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ウィレナーズ×ズィーロ編
07.陰茎の呼び名で迷う人 ※
しおりを挟む優しく、おいで、と呼ばれた。
近付いたら、抱きしめてくれた。
心の底から痺れるような告白をされた。
ウィレナーズから心を貰うことなんて一生無いと思っていたのに、心も体も全部くれるし、自分の全部は奪ってくれると言う。だって、どちらが死んでも一緒に死ぬって言ってくれた。すごい。
ウィレナーズ以外が原因でズィーロが泣いたら、その原因を潰すなんて冗談まで口にする。
初めてウィレナーズから口付けてくれた。
今まで自分が頑張って仕掛けていてもまともに動いてくれなかったのに、その頑なだったウィレナーズのべろが、ズィーロの口の中で酷く繊細な動きで攻めてくる。気持ちが良い。好きな人から与えられる舌の動きがこんなにも快感をもたらすなんて知らなかった。これだけでイきそうだ。
これが現実だと言うことに、身体が震える。
ズィーロの身体の中も頭の中も、既にウィレナーズを求める気持ちで一杯になっている。そもそも十年恋人だったなんて、実情は恋人と言う言葉から連想されるような、そんな甘ったるく優しいものじゃなかったと思う。
口をくっつけたことも、身体を繋げたことも、全部覚えているくらい回数に乏しい。抱いてもらおうとわがままを言って、なぜか一方的に抜いてもらったことだって片手で充分に足りる程。
それが、こんな。こんな。
そこまでうっとり考えて、ズィーロは突如気づいた。
洗っていない。こんな予定じゃなかったから、お尻の中を洗う事もせず風呂場からでてきた。それ用の棒を突っ込んでの拡張目的の自慰ですら洗ってからやってるのに。自慰の予定もなかったし、まさかこんな、ウィレナーズの生棒入れてもらえるなんて思ってもいないから、もちろん当然洗っていない。
咄嗟にウィレナーズの手を握って、動きを止めてしまった。
ウィレナーズは怪訝そうだ。当然だ、これはこのまま突き進むのが正解のはずだ。早く理由を言わないと。でも何て? 何て言えばいい?
止めたは良いが、入れる予定じゃなく、ただいちゃいちゃごろごろするだけの予定でいるのなら、……聞いてみたら、入れる予定はないが? とか言われたら? ああ、ああもう、もう。いや、いつまでも止めてはいられない。聞くしかない。と、言うか、聞くのは良いが、何と聞く?
俺に生棒入れる? ……生棒、通じるか? 通じても戸惑わせるよな、自分が普段脳内で使ってる言葉だもんな。
俺に男根? ……男根って。落ち着けよ、俺。
ペニス、ペニス? これ、正解か? ……いやいや、陰茎の方が……陰茎入れる? って聞くのか?
もうだめ、わからない。
「ウィル、……お、ちんちん、」
「は?」
「ウィルの、おちんちん、……その、俺に、……入れようとしてる……?」
結果、おちんちんに落ち着いた。通じたし、特に嫌がる顔も見せずに放してくれたから、ズィーロは正解を当てたのだ。多分。
急いで出てきたばかりの風呂場へと向かう。洗浄なんて手馴れたものだ。時間はそうかからない。しかし、困った。興奮し過ぎて、下腹部の辺りどこでも、触ることが気持ちのいい刺激になってズィーロに襲いかかってくる。
自慰じゃない、準備、これは準備、準備、……ぶつぶつと自分に言い聞かせるが、頭が受け付けてくれないから、とにかくやみくもに気持ちが良い。
ダメだまだダメだ、戻れば大好きなウィレナーズがなんとかしてくれる。その一心で何とか終わらせてウィレナーズの元へと戻った。
様子がおかしく見えたのか、大丈夫か、と気遣われるが気遣いは良いからとにかく何とかして欲しい。
「おしり、洗ってたら、……我慢できなくなってきちゃって、……でも、せっかくの初めては、ウィルと、ウィルに、一緒に、ウィルに出してほしくて、っ、我慢して、我慢しながら出てきたんだけどそしたら、も、もう、我慢できないくらい、……おちんちん、硬くなりすぎていた、い、……ウィル、どうしよ、これ、ウィル」
脚を開かされ、肩越しに覗き込まれた。じっと見られているのを感じるのはとても恥ずかしい。恥ずかしい程に勃っているし、濡れている。もう、半ば漏れているようなものだ。でも、一緒に出そうな、と耳元で囁かれた。だから、イくのはまだ我慢。
「俺が出してやるから、自分で触るなよ」
「ん、わかった、わかったから、早く、ウィル……ッ」
ウィレナーズが触りやすいように、早くたくさん触って欲しいから、もっと脚を開く。
脚を開いただけで、背中にウィレナーズを感じるだけで、太ももをただ撫でられるだけで、たまらない。早く、早くたくさん触って、今すぐ。
手に触れたシーツをぎゅうと握りしめた。
「この手を、ここから離すなよ」
「ん、ん、わかった、」
ズィーロの頭の中は、今すぐ出したくて、イきたくて、早くウィレナーズに、自分の陰茎をこすって揉んで、亀頭をくすぐって、裏筋を爪のツルツルした面で撫でてほしい、そればかりだ。想像したら、また疼く。お尻をもじもじと動かした。あぁ、だめだ、こんな自分自身の動きですらまた、俺は。
「ロディオ……ここ、この硬くなってる所を撫でてやろうな」
「うん、うん、かたいの、撫でて、ん、ッひ、んっっあ、ちが、」
