クラス転移したけどリセマラされる前にバックレる

シューニャ

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第218話:利権と優秀すぎる異世界人

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ふぅ~~~ 昨日は梨島が激怒して大変だったぜ ☆
あんなに怒らなくても良いのに...

ちなみにナナリの両親は彼女が俺のお手付きを止めて騎士のユユスと引っ付いた事に阿鼻叫喚の様子だったので『愛娘が好きな人と幸せになるだから良いじゃないか...幸せになナナリ。』と諫めてあげておいた。

どうやらナナリの両親は街の顔役だけでは不足で本当はケルダンの市長と――その夫人になりたかったようだ。困った奴らめっ...
ビレネー人のコミュニティーには既に以下のような利権を認めている。

市営工場での雇用及び軍需品の生産と納入事業への参入。
ケルダン賤貨造幣局、市役所での一定数の雇用枠の確保。
市街地における優先的な物流使用権及び畜産業における皮と肉の専業利権。
先住民族と同様の土地の所有権の法的な保障。
金融事業と店舗での営業権の保障。
収穫した農作物の販売権。
新しく始めた郵便制度の市街地での運用を委託している

もちろんビレネー人だけを優遇している訳ではない...
ユガン人のコミュニティーには
漁業権及び先祖代々の土地で牧羊する権利の保障。
物流センターでの荷物の積み卸しや土木建設での肉体労働による労働対価の保証。
鉱産など資源採掘事業への参入権。
職人街での武器の製造及び鍛冶屋の運営それらの販売権利。
ケルダンで消費する分のみの砂糖の製造及び販売の独占権を認めて専業させているし...

エレンダ人のコミュニティーには
同じく漁業権及び牧羊する権利の保障。
商業区画の一部での区画占有及び販売権の保障。
銀行などの金融業への運用権と参入権の保証。
職人街における武器の製造及び販売権。
治安維持組織や役場での優先雇用枠の保証。
山間部における薪や木材などの森林資源の伐採及び取得権の専業化。
ケルダンで消費する分のみの塩の製造事業における専業として承認している

また数の少ないネルレイア人にも高級日用品や高級家具などのブランドの生産と販売、商業区画での一部での専売販売権とアリア教の教区における十分の一税の徴収を権利として与え金融業への参入も認めているし...

ハーフエルフのコミュニティーには弓矢の製造及び使用の権利を保障し
薬草やポーション作りなどの医療、医薬品事業を一任して専業を認め
決められた地区での狩猟権と――その行為によって生産された肉、皮、骨、又は羽根などの販売の独占権を保障した

ついでに郊外に住み着いた兎の獣人達には住む事を黙認したついでに入場料なしでの市街への入場や身分確認なしでの労働の権利、及び賃金の保障と免税の権利を与えている

こうして各民族に公平に利権を分配する事で各有力者達にある一定の裁量を認め力を与える事で民衆を取りまとめ管理しやすくした事で当然――横暴な対応で悪政を敷けば有力者たちが結託するというリスクはあるし民族間のトラブルや犯罪行為などの弊害がない訳ではないが・・・相対的にビレネー人が絶対的な数にならないようになり以前のようなビレネー人だけのストライキを防げるようになった!

まあ・・・仮に領主相手に結託しようにも、みんなが皆――相手方の言葉を話せる訳でもないし何より領主を敵として据えるとか――そんなの以前に全員、他民族と仲が悪いので心配はしてない♪

それに悪さをすればオレガノとヴェルマが部隊を率いて超高速で駆け付けるし...

何より以前より自分たちの意見が通りづらくなりニニムは『ぐぎぎぃぃい"い"!!!』と歯軋りしているのを見られるのはニンマリである♪残念だったな?ニニム♪

もちろん暴徒と化した領民への対策だけでなく以前のように下級貴族の分際で――舐め腐った態度をとられた事も忘れていない・・・軍事力の増強にも力を入れている。

まずネルレイアの聖職者に金を握らせ・・・ゲッフン、ゲッフン!・・・言い方が宜しくなかった・・・ネルレイアからペガサスを導入して天馬騎士ペガサスナイト部隊の創設した!

