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第一章
16話 謁見
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16 謁見
ランディオール城内謁見の間。本来ならば、他国からの来賓に使われる大広間。豪華なシャンデリアと、ふわふわと柔らかな絨毯。美しい彫刻が施された柱が支える天井画は、この国の建国の歴史を描いたものだ。
その広間に集まるのは、ランディオール国王の親族のみ。今日の来賓は、この国だけでなく、この世界へのお客様だ。
そして、私の友人たちの番でもある。
ランディオール国王アーカス・ランディオールの長男であり王位継承一位であるメルヴィン・ランディオールは、同い年で騎士学校の同期でもあるロックスフォード家の2人をしげしげと眺めていた。騎士服に身を包んだ彼らには、隣に立つ番のことしか見えていないようだ。
私の隣には妻のシルヴィアと、5歳になる娘のメアリが並び、興味津々に2人の精霊姫を見つめている。文献によれば、前に精霊の呼び人が現れたのは100年も前のことらしい。おとぎ話の中から現れたような彼女たちを、妻と娘は精霊姫だと噂していた。
本人たちを前にすると、その渾名にふさわしいどころか、それすら霞んでしまうような美しさだった。なるほど、結婚など興味もないと言っていたあの2人がこれだけ入れ込むわけだ。
* * *
「本日はお時間をいただきありがとうございます。」
謁見の間、壇上には現国王とその親族たちが勢揃いしている。アーカス・ランディオール国王は獅子の獣人で、うちの父親と同い年。そろそろ還暦のはずだがその威厳は年々増しているように思う。美しい金髪を後ろに撫で付け、鮮やかな青色の瞳でこちらを見つめている。
隣に座るのは、妃であるオフィーリア・ランディオール。エルフである彼女は、癖のある黒髪を腰まで伸ばし、同じ漆黒の瞳にはいつも微笑みを絶やさない。エルフは基本年齢不詳だ。
その隣に立つのが、この国の次期国王であり俺たちの友人でもあるメルヴィン。国王と同じ獅子の獣人で、父親譲りの金髪を耳にかけ、その顔は母親似で優しげだ。しかし、その顔に騙されてはいけない。この国で一番敵に回してはいけないやつ。今回のことで大きな借りができた。いつどんな形で返済を求められるか、怖いところだ。
メルヴィンの隣は妻のシルヴィア。うちの母と同じ兎の獣人で、その周りをうろちょろしているのが娘のメアリ。メアリは獅子だ。この国で女の獅子は珍しい。かなりのお転婆娘。
メルヴィンの反対側、王の横に立つのは、次男のメルクス。父、兄と同じく獅子の獣人で、そろそろ騎士学校を卒業する頃か。母譲りの黒髪を短く刈り上げていて、顔は父親そっくりだ。
「精霊の呼び人たちよ。縁あってこのランディオール王国に来たこと心より歓迎する。」
やっとここまでこぎ着けた。
一週間前、俺たちはメルヴィンを訪ねた。友人としてではなく、ロックスフォード家の跡取りとしてだ。幼い頃からの友人で騎士学校も共に卒業した次期国王に、家名を出して頼み事をするのは初めてのことだった。
「俺たちの要求は2つ。ひとつは、エルとリリの魔力鑑定の結果を国王とその親族のみに開示すること。もうひとつは、精霊の呼び人である彼女たちをこの国のために利用しないこと。この2つを他の貴族に納得させるために、力を貸してほしい。」
豪華な執務室、ソファに腰かけたメルヴィンは一見優しげな笑みを浮かべている。
「上手い要求だね。それで交渉材料は?まさか、なにもないなんて言わないよね?」
メルヴィンは、人好きのする笑顔で言う。この顔と、腹黒さのギャップがこいつの恐ろしいところだ。
「ライモレノ家の帳簿と、行動記録。その矛盾をついた告発書。」
「帳簿なんて、よく手に入ったね。でも、それじゃちょっと足りないかな。」
