クラス転移したけどリセマラされる前にバックレる

シューニャ

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第225話:この親にしてと経済と物流

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いま俺はロナフェミア第二皇女が真夜中に「サナイ~ 小腹空いたわ~ 飢えて死んじぁいそうぉ~ 」と我が儘を言うので仕方なく厨房でサンドイッチを作っている...

正直(なら、そのまま逝ってくれ)と思わなくもなかったが――やはり後が怖い...故に仕方なく手早く簡単に出来るサンドイッチを作っている訳だが...
本来の俺の性なのだろうか渋々とはいえ作っている内に...

ビレネーナスことトマトを切って...
シーズニングの効いたランチョンミートを切って...
一枚一枚レタスの波を洗い、これまた丁寧に一枚一枚水分を拭き取って...
以前45話の時に見つけたカラシナから無理やり作った偽和芥子を適量バンズに塗って...

ハッ(;゚〇゚)!!
――どうしても、こだわりが出てしまった!!

しかも作り終えた途端――寝間着姿の皇帝が襲来し「おぉ・・・サナイ、なんか旨そうなモノを作っておるなぁ。ワシにも作ってくれ」と言い出したではないか?

当然――「いや・・・でも陛下、私めも忙しゅう身のうえで御座いまして...」と断ろうとしたが...

「そんな?!・・・ぃやじゃ、ぃやじゃ~!作ってくれなかったら――みんなに言いふらすからのぉ~!!」

臣下に対して駄駄を捏ねるとか、つげ口とか――それ絶対!皇帝がやっちゃダメな奴!!・・・と子どもみたいな事を言い出し調理場の床を転がり始めた情けない皇帝陛下に心中でツッコミをかます!

(仕方がない・・・作ってやるか~)

そう優しさを振り撒いたのが悪かったのだろうか?
後から来たサレンドラ皇后にも(私《わたくし》の分も作ってくれても、かまわなくてもよ・・・サナイ?)と遠回しに作れ言われ流石にウンザリであるꐦ

まさにコレが――この親にしてこの子あり・・・と言った所だろうかꐦ

おかげでロナフェミア皇女には「遅いꐦ」とキレられるし両陛下とも「まあ・・・具沢山でなんてはしたない」と言っていた割に「お代わり!」と言うしロナフェミア皇女もお代わりと言われ作るハメになり二回目も「遅い!!」とロナ様にブチ切れてしまった!!・・・理不尽であるꐦ俺は悪くねぇーーー!!!

まあ・・・とは言え皇居勤務も悪い事だけではない...
柔和温順で美しいノルフェミナ第一皇女とアナスタシア第三皇女を見るだけで心が癒やされる・・・

アーレ皇太子の方も彼の血液凝固因子の型を特定する事に成功したおかげで人由来の抗体を用いて皇太子の血を固めやすい血液凝固因子だけを精製・濃縮した血液製剤の製造に漕ぎ着けた為――以前より快方に向かっており...

つい最近は帝王学に武術の稽古も学ばれるようになったようで特にセルゲイ近衛騎士団長の稽古が厳しく・・・可哀想に・・・泣きべそをかきながら帰ってくる日々を送っているようだ・・・ちなみに経済や物流の授業は俺が賜っている。

例えば昨日は物流拠点と物価の安定・・・そして製造業を奨励が如何に重要かを説明し――それを実現する為には初等科教育の普及させなければならない事を説明をした

***

「アーレ殿下・・・将来の国家の支配者である貴方様が――まずやるべき事は国道を整備する事です。例え物を製造出来たとしても運ぶ手段が無くては意味がない事は言うまでもないでしょう・・・商人達が勝手に敷いた砂利道など、あまり頼りにするべきではありません」

「物流は国家の血管・・・経済における安全保障は可能な限り握っておく事は重要な事です。また国家の指導者たる支配者は単に民草に職を与えておけばよいと言う話でもありません。商品は大量にあれば安くなり少なければ高くなる市場原理に支配されています・・・国を運営している者は商品を求められている所へ移動させ物価を安定させなければなりません」

「また農業の効率化と製造業の奨励も疎かにしてもいけません・・・まず農業から説明しますと古代中国の皇帝曰く農業は国家の基本『農業を疎かにする国は滅びる』と言う言葉も示す通り大抵の経済大国は食糧生産大国でもあります」

「他国に食料供給を委ねると言う事は自国の人権を投げ捨てるようなモノ・・・自国民の食料すら賄えない国家は民の人権すら保証出来ないのです。」

「自国の食料事情は常に気にするべきでしょう・・・とは言え食料だけに固執しても国は豊かになりません。野心ある他国や強欲な領主たちは常に野望を持っており将来のこの国の後継者たる殿下は常に戦争に備えなければなりませんが・・・軍備の整った軍を整備するにもお金が掛かります...」