亜人大陸――北方のネルレイア聖女国のペガサスナイト部隊は同国の花形兵科であり中でもネルレイア軍の精鋭として知られている聖女突撃隊、ネルレイア聖女国の主力部隊であり事実上の首都防衛の要である水都オルレアンの防衛を担っている聖女聖歌隊...

この異世界に特殊部隊と言う定義があるのか不明だが・・・只でさえ精鋭として知られているペガサスナイト部隊の中でもりすぐりの騎士だけを選抜し...

聖刻を――その身に刻んだ“防女もりめ”と呼ばれる聖火聖女隊を聖女国が擁しているのは有名な話だが...

ウチも導入したと言っても――ごくごく少数であるのは言うまでない!
しかも案の定――輸入したペガサスは軍用兵器と言う事もあり去勢済みの個体である...

(※軍用として輸出が制限されているペガサスを繁殖させてくれるほど聖女国も甘くないらしい・・・当然、軍用目的であれば去勢されていた方が御しやすいが...)

とは言えネルレイアの元神殿騎士であるアリーゼは『すごい!私のテンションは過去史上、最大のBurningヴァーニングです!!どうやって手に入れたんですか?!卿!!』と目を輝かせながら喜び――さらに領軍のペガサスナイト部隊を一任する旨を言い渡すと『私がペガサス隊の隊長 ☆☆☆!』と張り切ってくれていたのは、せめてもの救いである。

他にも女性と言う理由で他国や他領で冷遇されていたり領軍で新たな才覚を発揮し頭角を現した者を登用した(※妙齢の女性達を中心に・・・け、決して顔で選んだ訳じゃないだからねぇ!!【大嘘】←ここ重要・・・)

特に騎士であるホイットニーと斥候部隊を率いているエブリが推挙したピンクのショートカットのエルシーと同じくピンクのショートカットが似合っている明るく快活な少女ライラは士官候補生の有力候補で...

二人は――つい最近、再び出没するようになった賊との戦いで奴らのアジトを特定し、その類い稀な個々人の戦闘力と高い部隊指揮能力で見事...

賊の組織を壊滅に追いやる活躍ぶりを見せたのだ!
より多くの人員を指揮できるようになって貰う為に、すぐに士官学校に押し込んだのは言うまでない...

士官学校に押し込んで二人は直ぐに――その才能の片鱗を見せた。
文武両道なのは当然として・・・士官の業務や部隊指揮に関する覚えも早く――何よりも俺よりも年下にも関わらず前線指揮官に必要なリーダーシップ所か...

軍の士官は必要な戦いに関する戦術面だけでなく補給線を維持、管理する能力と軍需品を要請と受け取り書類を作成する事務的能力までなければならないが...

二人は――その必要な能力を乾いたスポンジの如く吸収した。

そして何より二人は俺に個別に直接、呼び出され『君には死に直面してもなお――命令された任務を遂行する勇気と気概はあるか?答えたまえ!』と問われると「はい!閣下・・・私は領軍の士官として任務を第一優先とし――敵軍と交戦、殲滅する準備と心構えが出来ております!」と即答するほど闘志に満ちており心強い限りだ!

皇帝のお膝元に近いと言う事もあり謀反を疑われる事情もある事から軍の規模を――あまり拡大できない考慮し二人には練度の高い人員だけで構成される精鋭部隊の部隊長を任せる予定である。

そのほかにも新たな仕官したサレンドラ皇后と同じ東の海洋国家であるロスティック王国から来た元狩人で弓扱いが堪能なマーガレットと魔法兵のマデリン...

