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オスカー×ユージィン編
47.気流師はいじめられる ※
しおりを挟むオスカーにぎゅうと抱きしめられ、酷く安心した気持ちになった。
自分もその背中を抱きしめ返す。
思う相手に触る事ができるというのは幸せな事だ。
「……今後の参考に、……教えて欲しいことがあるんですけど……」
「なんだ」
胸に当てた耳に直接響くような優しさのこもった声だ。心臓の規則正しい音も心地良い。
「オスカーは、嗜虐趣味者なんですか?」
耳に直接ドクン、と心臓の高ぶった音が聞こえた。
「……図星d「そんなわけあるか!!!」
食い気味に否定された。
「あ、違うんですk「違うに決まっているだろう!!」
「……」
「違う、勘違いさせたかもしれないが、俺にはその趣味はない。誤解しないでくれ。
俺は人を苛めて楽しむ人間ではないし、そこに喜びは感じない。むしろ、好きと思った相手は極限まで甘やかして可愛がって構い倒したい人間だと、お前に出会って初めて知った程だ!」
「……」
「先程は本当に悪かった、結果的にお前の限界を越えさせて涙ながらに悶える様をニヤニヤ笑いながら見ていたように感じたかもしれないが、それは違う!
会いたくて会いたくてどうにかなりそうな程会いたかったお前に久しぶりに会って、そんなお前が素直に感じて強請る様がこの世のものとは思えないほど美しく、可愛く、愛らしく、俺の中の愛おしさが突破して嬉しくて仕方がなくなって思わず笑んだだけだ、わかってくれ!」
「……あなたは……、ふふ、……本当に、もう……」
思わず、笑みが漏れた。
オスカーは言葉の出し惜しみをしない。
そんなユージィンを、オスカーは熱のこもった瞳で見つめる。
「……心底お前が好きだ、ユージィン」
「はい、……私も、オスカー、あなたが好きです」
微笑んだまま、まっすぐ見つめて告げた。
言葉を惜しんではいけない。
目の前のこの人に2度と会えないと思った時、どれ程伝えたいと思ったか。伝えられるうちに、気持ちは伝えておくべきだと嫌ほど学んだ。
「すまん、……」
「え……? あっ、んん、っ」
自分の体内で萎えかけていたオスカーの陰茎が、再び力を取り戻したのを感じた。
下半身は元気かもしれないが、遠征先から殆ど寝ずの帰還だったのだろう、完全に睡眠が足りていない気の流れを擁している。
気流師としては、もう寝た方が、とか、無理を押したであろう体調を考慮してちゃんと気流を視て診ましょうか? とか、言うべきことはあったはずなのに、体内に主張するその存在を直に感じてしまっては、意味をなす言葉は出てこない。
仕方ない。
ユージィンだって、オスカーが欲しい。
ゆるり、と、自ら腰を動かした。
動きをうけて一瞬だけ、オスカーが息を詰める。
が、すぐにニヤリと笑みを浮かべてユージィンに同調するように、ゆるく腰を使う。
背中に回していた手をほどき、片手でユージィンの腰を支えながら、もう片方で背骨をなぞる。
「背骨の数は……前と同じか……? 」
「ん、ッ……同じっ……」
背骨をなぞり下がっていくごとに腰を揺らされ、息がつまる。
首に腕を回して唇をくっつけた。
ただ触れるだけの拙い、口付けとも言えないようなものにもオスカーは律儀に応えてくれる。
唇を合わせ、舌を絡め取られる。
舌先でユージィンの口蓋を刺激しそのまま歯列をなぞられ、喉から声が出た。
口付けに夢中になって腰を振っていたせいで、オスカーの手がどこにあるかの意識が飛んでいた。
意識が戻ったのは、背骨を撫でていた筈の手が肋骨に触れたからだ。
肋骨の下から滑るように指先が上がってくる。
ああ、そこは、と思った瞬間、ユージィンは喉をそらして声をあげていた。
「ああああ、っあ、んん、そこ、そこは、っ……」
「尖ってるな……気持ちが良いか……?」
「ん、うん、ッ、きもちいっ」
もともと全身の快感から引きずられて勃ちあがっていた乳首を摘まみ、優しく擦られる。
新たな快感が身体に送り込まれるたびに、後孔を締め付けてしまい、締め付けたことで更に気持ちよくなりもっと強い刺激がほしい反面逃げたくなる。
きゅ、と柔らかく引っ張られた刺激に、ひときわ高い声をあげて上に逃げてしまった。
「あ、……ぬけちゃ、……」
勢いで抜けてしまったそれが寂しく、後孔が物足りず、オスカーを涙目で見つめた。
視線の意味を正しく理解したオスカーは「背中がつくとまだ痛いだろう?」と言いながらユージィンをうつ伏せに倒し、そのまま背中を見せたユージィンの後孔を撫でながら陰茎を合わせてくる。
ユージィンの腰を押さえながらじわりじわりと入ってくるのが、たまらない。
もっと早く、いや、ゆっくり、ああでもそのまま進んだらそこは、……意味があるとも思えない事が頭の中をぐるぐると巡る。
そんなぐるぐるが止まったのは、ユージィンの中にある、押されると酷く気持ちの良い、あのしこりの部分をオスカーのパンと張った陰茎の先端に擦られたからだ。
「あ、あああんんんん、んっ、や、や、そこ、変になっちゃ、う、ッぐりぐりしないでっ……」
「っ、馬鹿だな、……前も言ったぞ、それで止める男はいないと」
「う、んん、んっだっ、て、や、変、ッオスカー、変っだか、っ……どうすればいいの、んんんんん、んんっ」
