金色に輝く気流師は、第五王子に溺愛される 〜すきなひとがほしいひと〜

朝子

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オスカー×ユージィン編

26.剣術師団長の前戯 ※

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 性行為を食事に例える人間がいるが、あれは正しい。
 これまでは一体何を言っているのかと思っていたが、今初めて共感する。

 視覚にも心臓にも暴力的な程のユージィンの台詞を聴き、前後不覚に陥りながらそれでもなんとかユージィンをぎゅうと抱きしめた後に、自分は何と答えたのだったか。
 先程からずっと発熱したようになっているので、もはや記憶もおぼろげだ。
 おぼろげだが、何一つ忘れたくはない。
 矛盾している。
 ただ、乱暴な事はしてはいけないと心に誓って、ユージィンと共に幾度も唇を軽く合わせながらベッドへと倒れ込んだ。

 少しだけ薄めの柔らかな唇を舐めて、甘噛みする。
 唾液を舐めとり、舌を食む。
 これが食事でなくて、何と言うのか。
 しかも美味しい。
 このまま味わい続けていたいが、この先にも進みたい。

 唇はそのままに、ユージィンの髪を撫でていた手を先に動かす事にした。
 頰をひと撫でしたあと、ユージィンが羽織っていた上衣の紐を解き、肩から服を外していく。両方の腕を抜き、指先で肩から胸元をなぞり、それから、腹部を通り腰骨から太ももへ。肩から太ももまで通る間、一度も肌以外の物に触れなかった。

 わかっていたし、期待もしていたけれど、実際に何も身につけていない事実を理解すると酷く興奮する。


「お前、……こんなに露骨にいやらしい事をするような人間とはな……」


 太ももから尻までを手のひらで撫で上げながら囁く。


「オスカーこそ……ここまで喜んでもらえるなんていやらしさはお互いさま……んっ……!」


 腰まで上がった指に合わせて、ユージィンが息を詰めた。
 反応した場所は徹底的にいじりつくすと決めていたので、腰を撫でながら耳を舐めた。
 ユージィンが耳が弱い事も、知っている。


「んんっ……!」


 ユージィンの喉から思わず、と言った声が出る。
 やはり良い声だ。
 酷く好ましいし、ゾクゾクさせられる。


「……良い、声だな、……ユージィン?」


 耳の縁を舐めながら、低く、囁く。


「もっ……! オスカー……! いじわるっ!!」


 涙目で視線を合わせてくるユージィンに、堪らない気持ちになった。
 いじわる、なんて、そんなかわいい事を言うのか。オスカーの中のかわいいが過ぎて、つい口元が緩む。


「許せ」


 悪いなんて思っていないくせに口先だけで謝罪して、ほんの少しだけ唇を合わせた。
 ユージィンもそれを察したのか、軽く睨んでくるのがまた堪らない。
 怒っているそぶりを見せたいのだろうが、自分をますますかわいく見せるだけ、と、自覚した方がいい。
 顎の線を舐め、首筋にかじりつきながら舌を使った。
 舌を使っている間、何度もユージィンが喉から声を出すので震えが伝わり楽しい。
 腰を撫でていた手をそろりと下ろす。
 腰の下に続く双丘の狭間に指を這わせた。
 ユージィンは先ほど後ろを使うのは初めてだと言っていた。
 だが。
 狭間にあるは、柔らかく潤んでいるようだが。


「ここに。
 ……何かを、……したのか? 俺を受け入れるために?」
「あ、んっんんっ、……や、そんな急にっ……し、ましたよ、シェルフェストが、っ気流師に使えるものを教えてくれた、から、……やっ!」


 ユージィンが自分で準備した事を想像して思わず指を少しだけ沈ませた。
 柔らかいし、熱い。ここに入ったら気持ちが良いだろう。
 だが、それはもっともっと後、今はユージィンの身体を弄るのが先だ。


「次は俺も手伝わせてくれ」
「いやですよ、何を言い出すんですか……とんだ変態じゃないですか、あなた、……ん、くっ……!」


 かわいい憎まれ口に、鎖骨に柔らかく噛み付く。
 ユージィンから言われて頭にくる事なんて何も無い。
 自分に向けられたものと思えば、むしろ心地いいくらいのものだ。

 唇は鎖骨から少しずつ下へ、狭間を悪戯していた右手はそのまま背骨を数えるように辿り上へ。
 身体を支える為に使っている左腕がもどかしい。
 これも共に使えれば。
 いや、今はできない事は考えなくてもいい。