弓と魔法の扱いが得意なだけでなく近接武器の扱いも巧みな雪山を生活圏としているスノーエルフとのハーフである白髪碧眼と泣きぼくろが特徴のスノウと銀髪紫目が美しいエミリア...

騎士課程を修了したマルベニ。

後方支援部隊として戦闘区域外で負傷者の治療を担う戦闘衛生兵たちを指導するレスリー、軍医のマデリーヌ・・・野戦看護を取り仕切る看護兵のサクミカ...

兵士達に可能な限り出来たてのシチューとパンを提供する為に製パン中隊などの糧食部隊を創設した為に糧食調理隊に髪の毛の混入を防ぐ頭巾を着用したアリシアやシェーラなどを領軍に登用した。(※なお野郎も登用したが興味がなかった為ので割愛。)

なお兵站と言う概念などは――この世界にはないが補給が混乱しない程度に新たな武器を調達、導入しておいた。

まず超高強度ポリエチレン繊維を使用したストリングとケーブルの目処が立ったのでコンパウンドボウを導入を決定。

コンパウンドボウは通常では膂力の弱い者だと引く事が難しい重い過重の弓矢を途中から軽く引ける事が特徴だ・・・これは大きな円盤と半分の円盤が合わさった偏心滑車のお陰であり...

最初に弦を引く際は弦と回転軸に近い半分の円盤を使用している関係上――強い力が必要になるが、そのまま弦を引いていくと...

途中から組み合わさっている大きな円盤のお陰で弦と回転軸との距離が長くなる・・・簡単言ってしまえばテコの原理の縄バージョン。弦と回転軸の距離が長ければ長いほど軽い力で滑車を回せると言うのがコンパウンドボウの仕組みとなっている。

これにより途中から保持力が軽くなるため弓矢にとって重要な弦を効率良く目一杯、引き切る事が可能になり保持力が軽いので矢を発射できる力をピーク時の90%ほどの力で保ちつつ弱い力でも狙いを支え安定させる事が可能となった!

ついでに弦を保持するピストル型の引き金リリーサーの活用もあって高い命中精度を発揮できる!

その他にも新型レバーアクション方式のコンパウンドクロスボウも調達を開始した。
火矢、爆発矢などが使えない欠点はあるものの――クロスボウ上部にスライド機構を備え上部に弓矢を束ねた挿弾子を充填し矢を束ねているクリップを抜き取り下部にあるレバーを稼働させると滑車システムとスライド機構が働き比較的――楽にクロスボウ上部にあるマガジンからチャンバーへと次の太矢が素早く装填される仕組みである。

因みに上記は二つともトリチウムを使った夜光塗料を蛍光部品に加工したトリチウムサイトや同じくトリチウムを用いた夜光塗料を使って弓なりに落ちる矢の距離を表示した水準器付き光学サイトで更に命中率を改善する事に成功した!・・・までは良かったが...

なんと!整備性に問題があり一般的な弓具と違い弦を外したり滑車の同期を直す為に専用の機材が必要な事が判明した!
当然だが本国の工場または専門の機材を搭載した車輌か野戦整備工房で整備する必要である!!

※更に悪い事に戦場の過酷な環境を再現し弦やケーブルの耐久性を計測した結果5000射前後までしか弦の耐久性がない事が判った!(まあ実戦には十分――耐えうるとから運用を続けるが...)

その他にもエアーコンプレッサーや電動モータ方式で連発可能な弩砲バリスタの開発を完了したので前者を採用、運用する事にした...
射程と威力では前者より勝ったが電動モーター方式は重量も重いし構造も前者より複雑で移動式としては運用しにくいと判断した為である。

・・・とは言え射程と威力は魅力的!!発電設備の設置面積に困らず重量も問題にならない防衛用として城砦や野戦の補給施設用の固定砲台として運用する事にした!
もちろん少しでも補給が楽になるように矢の長さ、太さは共通化してある!

