【R18】閨の指導を異世界で～風俗嬢は王子様の教育係(夜)になりました～

２章 侍女編

エピローグ

　エピローグ

　抜ける様な青空。日本では天高く馬肥ゆる秋なんて言うけれど、異世界でも秋の空は高い。

「マリア様おはようございます。」

　まだ朝陽も登り切らない時間。今日はこれから私の長い一日が始まる。

「アゼルさん今日いい天気ですね。」

「はい、素晴らしい結婚式日和です。」


　この世界に来たとき、右も左も分からない私に頼れるものは私自身しかなかった。今までの経験をもとになんとか働くことができたし、春嬢として働いたことを後悔したことは一度もない。
　それでも他のことを諦めてしまっていた。彼はそのことに気づかせてくれた人。

「マリアちゃん、とっても綺麗よ。」

　ミシェルお母様は私にたくさんのチャンスと希望をくれた。そして私の家族になってくれた人。

「マリア様が輝いて見えます。」

　アゼルさんはいつでも私を支えてくれる人。優しくて温かくて姉のように思っている。

「それじゃあ行きますか。」

　＊　＊　＊

　真っ白なウェディングドレス。肩から腕を覆う繊細なレースとドレスに負けないまっさらな肌。細いウエストから大きく広がるドレスは長く裾が伸びている。ベールの下でマリアは美しく微笑んでいた。

「どうかな？」

　一瞬、返事ができなかった。

「…すごく綺麗だ。見惚れるくらい。」

　すると、彼女の頬が赤く染まった。マリアが照れるなんて珍しい。思わず抱きしめた。

「愛してる。もう絶対離さない。」

　彼女の指が俺の背中を撫でる。

「ケインのお母様は国王陛下に私を幸せにしてくださいって言ったんだって。」

　母が結婚するときに望んだことはひとつだけ。親父はそれを叶えてあげられただろうかとずっと悩んでいた。

「ケイン、私は自分で幸せになるの。」

　マリアらしい言葉に笑ってしまった。

「いつも幸せで貴方に誇れる私で隣にいる。だからそれをずっと見ていて。」

　彼女は他の誰とも違う。強く優しく、誰よりも美しい。

「俺はもっともっと強くなる。笑ってるマリアをずっと守れるように。」

　これは誓いだ。神の前で誓うのとは違う。彼女と俺の大切な誓い。

「ケインを愛してる。この世界の誰よりも。」

　二人、腕を組み大きな扉の前に立つ。この先に待っているのは大切なひとたち。そして明るい未来であると信じている。


　～終わり～