5 / 20
5
しおりを挟む
「どう? いた?」
「いいえ。見かけないわ。殿下の棟ではないのかしら」
若い侍女が五、六人、集まって、しきりに周囲を見渡している。
彼女らがいるのは回廊。トゥルペ王城内の、王子達に与えられた棟の中庭の手前だ。
朝食を終えてから、与えられた仕事も半ば放り出して探し物に熱中している。
一人が見かけないものを見つけた。
「あら、猫」
「うにゃっ」
耳と鼻と四肢と尻尾が灰色の、にこにこ楽しげな顔をしたかぎ尻尾の白い猫だ。
「見かけない猫ね。どこから入り込んだの?」
「どなたか、王城に伺候されている貴族が連れて来たのかしら?」
「貴婦人の飼い猫とか? 王妃様のお茶会の予定は入っていなかったけれど…………」
「申し訳ありません、その子は私の猫です」
しゃがんで猫を囲んでいた侍女達の頭上から、玲瓏たる美声がふってきた。
侍女はいっせいに顔をあげ、立ちあがる。
「うにゃっ」
猫が嬉しそうに、ぽてぽてと美声の持ち主に駆け寄った。
「駄目ですよ、ねこさん。ここは王宮ですから、行儀よくしなければ」
「うにゃん」
猫にかける優しい声と、愛情に満ちて細められた目。ほころぶ花びらのごとき唇。
「シュネーゼ人が一生に一度は見たいと願う珍華。白の湖の霜の花畑、ヴェールク山脈の七色の空、そして雪薔薇姫の笑顔」と吟遊詩人が歌う、アレクシアの笑顔だった。
侍女達は目の前の光景が信じられず、陶然とその場に立ち尽くす。
「お仕事の邪魔をして申し訳ありませんでした。それでは失礼いたします」
真紅のドレスと蛍石の髪飾りの美姫は一礼して片手に猫を、片手に竪琴を抱えて去っていく。
侍女達は探しものを発見した。
そして理解した。
駄目だ、これは敵わぬ、と。
「ジークフリート殿下が見初められるのも無理ないわ。この城、いえ、国中の美女が束になったって、あの方一人に勝てないわよ」
美しい王子に見初められて玉の輿…………という、よくある物語を期待していた少女達は、それが本当に物語、いや、幻にすぎなかったことを思い知らされる。
一方、ねこさんと竪琴を抱えたアレクシアは中庭へ出た。歩きながら考える。
(なんだか、まったく予想外の方向に来てしまった)
両親に育ててもらった感謝と別れを告げ、友人に別れを告げ、今頃は魔王の城で花嫁となっていたはずなのに何故、自分は隣国の王城などにいるのだろう。
(どう考えても、あの第四王子のせいだけど。あの王子、本当になにを考えているの? 第四王子が特出した英雄とは聞いていたけれど、まさか、あそこまで突拍子もないとは…………)
アレクシアは昨夜、目の当たりにしたジークフリートと魔王の戦いを思い出す。
(でも、あの王子だったら…………)
色とりどりの薔薇が植えられ、大理石の彫像や長椅子が点在する中庭をそぞろ歩いていくと、回廊をはさんで拓けた殺風景な空間に出た。その中央に、長剣を持った目当ての人物が友人と雑談している。
相手はアレクシアを見つけて手をふってきた。
「おはよう。朝の散歩か? 昨夜はよく眠れただろうか?」
問題のフリューリングフルス王国、第四王子ジークフリートだった。それとライヒェ男爵子息ウィンフィールド。
「おかげさまで。殿下は朝の鍛錬ですか? もしかして、お邪魔でしたでしょうか?」
「いや、ちょうど終わったところだ。それより『殿下』ではなく『ジークフリート』と呼んでほしい。『ジーク』とかでもいい」
はじめて太陽の下で見る彼は、より美麗だった。花のように艶やかでありながら、朝の風より清涼な雰囲気をまとい、さも嬉しそうにアレクシアに話しかけてくる。
「侍女に『着替えがほしい』と頼まれた、と聞いて。義母上が、若い頃のドレスを貸してくださるそうだ」
アレクシアが昨夜から着ているのは、婚礼のために仕立てられた晴れ着だ。他に選択肢がないからだが、裾が引きずるほど長いうえ、厚地のべルベットに金糸で刺しゅうした高級品である。普段使いにはもったいなさすぎる。
