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第一章
15話 邪魔
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15 邪魔
既視感。
つい最近、同じことがあった気がする。母の居室の床に座らされた俺と兄貴は、母の説教が終わるのをひたすら待っていた。しかし、今回バレたのは絶対に兄貴のせいだ。決して俺ではない。
母は、風邪で寝込んでいるリリの看病を率先してやっていた。会ったばかりではあるが、私がしてあげたいと。そんな中、寝込んでいるはずのリリの体に、真新しい歯形がついているのを見つけた。どこ、とは言わなかったが、何個も、とは言っていた。そして、その場にいたエルの首にも、同じような痕があったわけだ。
そして、いまに至る。兄貴はただ不可抗力だと言っていた。
エルたちの誕生日から昨日まで、俺たちは決して襲ってない。これは絶対。本当に。出発直前まで、クレアに見張られてたし、旅の途中はそれどころではなかった。だから、首都に着いて、俺はいろんな意味で嬉しかった。
しかし、そう現実は甘くない。
母曰く
『結婚はもちろん認めるし、とても嬉しい。しかし、彼女たちの手続きは済んでいない。正式に婚姻したわけではないのに、同じ部屋で暮らすなんて言語道断。本当なら、お前たちを騎士寮に追い出したいところだが、さすがに2人が心細いだろう。この屋敷に居ることだけは認めてあげる。』
いや、ひどくないか?エルとリリのために、一生懸命駆けずり回っているのに。
母は言う。それは2人のためじゃなく、自分のためだろうと。
母は、彼女たちのためにたくさんの物を用意して待っていた。服や靴だけでなく、アクセサリーや化粧品などなど。そんなもの受け取れないと首を振る2人を、毎日母とメイドたちは嬉々として着飾らせている。ただでさえ可愛いのに、日々磨かれていく彼女が家に帰ると笑顔でお帰りなさいと駆け寄ってくるんだ。我慢しろというほうが無理だろう。
結果、いまのこの状況は、母にも原因がある。そう言えるなら言いたい。
* * *
「それで、あの子たちの手続きはまだかかるのですか?あまりにも時間がかかりすぎでは?」
「できるなら、とっくにしてるよ。うるさいやつらがギャーギャー騒いでる。」
母は憂い顔でため息をついた。
「あの方々は、なににでも騒がないと気がすまないのでしょうか。」
通常人間が保護された場合、すぐに市民権が与えられ、国内での行動の自由が認められる。結婚しようが、店を開こうが、自由。騎士学校に入ることも可能だ。
しかし、エルとリリの場合は事情が違う。2人は精霊の呼び人だ。彼女たちをどうやって扱うか、意見が割れている。
このランディオールの現国王、アーカス・ランディオールは、俺たちの父親の幼なじみであり、剣を捧げ、護るべき主だ。その国王は、2人に市民権を与え、自由にしていいと言ってくれている。しかし、それに待ったをかけるやつがいるのだ。
ライモレノ家。なぜかロックスフォード家を目の敵にしているやつら。
ランディオール王国は、国王を中心に10の貴族が議会を開き、国を運営している。俺たちロックスフォードは、その十貴族には入っていない。我々が仕えるのは国王のみ、国政に関わるべからずというのが家訓であり、我々が捧げるのは剣のみであるというのが先代からの教えだ。
しかし、我らが父親の鬼将軍の名は国中にとどろき、現国王と幼なじみであり親友でもある。ロックスフォード家の行動力や発言力は意外と大きい。貴族のなかには、それを良く思わないやつがいる。その筆頭がライモレノ家だ。
ただでさえ目障りなロックスフォード家に、世にも珍しい精霊の呼び人が嫁いでくるなんて、面白いわけがない。本当に精霊の呼び人なのか、鑑定してからだ。もし、そうなら国としてどう扱うのか、決めてからでなければダメだと、全てにおいて横やりを入れてくる。そのライモレノに賛同する貴族も出ていて、王側の意見と割れてしまっているのだ。
「本当にうるさいやつらだ。自分たちの利益になるかどうか、見極めたいだけだろう。」
兄貴の言う通りだった。あいつらは、エルとリリにどんな知識、力があり、それがどんな利益を生むか。国のために、と言いながら自分たちの利益しか考えていない。
「あんな可愛い子たちを、利用しようだなんて本当に卑しい方ね。で、向こうはなんて言ってるの?」
「まずは二人の魔力の鑑定をして、精霊の呼び人かどうかはっきりとした証拠を出せと。その上で、この国での市民権を与えると言ってる。」
「魔力鑑定の結果を全て開示しろとな。」
神殿に行き、魔力を鑑定することでその者のもつ魔力の値、適正、特殊能力を知ることができる。それは、ものすごく大切な情報だ。本来なら、家族や本当に信頼した者にしか教えない。
それを全て開示しろと言う。それがエルとリリにとって、どれほど危険なことになるか。
「あの子たちに、本当になにかしらの力があるとしたら。ライモレノはどうするのかしら?」
「間違いなく、取り込もうとするでしょう。婚姻、養子、形なんていくらでも後付けできます。」
ライモレノ家は、10の貴族の中で一・二を争う大家。影響力も大きいため、国王も簡単に意見を退けられない。
「いつも、いつもよく飽きないよな。」
十貴族でもないロックスフォードが力を持ち、国王からも頼りにされるのが、彼らのプライドを傷つけるらしい。知るか、そんな下らないもの。
「で、勝算はあるのかしら?」
「当たり前だ。あんなやつらのために、俺が我慢させられてると思うと、本当にイライラする。」
母も、相当怒っているようだ。目がまったく笑ってない。
「早くしてくれないと、エルちゃんとリリちゃんと一緒にお買い物も行けないじゃない。さっさとやってくれたら、私から貴方たちにご褒美をあげるわ。」
「ご褒美はいいから、エルと一緒にいさせてくれよ。」
「私はリリの看病をしたいのだが。」
ふふふっと母は不敵に笑った。
「自分の野性も抑えられないバカ息子たちも、本気で恋をすると変わるのかしらね。でも、ちゃんと婚姻の手続きが終わるまでは、会わせてあげない。」
兄貴とともに、ライモレノへの敵意を再確認した。
* * *
それから、一週間、俺たちは騎士寮に追い出された。終わるまで、本当に会わせてもらえないらしい。正直、彼女に会えない生活には耐えられない。俺たちはすぐに行動に移した。
さらに一週間後。ランディオール城、謁見の間に向かう廊下。今日は、兄貴ともども堅苦しい騎士服だ。豪華な装飾の施された正装に身を包んで、ただただ会いたい人を待っていた。
すると、廊下の向こうから軽やかな足音が聞こえてくる。
「ガロン!」
「シオン。」
小走りで駆けてくるエルをたまらず抱き上げた。ふわりと嗅ぎ慣れない化粧のにおいがする。
「あいたかった。」
そう言って微笑む彼女は天使だろうか。たった二週間でさらに美しくなった気がする。
瞳の色と合わせたグリーンのドレスは、繊細なレースとフリルで縁取られ、驚くほどエルに似合っている。若干、胸元が開きすぎなのが気になるが…。
髪をゆるく結び、俺のあげたリボンが揺れている。うすく化粧をした頬がふわりと香り、ピンクの口紅が可愛さを強調していた。
「ぜんぶ、おかあさまがよういしてくれたの。へん?」
「可愛すぎて驚いた。早く家に帰りたい。」
嬉しそうに、俺の髪に触れる。
「きょうはいっしょにかえれる?」
「ああ、大丈夫だ。一緒に帰ろう。」
隣では、兄貴がリリを抱きしめている。エルと同じデザインのドレス。色は鮮やかな青。リリの銀髪が映える色だ。風邪も治り、顔色も良くなったみたいだ。
「そろそろ行くか、早く終わらせて、さっさと帰ろう。」
既視感。
つい最近、同じことがあった気がする。母の居室の床に座らされた俺と兄貴は、母の説教が終わるのをひたすら待っていた。しかし、今回バレたのは絶対に兄貴のせいだ。決して俺ではない。
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しかし、そう現実は甘くない。
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『結婚はもちろん認めるし、とても嬉しい。しかし、彼女たちの手続きは済んでいない。正式に婚姻したわけではないのに、同じ部屋で暮らすなんて言語道断。本当なら、お前たちを騎士寮に追い出したいところだが、さすがに2人が心細いだろう。この屋敷に居ることだけは認めてあげる。』
いや、ひどくないか?エルとリリのために、一生懸命駆けずり回っているのに。
母は言う。それは2人のためじゃなく、自分のためだろうと。
母は、彼女たちのためにたくさんの物を用意して待っていた。服や靴だけでなく、アクセサリーや化粧品などなど。そんなもの受け取れないと首を振る2人を、毎日母とメイドたちは嬉々として着飾らせている。ただでさえ可愛いのに、日々磨かれていく彼女が家に帰ると笑顔でお帰りなさいと駆け寄ってくるんだ。我慢しろというほうが無理だろう。
結果、いまのこの状況は、母にも原因がある。そう言えるなら言いたい。
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「それで、あの子たちの手続きはまだかかるのですか?あまりにも時間がかかりすぎでは?」
「できるなら、とっくにしてるよ。うるさいやつらがギャーギャー騒いでる。」
母は憂い顔でため息をついた。
「あの方々は、なににでも騒がないと気がすまないのでしょうか。」
通常人間が保護された場合、すぐに市民権が与えられ、国内での行動の自由が認められる。結婚しようが、店を開こうが、自由。騎士学校に入ることも可能だ。
しかし、エルとリリの場合は事情が違う。2人は精霊の呼び人だ。彼女たちをどうやって扱うか、意見が割れている。
このランディオールの現国王、アーカス・ランディオールは、俺たちの父親の幼なじみであり、剣を捧げ、護るべき主だ。その国王は、2人に市民権を与え、自由にしていいと言ってくれている。しかし、それに待ったをかけるやつがいるのだ。
ライモレノ家。なぜかロックスフォード家を目の敵にしているやつら。
ランディオール王国は、国王を中心に10の貴族が議会を開き、国を運営している。俺たちロックスフォードは、その十貴族には入っていない。我々が仕えるのは国王のみ、国政に関わるべからずというのが家訓であり、我々が捧げるのは剣のみであるというのが先代からの教えだ。
しかし、我らが父親の鬼将軍の名は国中にとどろき、現国王と幼なじみであり親友でもある。ロックスフォード家の行動力や発言力は意外と大きい。貴族のなかには、それを良く思わないやつがいる。その筆頭がライモレノ家だ。
ただでさえ目障りなロックスフォード家に、世にも珍しい精霊の呼び人が嫁いでくるなんて、面白いわけがない。本当に精霊の呼び人なのか、鑑定してからだ。もし、そうなら国としてどう扱うのか、決めてからでなければダメだと、全てにおいて横やりを入れてくる。そのライモレノに賛同する貴族も出ていて、王側の意見と割れてしまっているのだ。
「本当にうるさいやつらだ。自分たちの利益になるかどうか、見極めたいだけだろう。」
兄貴の言う通りだった。あいつらは、エルとリリにどんな知識、力があり、それがどんな利益を生むか。国のために、と言いながら自分たちの利益しか考えていない。
「あんな可愛い子たちを、利用しようだなんて本当に卑しい方ね。で、向こうはなんて言ってるの?」
「まずは二人の魔力の鑑定をして、精霊の呼び人かどうかはっきりとした証拠を出せと。その上で、この国での市民権を与えると言ってる。」
「魔力鑑定の結果を全て開示しろとな。」
神殿に行き、魔力を鑑定することでその者のもつ魔力の値、適正、特殊能力を知ることができる。それは、ものすごく大切な情報だ。本来なら、家族や本当に信頼した者にしか教えない。
それを全て開示しろと言う。それがエルとリリにとって、どれほど危険なことになるか。
「あの子たちに、本当になにかしらの力があるとしたら。ライモレノはどうするのかしら?」
「間違いなく、取り込もうとするでしょう。婚姻、養子、形なんていくらでも後付けできます。」
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「で、勝算はあるのかしら?」
「当たり前だ。あんなやつらのために、俺が我慢させられてると思うと、本当にイライラする。」
母も、相当怒っているようだ。目がまったく笑ってない。
「早くしてくれないと、エルちゃんとリリちゃんと一緒にお買い物も行けないじゃない。さっさとやってくれたら、私から貴方たちにご褒美をあげるわ。」
「ご褒美はいいから、エルと一緒にいさせてくれよ。」
「私はリリの看病をしたいのだが。」
ふふふっと母は不敵に笑った。
「自分の野性も抑えられないバカ息子たちも、本気で恋をすると変わるのかしらね。でも、ちゃんと婚姻の手続きが終わるまでは、会わせてあげない。」
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それから、一週間、俺たちは騎士寮に追い出された。終わるまで、本当に会わせてもらえないらしい。正直、彼女に会えない生活には耐えられない。俺たちはすぐに行動に移した。
さらに一週間後。ランディオール城、謁見の間に向かう廊下。今日は、兄貴ともども堅苦しい騎士服だ。豪華な装飾の施された正装に身を包んで、ただただ会いたい人を待っていた。
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「ガロン!」
「シオン。」
小走りで駆けてくるエルをたまらず抱き上げた。ふわりと嗅ぎ慣れない化粧のにおいがする。
「あいたかった。」
そう言って微笑む彼女は天使だろうか。たった二週間でさらに美しくなった気がする。
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「可愛すぎて驚いた。早く家に帰りたい。」
嬉しそうに、俺の髪に触れる。
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