「ここで重要となるのが製造業の奨励です。宿泊や運送・運輸、小売業に代表されるサービス業は店舗さえ確保できれば少額の設備投資で直ぐに営業出来るのが魅力的ですがサービス業は予《あらかじ》め仕事の内容が決められていて定められた仕事の価値を超える価値を創造する事が難しくサービスに対する値段の上乗せがしにくいゆえ必然的に...」

「この業種で働いている人々の給金も低くなり買いたいモノを買えないサービス業の労働者の購買力も――また低いモノとなります・・・もちろん雇用自体は増える為ある程度――国は豊かになりますが経済が思うように上向かせるのは至難の業となるでしょう。」

「反面、国家の工業化すなわち製造業の奨励は莫大な設備投資が必要となりますが製造業は雇用の質がサービス業とは段違いです。生産された商品に対する付加価値つまり値段の上乗せが容易なため定められた仕事以上の価値を商品に付与できるので大きな利益幅を確保する事でき...」

「その分、労働者に高賃金を渡す事が可能なため結果的に市場に――お金を回り経済が好調になる・・・以上が経済成長する国家の典型的パターンとなります。」

こう説明するとアーレ皇太子が「つまり全部重要と言う事?」と、他の授業や稽古で疲れているのだろう・・・元もこもない早とちりした回答を返してきた...

とは言え――ここは敢えて怒らず冷静に「慧眼と褒め称えたい所ですが・・・殿下。」と前置きし「しかし、それは物事の本質を見極めているとは言えません・・・殿下、勉学は知識を学ぶ事だけが本質ではありません貴方様が勉学で本当に学ぶべきは・・・その方面や領域の考え方なのです、殿下・・・」

「先ほど私めは国を富ませるには製造業を奨励するべしと殿下に、お教えましたが――それは一つの例を示しているに過ぎません。」

「その時の予算の兼ね合いもあるでしょうし最初にサービス業を奨励し税収を確保してから製造業を奨励しても別に良い訳です。私めは別にサービス業は悪と言っているのではなく雇用の質が良くないと言っているだけですからね...」

「物流の為に道路を整備せよと言うのも友好的な領主や友好国との間に国道を整備するのは先ほど申したあげた通りにすれば良いのですが逆に野心ある他国や領主たちとの領に国道を敷いてしまっては商人だけでなく――その者たちの軍の交通まで手助けしてしまいます...」

「つまりケースバイケース・・・場合によると言う訳です。物事には優先順位と言うモノが御座います・・・民が明日食べる食料もないのに教育に力を入れても勉学で腹が膨れるのは先の事...」

「国と指導者と言うモノは、ただ言われた事を実行するだけではダメなのです・・・考え方をお学び下さい...殿下」

「これは他の事にも言えます。予算もないのに投資して雇用を増やすなど出来ませんし製造業で製品を作ったのに運ぶ手段がないと言うのも間抜け・・・元もこもないですが要はカネです・・・カネの使い時を見誤ってはイケません。」

***

・・・と言う授業をした

よく貧困な国家を豊かにする為に挙げられる教育だが大抵――貧しい国の貧しい家庭の子ども達は貴重な労働力である場合が多い・・・アフリカや中東、昔の日本など貧しい国の人々が子沢山なのも、この為だ...

貧しいから子どもを産むなと言うのは貧しくても食事が出来る先進国に限る・・・現に昔の日本も家族全員が全力で働いて――ようやく貧しい食事にありつけた現実がある

何よりも大切なのは、まず必ず予算を使う優先を決める事だ

内患の憂いないのであれば農業生産の効率を上げて余剰の食料を増やし元手が少なくても商売が始められるサービス業で更に製造業に必要な元手を稼ぐのは十分にありである・・・※まあ時間を掛けすぎて内患の憂いに泣く場合もあるのでコレもケースバイケースだけど...

まだ幼いアーレ皇太子には酷だと思うが学問の分野で考え方を学んで貰わねばならない...

その後、教育を普及させ国民を賢くし過ぎると政治に興味を持ち出すので反乱を起こされかねない下民に教育を施すのは四則演算など基本的な事だけにした方が良い事も教えた。

余談だがケルダンでは3S(映画のスクリーン、スポーツ、性交渉のセックス)などのメディアを立ち上げて可能な限り政治に興味を向かせないように努めているので皆ポルノムービーや下世話な週刊雑誌に夢中である、計画通り・・・抜かりはない...

集団とは信管を抜いた手りゅう弾のようなモノ・・・支配者は人々が爆発しないように安全レバーを常に握っていなければならない事を最後にアーレ皇太子に教え授業を終えるのだった...
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