身体の奥の方から、熾火のように快感が次々と湧き上がり、触られてもいないユージィンの陰茎は硬く膨らみ、だらだらと先走りをたらしながら敷布に染みを作る。
どうして、なんで、気持ちが良い、もっと、ああでもこれ以上は、……ユージィンの頭の中は快感に埋めつくされ全く意味をなさない。
肩で身体を支え、身体の下で切なく揺れる自身の陰茎を握る。
「自分で、……擦るのか?」
オスカーが幾分掠れた声で聞いてきた。
「ん、うん、……こする、っんんん、我慢できない、オス、カー、たすけて、あ、んんんっ」
「くっ、そ、……お前は……! 少しは俺に余裕を持たせてやろうと言う気にはならないのか……!」
「なん、で、なんでっ、余裕なんていらない、気持ちいい、もっと、もっ、っと、んんん、もぅ、一緒に、気持ちよくなって、なってよ、んんっ」
「っ、ココを刺激されてイクのと、奥まで突かれてイクのと、どっちがいい……?」
陰茎が出入りしている後孔を優しく撫でながら、ゆるゆるとしこりを刺激する事はやめずにオスカーが上擦った声で聞く。
「ああ、あ、んんっ、わかんな、わかんないっ……! でも、気持ちいい、きも、ち、いい……! オスカー、おねが、んんんっっ」
自らも腰を動かしながら、わからないけど気持ちが良いと喘ぐ。
オスカーが上体を倒し、ユージィンの耳の後ろから「わかった」と囁いた。
その声と、その湿った吐息と、背中に当たる体温全てに、ユージィンの胸のあたりがぞわぞわとする。
更にべろり、と耳を舐められてびくりと震えた所で、自らの陰茎を擦っていた手を纏めて捕らえられた。
「え、やっ、はずさないで、ッやだっ」
肩越しに背後を見やり涙目で懇願した。
「っく……そんな顔でお願いなどっ……嗜虐趣味はないと言ったのを撤回したくなるな……」
そんな事を言いながらも、オスカーは掴んだ手を外してくれない。
はずして、やだ、へんになる、ユージィンは喘ぎながら訴える。
喘ぎながらも、オスカーの陰茎の先端の丸い部分が自分の気持ちの良い場所に当たるように腰を振り続けた。
「ね、ねぇっ、オスカー、離して触りたいこすらせて、んん、あ、んんんっ」
こんなにもお願いしているのに、オスカーは聞いてくれない。その上、首の後ろに舌を這わせ、歯を立ててくる。そんな刺激にすらユージィンは酷く感じてしまい、益々昂ぶって行くことを止められない。
何度も何度も、しこって感じる部分を擦られながら、時折いたずらに奥まで穿たれる。
「や、オスカー、触って、触って、まえ、おれの、……さ、わってっ……!」
「だが、このままで……ずいぶん、気持ち良さそうだ、ッ……」
「きもちいい、き、もち、っいいよ、いい、いいっさわってっ……も、もうんんんん、ん、ッ……」
こんなにお願いしているのに、オスカーはやっぱり意地悪だ。
だけど、身体の奥から湧き上がる快感に乳首が硬く勃ちあがり、乳頭が敷布に擦れるのが気持ち良い。
触ってと言っても触ってもらえない陰茎はずきずきと痛いほどの気持ち良さを伝えて先走りをたらし続ける。
纏めて手を掴まれているオスカーの手のひらの熱にすら、腰を押さえながらいたずらをしてくるそのうごめく指先にすら、首の後ろに這う舌先にすら、全てに反応し痙攣のように震えてしまう。
「オスカー、んんんっこわいぃっ、きもちい、いいっ、い、あああ、いい、んん、ん、ど、どうしよ、っうっ、んんんんんっ……!」
「……ッ、く、どうしようか、っなあ、ユージィン……?」
「わか、んな、っ、んんんんんん、わかんないぃっ……で、も、っイッちゃ、イっちゃう、イク、イッ……さわってさわ、ってよ、ぅ……!」
「このま、ま……っ」
「え、や、んんんんん、こわいっ、こわ、さわ、って、あイク、やだ、あ、あ、ああああっ……!」
もうだめ、無理、触って欲しいのに、触ってもらえないのに、もう本当にだめだ、ユージィンの身体は更に高みにのぼる。
あとひとつ、背中を軽く押されるような、一歩を踏み出すような刺激を受けたら、自分は……。
無意識にそう思った途端に、ユージィンの腰を撫でていたはずのオスカーの手が胸へとまわり、乳首をカリ、と引っかかれた。
「あ、……ああああああ!!! あ、っああっ!!! んんんんんっ、や、ああ、イ、くっんんん、!!!」
「く、……俺も、っでる、っ!」
限界まで膨らんでいたユージィンの陰茎から精液が溢れた。その瞬間に自分の後孔がぎゅうと締まり、更に体内のオスカーの陰茎を締め付けた刺激で、経験した事のない快感が背筋から脳に突き抜けた。
びくりびくりと震えるユージィンの身体をそれでもオスカーは貫き続ける。
最後の最後まで全てを注ぎ込みたいと思っているかのように、ゆっくりと、奥まで入って出し切ったようだった。
「あ、……ああ、ん、……」
ユージィンの身体の中は、まだ快感が暴れていて、意味ある言葉なんか出てこない。
涙も唾液も溢れてはいるが、そんな体液より、陰茎を触られもしていないのに精液がたくさん出してしまった。
快楽に浸りながら下に目をやると、自身の先端から精液が糸をひいて敷布に落ちているのが見える。
その様をぼんやりと見ていたのだが、顔にかかった髪の毛を優しく払われた事で、意識が現実へと戻ってきた。
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