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オスカー×ユージィン編
46.剣術師団長、堪能する ※
しおりを挟むユージィンの肩甲骨は、もう普通の人のようにつるりとはしていない。
一時龍の羽になりかけ、その状態で保たれたそれは、透けるような皮膚の下で4つの山となり密やかに動きすらする。
山を辿るように、唇で、舌で、なぞっていく。
どの山をなぞってもユージィンは喉奥を鳴らして震える。
痛くは? そう聞きながら更に舌を這わせる。
へいき、きもちいい、……そう答える声に心底の安堵と同時に己の昂ぶりを感じ、オスカーは試しに突起の一つを軽く吸い上げた。
んんんんん、と一際大きな声をあげ、ユージィンは顎をそらす。
その反応に気を良くして、ついでとばかりにオスカーは左手を脚に這わせる。
その手はユージィンの曲げた膝頭から太ももへ上がり、内腿をくすぐりながら肝心なところには寄り道せずに腰骨へと到達する。
伝わる感触が心地よく、突起を吸いながら何度も手のひらを往復させた。
「あ、あっ、も、う、……オスカー、いじわる、……何でいつも焦らすのっ……! 焦らさないで!」
とうとうユージィンが痺れを切らした。
肩越しに上気した顔を晒しながら涙目で睨んでくる。
「そんな顔で見ても、かわいいだけだぞ」
「や、もうそこ、吸うのやめ、……んんっ」
やめてと言われるとやりたくなる、逃げられると追いたくなる本能のようなものだ。仕方がない。
だが、虐めたいわけではない。
ただただ可愛がりたいだけだ。
それと、欲望の赴くままに動いたら今すぐにでも突っ込んでしまう。
それはだめだ。
突っ込みたい衝動と同じくらい、オスカーはこの目の前の人を可愛がって、気持ちいい、と言わせたいのだ。
わかった、と、更にユージィンに乗り上げながら後ろから顎をすくい上げて唇を舐めた。
ユージィンはすぐに舌を差し出してくる。
ん、ん、と喉を鳴らしながら懸命にオスカーの口腔内を舐めてくる。
かわいい。
耳を撫で唇を合わせたまま向かい合って横たわった。
ユージィンは懸命に舌を動かしながら脚を絡ませてきた。
脚の間のものは既に兆し、オスカーの太腿に心地よく当たる。
いたずらに耳を弄るオスカーの手を掴み、唇がほんの少し触れる距離で言う。
「ねぇ、……もうやだ、焦らさないで、何もされてないのに出ちゃいそう……」
で。
で?
出?
……今なんて?
何が出るって?
「……何が出るって?」
頭で考えたと同時に声に出ていた。
本当に、今なんて?
自分の耳は空耳でも聞いたのか?
また焦らされているとでも勘違いしているのか、ユージィンは顔を真っ赤にさせて涙目でこちらを見ている。
どの顔も好きだが、この顔もたまらんな、と惚けているオスカーに痺れをきらしたのか、ユージィンは突如起き上がると乗りかかってきた。
益々オスカーは状況についていけない。
ユージィンの手がオスカーの下穿きにかかった所で、ようやく頭がおいついてきた。
「おい、……ユージィン?」
「ちゃんと聞いてます? 出ちゃいそうって言ったんです、……オスカーも」
オスカーも、と言いながら下穿きから出てきた陰茎を掴んだユージィンは一切の躊躇を見せずにそれを口に含もうとする。
オスカーの頭は再びついていけなくなる。
え? と声を出す間も無く、目の前の形の良い酷く赤い唇に吸い込まれていく己の陰茎がいっそ滑稽な程だ。
いや、滑稽な程だ、などと余裕ぶっている場合ではない。
「おい! 待て待て待て待て待て!」
「……それを、聞くとでも? ……ん、」
背骨から脳天までを強烈な快感が走る。
視覚効果も相まって、混乱の極みの中にいても気持ち良さに、ぐ、と声がでた。
色々な感情や感覚が入り混じり、背中から汗が噴き出すほどの強い刺激だ。
これはまずい。
