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9話 不安~リーエル~
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9話 不安~リーエル~
「エル?どうしたの?元気ない?」
お母様のお話を聞いた後、ガロンとシオンは午後からの仕事のため王城に行ってしまった。リリと二人、今日はなぜか家がとても広く感じる。
「そんなことないよ。お母様とお父様の話、素敵だったね。」
お母様が私たちの過去を気にしないと言ってくれた理由がようやく分かった気がした。優しい人に出逢えた私たちはなんて幸運だったんだろう。
「エル?隠し事はしないって約束したよ。ガロンもすごく心配してた。」
「えっ?」
私には何も言ってなかったのに。どうしてバレてしまったんだろう。
「ちゃんと話して?どうしてそんな悲しい顔してるの?」
エルの手が私の手に重なる。そういえば二人きりで話をするのは久しぶりな気がする。シオンはリリとずっと一緒だし、邪魔したらダメかと思って。
「エル?」
気がつくとポロポロ、ポロポロ涙が溢れた。
「こわいの……。こわいよ、リリ…。」
ひとこと話してしまうともうダメだった。あとから後から気持ちがこぼれ落ちる。
「私はきっと良いお母さんになれない。私はリリみたいに頭よくないし、お母様みたいになれないよ。」
いま子どもを宿しているのは、私じゃなくてリリなのに。どうしてこんなこと言ってしまうんだろう。不安なのはリリの方なのに、どうして私が泣いてるんだろう。
「ガロンはたくさん愛されてきた人で、私は違うの。赤ちゃんを幸せにしてあげられないかもしれない。ガロンがガッカリしたらどうしよう。」
いつまでもいつまでも、不安がつきまとって離れない。
「ガロンはエルのこと嫌いになったりしないよ。ガッカリしたりもしない。」
「ガロンもそう言う。でも分かんないよ。」
「わかる。絶対ならない。」
涙で腫れた瞳を見たら、ガロンに泣いてたことがバレてしまう。ダメだと思っても止まらなかった。
「ねぇ、エル。エルは今幸せ?」
リリの指が頬の涙を拭ってくれる。いつもこうやって、二人で支えあってきた。
「うん、幸せ。すごく幸せだよ。こわくなるくらい。」
「私もだよ。赤ちゃん産むの、たしかに怖いけどそれも全部含めて幸せ。」
たまらずリリに抱きついた。柔らかい銀色の髪に顔を押し付ける。
「エル。大丈夫。だって私たちは二人きりじゃないもの。」
リリに頭を撫でてもらうと、小さい頃に戻ったみたいだ。
「シオンがいて、ガロンがいて、お父様とお母様がいる。私、赤ちゃんを産むときクレアに来てもらおうと思ってるの。クレアが居てくれたらすっごく安心するでしょ?」
「うん、それすごくいい…。」
「赤ちゃんが生まれたら、メアリちゃんと一緒に遊んでもらうの。執事のヨナスさんもすごく嬉しそうだし、護衛のヘルガさんも、きっと騎士団の人たちも喜んでくれるよ。それってすごく幸せだと思わない?」
私の涙でリリの洋服がびちょびちょになってしまった。それでもまだ私は泣くのを止められなかった。
「エル、エルはもう一人じゃないよ。私と二人きりでもない。大丈夫。絶対に大丈夫だから。」
最後はもう大声で泣いた。子どもみたいにわんわん泣いて、リリも一緒になって泣いていた。
「エル?どうしたの?元気ない?」
お母様のお話を聞いた後、ガロンとシオンは午後からの仕事のため王城に行ってしまった。リリと二人、今日はなぜか家がとても広く感じる。
「そんなことないよ。お母様とお父様の話、素敵だったね。」
お母様が私たちの過去を気にしないと言ってくれた理由がようやく分かった気がした。優しい人に出逢えた私たちはなんて幸運だったんだろう。
「エル?隠し事はしないって約束したよ。ガロンもすごく心配してた。」
「えっ?」
私には何も言ってなかったのに。どうしてバレてしまったんだろう。
「ちゃんと話して?どうしてそんな悲しい顔してるの?」
エルの手が私の手に重なる。そういえば二人きりで話をするのは久しぶりな気がする。シオンはリリとずっと一緒だし、邪魔したらダメかと思って。
「エル?」
気がつくとポロポロ、ポロポロ涙が溢れた。
「こわいの……。こわいよ、リリ…。」
ひとこと話してしまうともうダメだった。あとから後から気持ちがこぼれ落ちる。
「私はきっと良いお母さんになれない。私はリリみたいに頭よくないし、お母様みたいになれないよ。」
いま子どもを宿しているのは、私じゃなくてリリなのに。どうしてこんなこと言ってしまうんだろう。不安なのはリリの方なのに、どうして私が泣いてるんだろう。
「ガロンはたくさん愛されてきた人で、私は違うの。赤ちゃんを幸せにしてあげられないかもしれない。ガロンがガッカリしたらどうしよう。」
いつまでもいつまでも、不安がつきまとって離れない。
「ガロンはエルのこと嫌いになったりしないよ。ガッカリしたりもしない。」
「ガロンもそう言う。でも分かんないよ。」
「わかる。絶対ならない。」
涙で腫れた瞳を見たら、ガロンに泣いてたことがバレてしまう。ダメだと思っても止まらなかった。
「ねぇ、エル。エルは今幸せ?」
リリの指が頬の涙を拭ってくれる。いつもこうやって、二人で支えあってきた。
「うん、幸せ。すごく幸せだよ。こわくなるくらい。」
「私もだよ。赤ちゃん産むの、たしかに怖いけどそれも全部含めて幸せ。」
たまらずリリに抱きついた。柔らかい銀色の髪に顔を押し付ける。
「エル。大丈夫。だって私たちは二人きりじゃないもの。」
リリに頭を撫でてもらうと、小さい頃に戻ったみたいだ。
「シオンがいて、ガロンがいて、お父様とお母様がいる。私、赤ちゃんを産むときクレアに来てもらおうと思ってるの。クレアが居てくれたらすっごく安心するでしょ?」
「うん、それすごくいい…。」
「赤ちゃんが生まれたら、メアリちゃんと一緒に遊んでもらうの。執事のヨナスさんもすごく嬉しそうだし、護衛のヘルガさんも、きっと騎士団の人たちも喜んでくれるよ。それってすごく幸せだと思わない?」
私の涙でリリの洋服がびちょびちょになってしまった。それでもまだ私は泣くのを止められなかった。
「エル、エルはもう一人じゃないよ。私と二人きりでもない。大丈夫。絶対に大丈夫だから。」
最後はもう大声で泣いた。子どもみたいにわんわん泣いて、リリも一緒になって泣いていた。
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