「それしかない。時間がないんだ。」
するとメルヴィンは、ニッコリと笑う。
「友達なのに水くさいよ。2人の番と話をする時間が欲しいなぁ。あることないこと、たくさん話したい。」
「「却下。」」
この笑顔に、みな騙されいつの間にか利用されている。こいつほど、性格の悪いやつを俺は知らない。なぜ結婚できたのか、いまだに不思議で仕方ない。
「城内じゃ、すごい噂になってるよ。君たちの妻になる女性はどんな人なのかって。ちょっとくらい教えてよ。」
「お前にしゃべったら、話を盛りに盛って、一瞬で広まるだろ。絶対イヤだ。」
ニヤニヤと俺と兄貴を見比べる。
「お母様に屋敷を追い出されたんだろ?婚姻前になにしたの?ついこの間、成人したばっかりの子にさ。」
「なんでお前が知ってるんだよ!」
質問には答えず。メルヴィンはひとり考え始めた。
「まぁ、今回のは貸しってことで。いつか請求するから。可愛い可愛い番に会えるの楽しみにしてるね。」
次期国王であるメルヴィンの情報収集能力と人を操る話術は並ぶものがいないほどで、現国王以上とも言われている。どこまで知っていて話しているのか分からないが、こいつができると言ったことはできる。
たった一週間で、今日の謁見が叶った。
〓 〓 〓 〓 〓
リーリア・ツェーシェル
年齢:18
魔力値:100
魔力適性:火0,水100,風0、大地0、光0
特殊:水の精霊の加護
リーエル・ツェーシェル
年齢:18
魔力値:100
魔力適性:火0、水0、風0、大地100、光0
特殊:大地の精霊の加護
〓 〓 〓 〓 〓
リリとエルの魔力鑑定の結果は、驚くべきものだった。神殿を管理する神官長も、こんな結果は初めてだと言っていた。
まず、魔力適性が0というのは見たことがない。どれだけ不得意な魔法でも、魔力適性は10前後はある。0ということは、その属性の魔法はまったく使えないということだ。
逆に適性が100というのも、あり得ない数字だ。どれだけ鍛練した者でも70から80が限界。それが100ということは、それぞれ水と大地の魔法を、全て使えるということになる。2人が魔法を極めれば、大地の形を変え、自在に雨を降らせることさえもできるかもしれない。
そして、精霊の加護という特殊技能。それが何を意味するのか、この国の誰にも分からなかった。
「なるほど、これは簡単に知られていいものではないな。」
もし、この鑑定結果の情報が漏れた場合、それは神殿の神官長かここにいる誰かがエルとリリを裏切ったということだ。それはこの国が、俺たちを裏切ったということになる。
その場合、俺たちは貴族の位を捨て、彼女たちを連れてこの国を出てもかまわない。メルヴィンには、そう伝えてあった。
「我がランディオール王国は、リーリア、リーエル、二人の保護と、この国での活動の自由を認め、その力を国のために使用しないことを誓う。この国が2人の幸福の地になることを心から願っている。」
リリとエルは、ゆっくりと頭を下げ、国王と向き合い微笑んだ。その美しい笑顔に、俺たちも含めここにいる全員が見惚れてしまった。
「シオン・ロックスフォード、ガロン・ロックスフォード。」
胸に手を当て、国王に敬意を表す。
「彼女たちを助け、保護したこと、心から礼を言う。日頃の第4騎士団の仕事ぶりも、このヴィンドヘイムまで届いている。これからもこの国の為に尽くしてほしい。」
ずっと、自分たちの家名や、貴族の煩わしさから逃げてきた。郊外の任務、人のやりたがらない仕事ばかりこなしてきた。他の騎士団や、貴族から陰口を言われ、見下されていることも知っている。
しかし、その仕事のおかげで、エルとリリに出逢うことができた。自分の人生をかけて護るものを見つけたのだ。
「シオン・ロックスフォード、リーリア・ツェーシェル。およびガロン・ロックスフォード、リーエル・ツェーシェルの婚姻を認め、ここに夫婦となることを宣言する。末長く幸せであることを願っているよ。」