まずいばかりだが、帰還からこちらオスカーにとってまずい事ばかり降りかかってくるのだから仕方がない。と、言うか。
「ユージィン、ッ、おまえ、うますぎやしないか!?」
視覚効果や興奮だけではなく、純粋に気持ちが良い。
彼にとってはこんな行為、初めてだろう。それなのにユージィンはと言うと、得意そうにこちらを伺う。その、まるで無垢な子供みたいな表情がこの行為に酷く似つかわしくないのに、快感はどんどん募っていく。
「んっ……どこをどうすればどんな感覚に陥るかなんて、全部視えてますけど」
ぴちゃりと唾液が絡まる音を立てながらユージィンは言う。
「オズタリクア殿下から、お聞き及びでは……?」
間違いなく聞き及んでいた。
気流師とのセックスは一度はまると抜け出せないと、あの兄はそんな軽口を叩いていた。
だが、幸いというか、この場で兄の名を聞いてしまったことで急激に落ち着きを取り戻した。
陰茎の硬さの問題ではなく気持ちの問題だ。
落ち着けたので主導権を取り戻そう。
やられてばかりは性に合わない。
「ユージィン、もういい、……こっちへ」
ユージィンの顎を撫でて顔を上げさせ、寝転んだままの自分の腰の上に誘った。
ユージィンは素直に乗り上げてくる。
「……これは、確かに……きつそうだな」
ユージィンの陰茎ははち切れんばかりに膨らんで先走りで濡れに濡れていた。
てらてらと反射するソレを、指先でなぞりながら聞く。
「俺と一緒に、擦って出すか……? それとも、中に……?」
オスカーから与えられる指先の刺激ですらきつそうに震えるユージィンは、ぴくりぴくりと震えながら答えた。
「……入れられたら……ん、ッ、それだけでイッちゃう、でも、あ、あ、擦られてもイッちゃう、……どうしよう、オスカー、……っその、っ手も、は、はなし、てっ……」
上から見下ろしながら、眉根を寄せて困ったように息を吐くユージィンの扇情的な様はどうだ。オスカーは思わず腹筋で起き上がり、ユージィンとおでこをあわせて言った。
「では、……両方だな、……なぁ、ユージィン?」
ぴくりと肩を揺らし、ユージィンは上目遣いでこちらを伺ってくる。
そんなユージィンのこめかみに、頰に、それから喉元に、ちゅ、と口付けながら聞く。
「ここの、……準備は……?」
腰から尻のあわいに向け、香油を垂らした手を滑らせながらのオスカーの問いかけに、ごくり、と、ユージィンの喉が動いた。
期待に満ちているのがオスカーの唇を通して伝わってくる。
「してあるっ、最近は毎晩、してた、んんっ、オスカーがいつ帰ってきてもいいように、いつもっ……」
後孔に指を這わせ「次は俺に手伝わせろと言ったのに」そう言いながら、つぷり、と指先だけ潜り込ませた。
んんん、と反応したユージィンの声が耳に心地良い。
確かに、準備をしてあるらしい。
帰還時のこんな歓待方法ならいつでも大歓迎だ。
本当はもっとゆっくり時間をかけてかわいがりたいところだが、それはまた今度。
本人が言う通り本当に限界なのだろう、腸壁までぴくりぴくりと痙攣している様が指に伝わってくる。
オスカー自身を入れた上で擦って出す、と言ったのに、このまま指を突っ込んで下手に中を擦ったら、腕の中で快感に震えるユージィンはその刺激でイッてしまいそうだ。
オスカーは自分の陰茎に香油を垂らす。
向かい合い、膝に座るユージィンの腰を支え、下から後孔に向けて陰茎を合わせた。
その刺激だけで、ユージィンは身体を震わせる。
「自分で、腰を落とせるか……?」
「や、む、むり、もう、本当にイッちゃう、出ちゃう、ッ、……オスカー……!」
ユージィンは、いやいや、とオスカーの肩口に置いた頭を振る。仕方がない。
「では仕方ないな」
「あ、ッん、んんんなに、なっ、に、ッ……!」
先走りでダラダラに濡れて震えるユージィン自身の根元を指で作った輪っかでぎゅうと押さえた。
「お前を愛してる」そう呟き、ユージィンの意識がこちらに向いた瞬間に、貫いた。