前触れなく乳首を撫でられた。
いや、硬くなっている所を撫でる、と言われたのだから前触れはあった。勝手に自分がソコを触ってもらえると期待しただけだ。
「違う? 気持ちよくないか? じゃあ、もう少し強くしようか?」
「や、や、や、ちが、うッんん、ん、ッ」
ウィレナーズは後ろから回した両手でズィーロの胸を揉みこむようにしながらも、その指は絶えず乳首をこねくり回し続ける。親指と中指でこねるように、勃たせるように摘み、そうして人差し指で乳首の天辺を柔らかくくすぐってくる。涙が出てきた。気持ちよすぎる。
もう少し強く、の言葉通りウィレナーズは時折人差し指の爪を立ててくる。滑らかに整えられた爪の先が、自分の乳首を緩く押してくるだけで一際高い声が出てしまう。
「きもち、きもちい、ウィル、ッ」
「うん、気持ちいな、ロディオ」
「や、も、……んッ、やだ、やだよおちんちんも、おちんちんも触ってよぅ、ずきずき、する、っ」
「そうだな後で、……そっちもいいけどこっちもいいだろ?」
ウィレナーズは今すぐ触ってはくれないようだ。ますますズィーロの陰茎はずきずきして熱を持ち、何も入っていない後孔ですら、意識せず勝手に締め付けてしまいその刺激にすら感じてしまう。いっそ自分で擦ってしまいたいのに、ここから手を離すなよと言われたことが甘い呪いのようにズィーロを縛り、シーツから手を離せない。
ウィレナーズは変わらずズィーロの乳首を弄りながら優しく言う。
「ここを、たくさん触って、もっと大きくなって、もっといっぱい感じられるように……これからは、やる度にたくさん弄ってやるから」
「ん、ん、うん、ッうれし、うれしっ、けど、ああ、……あ、なんか出る漏れちゃう、ウィル、もれちゃ、」
乳首を摘みながらも上下に弾かれ、その快感に腰が跳ねた。途端に、ふ、と両方の手を離された。物足りない気持ちと、今度こそ陰茎を触ってもらえるのか、の気持ちが複雑に混ざり合った時に、半開きにしていた口に指を入れられた。「なめて、唾液からめような」と耳元で言われ反射のように舌を絡める。
口に入ったウィレナーズの手からのびる腕の隙間に弄られ続けた乳首が見えた。今まで見たことがない程赤く腫れて勃起している。こんなになるまでウィレナーズが弄ってくれたのか、と、好きな人が弄った事実だけでまた陰茎がずきりと震えた。
「なめた、なめたよ、ウィル……ッこれ、これどうするの、」
「そうだな、どうしようか……?」
口からベトベトの指を引き抜かれる。瞬間、ぬるり、とまた両方の乳首を強く摘まれた。唾液で滑りが良くなっているせいで、割と力を強めに摘まれたはずなのに痛くない。それどころか、そのぬるつきに抵抗しようとするような指の動きに、ズィーロは頭の中で何かがチカチカ光りだすのを感じる。
舐められたら、こんな感じなんだろうか。あの、繊細な動きをするウィルの舌で、自分の乳首を舐められたら、こんな感じにベトベトしてぬるぬるしてつるつるで、強くされても痛くなくて気持ちよさだけを受け取れるのだろうか。
ズィーロの耳を、ウィレナーズの舌先が這う。そんなささやかな刺激ですら、腰に震えが走った。
「震えてるな、出そうか?」
「ん、うん、うんうんっいく、いきたい、も、ずっといきたくて、くるしぃ、ッ」
「そうか」
途端、首筋に歯を立てられた。同時にぬるぬると弄られていた両乳首を優しく爪で弾かれた。何度も何度も弾かれる。
弾かれるたびに高い声が出て、頭の中のチカチカが激しくなって、反射的に後孔をまたぎゅうと自分で締めてしまう。先走りが溢れて裏筋を伝う。
そんな刺激にすら。そんな、ささいな刺激ですら、今の自分は。
「あ、やあぁ、あッ……くるッ、なんかきちゃうよ、ウィルッんんんんんん、っ」
精液が噴出すように出てしまった。
や、や、と声が出る。腰が浮く。ウィレナーズは首筋に歯を立て続け、舌を這わせて、乳首を駄目押しのようにぎゅ、と摘んだ。腰も、お尻も浮き上がり、前に突き出すようにして射精した。
耳の奥でドキドキと自分の心臓の鼓動が聞こえてくるようだ。はぁ、はぁ、と大きく息を吐きながらようやく腰を下ろした。
後ろからウィレナーズが、気持ち良かったな、と声をかけてくる。その言い方が余りにも優しくて、ズィーロは酷く甘やかされてる気持ちになって、名前を呼びながら後ろを見上げて顔を寄せた。
顎をすくうように持ち上げられて、柔らかく唇を奪われる。ちゅ、ちゅと触れられるだけの口づけの合間に、きもちよかった、ウィルすき、と囁くと、ウィレナーズも、俺も好きだよと返してくれるから、ズィーロは本当に嬉しい。こんな現実、妄想ですらした事がなかった。
「今の……気に入ったか?」
「んちゅ、……ん、ん、気に入った、きもちよかった」
「もう一回?」
「や、それは、や、やだ、ウィル、ウィレナーズ、ん、ん、触って、入れて、今度は一緒、に、いこうよ、」
「……そうか」
正直、乳首だけでイくなんて新しい扉が開いた感はあるが、そうじゃない。ウィレナーズを直に感じたい。そう思って、一緒にとお願いしたつもりだが、ウィレナーズはその願いをようやく叶えてくれる気になったらしく口づけを深くしてきた。
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