もう逃げない。大切なものを守るために。
* * *
「せいれいひめ!きれいねー!きらきらしてるー!」
謁見が終わるとすぐに、小さなお転婆娘がエルとリリに飛びついてきた。
「せいれいひめ?それはなんですか?」
二人は腰を屈め、小さな姫と戯れる。このお転婆姫もこの国では王位継承三位だ。
「お2人がおとぎ話から出てきたお姫様だと噂していたんですよ。想像していたより、実物のほうがずっと綺麗でした。」
俺は仕方なく悪友を紹介する。
「リーリアとリーエルだ。こいつは、メルヴィン。この国の第一王子で、次期国王。俺たちの友人だ。」
「そっけないなぁ、親友でしょ。初めまして、お会いできるのを楽しみにしていました。妻のシルヴィアと娘のメアリです。これから仲良くしてくださいね。」
メルヴィンが2人と握手をかわす。
「ねぇ、たかが握手でそういう顔しないでよ。嫉妬深い男はモテないよ。」
「モテる必要はない。べたべた触るな。」
兄貴が、リリの手を握るメルヴィンの手を払いのけた。
「シオンもそういう顔するんだね。どんな女に言い寄られても、見向きもしなかったのに。」
メルヴィンを睨む兄貴の顔がヤバいことになっている。
「あっ、俺の紹介で付き合ってた人、なんて名前だったっけ?」
兄貴の元カノの話が出たところで、リリを連れ兄貴は広間を出ていく。
「シオンとガロンのことなら、なんでも聞いてね。今度いろんなことお話しよう。」
2度と会わせるものか。俺たちは心に誓う。
それからランディオール城内で精霊姫の噂が広まり、俺たちが彼女たちをどれだけ溺愛しているか、尾ひれどころか手足まで生えた噂が広まったのは、すべてあいつのせいだ。
ランディオール城内謁見の間。本来ならば、他国からの来賓に使われる大広間。豪華なシャンデリアと、ふわふわと柔らかな絨毯。美しい彫刻が施された柱が支える天井画は、この国の建国の歴史を描いたものだ。
その広間に集まるのは、ランディオール国王の親族のみ。今日の来賓は、この国だけでなく、この世界へのお客様だ。
そして、私の友人たちの番でもある。
ランディオール国王アーカス・ランディオールの長男であり王位継承一位であるメルヴィン・ランディオールは、同い年で騎士学校の同期でもあるロックスフォード家の2人をしげしげと眺めていた。騎士服に身を包んだ彼らには、隣に立つ番のことしか見えていないようだ。
私の隣には妻のシルヴィアと、5歳になる娘のメアリが並び、興味津々に2人の精霊姫を見つめている。文献によれば、前に精霊の呼び人が現れたのは100年も前のことらしい。おとぎ話の中から現れたような彼女たちを、妻と娘は精霊姫だと噂していた。
本人たちを前にすると、その渾名にふさわしいどころか、それすら霞んでしまうような美しさだった。なるほど、結婚など興味もないと言っていたあの2人がこれだけ入れ込むわけだ。
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「本日はお時間をいただきありがとうございます。」
謁見の間、壇上には現国王とその親族たちが勢揃いしている。アーカス・ランディオール国王は獅子の獣人で、うちの父親と同い年。そろそろ還暦のはずだがその威厳は年々増しているように思う。美しい金髪を後ろに撫で付け、鮮やかな青色の瞳でこちらを見つめている。
隣に座るのは、妃であるオフィーリア・ランディオール。エルフである彼女は、癖のある黒髪を腰まで伸ばし、同じ漆黒の瞳にはいつも微笑みを絶やさない。エルフは基本年齢不詳だ。
その隣に立つのが、この国の次期国王であり俺たちの友人でもあるメルヴィン。国王と同じ獅子の獣人で、父親譲りの金髪を耳にかけ、その顔は母親似で優しげだ。しかし、その顔に騙されてはいけない。この国で一番敵に回してはいけないやつ。今回のことで大きな借りができた。いつどんな形で返済を求められるか、怖いところだ。
