クラス転移したけどリセマラされる前にバックレる

シューニャ

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第230話:君は運が良い...

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皇居の地下へと続く重々しい鋼鉄製の観音開きの扉の前で「この巨大城砦に地下なんてあったのか...」と独り言ちり(ここが対外交渉室の威力武装偵察総局か...)と恐る恐る中へと入っていく...

婚約の現場に居合わせたセルゲイ近衛騎士団長から「ほ、ほう~♪ これはめでたい・・・第一皇女殿下は修道院で一生を過ごすとばかり思っていたが...(※この世界では婚約の決まらない王族や皇族は修道院に入り一生を祈りに捧げるのが社会常識とされている為...)いや、しかし・・・第一皇女殿下を娶るのであれば今よりも更に強くならねばなぁ~♪」と肩を叩かれ受理された転属届けの書類を渡されたからである

中を見渡すと下へと続く階段が続いていたので進もうと両開きの扉の中へと入ると――突如、バタン!と鋼鉄製の両開きのドアが勢いよく閉まり後戻り出来なくなった!

仕方ないので階段を降り始める...
すると今度は...

背後からドン!と何かが落ちる音がしたので驚いて勢いよく振り返ると、そこにはっ?!

/
/
/

巨大な岩の砲丸が転がり落ちてきているではないかっ?!!
いやっ、いやっ?!これは!アカンやろうっ?!死ぬって!!マジでっ!(泣)

一方・・・泣き叫びながら全力で逃げるアユムの姿を――これから上司になる二人と同僚となるは映像を写し出すマジックアイテムで見ていた...

***

「新しい新人がレーンに入ります・・・期待の新人ですよ」

アユムの直接の上司となる実行部隊のまとめ役であるブリスクが威力偵察局総局長であるディミホル・クズミンに、そう述べるとアユムと同い年くらいの少女がマジックアイテムの映像を見て笑いこけている声が本拠地としている本部に響く...

ルビーと言う名の――このユガン人少女の可憐な容姿に騙されてはいけない・・・彼女は幼少の頃はスラム街が住んでおり、たまたま発現したのが暗殺者向きのスキルでスラムのギャングやマフィアの元締め相手に何件か殺しをして当時――生活を営んでいた孤児だったが...

ある一件で運悪く暗殺任務中に偶然その場に居合わせた威力偵察総局の局員達に遭遇・・・偶然にも暗殺目標が、かち合っていたのだ・・・お互いに正体を隠すため口封じで殺し合った結果――決して弱くない局員達を何人か殺害・・・返り討ちにした腕を買われ入局に至った凄腕だ

そんな幼少の頃から武装偵察局のエースを務めているルビーが期待のホープである真井歩に期待を示すのも無理はない。

運良く上級貴族に――いきなり取り立てられただけと皆が思っていただけの新人が武装偵察局入りを運悪く命じられ生き残った局員にしか知られていない

武装偵察局の名物である『死の入局』として知られている試練を本人が泣きわめいているとは言え初見殺しとも言える全部のトラップ全てに引っかかっているにも関わらず今のところ無傷で走り抜けて来ているのだ!

才能を隠した策士か、単なる強運の持ち主か――いずれにせよ・・・局員である以上運が味方するに超したことはないのは間違いない...

この異様な光景には総局長であるディミホルも古傷が疼いたのか?まだ彼が新人の頃・・・最初の任務で油断した際に抹殺対象から受けた不名誉な古傷に無意識に触れる・・・セルゲイ近衛騎士団長と同じく中央軍事アカデミーの頃から堅物である彼が――ここまで一個人に興味を持つのも大変珍しい事である

一方アユムはと言うと――あの後・・・
「ちょっぉぉおおお!!!」「し、死ぬっ・・・(震え声)」
「どわっぁぁあああ!!!」「ひぎゃっあ"あ"あ"あ!」
「お"っ、お"助けぇぇえええ"え"え"!!」

と悲鳴を挙げながら床や壁から鉄槍が飛び出してきたり火が噴き出したり何トンもあるであろう鉄の重りでペシャンコになりそうになりながらも武装偵察局の名物である『死の入局』を完走した!

しかも驚くべく事に何回も落とし穴に落ちたり仕掛けれているトラップをワザワザ全て踏み抜いているにも関わらず運良く串刺しの落とし穴や壁や床から飛び出してくる仕掛け槍の杭と杭、槍と槍の間隙に運良く身体が挟まって無事だったり偶然、杭のない場所に身体が落ちる、既に白骨化した遺骸の上に身体が重なるなどして本人は掠り傷、程度しか負っていない!

転属初日から疲れたアユムにブリスクとディミホルが歩み寄る...

***

「やあ新人...無事に入局に必要な試練を通過したな?まずは、おめでとう。どうやら君には資質があるようだ。入局を認めよう。ようこそ我が組織へ...」

とんでもねぇ試練を受けさせられた後ユガン人らしき・・・がたいの良い男に――そう告げられた...
自己紹介によれば――どうやら大柄の男はブリスクと言うらしい...
威力武装偵察総局実行部隊のリーダーとの事だったが・・・そんな事は今は、どうでも良い!早速「なんて試練を受けさせるですかっ?!死ぬかと思いましたよ!」と抗議したが...

本部が薄暗かったので気づかなかったがブリスクの後ろにいた黒いフード付きの外套を着込んだ、これまた大柄の男に「この程度で死ぬような奴なんぞ必要ない...むしろ死んでもらった方が間引く手間も必要なくなる...」と言われた。

その男の顔面を良く見ると右目に縦の刀傷を負っており、その片目は白く白濁している悪逆非道の恐ろしい顔つきも相俟あいまって異質な様相だ

(ひっえっ・・・なんて恐ろしい形相だ...)とアユムは、ひるむ...

「・・・と言うか...死ぬ可能性もあったのかっ?!!」

当然『自分が死ぬとアーレ皇太子の命も危ないんですよ?!』と突っかかったが黒尽めの大男は『他者に自分の命を握らせて運が尽きるのであれば殿下も――それまでの命だったのだ・・・あの小僧が死んだで死んだなら――それでもいい...運も尽きたような皇帝に國を統べる権利なんぞない。』と言い放つ!

自国の次期皇帝候補に――ここまで言えるとは肝が据わっている所ではない!この危険な黒尽めの大男は覚悟が極まっていると感じたアユムが「あっ・・・はい...」と青ざめながら呟き(ヤバっ!怖っ?!これ以上は逆らわんとこ...)と思うのも無理はない...

自国の皇太子に――このように軽く扱う男に自分が、どう言う扱いを受けるのか途端に不安になり涙目で(転属願い・・・また書こうかな...)と思ったが後日――

ロナフェミア皇女から「あら♪サナイ、セルゲイから聞いたわっ♪危険な部署に配属されたんでしょう?私に逆らうから――そのような事態になるのよ♪まあ♪わたくしに一生尽くすと言うのであれば私からセルゲイに一言言ってあげなくもないわ♪」と煽られ...

ムカついたアユムは(やっぱりꐦ すぐに危険な目に遭う訳でもないし――しばらく配属された所で頑張ろう)と考えたのは誰も知らない所なのである...

なおセルゲイ近衛騎士団長からは、どこぞの馬の骨とも分からない奴が第一皇女を娶るとかワンチャン死んでくれねぇーかなー期待されている事も本人は知らない!なお辞めたいと言っていたら――(この国の暗部を知られたからには・・・)と事故死した事は言うまでもない事であろう!真井歩・・・本当に悪運の強い奴である!続く!
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