 オスカーの唇と右手がどこに向かっているのか想像したのか、ユージィンが感極まったように喉をそらして脚を絡めてきた。
 その動きにすら煽られる、何と単純なんだ、己は。

 そういえば、今日の朝、今、唇と指で向かっている場所を、絶対近いうちに飽きるほど撫でて摘んで勃てて舐めて甘噛みしてやると決めたばかりだった。
 こんなに早く心に決めた事を実行できるとは。

 ますます自分の体温が上がった錯覚に陥りながら、あとほんの少し、の所で止めた。

 右手中指で乳輪を撫でるように、唇で乳輪を包むようにくすぐる。
 想像した以上に小さく、繊細な色味の乳首だった。
 これを刺激し続けたら、どんな形のどんな色になるのか。
 触りたいが触りたくない。
 変えたいのに変えたくない。
 でも、触りたいし、変えたい。

 小さく些細な突起が、既に与えられた他の箇所への快感に引きずられて反応してか、それともこれから起こることへの刺激に期待してか、隆起している。
 悪戯に乳輪に刺激を与え続けながら、隆起した乳首に、舌先と人差し指の腹で、触れた。


「ぅんんっっっ!! やあ……っ!」


 本当に、良い声だ。
 もっと、もっと、と、際限なく聞きたくなる。
 舌先でねぶり、指先でこねる。
 甘噛みして吸い上げ、親指と中指で摘むように刺激しながら人差し指で優しく擦る。
 ユージィンの嬌声はとまらない。


「あ、ああ、や、んん、ああっそれ、それは、……っ!」
「口と、指と、お前はどっちが好きだ……?」


 意地悪かとも思ったが、興味もあり、思わず唇も指もそのまま続行しながらも訪ねてしまった。


「ええ、っん、んん、や、わか、な、わかんないっ……!」
「……ばかだな、……自分の身体の事だぞ、わからないわけないだろう」


 ぴちゃり、と、音が聞こえる程に唾液を絡めながら右の乳首を舐め上げる。
 もちろん左は、親指と中指で乳輪ごと優しく摘むようにするのも止めない。


「あ、ああ、んっ! どっちも、ど、どっちも気持ちいいっ……! どっちも気持ち良いか、ら、っ! どっちが好きなんてっ! わからないぃっ……!」
「お前の声を聞いているだけで……ゾクゾクするな」


 吸いながらも舌先を尖らせて舐める、親指と中指は側面を優しく撫でるように人差し指は上から押すように次々に撫でる。
 小さく些細だった突起が、徐々に硬く凝る様はオスカーをますますその行為に夢中にさせる。
 夢中で刺激を続けながらもユージィンの様子を伺いみると、仰け反らせた顎には筋が通り、いつも陶器のように白く人肌を感じさせない首筋や胸元は薄く色づき汗が浮いて、嬌声に合わせて上下に揺れているのが見て取れた。
 酷く人間くさい。
 人間なのだから当たり前だが、ここまで感じやすいとはオスカーからすると嬉しい誤算だ。
 過去は気にしないと思っていたが。


「……少しだけ、妬けるな」


 言葉にしながらも、一際強く刺激を与える。


「ひゃ、やああっ、な……なに? なにが、やけ、」


 強い刺激を中和するように、今度は先ほどよりも弱く、柔らかくこねるように刺激する。
 その緩やかな動きは、それはそれで焦ったくもあるようで、ユージィンは鼻にかかるように息を吐き出した。


で、お前がこれだけ感じられるようにされた事実に、嫉妬している」


 優しく、優しく、弄る。舐める。
 乱暴な事はしない。
 オスカーは自身が人よりも力が強い事を自覚している。
 ささやかに刺激するぐらいで、丁度良いのかもしれない。


「っ、ん、んん、や、っ! なんで、自分に? 嫉妬……?」
「自分?」
「オスカー……以外、俺をこんな風に、触った人なんていないのに、……なんで、ひゃ、あああああっ!!」


