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 アレクシアは呆気にとられた。
 なんだろう、この男性は。聞き間違いでなければ『魔王と戦いに来た』と言った気がする。
 命知らず身の程知らずの力自慢は存在するが、だとしても魔王相手では無謀すぎる。
 魔族の王も不快に思ったのだろう、不機嫌を隠さずに吐き捨てた。

「闖入者が。頭が高い、下がれ。どこの愚者かは知らぬが、魔王の婚礼の邪魔をしてただで済むと思うな。貴様の親兄弟縁者にも罪を償わせてやる」

 魔王の形良い眉がつりあがり、赤い瞳が爛々と輝いて苛立ちと怒りを露わにする。
 対する闖入者はひょうひょうとしたものだった。

「邪魔したのは申し訳ないが、俺は単にアンタと――――」

 言いながら闖入者は何気なくアレクシアを見た。
 視線が合い、アレクシアは本気で驚く。
 破格の美男子だった。
 すぐそばに魔王がいるというのに、存在感でまったく負けていない。
 均整のとれた長身と長い手足。着ているのは外套と、どちらかというと地味な上着。飾りといえば銀のボタンくらいだが、革の長靴といい、おそらくかなり上等の品物だ。
 うしろで一つに結った髪は夜空に溶けそうに黒く長いが、その長さが背の高さにつりあっている。
 なによりその顔立ち。
 通った鼻筋や顎の線は男性にしては繊細で品があり、一方で涼やかな目元や凛々しい眉は女性にしては力強すぎる。
 無性というには艶っぽく、けれども男臭いとか女らしいという表現にはそぐわない。そういう美貌だった。
 生来の美貌ゆえ、幼い頃から数多の男達に囲まれて、地味な男も平凡な男も美形と言われる男も見慣れていたアレクシアだったが、この夜、生まれて初めて男性の顔に見惚れた。

(世界は広い…………こんな美形がいるなんて)

 美しい花や芸術品を見る感覚で、アレクシアは青年をひたすら見つめる。
 一方、青年もアレクシアをひたと見つめて微動だにしない。

「聞け! 闖入者!!」

 魔王の怒鳴り声が割り込んできて、アレクシアは我にかえった。

「魔王の婚礼を邪魔したばかりか、命乞いの場で居眠りとは良い度胸だ! その蛮勇だけは認めてやる!! 貴様のような愚者、我が妃の麗姿をその瞳に映すだけでも無礼と――――!」

「――――生まれて初めて、人間に会った気がする――――」

 闖入者、いや、青年が言った。
 青年はアレクシアへ一歩踏み出し、胸に手をあてて優雅に一礼する。

「お初にお目にかかる、俺はジークフリート。フリューリングフルス国王ガリオン三世が四男、ジークフリート・ヘルト・ゾーン・ゲシェンク。貴女の名は?」

 告げられた名の長さ、高貴さ、輝かしさ。
 アレクシアは毒気を抜かれたように名乗る。

「――――アレクシア。シュネーゼ公国アイスヴェルク伯爵、ヴァーリック・フォン・プファンクーヘン将軍が娘、アレクシア・フォン・プファンクーヘン…………と、申します」

「アレクシア」

 青年はぱっと破顔した。

「美しい名だ、貴女にふさわしい。時々聞く名前だが、どうしてだろう。貴女が名乗ると特別美しく響く。アレクシア・フォン・プファンクーヘン。良い名だ。というか、聞いていたな、アレクシア・フォン・プファンクーヘン。シュネーゼ公国一の美女で、第一公子の婚約者だったのに、魔王に目をつけられて花嫁という名の生贄になった、と。うん、聞いていた。失念していたな。貴女を見た瞬間、記憶が全部吹っ飛んだんだ、こんな経験は初めてだ」

「はあ」

(別に、普通の名前だと思うけれど…………)

 心なしか紅潮した頬で勝手にしゃべっていく青年、もといジークフリート王子。
 百万の紅薔薇がほころんだような艶麗さと、突き抜けるような夏空のごとき爽やかさが同居した、大変魅力的な笑顔だった。この笑顔一つで無数の娘達の心をつかむに違いない。
 語る様子は少年のようで、本気で純粋に『良い』と思ったからそう口にしただけ、と伝わってきた。擦れていない。悪い気がしないのは、そのせいだろうか。

(いったい、この人は――――)

 熱風が吹きつけた。いや、熱風のような怒気だった。
 魔族の王が赤い髪を風に逆巻かせ、激怒に輝く瞳で、隣国の第四王子を名乗った黒髪の青年をにらみつける。

「弁明は不要、命乞いは徒労だ、身の程知らずの羽虫が。魔王の問いを無視したその罪、死をもって購わせてやる。己が生み出した蝶に、己が死体を火葬させるがいい!」

 言い終わる前に魔王は腕をふり、赤い光の槍が青年を襲う。
 三本の槍は青年のふるった青白く輝く長剣にはばまれ、かき消える。
 魔王は間髪入れず第二撃、三撃と槍を放った。
 青年はそのすべてをかき消していく。
「うにゃん!」と、ねこさんが声をあげた。
 アレクシアは立ち尽くす。
 出遅れたが、助けに入るべきではないか? 王子は人間なのだから。でも彼はずいぶん容易に、攻撃を無効化しているように見える…………。