メルヴィンの隣は妻のシルヴィア。うちの母と同じ兎の獣人で、その周りをうろちょろしているのが娘のメアリ。メアリは獅子だ。この国で女の獅子は珍しい。かなりのお転婆娘。
メルヴィンの反対側、王の横に立つのは、次男のメルクス。父、兄と同じく獅子の獣人で、そろそろ騎士学校を卒業する頃か。母譲りの黒髪を短く刈り上げていて、顔は父親そっくりだ。
「精霊の呼び人たちよ。縁あってこのランディオール王国に来たこと心より歓迎する。」
やっとここまでこぎ着けた。
一週間前、俺たちはメルヴィンを訪ねた。友人としてではなく、ロックスフォード家の跡取りとしてだ。幼い頃からの友人で騎士学校も共に卒業した次期国王に、家名を出して頼み事をするのは初めてのことだった。
「俺たちの要求は2つ。ひとつは、エルとリリの魔力鑑定の結果を国王とその親族のみに開示すること。もうひとつは、精霊の呼び人である彼女たちをこの国のために利用しないこと。この2つを他の貴族に納得させるために、力を貸してほしい。」
豪華な執務室、ソファに腰かけたメルヴィンは一見優しげな笑みを浮かべている。
「上手い要求だね。それで交渉材料は?まさか、なにもないなんて言わないよね?」
メルヴィンは、人好きのする笑顔で言う。この顔と、腹黒さのギャップがこいつの恐ろしいところだ。
「ライモレノ家の帳簿と、行動記録。その矛盾をついた告発書。」
「帳簿なんて、よく手に入ったね。でも、それじゃちょっと足りないかな。」
「それしかない。時間がないんだ。」
するとメルヴィンは、ニッコリと笑う。
「友達なのに水くさいよ。2人の番と話をする時間が欲しいなぁ。あることないこと、たくさん話したい。」
「「却下。」」
この笑顔に、みな騙されいつの間にか利用されている。こいつほど、性格の悪いやつを俺は知らない。なぜ結婚できたのか、いまだに不思議で仕方ない。
「城内じゃ、すごい噂になってるよ。君たちの妻になる女性はどんな人なのかって。ちょっとくらい教えてよ。」
「お前にしゃべったら、話を盛りに盛って、一瞬で広まるだろ。絶対イヤだ。」
ニヤニヤと俺と兄貴を見比べる。
「お母様に屋敷を追い出されたんだろ?婚姻前になにしたの?ついこの間、成人したばっかりの子にさ。」
「なんでお前が知ってるんだよ!」
質問には答えず。メルヴィンはひとり考え始めた。
「まぁ、今回のは貸しってことで。いつか請求するから。可愛い可愛い番に会えるの楽しみにしてるね。」
次期国王であるメルヴィンの情報収集能力と人を操る話術は並ぶものがいないほどで、現国王以上とも言われている。どこまで知っていて話しているのか分からないが、こいつができると言ったことはできる。
たった一週間で、今日の謁見が叶った。
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リーリア・ツェーシェル
年齢:18
魔力値:100
魔力適性:火0,水100,風0、大地0、光0
特殊:水の精霊の加護
リーエル・ツェーシェル
年齢:18
魔力値:100
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特殊:大地の精霊の加護
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リリとエルの魔力鑑定の結果は、驚くべきものだった。神殿を管理する神官長も、こんな結果は初めてだと言っていた。
まず、魔力適性が0というのは見たことがない。どれだけ不得意な魔法でも、魔力適性は10前後はある。0ということは、その属性の魔法はまったく使えないということだ。