 思わず、先ほどよりもきつく刺激してしまった。
 前歯で甘噛みして、爪で軽く弾く。

 優しい刺激が物足りなさそうだったユージィンが、途端に強く反応した。

 下らない嫉妬をしたが、まるでご褒美のような言葉が降ってきた。
 内容の是非は、後できちんと問うことにして、今はユージィンをもっと気持ちよくしよう。
 彼が反応する場所を、彼が欲するままに。
 そう思ったのに。
 与えられる快楽を受けて、嬌声を発しながらもユージィンが言うのだ。


「さ、あ、ああ、ああ、最初に、言った! 受け、ん、んんん、っ……受け手にまわるの初めてって! 言ったのに、き、聞いて、ちゃんと、俺のはなし! こんなこ、こと、んんん、ん、っ、何度も、せ、せつめ、させな、……やあ、っ!」


 受け手にまわるの初めて、とは、本当に、まっさら、と言う意味だったのか?
 相手からは全く何もさせずに、身体を触らせたり舐めさせたりせずに、今まで?
 それが真実なら、オスカー自身の与える刺激のみでここまで感じている?

 いや、だが、……。

 半信半疑になりながら、オスカーは思わずユージィンの下半身を覗き込んだ。


「……すごいな、……これは」


 自身の腹についた感触で、勃っていることはわかっていた。
 自分だって、最初から勃ちっぱなしだから、人のことは何も言えない。
 だが、ユージィンがここまでダラダラと先走りを垂らしているとは思ってもみなかった。

 大きくもなく小さくもなく、太くも細くもない、薄い肉色の陰茎が自身の垂らした先走りでぬるぬるとぬめっている。
 ぱつんと張った丸味を帯びた先っぽは、今にも弾けそうに見えた。

 オスカーは、お楽しみ程後に回す性質なので、本当はもっと後に触るつもりでいたのだが、この切なそうな様子を目にしてしまうとそれも可哀想に思えてきた。

 まだ弄り倒し足りない気持ちはあるが、一旦乳首を触っていた右手を外し、唇で肋骨から腹部をなぞりながら、同時に一番ぬめっている裏筋へと指を這わせた。


「んんんんんっ……!!」


 手で自分の口を押さえているらしいユージィンのくぐもった声がする。
 きちんと声を聞きたいと思ったが、それを抑えようとするユージィンもかわいく思えて、好きにさせることにした。
 その恥じらいすら、愛おしい。
 どこまで先走りが垂れているのか確かめるために、裏筋を上から下にゆっくりとなぞっていく。
 滑りは、裏筋からその下の双球の合間を流れて、そのさらに下の窄まりまで続いているようだった。


「……ユージィン、……お前、凄い濡れて……本当に、感じているんだな」
「もうっ、オスカー、本当に、あああっんん、ん、いじわるっ! ……っ、そんなの、見ればわかるのに、なんでいちいち声に出すの、は、恥ずかしいっ! や、やああっ!」


 憎まれ口すらかわいくて、それから、本当の本当に感じていることを理解して、それを実感したくて、オスカーは思わずユージィンの濡れそぼる陰茎を掴んだ。
 途端、高い声が上がると同時に、ふるりと震えた先っぽから更に先走りが流れた。


「オスカー、ねぇっ、オスカー……! もうだめかも、俺もう、っや、や、こんなの、なんでっ、んんんんんん、ん、っ」


 掴んだまま、親指で裏筋をなぞった。
 ユージィンの腰が、びく、と動いた。


「先に一度、イッておくか……?」


 腰骨に歯を立てながら聞く。
 いやいやと首をふるユージィンを尻目に、ついでのように、ユージィンの上から自身の身体を退けたことで自由になった左手を、先程舐め倒していじめた右の乳首へと這わせた。
 触れるか触れないかの所で指を動かすと、乳首への刺激を予想していなかったらしいユージィンが思わず、と言ったように、頭を少しだけ起こしてこちらを見てきた。

 目が合った。

 酷く上気した頰、汗の浮く米神から顎、首の線、潤みきっていつも以上に光る金色の瞳、そしてその手前には、ユージィンの乳首に今まさに触ろうとする、己の手。
 良い眺めだ。
 ついつい唇が笑みの形を作ってしまう。