「近づくなよ? いや、近づかないでくれ、危ない」

「寄るな、花嫁! 下賤の愚者の血など、浴びるでないわ!!」

 二人同時に制止されてしまった。
 アレクシアが竪琴を構えながら、思わず「うーん」とうなると「さがっとけ、さがっとけ」と、背後から声をかけられた。なんだか陽気な声だ。

「うにゃっ?」

 ふりむくと新たな人物が立っていた。
 褐色の髪。背は王子を名乗る青年より低いが、体格は彼よりがっしりした若者だ。こちらも飾り気はないが、上等な上下と長靴、外套を身につけ、弓と矢筒を背負っている。
 両手には何故か、立派に肥えたニジマスを五匹ずつぶら下げていた。

「安易に飛び出して評判の顔に傷がついたら、目も当てられん。アイツはこういう修羅場は慣れっこだから、安心して任せておけ。というか、本当に美人だなあ」


 若者のいかにも人懐っこそうな琥珀色の目が瞠られ、公国一の美女をしげしげ見おろす。値踏みや観賞の視線は慣れっこのアレクシアだが、今は場違いに思われた。

「どなたでしょう。あの方のご友人なら、助力すべきでは? その弓は玩具ですか?」

 美姫の冷ややかな問いだったが、若者は微塵も堪えた様子はなかった。

「だってオレ、無用に怪我したくないし。あ、名乗ったほうがいいか? フリューリングフルス王国ライヒェ男爵が一人息子、ウィンフィールド・フォーゲルだ。よろしく、プファンクーヘン嬢」

 アレクシアは気づいた。この若者は、普通にしゃべっていても陽気に聞こえる声質なのだ。
 若者は余裕たっぷりに、自国の王子と魔王の戦いをながめはじめた。琥珀色の瞳には自信と信頼がのぞいている。
 アレクシアも二転三転する状況に戸惑いながら、まずは様子見に決めた。
 たしかに自称・隣国の第四王子は、危なげなく魔王の攻撃をかわしている。
 魔王が何十本という光の槍を投げつけているのに、王子は長剣をふるって、そのすべてをかき消している。攻撃はすべて青年のふるう青白い刃にさえぎられ、激しく動く黒髪が、陸にあがって跳ねる魚のようだ。

「すごい…………」

 アレクシアはお世辞でなく感嘆した。
 魔王が放つ赤い光も青年が放つ青白い光も、どちらもそれぞれの魔力の結晶だ。
 魔王が聖遺物なしで魔術を行使できるのは当然としても、人間は基本的に聖遺物を介さなければ、魔術を行使できない。そもそも聖遺物の起動だけで大量の魔力を消費する。
 だからこそ目の前の第四王子の戦いぶりが信じられなかった。
 王子は文字どおり、湯水のように魔力を注ぎ込んで魔王と戦っているのである。
 そのくせ疲れた様子はまったく見せない。

「いったい、どれだけの魔力を――――」

 思わず呟くアレクシアの肩で、ねこさんが「うにゃっ、うにゃっ」と、青白い蝶へしきりに短い前脚を伸ばしている。

「人間にしてはしぶとい…………」

 焦れる魔王の声にほんの少し、警戒が混じる。
 赤い石の指輪をはめた手の中に、特大の赤い光の玉が生まれた。

「魔族の王に刃向かうだけの根拠はあったようだな。その慢心と無謀に免じて、特別に中位の魔術を使ってや――――」

「その肉体、本物か?」

 純粋に怪訝そうに黒髪の王子が訊ねた。
 魔王は虚を突かれる。
 その一瞬の隙を突いて青年は大きく跳び、魔王が赤い瞳をみはった時には、青年の青白く輝く刃が魔王の首を一閃していた。

「あっ…………」

 アレクシアは思わず声をあげる。
 まさかこんなにあっさり、魔族の王の首を斬り落とすなんて。
 だが斬られた魔王の首は一瞬、驚きと悔しさをのぞかせると、その燃えるように赤い髪も瞳も薄い唇もすべて消え、別の顔にとって替わられた。

「誰?」

 アレクシアは目を凝らしたし、ねこさんも「うにゃ?」と首をかしげる。

「おのれ、人間風情が我の、魔王陛下の首を落とすとは…………!!」

 魔王だった肉体は、斬り落とされた首が地面につく前に手を伸ばしてつかまえ、もとあった場所に戻す。すると首は問題なくしゃべり出した。
 今度は赤髪赤眼の魔王より明らかに見劣りする、ぱさぱさした臙脂色の髪に、血色の悪い削げた頬の男だった。

「やっぱり憑代よりしろか」

 予想が的中して嬉しいのか、王子は楽しそうだ。

「自分より下位の魔族に自分の魔力を預けて魔術を行使し、目を借り、体を借りていたわけか。それが許容を越える攻撃を受けて持続できなくなった、と。魔王本人は城か?」

 王子の説明にアレクシアも思い出した。
 あの魔王は先ほど『城で夫が待っている』と言った。魔王は目の前にいたのにおかしな言い方だが、アレクシアを迎えに来たのが魔王本人ではなく部下だったとわかれば、納得がいく。
 部下は爛々と輝く目で、任務の遂行を邪魔した人間をにらみつけた。