それで昨夜、就寝前に駄目もとで「できれば動きやすい着替えを用意してほしい」と、世話役として付けられた侍女に頼んでいたのだ。
「王妃殿下のドレスなど畏れ多い。異国人の私がお借りするわけにはまいりません」
「気にしないでくれ。母上のほうから、お貸しするとおっしゃってくださったんだ」
それどころか王妃のほうこそ「あんなに若く美しい姫では、自分の若い頃のドレスなど流行遅れで似合わないのではないか」と悩んでいる。
「そういうことでしたら…………」
アレクシアも自分から依頼した手前、固辞するのも失礼と思い、受け容れた。
ジークフリート王子はさっそく「案内する」と、アレクシアを王妃のもとに連れていこうとするが、アレクシアは「少々お待ちください」と制する。
「ドレスの前に。いくつか確認しておきたいことがございます」
「なんだろう? なんでも訊いてくれ」
「殿下は私に『妻になってほしい』と、おっしゃいました。『結婚してほしい』と」
「おっしゃるとおりだ。俺は貴女に恋したらしい。是非、貴女と結婚したい。もっと貴女と一緒にいて、貴女と話して毎日、貴女の顔を見たい」
美麗な王子の宝石のような目が幸せそうに細められる。目の前の相手に対する好意が満面に輝き、艶っぽく、そのくせ少年のように屈託ない。
この笑顔と台詞を向けられて篭絡されぬ娘は、フリューリングフルスに存在すまい。
しかしアレクシアとて、幼い頃から数えるのも馬鹿らしいほど求婚されてきた娘だ。冷静に確認していく。
「私が魔王に望まれた、魔王の花嫁ということはご存知ですね?」
「知っている」
「では、魔王の花嫁を横から奪った以上、いずれ魔王がとり返しにくるであろう可能性も、ご承知のうえですか?」
「承知している。でも貴女がほしい」
「――――魔王が来れば、この国は危険にさらされます。それこそ戦争に匹敵する危機でしょう。殿下も『殿下』と呼ばれる身なら、その重大さや困難さは――――」
「承知しているが、させる気もない。昨夜父上にも言ったが、倒せばいい。だから貴女も気を揉まず、安らかにしていてくれ」
後半は優しく、前半はけろりと言い切った様は『これから出かければいいんだ』程度の軽さしかなかった。
(ここまで断言しておいて負けたら、格好悪いどころではないなあ)
国を滅亡させた国賊、恥さらし以下である。
が、とりあえずジークフリート王子が断言したおかげで、アレクシアも方針が決まった。
「わかりました。では私から一つ、提案がございます」
「提案?」
ジークフリートは首をかしげた。
「望みがあるなら、遠慮なく言ってほしい。貴女が望むなら、深海の紫珊瑚でも天上の青薔薇でも天界の乙女の羽衣でも、なんでも用意しよう」
「いえ。ドレスや宝石ではありません」
「馬とか幻獣でも大丈夫だぞ? 貴女が望むなら城だって建てるし、街を沈めても見せる」
「そうではありません」
大げさな例えは貴族の男達の常だが、彼らが『例え』を前提に口にしているのに対し、この王子は本気でそうしそうな、まったく疑念のない瞳で言っているのがちょっと怖い。
隣でずっと聞いていた友人も「えええ…………」と、ちょっと退く表情だった。
ただし「なに言っているんだ、コイツ」ではなく「コイツ、こんな気障な台詞が言えたんかい」という、驚きと呆れの反応である。
「手を組みませんか?」
「ん?」
「私に協力していただきたいのです。共に魔王を倒しましょう」
「はあ!?」
と、目をむいて声をあげたのはウィンフィールドだった。
「いいえ。見かけないわ。殿下の棟ではないのかしら」
若い侍女が五、六人、集まって、しきりに周囲を見渡している。
彼女らがいるのは回廊。トゥルペ王城内の、王子達に与えられた棟の中庭の手前だ。
朝食を終えてから、与えられた仕事も半ば放り出して探し物に熱中している。
一人が見かけないものを見つけた。
「あら、猫」
「うにゃっ」
耳と鼻と四肢と尻尾が灰色の、にこにこ楽しげな顔をしたかぎ尻尾の白い猫だ。
「見かけない猫ね。どこから入り込んだの?」
「どなたか、王城に伺候されている貴族が連れて来たのかしら?」
