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06.リーヴァイとルカの初夜、と、それから ※
しおりを挟む正直、今までの性交で一度も根本まで入れたことのないリーヴァイは、ここで止まっても良いと思っていた。
それが彼にとっての普通であったし、そもそも絶対に叶わないと思っていた片思いが思わぬ幸運から叶い、想う相手にまさか今挿入しているだなんて、これ以上望むのは愚かというものだ。
だと言うのに、想い人は美しい薄金色の髪を散らし、白磁の肌を紅潮させて、薄紫の花のような瞳を潤ませながら「お願い、奥まで」などと言うのだ。
躊躇は一瞬で、リーヴァイは手をかけていた太ももを更に倒すようにして引っかかったように止まったところから腰を進める。途中、亀頭が少し狭いところをくぐり、ぐちゅん、とどこかに入った感触がした。
瞬間、ぎゅうぎゅうと引き絞るようにルカの襞が動き出す。一際かん高い嬌声をあげてルカが腰を震わせた。精液とも違う体液を撒き散らしながら、痙攣し続ける。
「ああああああ、ああ、ああ、ん、あぁぁ、あ、やだやだ、りーゔぁ、い、っや、すごい、すごいの、すごいの、たくさん、き、てるあ、ああ、んあんんっ!」
「気持ち良いですね、ルカ」
何度も何度もぐちゅんぐちゅんと亀頭で腸壁の奥を刺激するように出し入れを繰り返した。
「や、きもち、い、きもちい、きもちいいよ、たすけて、やだ、……っ」
本当に嫌がっているようなら、リーヴァイはすぐにでもやめようと思っているが、ルカの表情も、身体の反応も、嫌がっていないのが見て取れるから。
「嫌なだけ? 嫌なんじゃなくて、少し怖いんじゃなくですか?」
「あ、ああ、ん、んんっそ、かも、っこわい、きもちよくて、んんんあ、こわ、いっ……!」
「じゃあ、やめません」
ルカの太ももを腕にかけ、そのまま腰を掴んで何度も前後する。見下ろし、結合部を見つめる。本当に、根本まで入ってる。こんな小さくて華奢な尻に、自身の長大なモノが出入りする様は酷くいやらしくてリーヴァイも興奮で頭の中が焼ききれそうになる。
「や、やだ、こわい、きもちい、こわい」そう言いながらルカは上に逃げようとする。脚を支えて腰を掴んでいるのだから、逃げることはできないが。
「ルカ、ルカ、逃げないで」
「や、だ、やだ、きもちいいぃ、なんかなんかいっぱいでちゃうもん、むり、にげたい、りーゔぁ、い、りーゔぁい、……」
奥の奥を突くたびに、ルカの陰茎からはさらりとした体液が放出される。その都度身体が震え、腰が動く。やっぱり、気持ち良いんじゃないか。そう考えるリーヴァイ自身も、気持ちがいい。自身の全てを埋め込める日が来るなんて思っていなかった。腰をおさえながら言った。
「申し訳ないが、……逃げたいなら、自分で、なんとかして逃げてください」
「や、むり、でしょっああああ、ん、あ、むり、りーゔぁい、腰、ずっとつかんでるっ……! や、やだ、ああっにげ、られないっ……!」
「仕方ない、でしょう、……逃したくないんですからっ……!」
「う、あ、ああああ、っ、もう、たくさんいってる、からっ……! もう、でな、い、っんんんんっ」
リーヴァイの陰茎を搾り取るような動きをしていたルカの腸壁の動きも緩やかになり、突くたびに出ていた体液もだいぶ少なくなってきた。腰も、動かしたくて動かしていると言うよりは反射で動いているようだ。
本人が言うように本当に無理なのかもしれない。抱き潰したいわけではないリーヴァイは、そろそろお終いにすべきかと悟った。
「すみません、私もそろそろ出るので……あとちょっとだけ……」
