えるのは、珍しくないか?」
離れた位置で呑気に語るのは、聖別された矢を射ていくウィンフィールド。彼の弓術も神技に達しており、背後で定期的に炎を吹く竜の加勢もあって、彼らのもとまでたどり着く魔族は一頭もいない。
ウィンフィールドの表現はまさしくそのとおりで、三種の聖遺物と聖別された弓とその使い手達、そして一体の幻獣による攻勢はむしろ魔族の獣達のほうこそ翻弄し、半刻と経たずに千を越す獣が倒れて荒野に屍をさらしていた。
軍隊ならば勝利を確信して「今こそ全力でかかれ!!」と総攻撃に転じている場面だ。
さすがの魔王も舌打ちをこらえられない。
「魂一つに、ここまで手間どるとは。古の遺産も、数が集まれば少しは厄介ということか」
魔王は特に竪琴の形をした聖遺物を見た。正確には、その楽器を奏でる持ち主を。
「よかろう。王にふさわしい実力があれば、配下など自然と無限に湧いてくる。失った獣の数がそのまま、そなたの価値というわけだ。千の獣、万の獣と引き換えにして惜しくない輝きを、その魂が備えていると信じたぞ、我が妃よ」
白銀の頭の上に猫を乗せた美姫に、魔王は語りかける。
妖精猫はすでに人間の姿を解き、耳と鼻と脚と太いかぎ尻尾が灰色の猫の姿に戻っている。
間の抜けた格好ではあるが、弦を操るアレクシアの姿は普段の彼女をよく知る者から見てもいっそう毅然と凛々しく、彼女自身が月か星空であるかのように輝いて、魔族の目にもまぶしいほどだった。
この眩しさを目にするだけで、その魂の力強さを感じるだけで、わずらわしい現実のいっさいを霞ませ、懐かしささえ感じるほどの狂おしい陶酔に誘う。
「そうだ…………あれは我のもの。魔王として覚醒して百二十余年。これほど心奪われたものはない。間違いなく、我のために生まれてきたもの…………!!」
狂気と邪悪をはらんで魔王の秀麗な顔が歓喜に歪む。
「――――ゆえに」
至高の魂を隠すように、長い黒髪をゆらす、不遜で不愉快な人間の姿が魔王の視界に入った。
ジークフリートはタイミングも体勢も完璧に整えて、魔族の王へまっすぐ跳ぶ。青白い長剣が完璧な姿勢でかまえられ、切っ先が古風な衣装に包まれた心臓を狙った。
「貴様は排除されねばならぬ」
魔王は手を振った。埃を払うように無造作に。一度だけ。
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なにもしなければジークフリートは硬い一撃に頭蓋骨を割られ、十秒とかからず全身を焼き尽くされていただろう。ジークフリートもそれを察して体勢を変え、刃で魔力の塊を払う。
剣はジークフリートの魔力が宿る聖遺物であり、持ち主の狙いどおり、魔力の塊を弾くか切るかしているはずだった。本来なら。
重い金属音がエーデの荒野に響く。
数秒、どの人間も手をとめて、その音の発生源をさがした。
「お?」
ジークフリートが目を丸くする。
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