「貴婦人の飼い猫とか? 王妃様のお茶会の予定は入っていなかったけれど…………」
「申し訳ありません、その子は私の猫です」
しゃがんで猫を囲んでいた侍女達の頭上から、玲瓏たる美声がふってきた。
侍女はいっせいに顔をあげ、立ちあがる。
「うにゃっ」
猫が嬉しそうに、ぽてぽてと美声の持ち主に駆け寄った。
「駄目ですよ、ねこさん。ここは王宮ですから、行儀よくしなければ」
「うにゃん」
猫にかける優しい声と、愛情に満ちて細められた目。ほころぶ花びらのごとき唇。
「シュネーゼ人が一生に一度は見たいと願う珍華。白の湖の霜の花畑、ヴェールク山脈の七色の空、そして雪薔薇姫の笑顔」と吟遊詩人が歌う、アレクシアの笑顔だった。
侍女達は目の前の光景が信じられず、陶然とその場に立ち尽くす。
「お仕事の邪魔をして申し訳ありませんでした。それでは失礼いたします」
真紅のドレスと蛍石の髪飾りの美姫は一礼して片手に猫を、片手に竪琴を抱えて去っていく。
侍女達は探しものを発見した。
そして理解した。
駄目だ、これは敵わぬ、と。
「ジークフリート殿下が見初められるのも無理ないわ。この城、いえ、国中の美女が束になったって、あの方一人に勝てないわよ」
美しい王子に見初められて玉の輿…………という、よくある物語を期待していた少女達は、それが本当に物語、いや、幻にすぎなかったことを思い知らされる。
一方、ねこさんと竪琴を抱えたアレクシアは中庭へ出た。歩きながら考える。
(なんだか、まったく予想外の方向に来てしまった)
両親に育ててもらった感謝と別れを告げ、友人に別れを告げ、今頃は魔王の城で花嫁となっていたはずなのに何故、自分は隣国の王城などにいるのだろう。
(どう考えても、あの第四王子のせいだけど。あの王子、本当になにを考えているの? 第四王子が特出した英雄とは聞いていたけれど、まさか、あそこまで突拍子もないとは…………)
アレクシアは昨夜、目の当たりにしたジークフリートと魔王の戦いを思い出す。
(でも、あの王子だったら…………)
色とりどりの薔薇が植えられ、大理石の彫像や長椅子が点在する中庭をそぞろ歩いていくと、回廊をはさんで拓けた殺風景な空間に出た。その中央に、長剣を持った目当ての人物が友人と雑談している。
相手はアレクシアを見つけて手をふってきた。
「おはよう。朝の散歩か? 昨夜はよく眠れただろうか?」
問題のフリューリングフルス王国、第四王子ジークフリートだった。それとライヒェ男爵子息ウィンフィールド。
「おかげさまで。殿下は朝の鍛錬ですか? もしかして、お邪魔でしたでしょうか?」
「いや、ちょうど終わったところだ。それより『殿下』ではなく『ジークフリート』と呼んでほしい。『ジーク』とかでもいい」
はじめて太陽の下で見る彼は、より美麗だった。花のように艶やかでありながら、朝の風より清涼な雰囲気をまとい、さも嬉しそうにアレクシアに話しかけてくる。
「侍女に『着替えがほしい』と頼まれた、と聞いて。義母上が、若い頃のドレスを貸してくださるそうだ」
アレクシアが昨夜から着ているのは、婚礼のために仕立てられた晴れ着だ。他に選択肢がないからだが、裾が引きずるほど長いうえ、厚地のべルベットに金糸で刺しゅうした高級品である。普段使いにはもったいなさすぎる。
それで昨夜、就寝前に駄目もとで「できれば動きやすい着替えを用意してほしい」と、世話役として付けられた侍女に頼んでいたのだ。
「王妃殿下のドレスなど畏れ多い。異国人の私がお借りするわけにはまいりません」
「気にしないでくれ。母上のほうから、お貸しするとおっしゃってくださったんだ」
それどころか王妃のほうこそ「あんなに若く美しい姫では、自分の若い頃のドレスなど流行遅れで似合わないのではないか」と悩んでいる。
「そういうことでしたら…………」
アレクシアも自分から依頼した手前、固辞するのも失礼と思い、受け容れた。
ジークフリート王子はさっそく「案内する」と、アレクシアを王妃のもとに連れていこうとするが、アレクシアは「少々お待ちください」と制する。