あまりに強く刺激してはいけないかと、リーヴァイはそれまで突くように動いていた腰の動きを変えた。ルカの奥を大きく膨らんだ亀頭でずっとこねるように動く。「ああああああっ」だらりとしていたルカが刺激が変わったことで快楽の質が変わったようで、嬌声を上げる。
「ん、ん、うん、わかった、けど、なんか、んんんっあ、あぁぁ、へん、へんっりーゔぁい、ぼく、う、あ、っ」
何度もこねるようにすると、ルカの焦点が合わなくなってきた。ルカ? 声をかけてみても、ルカの目はリーヴァイを見ない。ただ、だらだらと陰茎から精液のような体液をこぼしながら、腰を痙攣させる。緩んでいた腸壁も後孔のくぱくぱと飲み込むような動きに合わせて、リーヴァイの陰茎を締め付ける。
「りーゔぁ、いっ……! や、なんか、いく、いく、ぼくああぁ、ぁ、こんな、なんでこんなのしらな、っいっ……! なんかいっちゃうぅあぁっ!」
上から太ももを押さえてルカの尻から奥をこねるように動き続ける。動けないのに、ルカの腰がはねた。ああ、と声をあげているのだろうが、声にならないような声を出しながらルカが抱きついてきて腰を動かそうとがくがく震える。
その動きにつられて「すみません、奥に……」出る、と伝える前にリーヴァイの精液はルカの奥へと放出された。
ルカは、何も出さずにイったようで、焦点が合わないままリーヴァイに抱きつき震え続ける。リーヴァイは、今まで味わったことのない充足感を感じながら、ルカをその胸に抱きしめ続けた。
――翌日。
天気は快晴、市中に問題は起きず、他国との関係も良好で、……となれば赤騎士団のやることは市中見廻りの後、鍛錬となるのだが。
鍛錬中、今日のリーヴァイの動きはいつも以上に切れている。騎士団のみんなも「今日のあいつすごいな」「なんかあったのか……?」「いつもより機嫌も良さそうだ」などと言いながら、鍛錬後日課となった水浴びへと向かう。
服を脱ぎながら水場についたとき、目ざとい一人が声をあげた。
「おいおいおいおい、リーヴァイ、お前、なんだそれ」
「あ! 何だお前、一昨日まで結婚バングルなんて付けてなかっただろうが! 昨日の公休で結婚したのか?」
「は? お前のでかいやつ、入る人間いるのか? お相手の身体は大丈夫か?」
「いつの間に! お相手は誰だよ、というか、なんだその銀のバングル……すっごい意匠が凝ってる……ちょっとお目にかかれないぐらい良いものじゃないのかこれ……」
「お相手はどこぞの貴族のお姫様か……?」
「いや、貴族のお姫様にこいつのでかいやつは入らないだろ……」
わらわらと猥談を交えながら団員が寄ってくる中、リーヴァイはいつもと変わらずたいして表情も崩さないまま「ああ、昨日、ちょっと」などと答える。その時。
「あ、ルカ様!」
今日も今日とて、武官詰め所に向かうらしいルカの姿が見えた。
「今日のルカ様も美しいなあ……」
などと、団員が惚けてルカを見つめる。相変わらず存在自体が光り輝いているような美しくかわいいルカ。普段の彼は団員たちをなんとなく眺めながらも何かを答えたりはせずに、ただ軽く会釈をして武官詰め所へと消えていくが、今日は……。
「リーヴァイ!」
普段誰にも見せないような笑顔で嬉しそうにリーヴァイに向かって手を振る。手を振るためにあげた腕に輝く銀色の結婚バングルはリーヴァイが腕に付けているものと全く同じもので、それに気づいた団員たちが城下に響き渡るような大声をあげるのはその直後。
その後も、なんだかんだとありながらも、結局の所、政略結婚という名のただの恋愛結婚をした二人の楽しくも愛に溢れた関係は、死が二人を分かつまで続いていくのだ。
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