あと歩兵用装備として建材や事務用品として量産している小型カッターナイフの刃や釘や鋲を流用して安価に製造できるパイプ爆弾を正式装備として採用する予定だ
それもこれも黒色火薬の配合が決定したからである

この世界には魔力的エネルギーを秘めている炎の魔石を砕いて作る魔法爆薬と元の世界――初期の石火矢のようなハンドキャノンや火縄銃のようなマスケットライフルも一応・・・存在しているにはいるが...

どれも高価なうえ構造も複雑!整備性も最悪でオマケに物によっては撃った後の熱を冷まさないと暴発(※最悪、爆発!)するなど操作性も悪く使い勝手が悪い!

よって連発もある程度――効くうえに威力も申し分ない魔法矢や従来の弓矢の方が――この世界では大勢を占めており理に適っているのは説明するまでもないと思う...

・・・とは言え大量の白煙を上げるデメリットと無煙火薬より威力がない事を除けば大量製造が出来る黒色火薬は非常に安い!

(※傑作と讃えられる武器、兵器類は攻撃力(火力、射程)防御力、機動力(航続力、運動性)などの基本的性能など目に見える性能だけでなく生産や整備が容易で故障が少なく――いつでも多数の・・・まとまった数で戦えるといった条件を備えなければならず上記のような総合的な能力を備えていなければ傑作とは言えない!)

幸い原材料である硝酸はハーバー・ボッシュ法で既に量産しているアンモニアを白金とロジウムなどのレアメタルを触媒にするオストワルト法で――いくらでも生産出来るし硫黄も石油などに混じっているので、これも困らない!

言うまでもなく炭なんか、いくらでも入手可能・・・※ただし木の種類によって火薬にした時の燃焼速度に違いは出る出来れば柳やハシバミ、ハンノキなどの柔らかい木の木炭の方が多孔質な為に硝石と硫黄の微粒子が穴に入り込み易い...

ただし一番の難題は材料よりも、これらの配合であった。
一般的に黒色火薬において酸化剤(爆発時の酸素源)の役割を果たす硝石(硝酸カリウム又は硝酸ナトリウム)は50%以下では激しく燃焼(爆燃)するだけで爆発(爆轟)反応は起きない焼夷弾のような用途でしか使えない...

これら黒色火薬を火薬や爆発物の目的で作るには以下のような重量比で配合しなければキチンとした効果は得られないからである。

硫黄15~25% 炭10~20% 硝石60~70% 

・・・とは言え言うは易く行うは難し...
黒色火薬の燃焼および爆発感度をコントロールするのは容易な事ではない...
換気装置や静電気除去装置などがあったとしても静電気など――ちょっとした事が原因で指などが吹き飛んだり爆死する可能性もあり大変、危険だという事は言うまでない!

上記のような理由から黒色火薬に限らず適切な火薬や爆薬の配合を決めるのは研究が必要であり元の世界においても火薬や爆薬の配分は軍事機密とされている

ゆえに海外の火薬や爆薬の配合を調べれば――どの国で、その火薬や爆薬が製造されたのか・・・どこの国の軍隊が、その配合に近い成分を使っているのか?が分かり身ばれする訳だが...

まあ、そんな事は・・・どうでもいい。話を戻すと黒色火薬の配合が決まり今回はパイプ爆弾と言う事で黒色火薬を粉末のサーペンタイン火薬ではなく僅かな水とアルコールを加えペースト状にして米粒大の顆粒状に成形したコーンド火薬を採用した。

粒の大きさによって火力や燃焼速度をコントロールする事ができ粒を大きくするほど燃焼速度が落ちる替わりに火力が上がるのが特徴だ!

ただし――あまりに粒を大きくし過ぎると燃焼速度も火力も下がってしまうが・・・今回は飽くまでもパイプ爆弾。

あまり威力や殺傷範囲が過大すぎて使用者に危害が加わるようなモノにするつもりもない事もあり(・・・まあ3~4メートルくらいの標的が死亡または動けなくなる程度でいいか...)という威力に抑えておいた・・・のだが...

