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第226話:教え上手
しおりを挟む今朝からアーレ皇太子の武術の稽古に付き添っている・・・聞き及んでいたとは言えセルゲイ近衛騎士団長の剣術の稽古は本当に厳しい...
ササミより二歳年上の12歳の子ども相手に「殿下・・・稽古とは言え痛みが無ければ訓練とは言えません、訓練とは訓練と言う名の実戦なのです。普段から厳しい訓練を積んでいる者こそが実戦と言う名の訓練を生き残れます。」
と・・・セルゲイ近衛騎士団長は、まっとうな事を述べると木剣とはいえ子供用のフルプレートを着込んでいる皇太子を容赦なくボコボコにし出した...
皇太子の方は痛みに堪らず逃げ出すと「いけません!殿下!敵に背を向けるなど男子のする事ではありませんぞ!」と容赦なく逃げる彼の背中を攻撃するのだっ!!
あまりの厳しさに俺もドン引きである!!
どうやら心配しているサレンドラ皇后の懐に飛び込むほど泣いて逃げ出すほど痛かったらしい・・・「もうっ!セルゲイの稽古は嫌だぁよっ!代わりにサナイが教えてよー(泣)サナイ!(泣)」
・・・と、よりにも寄って泣きついて来たぁっ!!何で、そうなるんやぁ!そんな事を言われても困るぞ!おい?!
アーレ皇太子に頼られたお陰でセルゲイ近衛騎士団長も額に青筋を浮かべ「・・・ほうぉ~ 私の指導が――そこの青二才に劣るとは思えませんが・・・良いでしょう...おい!若造ーꐦ 皇太子殿下の武術の稽古をして見ろꐦ 」
と図らずも近衛騎士団長の体面を傷つけてしまいピンチである!!これで教え方が下手でアーレ皇太子に進歩が見られなかったら大顰蹙《だいひんしゅく》を買ってしまう上に仮に本物の戦場で殿下が万一にでも討たれるような事があれば...
『名誉伯の指導がマズかったせいでは?』
『そうだ・・・そうに違いない!』
『死刑だ!死刑ー!!』
・・・と、なりかねないではないかぁぁあ"あ"あ"?!!
「う"っう~ん"!(咳払い!)殿下!イケませんな~!私めよりセルゲイ近衛騎士団長の方が武に優れております!!是非ともに御再考をー!!」と皇太子に促すが皇太子は涙目でイヤイヤと横に首を振るばかりで...
結局――
ピキッっているセルゲイ近衛騎士団長に「皇太子殿下の武術鍛錬を賜った――このワシから栄誉を掠めとって・・・嘸《さぞ》かし気分の良い事だろうな・・・」と言われた俺が泣きたい気分だった事は言うまでもない・・・なんでこうなってしまったんや...
***
「さて、皇太子殿下。戦う武器を見つけても――その武器を使いこなせるか、どうかは別の問題です!筋力不足では相手に大きなダメージは与えられませんし――そもそも武器を持ち上げるのも一苦労・・・」
「体格不足では体重が軽いので逆に武器に振り回されてしまい、すぐに疲れて戦闘どころではなくなる事は何となくでも理解できますね?」
アーレ皇太子が(うん、うん)と頷いたのでアユムは話を進める...
「さてセルゲイ近衛騎士団長は先程この問題点を解決する為に貴方様を厳しい修業にて改善しようと試み・・・言い方は悪いですが殿下は音を上げられた訳ですが...