逆に適性が100というのも、あり得ない数字だ。どれだけ鍛練した者でも70から80が限界。それが100ということは、それぞれ水と大地の魔法を、全て使えるということになる。2人が魔法を極めれば、大地の形を変え、自在に雨を降らせることさえもできるかもしれない。
そして、精霊の加護という特殊技能。それが何を意味するのか、この国の誰にも分からなかった。
「なるほど、これは簡単に知られていいものではないな。」
もし、この鑑定結果の情報が漏れた場合、それは神殿の神官長かここにいる誰かがエルとリリを裏切ったということだ。それはこの国が、俺たちを裏切ったということになる。
その場合、俺たちは貴族の位を捨て、彼女たちを連れてこの国を出てもかまわない。メルヴィンには、そう伝えてあった。
「我がランディオール王国は、リーリア、リーエル、二人の保護と、この国での活動の自由を認め、その力を国のために使用しないことを誓う。この国が2人の幸福の地になることを心から願っている。」
リリとエルは、ゆっくりと頭を下げ、国王と向き合い微笑んだ。その美しい笑顔に、俺たちも含めここにいる全員が見惚れてしまった。
「シオン・ロックスフォード、ガロン・ロックスフォード。」
胸に手を当て、国王に敬意を表す。
「彼女たちを助け、保護したこと、心から礼を言う。日頃の第4騎士団の仕事ぶりも、このヴィンドヘイムまで届いている。これからもこの国の為に尽くしてほしい。」
ずっと、自分たちの家名や、貴族の煩わしさから逃げてきた。郊外の任務、人のやりたがらない仕事ばかりこなしてきた。他の騎士団や、貴族から陰口を言われ、見下されていることも知っている。
しかし、その仕事のおかげで、エルとリリに出逢うことができた。自分の人生をかけて護るものを見つけたのだ。
「シオン・ロックスフォード、リーリア・ツェーシェル。およびガロン・ロックスフォード、リーエル・ツェーシェルの婚姻を認め、ここに夫婦となることを宣言する。末長く幸せであることを願っているよ。」
もう逃げない。大切なものを守るために。
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「せいれいひめ!きれいねー!きらきらしてるー!」
謁見が終わるとすぐに、小さなお転婆娘がエルとリリに飛びついてきた。
「せいれいひめ?それはなんですか?」
二人は腰を屈め、小さな姫と戯れる。このお転婆姫もこの国では王位継承三位だ。
「お2人がおとぎ話から出てきたお姫様だと噂していたんですよ。想像していたより、実物のほうがずっと綺麗でした。」
俺は仕方なく悪友を紹介する。
「リーリアとリーエルだ。こいつは、メルヴィン。この国の第一王子で、次期国王。俺たちの友人だ。」
「そっけないなぁ、親友でしょ。初めまして、お会いできるのを楽しみにしていました。妻のシルヴィアと娘のメアリです。これから仲良くしてくださいね。」
メルヴィンが2人と握手をかわす。
「ねぇ、たかが握手でそういう顔しないでよ。嫉妬深い男はモテないよ。」
「モテる必要はない。べたべた触るな。」
兄貴が、リリの手を握るメルヴィンの手を払いのけた。
「シオンもそういう顔するんだね。どんな女に言い寄られても、見向きもしなかったのに。」
メルヴィンを睨む兄貴の顔がヤバいことになっている。
「あっ、俺の紹介で付き合ってた人、なんて名前だったっけ?」
兄貴の元カノの話が出たところで、リリを連れ兄貴は広間を出ていく。
「シオンとガロンのことなら、なんでも聞いてね。今度いろんなことお話しよう。」
2度と会わせるものか。俺たちは心に誓う。
それからランディオール城内で精霊姫の噂が広まり、俺たちが彼女たちをどれだけ溺愛しているか、尾ひれどころか手足まで生えた噂が広まったのは、すべてあいつのせいだ。
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