(飽くまでも防衛用)と割り切ったにも関わらず殺傷の増大を期待して入れておいた鉄片がモノにもよるが6~7メートルくらい飛んで――ビックリ!!
小型カッターナイフの刃や釘や画鋲の配合を減らす指示をしたが・・・いや~・・・ちゃんとした武器や兵器を作るのって難しいね・・・っと俺が、そう感じたのも束の間...

***

真鍮製の金属薬莢を使った黒色火薬にフォイルペーパー、爆発感度の高いアジ化鉛とトリシネートを極少量詰めキャップとアンビルで閉じたボクサー式雷管をセットし圧延鋼板に隠れると遠隔で撃発する...

黒色火薬らしい強烈な発砲音が響いた後、花が咲いた銃口を見て心底ウンザリした顔のアユムが『ああ・・・しまった...軽量化の為に銃身バレルを薄くし過ぎたか?・・・いや、でも最初は銃本体が吹き飛んだから一歩前進か!前向きに行こう』

「ついに出来ましたわぁーーー♪」

研究区画の研究ラボで焼玉エンジンや黒色火薬を使用した銃本体と弾薬の生産で――どの程度の火薬量が最適なのか調べたり木炭自動車の試作などの仕事をしていると喜びのあまり興奮した様子のシェリスが完成した宝珠を見せてきた...

そう言えば今は落ちぶれた没落貴族であるシェリスの元実家・・・クロリアーナ家の過去の栄光でもある魔力的エネルギーを貯められる宝珠とか言う便利アイテムに助言したんだっけ...

確か彼女の先祖が作った宝珠のパテントが切れ特許料が家に入って来なくなったのと魔物や近辺の河川などで採掘される魔石資源の方が使い勝手が良すぎたり宝珠自体の貯められる魔力や出力が極小と言う事もあり彼女の家の商品は駆逐されてしまったが...

宝珠の発想に感銘を受けたので魔力回路や魔力増幅回路――元の世界のコンデンサーから発想を得た蓄電器ならぬ・・・蓄魔器なんかあったら便利なのではないか?と彼女に少し助言してだけだったのだが...

まさか――たったアレだけの助言で本当に作ってしまうとは・・・此奴、天才か?!!

彼女の説明によれば――この宝珠に刻まれている何やら複雑な印が魔力回路や魔力増幅回路・・・そして魔力を一時的に蓄える蓄魔器の役割を果たすとの事であった。
しかし――元の世界にはない技術ゆえか俺には宝珠の使い所がよく分からないのでシェリスの説明を更に興味深く耳を傾けると...

詰まるとこ――この宝珠をあれば高価な魔石が無くても、この宝珠が嵌まる魔導具や魔術具であれば――ある程度、魔導具や魔術具を動かす事が出来るとの事だった!それは?!!すごい発明じゃないかぁ!!!

つまり――この宝珠が嵌まる魔導具や魔術具を規格統一して量産できれば誰でも――いつでも、どこでも!必要な時に!必要な場所で!一定の効果を発揮する汎用性の高い製品を作る事が出来るじゃないかぁぁあああ~!!!
お前達ぃぃいいいぢぢぢ~~~!!そんな便利なモノがあるなら――どぉーうぢでぇ、それをもっと早く教えないんだぁぁあ"あ"あ"~~~!!!

優れた民生品を作れる国は優れた軍用品を生み出すのは元の世界の歴史が証明している!!早速シェリルと一緒に宝珠を使う魔導具や魔術具の製作に取りかかった!!

***

「・・・やった・・・やったぞ!――ついに出来た!」

「やりましたわぁ!」

シェリルと協力して開発した魔導具や魔術具は割と直ぐに出来た!
以前――ケルダンの闇市で賊が俺に対して使ってきたマジックロッドや属性魔法を付与した剣などの近接武器に宝珠をセットして使う兵器である!