アユムに成り代われた武芸の稽古を見ていたセルゲイ近衛騎士団長が「その通りだ」と言わんばかりに大きく頷く横でアーレ皇太子は下を見て――しょぼくれる
「えぇ~ では次に筋力不足と体格不足を補う為に武器の方を創意工夫で改良する方法もありますが――それは既にオーダーメイドと言う形で子どもサイズと武器や防具が手元にあるので改善されていますね...」
「・・・っとなると厳しい修業で筋力や体格を武器に合わせ自身の改良する――やり方は試みられていたと言う事ですので・・・まずは殴る蹴るなどの痛みを伴う修業ではなくタンパク質を多く含めた食事管理を含め筋力作りや体力作りで基礎から固めましょう。」
平行して武術稽古では攻撃に対して柔軟に対応出来るよう――打たれ強さを主眼に置いた防御と防御できない場合に避けられるよう回避に重きを置いた体術訓練を施す事とした
***
その後――剣における敵の斬撃の基本的な防ぎ方である武器防御《ウェポンブロック》を教えつつ更に高度な防御術であるパリィやパリングと呼ばれる打ち込んできた相手の武器の進行方向に合わせ打ち込みの衝撃を逃がす【受け流し】や突き攻撃や振り下ろし攻撃など点に近い強力な攻撃を仕掛けてきた相手の武器に打ち込みを行い相手の攻撃を逸らす【打ち払い】を出来るまで教えながら...
「ではバインド状態になって見ましょう!」
※バインド:欧米圏の剣術における鍔迫り合いの意。
アーレ皇太子に鍔迫り合い状態からの相手の手首や手足の関節部を斬りつけ相手に恐怖を与え戦意を揺らがせる方法や戦闘中における人体の弱点になり得る対戦相手の関節部の効率的なへし折り方をレクチャーしている
最初は「えっ~ サナイも特訓しろって言うのぉ~」と文句を言っていたアーレ皇太子も「サナイの教え方は凄く分かり易いよ!」と言ってくれるようになり最近は不満そうに俺の稽古を見ていたセルゲイ近衛騎士団長も「貴様・・・意外にも指導の面において特異な才能があるな...」と感心する様子を見せ始めた...
それくらいアーレ皇太子の成長は著しく最近は体格に勝る相手にも打ち合えるほどとなってきている。
見事にアーレ皇太子の才能を引き出せた事で俺の評価もうなぎ登りだ・・・きっと良いご褒美があるに違いない!
――そう期待に胸を躍らせるアユムの後を押すように今回アユムの指導に感心させられたセルゲイ近衛騎士団長の推薦で以前から希望していた転属届けが叶い対外交渉部:威力武装偵察局に配属されてしまうのは――そう遠い話ではなかったのであった...続く
ササミより二歳年上の12歳の子ども相手に「殿下・・・稽古とは言え痛みが無ければ訓練とは言えません、訓練とは訓練と言う名の実戦なのです。普段から厳しい訓練を積んでいる者こそが実戦と言う名の訓練を生き残れます。」
と・・・セルゲイ近衛騎士団長は、まっとうな事を述べると木剣とはいえ子供用のフルプレートを着込んでいる皇太子を容赦なくボコボコにし出した...
皇太子の方は痛みに堪らず逃げ出すと「いけません!殿下!敵に背を向けるなど男子のする事ではありませんぞ!」と容赦なく逃げる彼の背中を攻撃するのだっ!!
あまりの厳しさに俺もドン引きである!!
どうやら心配しているサレンドラ皇后の懐に飛び込むほど泣いて逃げ出すほど痛かったらしい・・・「もうっ!セルゲイの稽古は嫌だぁよっ!代わりにサナイが教えてよー(泣)サナイ!(泣)」
・・・と、よりにも寄って泣きついて来たぁっ!!何で、そうなるんやぁ!そんな事を言われても困るぞ!おい?!
アーレ皇太子に頼られたお陰でセルゲイ近衛騎士団長も額に青筋を浮かべ「・・・ほうぉ~ 私の指導が――そこの青二才に劣るとは思えませんが・・・良いでしょう...おい!若造ーꐦ 皇太子殿下の武術の稽古をして見ろꐦ 」
と図らずも近衛騎士団長の体面を傷つけてしまいピンチである!!これで教え方が下手でアーレ皇太子に進歩が見られなかったら大顰蹙《だいひんしゅく》を買ってしまう上に仮に本物の戦場で殿下が万一にでも討たれるような事があれば...
『名誉伯の指導がマズかったせいでは?』
『そうだ・・・そうに違いない!』
『死刑だ!死刑ー!!』
・・・と、なりかねないではないかぁぁあ"あ"あ"?!!