「ドレスの前に。いくつか確認しておきたいことがございます」
「なんだろう? なんでも訊いてくれ」
「殿下は私に『妻になってほしい』と、おっしゃいました。『結婚してほしい』と」
「おっしゃるとおりだ。俺は貴女に恋したらしい。是非、貴女と結婚したい。もっと貴女と一緒にいて、貴女と話して毎日、貴女の顔を見たい」
美麗な王子の宝石のような目が幸せそうに細められる。目の前の相手に対する好意が満面に輝き、艶っぽく、そのくせ少年のように屈託ない。
この笑顔と台詞を向けられて篭絡されぬ娘は、フリューリングフルスに存在すまい。
しかしアレクシアとて、幼い頃から数えるのも馬鹿らしいほど求婚されてきた娘だ。冷静に確認していく。
「私が魔王に望まれた、魔王の花嫁ということはご存知ですね?」
「知っている」
「では、魔王の花嫁を横から奪った以上、いずれ魔王がとり返しにくるであろう可能性も、ご承知のうえですか?」
「承知している。でも貴女がほしい」
「――――魔王が来れば、この国は危険にさらされます。それこそ戦争に匹敵する危機でしょう。殿下も『殿下』と呼ばれる身なら、その重大さや困難さは――――」
「承知しているが、させる気もない。昨夜父上にも言ったが、倒せばいい。だから貴女も気を揉まず、安らかにしていてくれ」
後半は優しく、前半はけろりと言い切った様は『これから出かければいいんだ』程度の軽さしかなかった。
(ここまで断言しておいて負けたら、格好悪いどころではないなあ)
国を滅亡させた国賊、恥さらし以下である。
が、とりあえずジークフリート王子が断言したおかげで、アレクシアも方針が決まった。
「わかりました。では私から一つ、提案がございます」
「提案?」
ジークフリートは首をかしげた。
「望みがあるなら、遠慮なく言ってほしい。貴女が望むなら、深海の紫珊瑚でも天上の青薔薇でも天界の乙女の羽衣でも、なんでも用意しよう」
「いえ。ドレスや宝石ではありません」
「馬とか幻獣でも大丈夫だぞ? 貴女が望むなら城だって建てるし、街を沈めても見せる」
「そうではありません」
大げさな例えは貴族の男達の常だが、彼らが『例え』を前提に口にしているのに対し、この王子は本気でそうしそうな、まったく疑念のない瞳で言っているのがちょっと怖い。
隣でずっと聞いていた友人も「えええ…………」と、ちょっと退く表情だった。
ただし「なに言っているんだ、コイツ」ではなく「コイツ、こんな気障な台詞が言えたんかい」という、驚きと呆れの反応である。
「手を組みませんか?」
「ん?」
「私に協力していただきたいのです。共に魔王を倒しましょう」
「はあ!?」
と、目をむいて声をあげたのはウィンフィールドだった。
11
お気に入りに追加
410
あなたにおすすめの小説
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
私の妹は確かに聖女ですけど、私は女神本人ですわよ?
みおな
ファンタジー
私の妹は、聖女と呼ばれている。
妖精たちから魔法を授けられた者たちと違い、女神から魔法を授けられた者、それが聖女だ。
聖女は一世代にひとりしか現れない。
だから、私の婚約者である第二王子は声高らかに宣言する。
「ここに、ユースティティアとの婚約を破棄し、聖女フロラリアとの婚約を宣言する!」
あらあら。私はかまいませんけど、私が何者かご存知なのかしら?
それに妹フロラリアはシスコンですわよ?
この国、滅びないとよろしいわね?
【完結】魔王様、溺愛しすぎです!
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
「パパと結婚する!」
8万年近い長きにわたり、最強の名を冠する魔王。勇者を退け続ける彼の居城である『魔王城』の城門に、人族と思われる赤子が捨てられた。その子を拾った魔王は自ら育てると言い出し!? しかも溺愛しすぎて、周囲が大混乱!