これで今まで使い捨てだったマジックロッドが宝珠を嵌め込むだけで何回も使用でき加えて従来型のマジックロッドは一種類しか魔法を使えなかったが色違いの宝珠を使えば何種類もの魔法を使えるようになった!

代わりに強力な魔法を使う事は出来ないが、これで魔力がない者でも一定の火力を発揮できるハズだ!

近接武器の方も似たようなモノだが魔法が付与されていると一段と格好良く見え本当に強いだけなく!大変見栄えが良い!!何故、今まで誰も思いつかなかったのだろうか?!!いや・・・考えてみれば原理が簡素でも初見では思いつかないか...

技術とは、そう言うモノとしか言いようがない...まあ原理が判明してもコピーして作るのも簡単ではないものだが...

それに、これはシェリスと彼女の先祖の功績に乗っかったに過ぎない。この功績は全て彼女のモノだ。彼女が、この権利の全てを持つべきだと思う...もちろん俺が既に全てを持ちすぎていると言うのもあるが...

俺は直ぐに上層部と皇帝に旧クロリアーナ家のシェリスと言う娘が画期的な新兵器を開発した事を直接報告した。

***

アユムの報告によりシェリスは功績を讃えられ子爵の爵位・・・そして領地なしの法衣貴族として技官としての官職を得て無事に貴族へと返り咲く事ができた彼女は...

「あら?白衣にシワが・・・お脱ぎになって下さい、貴方♡ はい、新しいお召し物です♡ コチラのお召し物は、わたくしがキレイにしておきます♡」

あれからと言うもの以前の無礼な態度が嘘のように気味の悪いくらい良妻のように振る舞ってくるようになっていた!! 

彼女の――あまりの豹変ぶりにアユムも最初はお目々、パチパチだったが(まあ・・・悪い事ではないか...)と今では受け入れている。

余談だが彼女の献身的な支えの活躍もありケルダンの造兵廠に製造ラインを構築出来たお陰で魔力素養の高いハーフエルフ達を中心に既に宝珠と魔導具や魔術具の量産に取り掛かっている

近いうちに領軍の全戦闘部隊に配備する予定だ...
ついでに敵の足を止めて勢いを削ぐ為や非殺傷目的で使用する麻痺剤や睡眠剤を注入する為のダーツガンやショットガンから発想を得たポンプアクション式のスリングショットも開発中で...

既に民生品として商品展開している土木建築機械を工兵隊向けに改造した戦闘工兵車輌は工兵隊に納入されていて使いこなす為の習熟訓練に勤しんでいる。問題は...

「妻のモノは夫のモノですから・・・ふふふ♡」

「いやっꐦ あゆむ君を惑わせないで下さいꐦシェリスさんみたいな綺麗な人・・・わたし絶対に勝てない...(小声)」

シェリスの靡き具合を聞きつけた日和が職場にまで乱入してきた事くらいであった。

「名誉伯!ついに――やりました!!」

興奮した技術者達が差し出したモノにアユムは驚愕する...
なんと自分でも――なかなか完成しなかった黒色火薬を使用したブレイク・オープン式・・・つまり中折れ式回転拳銃ではないか?!

「俺でも強度の問題でローディングゲートを開けて1発づつしか装填出来たなかったリボルバーを・・・すぅー・・・(異世界人の)君ら優秀すぎへん...」

とは言え流石にレンコンのような回転弾倉であるボア・スルーシリンダーの部分に肉抜き用のフルートと呼ばれる縦溝は刻まれていないようだ

アユムの試作したリボルバーは強度を確保する為にノンフルート・シリンダーを採用していたが見たところ彼らが持ってきた拳銃の弾は強力と言う訳ではない...

これならフルートを刻めば、より軽量化出来そうだ!
銃本体だけでなく弾薬まで魔改造してきた優秀すぎる異世界人に――思わず舌を巻くアユムなのであった...つづく
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