「う"っう~ん"!(咳払い!)殿下!イケませんな~!私めよりセルゲイ近衛騎士団長の方が武に優れております!!是非ともに御再考をー!!」と皇太子に促すが皇太子は涙目でイヤイヤと横に首を振るばかりで...
結局――
ピキッっているセルゲイ近衛騎士団長に「皇太子殿下の武術鍛錬を賜った――このワシから栄誉を掠めとって・・・嘸《さぞ》かし気分の良い事だろうな・・・」と言われた俺が泣きたい気分だった事は言うまでもない・・・なんでこうなってしまったんや...
***
「さて、皇太子殿下。戦う武器を見つけても――その武器を使いこなせるか、どうかは別の問題です!筋力不足では相手に大きなダメージは与えられませんし――そもそも武器を持ち上げるのも一苦労・・・」
「体格不足では体重が軽いので逆に武器に振り回されてしまい、すぐに疲れて戦闘どころではなくなる事は何となくでも理解できますね?」
アーレ皇太子が(うん、うん)と頷いたのでアユムは話を進める...
「さてセルゲイ近衛騎士団長は先程この問題点を解決する為に貴方様を厳しい修業にて改善しようと試み・・・言い方は悪いですが殿下は音を上げられた訳ですが...
アユムに成り代われた武芸の稽古を見ていたセルゲイ近衛騎士団長が「その通りだ」と言わんばかりに大きく頷く横でアーレ皇太子は下を見て――しょぼくれる
「えぇ~ では次に筋力不足と体格不足を補う為に武器の方を創意工夫で改良する方法もありますが――それは既にオーダーメイドと言う形で子どもサイズと武器や防具が手元にあるので改善されていますね...」
「・・・っとなると厳しい修業で筋力や体格を武器に合わせ自身の改良する――やり方は試みられていたと言う事ですので・・・まずは殴る蹴るなどの痛みを伴う修業ではなくタンパク質を多く含めた食事管理を含め筋力作りや体力作りで基礎から固めましょう。」
平行して武術稽古では攻撃に対して柔軟に対応出来るよう――打たれ強さを主眼に置いた防御と防御できない場合に避けられるよう回避に重きを置いた体術訓練を施す事とした
***
その後――剣における敵の斬撃の基本的な防ぎ方である武器防御《ウェポンブロック》を教えつつ更に高度な防御術であるパリィやパリングと呼ばれる打ち込んできた相手の武器の進行方向に合わせ打ち込みの衝撃を逃がす【受け流し】や突き攻撃や振り下ろし攻撃など点に近い強力な攻撃を仕掛けてきた相手の武器に打ち込みを行い相手の攻撃を逸らす【打ち払い】を出来るまで教えながら...
「ではバインド状態になって見ましょう!」
※バインド:欧米圏の剣術における鍔迫り合いの意。
アーレ皇太子に鍔迫り合い状態からの相手の手首や手足の関節部を斬りつけ相手に恐怖を与え戦意を揺らがせる方法や戦闘中における人体の弱点になり得る対戦相手の関節部の効率的なへし折り方をレクチャーしている
最初は「えっ~ サナイも特訓しろって言うのぉ~」と文句を言っていたアーレ皇太子も「サナイの教え方は凄く分かり易いよ!」と言ってくれるようになり最近は不満そうに俺の稽古を見ていたセルゲイ近衛騎士団長も「貴様・・・意外にも指導の面において特異な才能があるな...」と感心する様子を見せ始めた...
それくらいアーレ皇太子の成長は著しく最近は体格に勝る相手にも打ち合えるほどとなってきている。
見事にアーレ皇太子の才能を引き出せた事で俺の評価もうなぎ登りだ・・・きっと良いご褒美があるに違いない!
――そう期待に胸を躍らせるアユムの後を押すように今回アユムの指導に感心させられたセルゲイ近衛騎士団長の推薦で以前から希望していた転属届けが叶い対外交渉部:威力武装偵察局に配属されてしまうのは――そう遠い話ではなかったのであった...続く
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