「、ん、あ、ああ、や、やだ、やだやだ、オスカー、ねぇ、ね、」
「……ん? ……どうした?」
「やだ、イキたくない、まだやだ、でも、でもっこれ以上されたらイッちゃう、だから、やめ、やめて、」
「……何が問題だ? イけばいいだろう?」


 話しながらゆるゆると緩い刺激程度に指を動かし、裏筋の感触を確かめる。
 滑りが気持ちいい。
 左手は乳輪に這わせるだけで動かさない。
 イけばいいだろう? の言葉に合わせて唇が腰骨に沿って動くことさえ刺激となるようだ。
 決定的な快感は与えず、再度答えを促す。


「なあ……? ユージィン……?」


 んんん、と喉を鳴らしながら、ユージィンが答える。


「だ、って、っ……! オスカー、オスカー! ね、ねぇ、や、やあっオスカーがっ、まっ、まだ、気持ちよくなってないからっ! 俺だけ、だめっんん、ん、んんっオスカーっ、オスカーも、オスカーも! ね、だ、からっやめ、」


 本当に切実そうに一生懸命に、オスカーも気持ちよくなろうと訴えるその様を見ているだけで、オスカーは気持ちが良いし満たされる。
 ふ、と、唇で笑う。
 多分、側から見たら相当に人の悪い表情をしているだろうが。


「俺は今はこれで十分だ」


 瞬間、快感に震える陰茎のぱつぱつに張った先っぽをぐるりと撫でて右手を幹に添える。


「あ、やめっ、本当にっ……!」


 左手で乳輪を弄り続け焦らしていた乳首を、できるだけ優しくさする。
 親指、人差し指で、側面から撫で上げて、更に勃たせるように、こねる。
 これ以上ないぐらいに硬く勃ちあがる乳首の感触が、指に気持ちが良い。


「だいたい、イッちゃうからやめてなんて……そんな事言われて素直に聞く男がいるか。
 聞かない事ぐらいお前も男ならわかるだろう。
 ……それとも。
 俺を、煽っているのか?」


 せっかくだから、と、反対側の乳首にも同じようにしてやろうと手を移して、摘み弄る。
 放置されて少し落ち着いていた乳首は、オスカーの指に反応してすぐさま硬くなった。
 乳首の周りを撫で上げるように指でクリクリと快感を送る。
 その度にユージィンはこみ上げる射精感をこらえようとしているのか、息を詰めて腰を震わせる。


「ちが、ちがう、煽ってないっ、でも気持ちいい、気持ちいいよ、オスカー、もう、やああああああ、ああ、やめ、我慢っ、我慢できな、っんんん」


 素直に善がる所がユージィンのいい所だ。
 ここまで乳首で感じてくれるなら、いつか乳首だけの刺激でイク事が出来るようになるかもしれない。
 そんな、益々不埒な事を考えながらオスカーは更に指と手を動かした。
 腰骨の形を味わうように舐めて噛んで、吸い上げていた唇は、腰骨を離れ中心へと向かう。


「いいから……ほら、イけ」


 右手で幹を上下に擦りながら、先っぽの丸い部分を躊躇なく口に含む。
 口に含んだまま味わうように震える先端に舌を巻きつけ、強く吸い上げた。
 瞬間。


「やあああっ!! や、ほんと、やっだめいく、い、イッちゃ、イッちゃうからああっああ!! ああ、あ、イク、んんんんんっ!」


 一際大きな声があがりユージィンの腰がガクガクと前後に揺れ、直後に口腔内に青臭いような液体が流れ込んできた。
 オスカーはそれを躊躇わずに飲み、更に吸い上げながら右手の速度をあげ、あやすように左手で尖った乳首を撫でた。


「オスカーっ!! 、や、や、イッてる、俺今イッてるから、んっくぅっ、んんっ! や、あああああっ!」


 オスカーは、ユージィンの陰茎から出てくるものが無くなり、腰の揺れが収まるまで、柔らかく緩く舌と指を使い続ける。
 それは、もしかしたら快楽に飲み込まれていたユージィンにとっては、大きなお世話だったのかもしれないが。


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