「ーーーーっっっんんんんんんんんん!!!!!!!」
ユージィンの腰ががくがくとめちゃくちゃに揺れる。
オスカーの首に両腕をきつく巻きつけ、上気し、汗に濡れ、声にならない声をあげながら身体を痙攣させる。
「ッ、や、やああああ、やだっオスカー、はなし、て、離して! 苦しい、イきたいっ! あああっ、あん、ん、やっ、やだ、イかせて、手、手をんんんん、やあっ」
「……一緒に擦ってイくのでは?」
「むりっ、むりむり、もうむり、やだ、あああっんん、んんんっ、むりだよ、っ、イきたいっ、とめな、いで!!!」
強請られる事の悦びに思わず口元が緩む。
それを何か勘違いしたのか、ユージィンは目を見開いてオスカーを見つめる。
「なん、でっ、あ、あ、ああ、オスカー、いじわる……ッんん、ん、どうしていじわるばっかりなのっ!! もうっ、や、やだ、もうやだぁぁっ!」
びくびくと身体を震わせながら、その目に金色の雫が見えた。
と、思った次の瞬間、金色の雫はぷくりと膨らみ、透明な涙となり頰を伝う。
オスカーが、え、と思った時にはユージィンの頰にはいく筋もの涙が流れていた。
「どっ、どうして、どうして、そんないじわるばかりするのっ……や、やって、くれないなら離して……ッ、自分で、やるからんんん、ん、ッ……」
「すまん、悪かった、違うそうじゃない、意地悪はしていない、……ただただお前がかわいくて、お前とまたこうして居られる事が嬉しいだけだ、……焦らしたり意地悪したりなんかしていない、だから……、俺にやらせてくれ」
「ん、んん、っ、もう、もうっ」
「わかってる、すまなかった」
まさか泣くとは思わなかった。
いじめたつもりは無かったが、結果的にオスカーの取った行動はどこをどう切り取っても意地悪にしか見えないので素直に謝った。
謝りつつ、その頰にちゅと口付け涙を吸う。
そうしてオスカーの膝上で、太ももと腹筋を震わせながら浅く息づくユージィンの背中を撫でながら再び腰をゆるりと動かした。
は、と思わずと言ったようにユージィンが息を吐き出す。
そのタイミングを見計らって、陰茎の先っぽをユージィンの中の固くしこる部分に押し付けた。
二度、三度、緩く押し付ける。
ユージィンは、肩を震わせながら、んん、んん、と声にならない息を吐いている。
真っ赤に色づく頰と耳が、涙に濡れる瞳と頰が、小刻みに震えるふせたまつ毛が、全てが快感を伝えてくる。
その色づいた耳先に唇をつけオスカーは「本当に、すまなかった」そう、囁いた。ユージィンの「んんっ」と言う、返事なのか喘ぎなのかわからない声を合図に、下から腰を使って突き上げた。
ユージィンがひときわ大きな声をあげる。
「や、イッくっ、イク、オスカー、イっちゃ、あッんんんっんんんんイ、く、っ」
「ああ、イけ」
すがりつくユージィンの腰を押さえ、もう片方、ユージィンの陰茎を握っていた手を緩めて、柔らかく上下に動かした。
「やああああっ」
ユージィンの嬌声を聞きながら、オスカーの陰茎はその体内でぎゅうと引き絞られるような快感を覚える。
く、と、歯をくいしばり、ユージィンの腰を更にきつく押さえた。
堪えようと思っていたが、オスカーだって散々に我慢した上でのユージィンの身体だ。
引きずられるように、吐精してしまった。
ユージィンの体内の蠕動運動が、吐精したばかりのオスカーの陰茎を優しく刺激してくる。
ユージィンは、と言うと、や、や、とイヤイヤをするように快感に耐えているようだった。
「……大丈夫か……?」
落ち着いた頃を見計らって問いかけた。
「……ん、……気持ちい……」
まだ少し震えながらも、次を強請ると言うよりは、余韻に浸っているような様子でユージィンが答えた。
ようやく、帰ってきた実感が湧いてきて腕の中のユージィンを更にきつく抱きしめた。
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