「小僧。人間風情が、少しばかり天界の宝物を扱えるからと、調子にのるでないぞ。その程度の魔術、我々魔族が本気を出せば――――」

「では本気を出してくれ」

 言うなり、王子は青白い刃をふるう。無造作な動きに見えて一閃一閃は鋭く、型は美しい。
 アレクシアは唸る。
 聖遺物といえど、あの長さの剣なら相応の重量があるはず。それをあの速さで振るい、かつ型も崩れないのだから、大変な技量だ。
 魔王の部下も剣撃をかわしつつ反撃の隙を見いだせずにいるようだ。

「この…………人間風情が!!」

 臙脂色の髪の魔族は背後へ長く高く跳んで、王子から距離をとった。
 手の内に臙脂色の光の玉を発生させる。

「後悔するがいい!! 我と、我らが魔族の王を侮ったことを――――!!」

 臙脂色の玉が放たれた。玉は灌木の枝をちぎるように折って、無礼な人間へと襲いかかる。
 アレクシアは竪琴をにぎりしめ、隣に立つ若者も身構えたが。
 ジークフリート王子は長剣を構えたかと思うと、無駄のない最低限の動きで正面から臙脂路色の光の玉を一刀両断にした。光はかき消える。

「この…………!!」

 部下の魔族はおそらく、これで負けたとは思わなかったろう。
 しかし王子のほうはこれ以上つづける意思はなかった。
 魔族の王の部下がさらなる一撃をくりだそうと大きく腕を挙げた、その時。
 一瞬、青白い光が太陽のように周囲を照らして、アレクシアや隣の若者の、そして魔族の目をくらませる。
 魔族が瞼を開いた時には目の前に青白く光る刃が迫って、防御の暇もなく首を落とされた。
 部下の首も、首を失った胴体も、一瞬にして青白い炎に包まれる。
 魔族は捨て台詞も断末魔も残すことなく、亡骸ごと消え失せた。
 青白い蝶がいまだひらひら舞っている。

「…………終わり? もう?」

 肩のねこさんが「うにゃんっ」と楽しげな声をあげる。
 アレクシアは信じられない思いだった。
 仮にも魔族を、それもほぼ人型の高位の一体を、こんな短時間で消滅させてしまうとは。

「死んだと見せかけて、生きている可能性は…………」

 疑ったが、特に何事か起きる様子はない。
 王子が青白く光る剣の先を空へ向けると、周囲を飛び交っていた蝶の群れが渦を巻くように集まって、次々刃へ吸い込まれていく。
 十数秒後、エーデの荒野にはふたたび静かな夜が戻っていた。

「けっきょく、あれは強かったのか? 弱かったのか?」

 長剣を鞘に納めて戻ってきた黒髪の王子に、アレクシアの隣の褐色の髪の若者が訊ねる。
 王子はなんてことないように答えた。

「弱くはなかった。魔王の憑代と代理を任される程度には。ただ、魔王自身には及ばないだろう。三分の一以下という感じだ」

(あの短時間で、そこまで読みとるなんて)

 アレクシアは竪琴をにぎる手に力がこもった。美貌もさることながら、剣士としても聖遺物使いとしても、ここまで卓越した実力者に会ったのは初めてだ。父、プファンクーヘン将軍も凌ぐのではないか。
 警戒するアレクシアの前に、王子が立つ。青白い蝶が消えたため光源は月と星だけだが、銀月の下で見る彼も趣があって、ため息をつきそうに美しい。
 同じことを実は彼もアレクシアに対して思っていたが、口に出したのは別の事柄だった。

「婚礼を台無しにして申し訳なかった、プファンクーヘン嬢。だけどまあ、俺も貴女と結婚したいし、貴女を魔王にもそれ以外にも渡したくないから、必然の流れと理解してくれ。俺の妻になってくれ、アレクシア・フォン・プファンクーヘン。俺はたぶん、貴女に恋をした」

「…………は?」

 アレクシアは思わず首をかしげていた。
 聞き間違いだろうか。今、ものすごく場違いな台詞を聞いた気がする。さらりとしすぎていて雑というか、どさくさまぎれ感甚だしい。

「それ、今いうことか?」

 褐色の髪の若者の呆れたような台詞に、心から同意する。
 なお、ねこさんはアレクシアの肩で眠そうだった。肉球があたたかい。

「とりあえず、帰るか」

 ぽん、と手を叩くように自称・王子は言った。

「腹が減ったし、貴女もここは寒いだろう? 魔王の宝もいただいたことだし、貴女には是非、俺の国に来てほしい」

「え、あの」

「宝? なにか見つかったか?」

 王子の言葉に、友人の若者はきょろきょろ周囲を見渡す。
 ジークフリート王子は笑って断言した。

いにしえより、結婚式の宝といえば一つだ」

 闖入者で聖遺物使いで剣士の王子は、美しき姫君の手をとった。
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