拾われた子は幼女となり、やがて育て親を喜ばせる最強の一言を放った。魔王は素直にその言葉を受け止め、嫁にすると宣言する。
シリアスなようでコメディな軽いドタバタ喜劇(?)です。
【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう
【表紙イラスト】しょうが様(https://www.pixiv.net/users/291264)
挿絵★あり
【完結】2021/12/02
※2022/08/16 第3回HJ小説大賞前期「小説家になろう」部門 一次審査通過
※2021/12/16 第1回 一二三書房WEB小説大賞、一次審査通過
※2021/12/03 「小説家になろう」ハイファンタジー日間94位
※2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過作品
※2020年8月「エブリスタ」ファンタジーカテゴリー1位(8/20〜24)
※2019年11月「ツギクル」第4回ツギクル大賞、最終選考作品
※2019年10月「ノベルアップ+」第1回小説大賞、一次選考通過作品
※2019年9月「マグネット」ヤンデレ特集掲載作品
聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる
夕立悠理
恋愛
ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。
しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。
しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。
※小説家になろう様にも投稿しています
※感想をいただけると、とても嬉しいです
※著作権は放棄してません

【完結】中継ぎ聖女だとぞんざいに扱われているのですが、守護騎士様の呪いを解いたら聖女ですらなくなりました。
氷雨そら
恋愛
聖女召喚されたのに、100年後まで魔人襲来はないらしい。
聖女として異世界に召喚された私は、中継ぎ聖女としてぞんざいに扱われていた。そんな私をいつも守ってくれる、守護騎士様。
でも、なぜか予言が大幅にずれて、私たちの目の前に、魔人が現れる。私を庇った守護騎士様が、魔神から受けた呪いを解いたら、私は聖女ですらなくなってしまって……。
「婚約してほしい」
「いえ、責任を取らせるわけには」
守護騎士様の誘いを断り、誰にも迷惑をかけないよう、王都から逃げ出した私は、辺境に引きこもる。けれど、私を探し当てた、聖女様と呼んで、私と一定の距離を置いていたはずの守護騎士様の様子は、どこか以前と違っているのだった。
元守護騎士と元聖女の溺愛のち少しヤンデレ物語。
小説家になろう様にも、投稿しています。

婚約破棄はまだですか?─豊穣をもたらす伝説の公爵令嬢に転生したけど、王太子がなかなか婚約破棄してこない
nanahi
恋愛
火事のあと、私は王太子の婚約者:シンシア・ウォーレンに転生した。王国に豊穣をもたらすという伝説の黒髪黒眼の公爵令嬢だ。王太子は婚約者の私がいながら、男爵令嬢ケリーを愛していた。「王太子から婚約破棄されるパターンね」…私はつらい前世から解放された喜びから、破棄を進んで受け入れようと自由に振る舞っていた。ところが王太子はなかなか破棄を告げてこなくて…?

侯爵令嬢セリーナ・マクギリウスは冷徹な鬼公爵に溺愛される。 わたくしが古の大聖女の生まれ変わり? そんなの聞いてません!!
友坂 悠
恋愛
「セリーナ・マクギリウス。貴女の魔法省への入省を許可します」
婚約破棄され修道院に入れられかけたあたしがなんとか採用されたのは国家の魔法を一手に司る魔法省。
そこであたしの前に現れたのは冷徹公爵と噂のオルファリド・グラキエスト様でした。
「君はバカか?」
あたしの話を聞いてくれた彼は開口一番そうのたまって。
ってちょっと待って。
いくらなんでもそれは言い過ぎじゃないですか!!?
⭐︎⭐︎⭐︎
「セリーナ嬢、君のこれまでの悪行、これ以上は見過ごすことはできない!」
貴族院の卒業記念パーティの会場で、茶番は起きました。
あたしの婚約者であったコーネリアス殿下。会場の真ん中をスタスタと進みあたしの前に立つと、彼はそう言い放ったのです。
「レミリア・マーベル男爵令嬢に対する数々の陰湿ないじめ。とても君は国母となるに相応しいとは思えない!」
「私、コーネリアス・ライネックの名においてここに宣言する! セリーナ・マクギリウス侯爵令嬢との婚約を破棄することを!!」
と、声を張り上げたのです。
「殿下! 待ってください! わたくしには何がなんだか。身に覚えがありません!」
周囲を見渡してみると、今まで仲良くしてくれていたはずのお友達たちも、良くしてくれていたコーネリアス殿下のお付きの人たちも、仲が良かった従兄弟のマクリアンまでもが殿下の横に立ち、あたしに非難めいた視線を送ってきているのに気がついて。
「言い逃れなど見苦しい! 証拠があるのだ。そして、ここにいる皆がそう証言をしているのだぞ!」
え?
どういうこと?
二人っきりの時に嫌味を言っただの、お茶会の場で彼女のドレスに飲み物をわざとかけただの。
彼女の私物を隠しただの、人を使って階段の踊り場から彼女を突き落とそうとしただの。
とそんな濡れ衣を着せられたあたし。
漂う黒い陰湿な気配。
そんな黒いもやが見え。
ふんわり歩いてきて殿下の横に縋り付くようにくっついて、そしてこちらを見て笑うレミリア。
「私は真実の愛を見つけた。これからはこのレミリア嬢と添い遂げてゆこうと思う」
あたしのことなんかもう忘れたかのようにレミリアに微笑むコーネリアス殿下。
背中にじっとりとつめたいものが走り、尋常でない様子に気分が悪くなったあたし。
ほんと、この先どうなっちゃうの?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる