上 下
33 / 41

第32話 初めての夜*

しおりを挟む
 第32話 初めての夜*

 自分の心臓の音がうるさいほど聞こえる。クロードが隣に腰掛けベッドがギシっと鳴る音さえ静かな部屋に大きく響いた。

 私の右手に彼の左手が重なる。彼の手も少しだけ震えていた。

「…本当に嫌じゃないか?あのことがあって、君が怖い思いをしたのに配慮が足りなかった。」

 首を振るとリボンがサラサラと揺れた。カミーユに襲われたときはただただ恐ろしかった。でも今は…。

「嫌じゃない…です。クロードになら…。」

 触れてほしい。そう言いかけて、もう唇を塞がれていた。腰を抱き寄せられ、何度も何度もキスをした。

「…、ん……アンっ。」

 ゆっくりと舌が絡まる。唇の隙間から声が漏れた。

「愛してる…渚。」

 ふわりとベッドに寝かされると彼の熱っぽい瞳と目が合う。

「眼鏡…外して…?見られたくないの。」

「…外したら本当に何も見えなくなる。君の顔を見ていたいんだ。」

 ごめんという言葉とともに唇が胸元に触れた。大きな手が胸をなぞる。
 寝着の上からあまり大きくない胸を揉まれると恥ずかしいくらい大きな声が出た。

「あぁ、胸、ちっちゃくて…嫌じゃない…?ん……アん。」

「渚に嫌なところなんてあるわけないだろ。こんなに可愛いのに…。」

 固くなった胸の先をくりくりと摘まれ、服の上から彼の舌が吸い付く。

「感じやすいな…身体がピクピク震えて…。」

「ひゃ、んん。ダメ……言わないで。」

 胸元のリボンを解くと、ハラリと寝着がはだけた。隠すもののない胸に彼の手が舌が唇が触れ続けた。ジンジンと痛いほど先が固くなってしまう。

 そのまま彼の舌がお腹の窪みからヘソにおりていく。ちゅっと音がするたび身体が跳ねた。

「分かるか、こんなに濡らして……。」

 ショーツの上をゆっくりと指がなぞる。自分でも分かるほどソコはしっとりと濡れ、ショーツが貼り付いていた。

「ん……ンん。見ないで…おねがい。」

「そのお願いは聞けない。」

 ぴちゃぴちゃと水音が響く。舌が動くたび中からはトロトロと蜜が溢れた。

「いやぁ…、ん……アン。」

「たくさん感じてくれ、痛くないようにしたい…。」

 小さなショーツを脱がされると彼はまたソコに顔を埋めた。花芯を甘噛みされるとビリビリと快感がはしる。

「ァァんっ、そこダメ…やぁ、ん。」

「渚の声、たまらない。ずっと聞いていたい。」

 何度も何度も刺激され、お腹の奥が疼いてたまらない。

「クロード、おく…おなかの奥がキュンってするの。」

「……あまり煽らないでくれ。優しくできなくなる。」

 服を脱いだ彼の身体は細見だけど引き締まっていて男の人だけど綺麗だと思った。

「ん……アン、ん……んっ。」

 ぐちゅぐちゅと彼の指が中をかき混ぜていく。ゆっくりと出し入れされるたび声が漏れた。

「ヒャ、あんっ……ンん…!」

「ココか…?」

 そこを引っ掻かれると勝手に体が動く。同じところばかり彼は責め立てた。

「いや、ダメ…。指じゃやだ…。クロードに、してほしいの…。」

「……君は私をどうしたいんだ…。」

 ズルリと指が抜かれるとトロリと蜜が溢れた。ソコに熱いモノが当てられた。

「あぁ…ん!痛いっ……!」

 彼が私の中を押し広げる感覚。ミリミリと音がした気がした。

「渚…力を抜いてくれ。」

 濃厚なキスをしながら、ゆっくりと彼が入ってくる。

「あんっ……ん……!ん…、やぁ!」

 痛みと一緒にわたしの中がいっぱいになっていく。苦しくてでも嬉しくてたまらない。

「好き…クロードが好きだよ。もっと…抱きしめて。」

「渚…!」

 彼の腕に抱かれながら、少しずつ痛みが気持ち良さに変わっていく。

「動いてもいいか…?そろそろ限界だ…。」

「…うん、して?クロードでいっぱいにしてください…。あぁ…!」

 何度も何度も彼が私の中を打ち付ける。恥ずかしさよりも彼が感じてくれていることが嬉しい。

「渚…離してくれ…。このままじゃ…。」 

「中…なかにきて…お願い…。そのまま。ん……。」

 キスしたまま、彼の首にグッと腕を回した。腰を押さえつけられ最奥をつかれる。

「アァっ!ンっ、やぁん…あんっ……!」

「渚…イクっ……!」

 お腹のなかに彼の熱さを感じた。彼の視線が吐息が熱く熱く私をいっぱいにする。

「愛してる…ずっと側にいてくれ。」

 私のずっと欲しかったもの。大切な人。ずっとずっとこの腕の中にいたい。


 その日はそのまま彼に抱きしめられて眠った。あのときの彼の言葉がプロポーズだったと知ったのは、それから少し経ってからだった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一夜の戯れと思っていたら、隣国の騎士団長に甘く孕まされました

樹 史桜(いつき・ふみお)
恋愛
女ばかりの国・ローゼンブルグ王国で騎士隊長を務めるロミは、ある日休暇で訪れた隣国でゴロツキに絡まれたところをジュリアンという男に助けられる。まるで絵画や彫刻のような美貌を持つ彼に魅了され、ロミは彼と初めてにして濃厚な熱い夜を過ごす。しかしこれは一夜の戯れに違いない……そう思ったロミは眠る彼に手紙を残して立ち去った。ところが後日、二人は思いもよらない形で再会する。彼は隣国イーグルトン帝国の騎士団長だったのだ。ずっとロミを探していた彼からあの夜のことを秘密にする代わりに期間限定の「恋人ごっこ」の賭けを迫られる。その条件は二週間内に身籠ったら、騎士を辞めて結婚することで――!? 2023.10.16 ノーチェブックス様より書籍化して頂きました。 旧題「ロミジュリ!〜一夜の戯れの相手は隣国の騎士団長!?〜」

さよなら、英雄になった旦那様~ただ祈るだけの役立たずの妻のはずでしたが…~

遠雷
恋愛
「フローラ、すまない……。エミリーは戦地でずっと俺を支えてくれたんだ。俺はそんな彼女を愛してしまった......」 戦地から戻り、聖騎士として英雄になった夫エリオットから、帰還早々に妻であるフローラに突き付けられた離縁状。エリオットの傍らには、可憐な容姿の女性が立っている。 周囲の者達も一様に、エリオットと共に数多の死地を抜け聖女と呼ばれるようになった女性エミリーを称え、安全な王都に暮らし日々祈るばかりだったフローラを庇う者はごく僅かだった。 「……わかりました、旦那様」 反論も無く粛々と離縁を受け入れ、フローラは王都から姿を消した。 その日を境に、エリオットの周囲では異変が起こり始める。

あなたの事は記憶に御座いません

cyaru
恋愛
この婚約に意味ってあるんだろうか。 ロペ公爵家のグラシアナはいつも考えていた。 婚約者の王太子クリスティアンは幼馴染のオルタ侯爵家の令嬢イメルダを側に侍らせどちらが婚約者なのかよく判らない状況。 そんなある日、グラシアナはイメルダのちょっとした悪戯で負傷してしまう。 グラシアナは「このチャンス!貰った!」と・・・記憶喪失を装い逃げ切りを図る事にした。 のだが…王太子クリスティアンの様子がおかしい。 目覚め、記憶がないグラシアナに「こうなったのも全て私の責任だ。君の生涯、どんな時も私が隣で君を支え、いかなる声にも盾になると誓う」なんて言い出す。 そりゃ、元をただせば貴方がちゃんとしないからですけどね?? 記憶喪失を貫き、距離を取って逃げ切りを図ろうとするのだが何故かクリスティアンが今までに見せた事のない態度で纏わりついてくるのだった・・・。 ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★ニャンの日present♡ 5月18日投稿開始、完結は5月22日22時22分 ★今回久しぶりの5日間という長丁場の為、ご理解お願いします(なんの?) ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません。

【完結】聖女召喚の聖女じゃない方~無魔力な私が溺愛されるってどういう事?!

未知香
恋愛
※エールや応援ありがとうございます! 会社帰りに聖女召喚に巻き込まれてしまった、アラサーの会社員ツムギ。 一緒に召喚された女子高生のミズキは聖女として歓迎されるが、 ツムギは魔力がゼロだった為、偽物だと認定された。 このまま何も説明されずに捨てられてしまうのでは…? 人が去った召喚場でひとり絶望していたツムギだったが、 魔法師団長は無魔力に興味があるといい、彼に雇われることとなった。 聖女として王太子にも愛されるようになったミズキからは蔑視されるが、 魔法師団長は無魔力のツムギをモルモットだと離そうとしない。 魔法師団長は少し猟奇的な言動もあるものの、 冷たく整った顔とわかりにくい態度の中にある優しさに、徐々にツムギは惹かれていく… 聖女召喚から始まるハッピーエンドの話です! 完結まで書き終わってます。 ※他のサイトにも連載してます

蹴落とされ聖女は極上王子に拾われる

砂城
恋愛
大学で同級生ともみあっていたはずが、気が付くと異世界へ召喚される途中だった絵里。あまりのことに呆然としていると、一緒に召喚されたらしい同級生に突き飛ばされる。そのせいで、彼女は異世界の辺境に落ち、聖女になる予定だった立場をその同級生に乗っ取られてしまった。そんな絵里を助けてくれたのは、超好みの「おっさん」! その男性に惚れ込んだ絵里は、やがて彼と心を通わせ、一夜を共にする。ところが翌朝、隣にいたのは好みとは似ても似つかないキラキラした王子様で――!?

あなたが幸せになれるなら婚約破棄を受け入れます

神村結美
恋愛
貴族の子息令嬢が通うエスポワール学園の入学式。 アイリス・コルベール公爵令嬢は、前世の記憶を思い出した。 そして、前世で大好きだった乙女ゲーム『マ・シェリ〜運命の出逢い〜』に登場する悪役令嬢に転生している事に気付く。 エスポワール学園の生徒会長であり、ヴィクトール国第一王子であるジェラルド・アルベール・ヴィクトールはアイリスの婚約者であり、『マ・シェリ』でのメイン攻略対象。 ゲームのシナリオでは、一年後、ジェラルドが卒業する日の夜会にて、婚約破棄を言い渡され、ジェラルドが心惹かれたヒロインであるアンナ・バジュー男爵令嬢を虐めた罪で国外追放されるーーそんな未来は嫌だっ! でも、愛するジェラルド様の幸せのためなら……

クリスティーヌの本当の幸せ

恋愛
ニサップ王国での王太子誕生祭にて、前代未聞の事件が起こった。王太子が婚約者である公爵令嬢に婚約破棄を突き付けたのだ。そして新たに男爵令嬢と婚約する目論見だ。しかし、そう上手くはいかなかった。 この事件はナルフェック王国でも話題になった。ナルフェック王国の男爵令嬢クリスティーヌはこの事件を知り、自分は絶対に身分不相応の相手との結婚を夢見たりしないと決心する。タルド家の為、領民の為に行動するクリスティーヌ。そんな彼女が、自分にとっての本当の幸せを見つける物語。 小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

弱すぎると勇者パーティーを追放されたハズなんですが……なんで追いかけてきてんだよ勇者ァ!

灯璃
BL
「あなたは弱すぎる! お荷物なのよ! よって、一刻も早くこのパーティーを抜けてちょうだい!」 そう言われ、勇者パーティーから追放された冒険者のメルク。 リーダーの勇者アレスが戻る前に、元仲間たちに追い立てられるようにパーティーを抜けた。 だが数日後、何故か勇者がメルクを探しているという噂を酒場で聞く、が、既に故郷に帰ってスローライフを送ろうとしていたメルクは、絶対に見つからないと決意した。 みたいな追放ものの皮を被った、頭おかしい執着攻めもの。 追いかけてくるまで説明ハイリマァス ※完結致しました!お読みいただきありがとうございました!

処理中です...